となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「南蛮七宝」と一致するもの

2015年12月24日

集まるとなお可愛い。

 

クリスマスイブに相応しそうな南蛮七宝文様『テディ=オッティ』が上がってきました。

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【オッティ/南蛮七宝文様】  一番大きなサイズはこちら

 

本社向かいのショールームに今のところ陳列?中です。ここに入ってこられた方は一目散にこの前に来られるので、やはりインパクト抜群です。この時期はやっぱりクリスマスカラーっぽい、グリーンに目がいくようです。

 

帯地の検品後、裁断して縫製、製作していきますが、平面状態の帯と違い、このオッティ、実感的として、ふわふわバッグと同じくらいかそれ以上に、帯地を使います。そのため当初は『帯地が勿体無いのじゃないか?』との声もありましたが、写真の様な感じで目の前に、どんとあって、それがお客さんから好意の目で見られて、しかもそれが続いていくと、今では『帯地のイイ利用方法かも。』という声に変化してきました。本当に有難いことです。

 

作り始めた元々といえば、帯地の技術力、特に張りを保ったまま薄く織ることを言葉だけでなく(どの会社も薄くて結びやすいとウリ文句になっていますし)、目で見て実感してもらいたい、そんな気持ちからでした。着物地や裏地では作ることができたとしても、帯の表地では、簡単そうに見えて、なかなか難しいもんです。

 

今の時期だったら、この『紗んた』も同じ動機から。

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好意的に見て頂けて、しかも自社の技術もアピールできるという、素晴らしいアイテムです。最近は、社外以外にも社内的にもそれなりに市民権を得てこともあり、その調子に乗って(いつの間にか干支シリーズになりじめた)来年の干支『申』も作ることができました。

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 ⇒Facebookから

今のところ、少しの猶予ができたので、ちょっと安心です。『辰年』は大丈夫?とも心配されていたりもしますが(苦笑)、なんとか十二支揃う様にやっていきたいです。個人的にはシンプル過ぎて、かえって悩みそうな巳年が心配です。

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2015年12月21日

名古屋帯。来年への備忘録。

 

これから本格的に作るシリーズの一部は名古屋帯の割合が高いモノも視野に入れています。その土台として、今までの織組織/名古屋帯を使って仕立も含め、細部のチェックを行っています。試験の要素が強いので、柄の一つにはやっぱり南蛮七宝文様が入っています。

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【南蛮七宝文様/九寸名古屋帯/紹巴紬】

 

試験と言っても、中心は単純に結ぶこと。結びにくいや重量面に問題があった場合、もしもベテランに結んで頂くすると結ぶ技術や経験でカバーされ、たいへん有難いですが、試験なので困ります。そのため、結び心地、生地具合、仕立ての可否を確かめるため、着物は着慣れているけど、どちらかと言えば名古屋帯が得意でない方にお願いしています。帯留めを入れてみたり、結び心地とはあまり関係のないことも、様々。(ちなみに、この帯留めは漆を重ねって作った檸檬です。素朴さがいい味を出していました。)

 

この試験が終わると、解いた(仕立て済み)帯の雰囲気を見ながら、その場聞いた意見、見た雰囲気・感覚を交えて、これから作る意匠・紋づくりを行っていきます。ただ、今から手を付けてしまうと、確実に年を跨ぐ ⇒ 記憶が薄れる ⇒ 勝手に改変 ⇒ 当初意図とズレる ⇒結果、いい方向に行くことが少ない。と今まではそうでしたので、ここで一旦止めたいと思います。多少、生々しさは薄れますが、できる限り多くの事を記録(写真を中心にメモ)で残しておきます。

 

また、実際に紋づくりを行わなくても、製作予定の図案を検討することができますので、設計部分の余計なことを考えず、集中して、できるモノづくりを進めていきたいと思います。年末は静かに籠もりたいなぁと、でも余計なことしそうだなぁと、まだまだそこまで日はありますが、今から年明けを楽しみにしています(笑)。

 

2015年12月20日

サイズ感。勉強します。

南蛮七宝文様の帯地を使って製作したバッグの新作が上がってきました。商品写真だけでは、サイズ感を掴みにくいので、実際にもってもらいました。製作のイメージとしては、少しカジュアルなクラッチバッグ。

 

 

せっかくサイズ感を伝えようとしたのに、写真を見るとじっさいよりも少々大きく見えています(笑)。かなり小振りで可愛いのに、やはり実際に見てもらわないとアカンなぁ。。。と思います(苦笑)。

 

