となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「唐長」と一致するもの

2016年02月16日

大きな宿題。

今日はほぼ1日事務処理と打ち合わせで終わりました。決算も済みましたので、何から何までバタバタと1日終わりました。

 

昨日はここでも書いていた通り、一日中唐長さんの三条店にいました。普段聞けない話も聞くことができ、気付かない事にも長時間いたお陰で目が環境に馴染んだせいか、気付くことも多くありました。昨日で言えば、三条店に来られるのは初めての方ではない方も、店のスペースと全く比例しない時間滞在されていましたし、中には『泊まれる』と言っていた方も(笑)おられました。噛めば噛むほど味を感じる様に、帯作りしてる立ち位置からすると、何か今までのモノづくりに足せそうな気になってきます。

 

 

12代目の誠次さんが製作された南蛮七宝文様の作品に『いや〜、これやりたいなぁ。』と感じたモノが幾つもありました。『南蛮七宝で、まだ作るの?』と社内では言われてしまうかもしれませんが、きっとやり切れれば、まだまだ新しい表現を見つけることができそうです。

 

特に感じたモノの一つが上の作品。おそらく写真では伝わりませんので、実際に見て頂きたい、のですが吹けば、ボカシが飛んで白地の和紙だけになりそうな淡くぼかされた南蛮七宝の唐紙。

 

地に使われている雲母を織物で、表現することからして難しいです。今ある方法で行うと、べったり銀が見えてしまう。沈めるとほとんど雲母には見えなくなる。とここもバランスですが、今すぐにはこれを調整する方法は思い浮かびません。そのため、ここを表現するために、ずっと試行錯誤するよりも、この雰囲気を織りで織れることは意識せず、他のモノづくり過程で、違った角度で手法を思い付く、ちょっと運に頼った、少し遠回りなアプローチをしてみようと思います。

 

今まで、色々と唐長さんに関わるモノづくりをさせて頂いていますが、急ぐ部分と今回の様に、気長にちょっと横に置いておく部分、両面でできるモノづくり。それが出来るようになりましたので、これからのモノづくり、自分でも楽しみです。

 

 

昨日、来られた方からお礼のメールやメッセージを頂きましたが、内容は様々ながら、皆さん『必ずもう一度来ます。』という文章が入っていたのには、驚きです。何度も行ってても同じですので、とても分かります(笑)。

 

インプットが多かった分、時々この日のことはちょこちょこ出てきそうです。

 

2016年02月15日

三条店リニューアルオープン

 

今日は唐長さんの12代目・三条店リニューアルオープンのため、1日唐紙に囲まれるイイ一日を過ごしました。書きたいことは沢山ありますので、メルマガFacebook等に順序よく出して行きたいと思っています。

 

今日はひとつだけ。

この2月15日をリニューアルオープンの日に選んだ一つの理由が、この日が11代目女将(12代目のお母様)のお誕生日だったこと(ちなみに昨日は11代目のお誕生日!)です。

 

そのため、サプライズで女将好みの輪宝文様(一番上部はお太鼓になっています)で作って頂きました。そこにいたお客さんも含め、みんなでHappyBirthdayを歌い、ちょっと特別な1日になったと思います。

『来年も唐長文様のケーキ、作ってや。』そんな言葉も頂きましたので、今からアンテナを張っておきます。

 

『このケーキ、誰がカットするのか?』もちろん、譲り合いが起きていました(笑)。

 

この三条店の空間は特別ですので、随時今後も紹介させて頂きたいと思います。

 

 

2016年02月13日

準備。

唐長三条店での準備。

昨年の古川美術館/為三郎記念館『唐長の世界』でも同様、唐紙で囲まれたスペースの中に唐長文様を使った帯地や着物、小物を並べるのは、本当に楽しく、いつもの陳列・展示とは違う体験をすることができます。帯と唐紙との同柄があれば(例えば南蛮七宝帯の横に南蛮七宝のランプ)素晴らしいですし、光悦月の帯の近所に兎の柄があれば、月を見上げる兎の情景を頭の中に思い浮かべてしまいます。

 

ここ三条店も物凄く広いスペース、ではありませんが、何度も訪れたはずのに新しい発見がありますし、しばらく椅子に座って空気感を楽しめます。

南蛮七宝文様で製作したモノを中心に展示をおこなってきましたが、11代目の奥様とのコラボで製作中の輪宝文のモノも少しだけ並べています。

(右上には足ものぞいています。)