このバッグに使う帯地は基本的に紹巴織+紬糸。遠くからだと、紬を感じない程度に細かく細密に織りながらも節の味は主張する。最近、人気の風合いです。

 

実際に、早く見て頂きたいのですが、しばらく京都に入る予定ですので、そこで陳列しています。今後は革と帯地との配色を考えて、続けてモノづくりを行っていきますね。

 

2015年12月18日

輪宝七宝つなぎの塵よけ。白生地上がる。

 

唐長11代目の奥様好み、【輪宝紋】。帯で製作したモノは以前紹介しました。

 

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これの元となった、からかみの作品は二つの版木を使って製作されたモノです。その雰囲気を帯に活かそうと、白に近い薄い地色の上にのる2色に関しては、敢えて同じ高さに緯をいれず、ホンの僅かに立体感がつくように設計しました。

 

そして、この帯の裏地には輪宝紋の版木の一つ、『輪宝七宝つなぎ』が控えていて、袋帯として両面を結んで頂けます。

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南蛮七宝文様と同じくシンプルで力強く、文様には普遍性も感じられます。紋を作る時には、一瞬悩む所がなさそうなシンプルな意匠ではあるのですが、織った後、帯に違和感を感じない様にするためには、(二つを横に並べて比較しても全く分からない位の)僅かな修正を加えます。この作業のときは、文様とじっと対峙します。そこで何も感じない柄もありながらも、この意匠に関しては惹かれるものを感じました。おそらく、大きく開いた間の微妙な加減だとおもいます。

 

その間をさらに活かしたいと思って製織したのが、輪宝七宝つなぎの『塵よけ専用の生地』。

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意匠はこの『輪宝七宝つなぎ』。そこにタッサーシルクを使い、シャリ感のある風合いを作りました。通常の絹と違って染料の吸収具合とか変わってきますので、今のイメージでもって進めたいのと、年を跨ぐと強烈に記憶が薄れますので、今日、早速染め出ししまた。年の瀬のバタバタなこの時期に、『年内に染めた雰囲気が見れたら、うれしいな・・・。』と遠回りながら職人さんに無茶をお願いすると、何とかするわ。の返事を頂きました。感謝です。

 

今夏終了の南蛮七宝文様の塵よけ。織りも素材も違いますが、雰囲気が似ている様な気がします。とても使い勝手に優れた生地でもあり、人気も頂いていましたので、その代わりとしても、期待しています。

 

 

2015年12月16日

しーぎの色にため息。

 

昨日、モノづくりの打ち合わせをしていました。となみ織物でも帯との相性を考えて、近頃益々力を入れている『大島紬』。もうこう書かなくてもご存知の方も多いと思います。西陣としての『御召』。それに加えて他産地のオシャレを中心とした大島紬。ここが今のとなみ帯を活かすために、モノづくりする着物です。

 

奄美から持ってこられた試作、試験を中心に打ち合わせで出てきたのは、染めの話。

最初の大島紬との関わりは、10年以上昔に遡って、まだその頃多くあった反物から、自分所の帯に合わせる着物を選ぶ、そんな普通の浅い関わりからでした。産地も奄美に限って言えば、1年間生産量が3万反近くから(10年前)から今は5千反。その中で合わせるものが減り、結果自社の帯に合う着物を作る、意匠や色のモノづくりに参加する、深いかかわりになってきました。

 

私は意匠から色までキッチリ関わったのは、南蛮七宝文様の大島。泥、藍、白等は各8反限定で、それ以上は再度作ることも無い、とても希少なモノづくりです。その中の一つが、昨日話題に上がっていた『しーぎ染め』。

 

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南蛮七宝文様/しーぎ大島紬(絣白)】

 

昔はあったそうですが、現在では聞かない、見ていない、昔もあったっけ?それぐらいモノとして世間に無いものです。このその染をして頂いている方も、非常に手間が掛かるから、そら続かないわ。と言われています。この南蛮七宝文様以外でも紋も作りましたし、無地物もあります。

 

この染め色は明るめのグレーをベースに僅かに時々グリーンがのぞいたり、光によっては少し薄いグレーが照ったりして複雑な表情を見せてくれます。その一つ一つがとにかく優しい色で、とくにこの優しさは羽織った時に顔を明るく見せる効果もあり、本当にいい色です。

 

南蛮七宝文様でのしーぎは、8本のみの製織です。そのことを知っている、みんなは『もっと織りたいなぁ。』ともどかしさを感じながら、良いため息みたいなモノをついていました。この前向きな空気を次のモノづくりへ活かしていきたいです。

 

2015年12月15日

龍紋;試しの初反。

 

11月27日に途中経過を上げていた『唐長文様/龍紋』。全体の流れを見るためにもまず一本を製織しました。この段階で南蛮七宝文様の着物と合わせるのが楽しみですが、その気持をグッと抑えつつ、配色や糸使いを中心に細部の修正をしていきたいです。

 

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【龍紋(初反)】

 

織物は紹巴織。となみ織物の得意とする織組織です。筬での打ち込みが多く細密な表現が可能です。通常は糸もしくは箔を通し、フォーマル、セミフォーマルに結ぶ帯が主体ですが、今回に関しては、緻密な隙間を縫って紬糸を通しています。それとお太鼓の真ん中に来る龍に関しては、糸の綴じ方を綾目が出て、僅かに隆起する様にしました。中心の龍と端にいる龍とはその点で色とボリュームが変わって見えます(中心の方が少し白く見える。)。

 

なぜ、こんなことをしているのか?というと全ては陰影のためです。シンプルな意匠の分、何も触らないというのは有りだと思います。ただ、できれば拘るだけこだわって、パッと見てもその拘りはわかりにくい。使っているうちに何となく味わいが出てくる。好きになる、そんな風にできれば。そう思ってこの紹巴織をこの意匠に使い、素材、糸の綴じをその方向に向けるようにしています。

 

まだ修正の余地はあるとは思います。ただ、裏も付けていない丸巻きの段階の帯を巻いているだけで、なんかいい感じ、いい雰囲気が伝わってきます。そんな空気が写真から伝わればイイなぁと思っています。

 

2015年12月10日

ビロードを使った新しい外套作り

 

ビロードを使った新しい外套を製作するため、ざっくりとした仕様で止まっていたモノが打ち合わせも進み、ザクザクぐらいに詰まってきました。頭の中では、着物の上に羽織る?マークぐらいボケた像が、マントの様な具体的なムードへとある程度イメージは固まったため、先ほど仕立屋さんへ生地を渡しました。反物も規定よりも広く、寸法も長く取って織り上げたものなので、他では出来ない外套となるはずです。

 

問題は、反物の色。最後の最後まで『濃茶』にするか『藍』かで悩んみました。結果、見本ということもあり、試し織りに近い初反『濃茶』で行きます(ちなみに、ビロードのカット部分も異なります)。

 

 

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『反物右(濃茶)で作ります。』

 

 

イメージはザクザク決まったと言っても、それでは仕立て出来ませんので、まずは仮縫い。そこで最終の寸法や細かな形を固めます。見本の見本となる形を実際に羽織ってみて、イメージするだけでも、ワクワクします(笑)。裏地は仮縫いの状態を見てから決めようと考えていましたが、やっぱりここは南蛮七宝の襦袢を一反つぶそうと思います。いやー、楽しみだ。。。

 

裏に使う襦袢の色はもうちょっとイメージを膨らませながら悩むことにしますね。

 

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『表より薄地にする?それとも共感?思い切って表色とは離れてピンク??』

 

 

2015年12月03日

お月。

 

南蛮七宝文様を中核に作る唐長シリーズ。一柄進めば、さらにもう一柄と慎重に製作しています。
先日(と言ってもちょっと前)、唐長修学院工房で見せていただいた作品の中にあった『これは!』、を今帯にしています。

文様は『ヤキモチ版』と言われる小さな版木(写真)の『光悦月(下弦の月)』。その版木を使って、和紙2色に染められ地に、わっと浮かぶお月さま。そんな作品です。じわじわ、じんわり滲み出て来る、柔らかな空気が素敵でした。見ているだけで、まだ帯としなくても、すでに南蛮七宝文様の着物に合わせたい。そう感じた意匠でした。

現状は、紋も出来て、配色を試行錯誤しながら、試験織に突入しています。

 

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(月の裏です。。。)

 

完成をお見せできるまで、配色に関して詰めなければいけませんが、今回の帯に関しての肝は、織でどこまで表現できるか?糸をシャットルで飛ばして文様を織り成すために設計する、紋作りが最重要でした。

 

和紙の上に版木で文様をのせるため、唐紙で作られた作品は地の色が影響してきます。。織でその影響を濃厚に出すためには、最大限地に使う糸を利用し地を作りながら、本来版木で為される色を緯糸でそっと添える、そんな微細な糸使いができるように紋を設計しています。それに加え、今回に関しては糸と糸の境界線を柔らかくしたかったので、普段使う染み込みの技法に加え、紬糸を通すことで節を利用し、さらに曖昧ぼかしました。上にも書いたように最後の配色がもう少し詰めますが、完成すれば、これ以上引くところが無い、極めてシンプルな帯になってくれそうです。