 

昨日UPした三条店のFacebookもありますし、このブログでも随時情報は皆さんにお知らせしていきますね。京都に来たときには三条店に寄りたくなる、そんなモノづくりをして、発信しています。

 

今週はずっとバタバタでしたので、明日はひさびさに充電できればいいな、と思っています。そして、月曜日はオープン日です。

 

2016年02月11日

となみも準備中。

 

少しずつ進み始めた、唐長さんとのモノづくり。 今月の15日には京都の三条両替町が『三条店』として、リニューアルされます。うちで製作するモノづくりも、見て頂ける予定になっています。いまはその準備でバタバタとしています。

 

そこにUPされているのが、南蛮七宝の版木。自分も長い間、南蛮七宝のモノづくりに関わっていましたが、それでもこの版木を見ると鳥肌が立ちます。

 

この文様に惹かれている方には堪らないと思いますので、今後この版木も見て頂ける機会があればいいな・・・と、こればかりは唐長さん次第ですね。いきなりドンと大きなことではなくて、毎月新しいアイテムも増やすことも考えていますので、ご期待下さい!

 

 

 

 

2016年02月07日

大島紬に囲まれる最終日。

今日はお客さんが京都本社へ来店され朝から夕方まで、モノづくりや帯、今回は大島紬を見て頂きました。普段とは入口正面からして、雰囲気は違いました(100周年記念の大きなPOP?のぼり?がドンと)。この三日間、となみ織物は半分大島紬、半分は西陣織、そんな割合でした。

 

去年、今年は特に早々、奄美へ行き、現地を見ながら、モノづくりを進めています。またここ数日は奄美から、職人兼機屋さんが来られていますのえ、お客さんの反応を生で受けてもらいながら(あまり機会はないそうです)、それをベースに思い切ってジャンプしたモノづくりの打ち合わせを進めることができました。

 

まだまだ、実現できるかわかりませんので、詳しくは書くことはできませんが、『えっ、そんなことしてもらえるの?』とこちらが驚いた、大島紬で織る唐長文様。こちらはこちらで、八割五分ほどイメージ通りに形になった、りんぐ大島で行う表現方法。『それって考え付かんかった・・・。』と職人さんに感心されたモノ。

 

自分たちが作るとなみ帯の可能性を広げるために、手を出し広げた、着物作り。最初は助っ人に近かった関係が段々とお互いから近づいて、となみの中の大きなモノづくりの一つになってきました。これらも、一方的なモノづくりではなくて、双方が提案し、改善して良いもんを作り出せる形を模索していきたいです。

 

本社3fの帯を一旦全部撤収して、明日はそれを元に展示し直す、大変な日になりそうですが、今回は三日間大島紬を帯と同じかそれ以上並べ展示したこと、本当に良かったと思います。日曜日にも関わらず出社した、となみスタッフの皆さんもお疲れ様でしたm(_ _)m

2016年02月02日

容れ物としての帯/南蛮七宝文様P

 

先日、本決算前にFacebook上にUpした『仙福屋の懐紙入れ』。

12628599_954438751259577_6179781952377338445_o.jpgのサムネール画像
仙福屋の懐紙入れ

 

特別な意識をして上げたわけではないのに、爆発的に注目していただいています(いいね!1600人以上、リーチ4万人超え)。

 

最近は、広い意味の『容れ物』、帯地を使ったバッグも雑誌に取り上げて頂けたり、取材をしたという話も頂いたり、3,4年前のちょっと昔から考えると、素材としての帯地へ関心が随分と好意的に変わった感じがします。

 

南蛮七宝を意匠にモノづくりした商品は、今のところ本社&自分のみの取り扱いとなっています。それは商品の制作する量・把握、モノづくりのスピードからと、一人で勝手に走って、暴走しないためです。ただ、去年は古川美術館の唐長世界でバッグや懐紙入れ、今年も唐長さんのサロンでも展示、と少しずつ実際に触れていただける環境が整う、そんな流れができてきました。

 

生地としての帯地は、まだまだマイナーな話ではありますが、帯で使われる意匠、絹を使った風合いには、他の物と違った魅力、大きな可能性を感じますので、もっと認知されるように伝えていけるように頑張りたいです。

 

ちなみに、最近上がってきた南蛮七宝文様/P型(見本)。

IMG_1722.jpg
『南蛮七宝文様/バッグP型(プティ)』

 