 

お太鼓にはお月さまがほわ。お腹には紬を通した無地で織り成し、実際に着られる際には、お月さまを振り返ってみる『ウサギを帯留め』で入れて頂きたいと思っています。以前も『南蛮七宝文様×下弦の月』の時にモレッティ硝子を使って、見本的に製作しました。

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今回、もう一度このウサギとにらみ合って、お月さまの光を受けるウサギを作りたいと思っています。具体的には、透明感を強調して作る予定です。

2015年11月27日

龍紋の3分の1を織ってみました。

 

少し前に唐長(修学院11代目の仕事場)へお邪魔した際に(2ヶ月前のこの時です)、自分の背後にいらした龍紋。

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『唐長文様/龍紋』

 

南蛮七宝文様の着物に合わせる帯として、製作したいと思っています。背後にある唐紙の場合は存在感は凄いのに、場の雰囲気に馴染む。落ち着きのある不思議な空気を作っています。じっと見ていると、益々その感が強くなる(主観ですが・・・。)、魅力的な文様と配色です。

唐紙のこの空気感を帯へそのまま持ってくるのは、(したいのですが・・・)素材も使うシチュエーションも違うので、同じ様な空気を纏いつつも、どちらかと言えば織物らしい柔らかな立体感を強調して、空気感を作ろうと紋づくりしました。広い空間の中の龍紋ではないので、お太鼓のスペースも考え、強すぎないような雰囲気です。ただ、地紋だけでは軽すぎる。

シンプルですが、いつも唐長さんの文様を帯にする時は、技術よりも、手元にあるモノを組み合わせて、又は、いかに使い切って表現できるか?その部分が重要です。

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今回の龍紋では、試行錯誤しながら、3分の1ほどの試験を取ってみました。同じ龍を近い色で上下織っていますが、上は織り目が少し粗くボリュームがあり、色も濃く見えます。下は反対に織り目を細かく綴じ色も薄く見えます。この僅かな差でお太鼓の中心を構成します。また、お太鼓に一つの龍ではなくて、周りに同色ながら織り異なる龍を配して、極力存在感を感じつつも、広がりを想像させる。

今のところ、この3分の1ほどで考えているイメージです。写真の色でも悪くありませんが、落ち着かせるところは、まず配色は黒×墨を考えています。織り自体はシンプルなので、上がってくるまでそんなに掛からないとは思います。

とても楽しみな一本です。

 

 

2015年11月18日

オッティを通じて反省しています。

ちょこちょこ作っているオッティが人気です。総紗縫を使って作った特大(以前南蛮七宝でも作ったもの。)は、本社向かいショールームでお客さんの出迎えをしています。必ず目がいくところに置いてありますが、敢えてか聞かれないことも多く(もっと大きくしようか?と思ったりも・・・。)、先日の打ち合わせの時も、この素材を聞かれましたので、『帯一本を使って・・・。』と答えると今更ながら『えっ帯地!』。と驚かれたりもします。この時は帯に驚いてもらうよりも『一本』を強調していたのですが。後に書くように、反省です・・・。

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何度か同じ様に驚かれたことがあります。大抵の場合、『うちは、帯屋なので、帯以外になにを使ったらいいんやろ(笑)?』『そういえば、そうですね。』と笑い話になります。ただ、よく考えてみると、生地として帯を使える、というよりも『帯屋だから帯を使わないとダメだろ。』と当たり前の状態です。普通は勿体無くて出来ない、とても贅沢なことなのに『使っている素材は帯地です。』と簡単に軽く言ってしまうのは、贅沢に慣れ過ぎの感が強いです。

 

お客さんへ当たり前のように、大変なモノづくりをしています。事実のことですが、モノづくりの工程をすっ飛ばして話をしている様で、メーカーとしては良くないなぁ・・・。と反省をしています。段々とハサミで帯地を裁断するのも、緊張せず慣れてきましたし、怖いことです。

重々しくて、新しいモノへ挑戦ができないのは問題ですが、自分たちの作るものをただの商品とだけしか見ないもの問題です。可愛い顔したオッティを通じて、気をつけたいと思いました。。。
 

2015年11月10日

ビロード染め上がり、一反目。

 

先日から白生地を紹介していたビロード、染め上がってきました。

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『南蛮七宝文様/有線ビロード』


染め屋から上がってきたときは外出してましたので、詳細の打ち合わせは今から。電話では『生地に色が入り易い。』ので、予想以上にこちらのイメージに合わせるのが難しい(濃くなり過ぎる)、と言われていました。それでもこちらの色見本通りに上がてくれるのは、本当に有難いです。白生地段階との大きな違いは、ビロードの特長でもあるパイルをカットした部分、染め色が濃くなり、際立ちます。製織前の打ち合わせ段階では、このカットした部分を『花に見立てて、流れるように反物全体に散らす。』。

白生地では触って、『あ、ここにある。ここにも・・・。』と文字通り手探りでしたが、これでやっと雰囲気が掴めます。
そして、この反物が一反目です。二反目は少しカットする部分を増やして(花に見立てた部分の中心も)、花全体を浮かせる、そう考えていますが、これも染めてみないと、実際はどうなるか?やってみます。

 

 

染め上がってもビロードのボリューム感と存在感は健在で、遠くから見ても『おっ』となります(笑)。

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地風も雰囲気もコートとして最適ですので、仕立て上がりが楽しみです。

2015年11月03日

大内桐/目出し4色

 

Facebook上の反応を見てみたいと思い、珍しく先にUPしてみた『大内桐文様』の目出し。

 

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 ⇒Facebookへ

 

グレー濃淡、おそらく帯としては地味と言われる組み合わせです。UPしたのは一色ですが、実際は下の感じで4色系統を変えて目出し(試験織)を取っています。柄の出方や着姿の顔を主に考えると、一番上と2番目。それを少し修正すれば帯として、完成に近いと思います。(それはそれで進めつつ)UPしたグレー濃淡も、袷帯ではあまりとなみに馴染み無い、無地に近い帯として使い方を提案していきたいと思います。総紗縫で近い提案が出来ているので、袷の帯でも似た感じが出来るのでは?と考えています。(好きな人には好まれそうかな?)

 

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当初このモノづくりは南蛮七宝文様シリーズの派生の一つと考えていました。例えば南蛮七宝文様の着物に合わせる帯を想定。
となみ織物でメインの紹巴織に紬糸を足した織組織を作っているうちに、軸足は当初通りでも、さらなる広がりを感じましたので、もう数柄文様を足してい行ければと思います。

 

意匠と糸使いは本当にシンプルの極みなので、できること、工夫は限られているように見えますが、実際はその中から飛び出ようと色んな工夫をして、試験を取ったり、配色をトコトンまでやり切ることができるので、紹巴織の土台部分が広がりはじめている気がします。この生地は小物にも応用が利きそうですので、普段持てるもの等にも使えるように、まずは帯づくりですが、さらなる工夫を重ねていきます。

2015年10月30日

ほぼお任せで注文を頂いた着物の納品です(男物)。

日頃から大変お世話になっている方の着物(男物)が仕立て上がってきました。『基本的に全部任せるし、色は黒、グレー系で。金額はだいたいで良いし、あとでざっと教えてね。』そんなザックリとした注文です(笑)。

ご自分で色を見て、生地を触って、顔に合わせて選ばれる訳ではないので、こちらで顔を思い浮かべて、その方の雰囲気を考え、着て行かはりそうな場所も想像し、最後にご要望の色に合わせて、生地選びとコーディネートを行いました。

 

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『左から襦袢、着物、羽織』

ちなみに、前回もお任せ頂きましたが、その時は全体西陣御召でしたので、今回は違った産地の生地にしようと、羽織には泥大島の無地(ほぼ黒です)、着物が綿薩摩(東郷大島)。を選びました。おそらく、この二つはイメージ通りだと思います。ただ、『ちょっと遊ぼ。』と思ったのが中の襦袢。綿襦袢(東郷)でカラフルな横段のモノです。シックな南蛮七宝文様襦袢(坪金)をお持ちなので、敢えて遠い感じのモノを選んでいます。

ある程度枚数が増えてからは、自分の着物を選ぶ場合、①面白そうな生地やし、とか②新しい織り組織できたし、とか③今まで着たことのない所の織り手さんのやし、と通常とは違った基準で選ぶようになっています(笑)。さすがに依頼されたものに関しては、そんなことはせず、自分のモノの時の何倍(何十倍?)も気を使います。
ですが、その人の雰囲気を見る勉強にもなりますし、もっとこんな感じのモノを作れば、次面白いかも?と色んな気付きをもらえますので、このコーディネート依頼され業も、楽しくなるまでやってみたいと思います。