洋だけでも和だけでも勿体無い、そんなバッグになれればと思います。

2016年01月26日

輪宝文続く。

 

昨日の輪宝文に続いて・・・

 

DSC09106.jpg
【輪宝文/宿題の続き】

 

唐長11代目夫妻より宿題を頂いている輪宝文の試験織。すでに何度か試験を取っていて、前回書いていたシーソーの様に揺れながら、なんとかバランスを取って、できた配色です。一色しかうまく行かなかった時は、今日出すのを止めておこうと思っていましたが、(なんと)3つともバチっと決まってくれました。一色で大変だということもあれば、こうやって一つの生地上で三色とも上手く行くことも・・・。この辺りがモノづくりの面白いところですね。

 

この時に糸を出した紬を通したモノも上がってきていますので、多少修正を掛けながら最終段階へ持って行きたいです。
『全然、進まんなぁ・・・。』と最近は手詰まり感も感じていましたが、なんとか錆びた歯車が回るようではありますが、いい方向へ進みだしています。

 

 

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2016年01月22日

順番待ちの織物。

 

業界一般的に見て、帯を織れる職人さんがずっと減り続けています。
それにつれて、生産数自体が減り、織れない織物が出てきたりもしていますので、以前と同じことをするのが簡単ではありません。となみでも、織り手が少なく直ぐには織れない場合、技術的にその方しか織れない様な織組織、素材の問題等々、モノづくりの環境は良いとは言えません。それでも周りを見ると、相当良い方ではあります。

『(図案、意匠図が出来たものを)直ぐに織りたい。』おそらく誰がメーカーをやっても、その気持は間違いなく強く出ると思いますが、今は織組織によっては、機の空くのを待つ、そんな時間も必要になってきました。

 

その待ちが長い織物。社内には幾つかあり、時期によっても変わりますが、一年を通してそれが必要なのは、この本袋。
先日、唐長11代目の奥様に登場して頂いて、撮影を行った帯シリーズです。

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神坂雪佳の世界/海路】シリーズ/本袋
図案・意匠図を作り、目出しを織った段階で止まっていたモノ。となみ織物の中では一風変わった雰囲気です(目出し見ると特に)ので、早いこと帯一本で見たい。そう思っていた帯です。

L2050048.jpg(表)

IMG_4723.jpg(裏)

その順番が回ってきました。

 

写真の段階から配色を修正、その糸を準備して、本番を織るのを待ちわびていました。織る段になり改めて、その糸を見ると、やっぱりこっちの方が良いかな・・・とか、糸の太さはもう少し細くするか?、そんな迷いが出てくるのが目に見えています(今まで何度もありましたし・・・。)。その対処方法として、ここだけは拘らず、以前行った配色を信じて、そのまま行くことする。自分の多くないルールの中の一つを適用することにしています。

 

そうは言っても、仕上がりどうなるでしょう?
 

2016年01月20日

京都の雪はこれでも大変。

 

朝は雪も凄いし(京都にしては、です。)今日は来客はなくて、資料集めと整理。目出し(試験織)を見ながら配色チェックをかためてできる日、と出社途中、雪を見ながら心に決めて行ったら、終わって振り返ると・・・。結果なんやかんやとバタバタの日になりました。

 

防寒草履が冬には欠かせない地域の方々からすると、『これくらいは雪じゃない。』と言われると思いますが、一応こんな感じです。

IMG_4680.jpg
(京都で言う、よく降った雪です。)

車はノロノロ、道でコケる方、頑張って頑張って作ったと思われる、小さな雪だるま。

 

 

来週は奄美へ(もちろん仕事です。。。)行きますので、今のうちにと進めている幾つかのモノづくり。その一つが、初登場の唐長文様『角花文様』。12代目から頂いた宿題として、今意匠図を製作しています。

 

DSC09103.jpg

 

文様を作る2色が表情に繊細な色なので、上手く撮れたとしても雰囲気が異なり・・・。さらにモニターでの色表現は難しい(ですので、白黒でとも思いましたが、せめて色の持つ雰囲気だけでも。届くかな?)。

この意匠、今のところまだ帯にするとは決めていません。ただ、地に入った雲母(きら)を織物でどこまで表現できるか?それの実験をしようと意匠図を製作中です。先日、紹介した南蛮七宝文様で使った技術を改良して使いながら、とイメージして職人と打ち合わせを繰り返しています。

 

来週の今頃までには、これで紋を掘って下さい。そう言えるように頑張ります〜。

 

 

他にも久々に作楽の新柄。ケルティックも図案を作ったり、ここでのUPは最近偏りがありますが、順調にモノづくり、進んでいます!
 