次は、『超入門用をお任せします。』と女性の方のも言われていますので、一応信頼さている様ですのですね(笑)。
モノづくりしながら、こちらも頑張ります〜。

 

気に入られるかは判りませんが、気楽に着るための羽織紐はプレゼントしようかな?と思っています。

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2015年10月28日

思っていたよりも順調なビロード製作。

 

南蛮七宝文様のビロード。まずは一反目の白生地が上がってきました。

L1930273.jpgのサムネール画像

 

ビロードと聞くとまず思い浮かぶのが・・・光沢のある生地と風合い、ボリュームある質感だと思います。
それに対して、業界の方はおそらく『反物の巻の太さ』を思い浮かべる方が多いと思います。

 

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これだけ違うと展示場でひと目でわかりますね。

 

この違いが視覚的なところからも『ビロードって、通常扱うモノと何か違う織物。』そんなイメージを強く持たれる理由の一つかもしれません。織れるところも少ないですし、現在ではビロード風の物も含め、本当に少なくなってきました。その中でのモノづくりです。

 

ちなみにビロードの特長は、上記の様にありますが、南蛮七宝文様をビロードで織るにあたり、一番気を付けている部分は、ビロードのカット部分(輪状に織った先端部分をカットし、周囲部分とのメリハリを付ける。)です。ランダムにカットするのでも、もちろん構いませんが、今回は南蛮七宝文様が花に見えるように考えています。

 

ちなみに、染めないと、非常に分かりにくいです。

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花弁だけをカットして、この花が全体に散るようにしました。これが一反目。この次に織り上がるものは花弁に+して、真ん中部分もカットする予定です。染めてみないと、最終判断はし難いので、早速この一旦目を染めてみたいと思います。

巻の太さに比例するのかも?と思うほど、手間とコストは掛かる織物です。反物で見るのと同じ様に仕立てると、独自の世界を作れる織物です。大事に育てていきたいです。

 

 

 

PINTREST南蛮七宝

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2015年10月22日

バランス感覚も大事。尖ったところも大事。使いやすさも。


先日、唐長さんとの打ち合わせで見せて頂いた柄を今作っています。その柄というのは、南蛮七宝文様の着尺や無地っぽい着物に合わせることを意識して選んだモノ。シンプルで、奥行きと文様自体に力強さを感じるもの。さらに、できればお太鼓姿から、品も漂ってくる。そんな帯です。こう書くと難しいですが、実際も難しいです(笑)。

自分でデザインから製作するのとは違って、文様自体はほとんど触らず、色、織と素材の組み合わせで、イメージするモノを作る。たとえば、色だけでも極まれに『使う色少ないから配色は楽ですか?』と聞かれることもありますが、皆さんの予想通り(笑)、ごまかしが効かないのでとても難しいです。

今の柄も、意匠図自体はほとんど完成しましたので、次は色。着物の色も沢山ありますので、他の色とケンカしないようにしつつ地色を作り、織りの表情が出るように、今回は紬で色づけし、箔を使って品を出そうと思っています。それらがバラバラになってしまわないように注意して意匠図を作りましたが、さてさて配色はどうしょう?というのが今日のところのモノづくりです。

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こういう色合わせで一色は試験を織ってみようと思っています。

2015年10月21日

草履の底を赤にしてみました。南蛮七宝文様モデル。

レッドソールの草履、とくれば撮るのはやっぱり底。【底】ばかりの撮影です。こちらが伝えたい雰囲気を上手く出せるように試行錯誤しています。(最初は恐る恐る)検討するために3足製作し、意見を聞いたところ、一部を除く、大絶賛でした。ありがとうございますm(_ _)m。Facebookでも中々の評判を頂いています。
 

 

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 ⇒Facebookレッドソール初登場

 

 

正式にはまだ職人さんとの打ち合わせが出来ていませんが、納期的にはおおよそ5日、最大で10日ほど余分に頂ければ、製作できそうです。この辺りは詰めるとして、まずは南蛮七宝を使ったモノから製作して頂きました。

 

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(撮影中です。)

 

花緒部分の帯地『白』とツボの『赤』。この2つがハマってくれましたので、できればこれは動かさず、レッドソールと白のダックジュエル、それと南蛮七宝の花緒。この組み合わせに関しては、この組み合わせ限定にしようと考えています。

 

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常務も気に入っていますので、一楽モデルも色を検討中です。

 

ちょうど上の文書を書いた後、この『一部を除く』の方に、見本を履いていただきました。『似合わないし、いいよ。。』と初めは言われていましたが・・・・。履くと、変わりますね(笑)。赤は女性を(さらに)魅力的に魅せますので、やはり見るもイイですが、まずは履くですね。

帯屋だけに、一瞬、真紅の裏地が思い浮かびました。ヒネリがないかな・・・?

2015年10月16日

見せ合うわけではありませんが・・・。

 

着物(男物)会をしました。男だけですが、着物を着て美味しいものを食べる。それだけの会ですが、妙に楽しく長く続いています。全く着物と関係の無い業種の方も、言葉に出来ない魅力を感じておられる様です。気づいておられるか判りませんが、極力同じもの着て行かないようして、もし興味を持って『何の生地?』となった時には、できるだけ織物についての話(産地や糸、歴史的な話)に触れるようにしています。

今回はこんな着物を着て行きました。

 

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羽織:紋紬南蛮七宝(緯糸にはターコイズ)、着物は神坂雪佳の世界(海路)/御召、角帯は南蛮七宝文様(600経紬)です。羽織紐は触れてもらえませんでしたが(笑)、モレッティ硝子を使った土星の羽織紐。物凄く重いです。

 

沢山のルールもありますが、まず着姿を見て面白いな、着てみたいなと思って頂ければ、ある程度OKで、それから織物の知識や細かなルールを自然に身に付けていく(自分もあまり自信が無いところもあったりしますが・・・。)。これからも会を続けていって、どんなモノが自分に似合うのか?似合う様になっていくのか?参加のメンバーで楽しんで着物を着て、美味しいものを食べたいと思います。最近は、着物を着て集まるのが自然になってきましたので、とても良い方向に進んでいます。また、自分の着姿とともに紹介していきますね。

2015年10月14日

勝手の違うモノづくり。続き

 

防寒用のコートを作ろうと製作中なのが、南蛮七宝文様のビロード。今は大まかな規格づくりが終了し、具体的な中身に入っています。たとえばビロードといえば、製織段階で輪になるように織り上げ、製織後『輪の部分』をカットして、柄が立つように作ります。ここが最大の特長なので、柄の流れを意識して進めていきますが、それ以外にも・・・。

 

帯は図案、紋図(意匠図)を職人さんと作り上げて、モノづくりしていきます。モノによっては図案に自分が関わる重点を増やしたり、その反対であったり。スタッフの関わり方で同じ図案・職人が関わっても、そうならないのが、帯づくりの面白いところです。

 

そんな帯づくりと同じ様に構えていると、今回に関しては検討する箇所が帯よりも少ないものの、話の展開が早く、こちら予想よりも早く、次、はい次と、課題が飛んで来るので、手探りする間もなく進んでいます。今は、紋図段階。元の図は『南蛮七宝文様』ですので、後は一ドット単位で文様の①サイズ検討と②一見では気づかないかもしれない極細部の手直しをしています。サイズはその通り、柄の大きさ。版木のサイズを原寸に、織り上がった時もそう見える様にします。今までの経験上、織物にすると少し小さく見えることが多いです。

 

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ちなみに、こんな意匠図(コピー)です。

 

もう一つは、織物の特徴でもあるデジタル的な問題。織物は経と緯糸との交差点で柄を作ります。そのため、イメージとしてはドットの世界、デジタル的なものです。いくら丸柄に見えても、近くまで寄って、もしくはルーペで見ると、階段状のギザギザになっています。反対に図案や版木を使って作る唐紙は、どれだけ近づいても丸の線はなだらかな曲線。

この差を意識して埋める仕事をしていきます。言ってみれば人間の目でみて自然に見える、細部の調整です。真円よりも、かすかにゆがんだ丸の方が『きれい』。そんな感覚の調整をしていきます。

2度目に書きますが、それを帯でするのは経験で掴んでいますので、気がつけばやっている。そんな感覚ですが、今度はビロード。しかも初めて組ませてもらう職人さん。ちょっとやそっとでは上手く行かないと思いますので、長期戦の覚悟をしながら、それでも一回で決める。そんなつもりで、やっていきたいと思います。

全て上手く行けば、一本目は来月初め。この頃にまた報告ができるように頑張ります〜。

 