 

2016年01月16日

南蛮七宝+信夫帯を改めて紹介。

一本目から、随分経ちましたが二本目が上がってきました。

古川美術館で初登場だった『南蛮七宝×信夫×光悦月』袋帯。この帯が一本目。完成したのは、古川美術館/爲三郎記念館で行われた『唐長の世界』前日(検品が終わったのは当日でした。。。)。

 

モノづくりを始めた時から既にギリギリ。逆算してのモノづくりは、多少余裕をもたせましたが、失敗してしまうと、会期初日には間に合わない。そんな日程でした。この日までに図案を、ここまでに紋を、そして試し織、配色。帯が丸巻きとして上がってきてからは、すぐに検品、問題なければその日の早いうちに刺繍の職人さんの元へ。その間に裏地を織って、最終仮仕立て(職人の手は空けていてもらう)。とギリギリでした。

この時ばかりは、ほぼこの帯のモノづくりを頭に詰めに詰めて進めましたし、ユックリと織り上がって来た帯を見た記憶もそうそうなかったです。色は間違っていないか?柄のちゃんと織り上がっているか?その部分を中心に見ただけです。そして、刺繍も終わって、気が付いたら、美術館に陳列と。

こんな感じで。

そのため、帯を手に取って、じっくり見る。ということは初めてでした。

 

 

そうやって作った帯の二本目。美術館に並べていたものは、『光悦蝶』が飛んでいますので、刺繍無しとしては、一本目の帯となります。織物的には、南蛮七宝文様には三色の糸使い、信夫は 金銀一色ずつ。製作している時は無心だったので(ハッキリと覚えていませんが)偶然なのか、計算したのか判りませんが、金銀の重なり具合、地の南蛮七宝に使う糸が金銀糸に乗っかる部分などは綺麗に整理されていて、落ち着いた『今』見ても、とても良い出来だと思います。自画自賛になってしまいますが(笑)。


 

2016年01月13日

昨日の輪宝文。

 

昨日、本社に唐長11代目夫妻が来られ、『輪宝文』を交えての打ち合わせを行いました。まだ、詳細は発表できませんが、後日その内容は詳しく紹介したいと思います。今回はその空気をお伝えします。

 


この『輪宝文』自体は、まだこのブログぐらいでしか紹介出来ていませんので、今のところお客様の反応は聞くことはできていません。ただ、唐長さんや社内スタッフ、極一部の方々等の周りの反応は大変良いです(裏地の文様に関しても◎です)。今年は、この輪宝文と南蛮七宝を、自分のモノづくりの柱の一つとしていきたいと思っています。

今は、11代目から頂いた二つ目の配色に取り掛かっています(現在試し織り中)。

現状、経糸の関係で文様に使う三色のバランスを取っている最中です。一色目と同じ様な流れでモノづくりができそうですが、薄い地色三色同士→濃い色が一色入りますので、濁らな様に。そこだけに集中してのモノづくりとなります。写真の試験は濃い地色に、全体が少々引っ張られていますので、そこを修正する必要あり。


南蛮七宝文様と同じ様に、持つ、結ぶ、見る、そうやって少しずつこの文様に惹かれる方を増やしていきたいと思います。通常のとなみ織物の帯とは少し違った、紹介・展開・流通となっていきますので、このブログやFacebookでちょこちょことこれからも登場予定です。

 

 

この日の目的はこちらもあり。。。

 

2016年01月10日

光悦月/表地が完成

南蛮七宝を中心に据えてのモノづくりを継続して製作しています。今日日曜日はちょっと振り返っています。

 

11代目の作品を元に意匠を作り、帯にしましたが主題となる『光悦月』。表地はやっと完成しました。

『唐長文様/光悦月』

 

意匠自体はお太鼓にポン。帯としてはこれ以上無いと言えそうな程シンプルな作りになっていますが、難しいのはお太鼓の月の位置。右左上下左右、僅かにズレるだけで、間が不自然に感じてしまいます。また配色も元の作品は、焼き箔の様な深みのある『月』が表現してありました。難点は、ほぼそれだけなのですが、紋を作ってから今までの時間が掛かりました(リンクは12月3日の記事)。