通常、冬に向けての『防寒用』だと(仕立も含めて)、先月くらいには完成していないとダメですが、規格や設計に時間を十二分使いましたので、早くても一本目が冬の入り口に上がってきます。『作って直ぐに販売。そんなモノづくりがいま時代多いのに、ほとんど来年の冬用になるかもしれないモノづくりって、珍しいな。皮肉抜きで、ほんとに。』と言われました。たまたまのタイミングもあって、納得できるように進めていたら、冬になってしまった。急がずちゃんと納得を重ねて作っているモノですので、予想よりも進度は早いですが(笑)、いいモノを仕上げて行きたいです。

 

2015年10月09日

紬〜。

 

明日から会社は(出張組をのぞく)一応の三連休です。職人さんや工房はほとんどがお休みですので、モノづくりが止まります。今は、それが惜しいくらい、並列してモノづくりが進んでいますので、止めておきたく無い、です。近々、『おっ面白い!』と思って頂けるものが、今年の終わりに向けて、連発で上がり始めるので、楽しみにしていて下さい。

 

帯や着物づくりも同じ、小物も同じ、まずある形を決めて、そこに具体的な柄や色を考えていく(たまに反対もあります)。のが、大まかなモノづくりだと思います。今の状態は、形が先にドンドン出来てしまって、まだそこに具体的なモノが追いついていないので、最近は追われながらのモノづくりになっています。『何かないかなぁ?』と煮詰まるよりは、遥かに精神的に良い状態です。だから、この休みはできれば欲しくない〜。そんな状態です。

 

ですので、できる部分は進めていきます。また形が先に決まっている部分は、本当は中身も一緒に作って、完成させて行きたいのですが、それが難しいので、まず試作を作っています。何か形がないと、最悪の場合イメージが崩れてしまって(忘れてしまうことも・・・)、結局作るのを止めてしまうこともあります。

 

そんな見切り発車的に、糸使い等の実験を繰り返して形になったのが、この紹巴織×紬を南蛮七宝文様で織ったモノ。

IMG_2013.jpg

 

以前も書きましたが、試作を作るときに『試作だから・・・』と面白くない柄でやってしまうと、潜在的には素晴らしいモノを持った新しい技法でも、陳腐に見えたりします。そのため、試作ですが自分のお気に入りの柄でやるのが一番と思っています。だからこの柄。

 

まだ、ほとんど見本に毛が生えた位しか形に出来ていませんが、この紹巴織×紬という素材は、発色や風合い、絹なのに絹の良さを持ちつつある耐久性など、ホントに面白いと思います。しばらくどっぷり紬素材と織組織の関係性にハマりたいと考えていますが・・・、今週はそこまで出来ていません。来週もバタバタしそうだしなぁ、とこれも忘れてしまわない、熱いうちになんとか、まずは形にしたい、モノづくりです。

2015年09月29日

唐長さんへ

 

今日は午前中丸々、唐長さんへお邪魔してきました。

IMG_1836.jpg

 

3時間以上(とっても濃い時間)お邪魔していましたので、話は多岐に。モノづくりのヒントも沢山頂いてきました。まだまだ内緒のこともありますが、まず自分がこだわる南蛮七宝文様について、11代目からは『もっと突き詰めれば、もっと面白くなるんじゃないか?』という視点でのヒントも頂けました。南蛮七宝を核に据えての次の具体的なモノづくりや、今すぐにはを形にするのは難しいかもしれませんが、少しずつ具体化できそうなモノ。霞を掴んでいるようでいて、やってみれば何か掴めそうなヒント等、これからやれることは山ほどありそうです。

まずは・・・。となにから手を付けるか、ここで書きたかったのですが、一度今日出た話を整理して、一つずつ自分なりに分解しながら、モノづくりしていきたいと思います。またそれは進めながら、みなさんに紹介していきますね。

 

本社に帰ってくると、こういう時、不思議と上がってくるのが南蛮七宝文様の新作。今日は新しい配色の御召でした。

L1930195.jpg
『紋紬/南蛮七宝文様』

 

この反物は緯糸には紬糸、経糸を紋で遊び、ザックリとしつつ、お洒落着になり過ぎないよう(もちろんお洒落着なのですが・・・)に最後の線を超えるのは止めている紬の着物です。『どういう織物か?』を説明するのは、とてもヤヤコシイ反物なので詳しくは、ここでは避けますが、今日上がってきた配色のものは、とても面白い雰囲気を持っています。この反物の場合、緯に通る多くの色糸のうち、一つには『水色』を入れて、くすみつつもスッキリ感も感じます。

 

他にも『黄色』を通した配色違いのモノももう間もなく織り上がってきます。ここに入れる帯をどうするのか?とても楽しい課題をこなすモノづくりも進めていきますね。

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