 

さらに普通の絹糸で織ると、お太鼓の光悦月がやや大きく感じたので、代わりに紬糸を帯地前面に通しています。そうすることで月の周りの空間が柔らかくなり、帯全体がいい雰囲気になりました。紬の節がほんの僅かに月に入り込んで馴染んだ様になったのかも。。。ちなみに、お腹部分にはイタリアの硝子を使って製作する、月を見るうさぎを。以前の南蛮七宝に光悦月よりも朧さがあるので、硝子の色は朱系ではない色を考えています。

こんな感じで何やかんやと試行錯誤して進めていきたいと思います。

 

それと、つい先日やっと初詣にもいけました。今年はおみくじも久々の大吉でしたので、今年は良いモノづくりができそうですね(笑)。

 

2016年01月08日

町家で新作の撮影。

今日は東京日帰りで、紋付袴を着て朝出発、そのままで先ほど帰ってきました。着物で動くのは慣れていますし、時々感じる視線も全然気になりませんが、紋付はさすがにちょっと違います(笑)。久しぶりに着物を着て視線も感じましたし、背筋も伸びました。時々は、良いもんですね。

 

さてさて、今は昨日撮影したたくさんの写真を整理しています。新商品の撮影を行うため、京都の上京区の町家で撮らせて頂いたものです。プロカメラマンの横でパチパチと撮っていたものですので、構図的にも良い感じで撮れたものも多いですし、また紹介したいと思います。まだ手をつけたばかりなので、全体の雰囲気を撮った写真にしておきますね。

こんな感じです。

 

 

 

 

 

 

 

京都の町家らしい底冷えを感じながらも、とても居心地の良い空間でしたので、本来の目的と少々ずれながら、休憩中にはWebの写真も撮っていた様です。ちなみに、奥に見える襖はおそらく唐長のからかみだと思います。今度確認をしたいと思いますが、最近唐長さんのモノづくりに力を入れるにつれて、街中でからかみに出会う機会が増えました。願えば叶うもんですね〜。

 

 

 

 

2015年12月28日

今日が最終の営業日

 

今日はとなみ織物2015年の営業最終日です。
今年も一年間、ありがとうございました。

会社全体としては、午前中は通常営業。午後から大掃除、そしてちょっと早めに切り上げて、忘年会となる予定です。

私は午後から唐長さんの修学院へ。来年のモノづくりの打ち合わせにお邪魔させてもらいます。また、ちょうど来年発表する、『ちりよけ』も上がってきましたので、それも一緒に持って行ってご意見を伺ってこようとおもいます。ちなみに、先日このブログでも紹介していた白生地です。染屋さんに『急ぐわ!』と言って頂き、なんと年内に上げてもらえた反物です。

 

IMG_4425.jpg
【輪宝文(経糸/タッサー)】

 

 

あの白生地段階ではこの素材の持つ独特の光沢や素材感、透け感はそこまで伝わってきませんでしたが、配色した染料が文様の中に入ったモノを見ると、雰囲気が出てきます。当初は、来夏で終了予定の『ちりよけ』の代用的なつもりで製作していましたが、それとは違った仕上がりになりました。

 

それはそれで困った問題ではありますが(苦笑)、イイ出来なので、もう一度完全に代用品を作り直すのか?もう一つ全然違うモノ作りをして、穴を埋めてしまうのか?その辺りは来年か、休み中に考えたいと思います。この染め上げも反物で見るのではなくて、仕立てあげて、着物の上から羽織ってどう?それもありますし、配色違いの見え方はどうだろう?等など、楽しみは沢山もって、来年に突入できそうです。

 

期待していてください!

2015年12月25日

南蛮七宝も今年は仕事納め。

 

話し合い、打ち合わせの中から出てきたアイデアを形にしています。『糸を金銀糸に置き換える』言ってしまえば、これだけのこと。ただ、織りたい織組織でやってしまうと、経糸の絹に対して、緯糸の金銀糸では、バランスが悪く、パキパキの織物になってします。だから、織るまでもなく、ムズカシイ。アイデアとしてはあっても、それ以上突っ込むことはありませんでした。

 

今回のモノづくりは『どうしてもいる。』そういう話だったので、糸の合わせ方、糸種を組み合わせ、を見直し、工夫して何とか織り上がりました。必要は発明の母の言葉とおり、なんとなくやってみたい、ではダメで、どうしてもやらなくては。やってるつもりでも、なかなか出来ていませんね。

 

まだ帯一本までは進んでいませんが、目出しはこうなりました。

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【南蛮七宝】

 

絹の風合いが欲しいから糸が金糸の上に乗っかり、金の輝きが欲しいから、その上に金糸が乗っかる。固くならない様に、箔は細く、但し、その分薄れる金の色を緯糸で補填する。銀糸も同じ関係です。おそらく一番良いバランスで構成されていると思いますが、もう一つ実験して、比較の上、最終稿を決定したいと思います。仕上げと楽しみは来年に持ち越しとなりました。

 

 

もう一つ、今日は唐長さんの三条サロンへお邪魔してきました。主に来年の打ち合わせです。
もちろん、入り口に鎮座している、彼?彼女?は元気そうでした。

IMG_4426.jpg

 

 

2015年12月18日

輪宝七宝つなぎの塵よけ。白生地上がる。

 

唐長11代目の奥様好み、【輪宝紋】。帯で製作したモノは以前紹介しました。

 

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これの元となった、からかみの作品は二つの版木を使って製作されたモノです。その雰囲気を帯に活かそうと、白に近い薄い地色の上にのる2色に関しては、敢えて同じ高さに緯をいれず、ホンの僅かに立体感がつくように設計しました。

 

そして、この帯の裏地には輪宝紋の版木の一つ、『輪宝七宝つなぎ』が控えていて、袋帯として両面を結んで頂けます。

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南蛮七宝文様と同じくシンプルで力強く、文様には普遍性も感じられます。紋を作る時には、一瞬悩む所がなさそうなシンプルな意匠ではあるのですが、織った後、帯に違和感を感じない様にするためには、(二つを横に並べて比較しても全く分からない位の)僅かな修正を加えます。この作業のときは、文様とじっと対峙します。そこで何も感じない柄もありながらも、この意匠に関しては惹かれるものを感じました。おそらく、大きく開いた間の微妙な加減だとおもいます。

 

その間をさらに活かしたいと思って製織したのが、輪宝七宝つなぎの『塵よけ専用の生地』。

L2020302.jpg

 

意匠はこの『輪宝七宝つなぎ』。そこにタッサーシルクを使い、シャリ感のある風合いを作りました。通常の絹と違って染料の吸収具合とか変わってきますので、今のイメージでもって進めたいのと、年を跨ぐと強烈に記憶が薄れますので、今日、早速染め出ししまた。年の瀬のバタバタなこの時期に、『年内に染めた雰囲気が見れたら、うれしいな・・・。』と遠回りながら職人さんに無茶をお願いすると、何とかするわ。の返事を頂きました。感謝です。

 

今夏終了の南蛮七宝文様の塵よけ。織りも素材も違いますが、雰囲気が似ている様な気がします。とても使い勝手に優れた生地でもあり、人気も頂いていましたので、その代わりとしても、期待しています。

 

 

2015年12月16日

しーぎの色にため息。

 

昨日、モノづくりの打ち合わせをしていました。となみ織物でも帯との相性を考えて、近頃益々力を入れている『大島紬』。もうこう書かなくてもご存知の方も多いと思います。西陣としての『御召』。それに加えて他産地のオシャレを中心とした大島紬。ここが今のとなみ帯を活かすために、モノづくりする着物です。

 

奄美から持ってこられた試作、試験を中心に打ち合わせで出てきたのは、染めの話。

最初の大島紬との関わりは、10年以上昔に遡って、まだその頃多くあった反物から、自分所の帯に合わせる着物を選ぶ、そんな普通の浅い関わりからでした。産地も奄美に限って言えば、1年間生産量が3万反近くから(10年前)から今は5千反。その中で合わせるものが減り、結果自社の帯に合う着物を作る、意匠や色のモノづくりに参加する、深いかかわりになってきました。

 

私は意匠から色までキッチリ関わったのは、南蛮七宝文様の大島。泥、藍、白等は各8反限定で、それ以上は再度作ることも無い、とても希少なモノづくりです。その中の一つが、昨日話題に上がっていた『しーぎ染め』。

 

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南蛮七宝文様/しーぎ大島紬(絣白)】

 

昔はあったそうですが、現在では聞かない、見ていない、昔もあったっけ?それぐらいモノとして世間に無いものです。このその染をして頂いている方も、非常に手間が掛かるから、そら続かないわ。と言われています。この南蛮七宝文様以外でも紋も作りましたし、無地物もあります。

 

この染め色は明るめのグレーをベースに僅かに時々グリーンがのぞいたり、光によっては少し薄いグレーが照ったりして複雑な表情を見せてくれます。その一つ一つがとにかく優しい色で、とくにこの優しさは羽織った時に顔を明るく見せる効果もあり、本当にいい色です。

 

南蛮七宝文様でのしーぎは、8本のみの製織です。そのことを知っている、みんなは『もっと織りたいなぁ。』ともどかしさを感じながら、良いため息みたいなモノをついていました。この前向きな空気を次のモノづくりへ活かしていきたいです。

 

2015年12月15日

龍紋;試しの初反。

 

11月27日に途中経過を上げていた『唐長文様/龍紋』。全体の流れを見るためにもまず一本を製織しました。この段階で南蛮七宝文様の着物と合わせるのが楽しみですが、その気持をグッと抑えつつ、配色や糸使いを中心に細部の修正をしていきたいです。

 

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【龍紋(初反)】

 

織物は紹巴織。となみ織物の得意とする織組織です。筬での打ち込みが多く細密な表現が可能です。通常は糸もしくは箔を通し、フォーマル、セミフォーマルに結ぶ帯が主体ですが、今回に関しては、緻密な隙間を縫って紬糸を通しています。それとお太鼓の真ん中に来る龍に関しては、糸の綴じ方を綾目が出て、僅かに隆起する様にしました。中心の龍と端にいる龍とはその点で色とボリュームが変わって見えます(中心の方が少し白く見える。)。

 

なぜ、こんなことをしているのか?というと全ては陰影のためです。シンプルな意匠の分、何も触らないというのは有りだと思います。ただ、できれば拘るだけこだわって、パッと見てもその拘りはわかりにくい。使っているうちに何となく味わいが出てくる。好きになる、そんな風にできれば。そう思ってこの紹巴織をこの意匠に使い、素材、糸の綴じをその方向に向けるようにしています。

 

まだ修正の余地はあるとは思います。ただ、裏も付けていない丸巻きの段階の帯を巻いているだけで、なんかいい感じ、いい雰囲気が伝わってきます。そんな空気が写真から伝わればイイなぁと思っています。

 

2015年12月10日

ビロードを使った新しい外套作り

 

ビロードを使った新しい外套を製作するため、ざっくりとした仕様で止まっていたモノが打ち合わせも進み、ザクザクぐらいに詰まってきました。頭の中では、着物の上に羽織る?マークぐらいボケた像が、マントの様な具体的なムードへとある程度イメージは固まったため、先ほど仕立屋さんへ生地を渡しました。反物も規定よりも広く、寸法も長く取って織り上げたものなので、他では出来ない外套となるはずです。

 

問題は、反物の色。最後の最後まで『濃茶』にするか『藍』かで悩んみました。結果、見本ということもあり、試し織りに近い初反『濃茶』で行きます(ちなみに、ビロードのカット部分も異なります)。

 

 

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『反物右(濃茶)で作ります。』

 

 

イメージはザクザク決まったと言っても、それでは仕立て出来ませんので、まずは仮縫い。そこで最終の寸法や細かな形を固めます。見本の見本となる形を実際に羽織ってみて、イメージするだけでも、ワクワクします(笑)。裏地は仮縫いの状態を見てから決めようと考えていましたが、やっぱりここは南蛮七宝の襦袢を一反つぶそうと思います。いやー、楽しみだ。。。

 

裏に使う襦袢の色はもうちょっとイメージを膨らませながら悩むことにしますね。

 

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『表より薄地にする?それとも共感?思い切って表色とは離れてピンク??』

 

 

2015年12月04日

やっぱり本仕立ての帯はイイ。

 

袋帯は丸巻きの状態で織り上がり⇒裏無地と合わせて仮仕立て⇒帯芯を入れて本仕立、結びます。
そのため、普段わたしたちが目にする回数が多いのは、丸巻き状態の帯もしくは仮仕立ての帯です。

 

丸巻きから仮仕立てへは、反物が帯の形になるので、大幅に形状は変わります。その後の仮仕立てからの本仕立てへは、すでに帯の形をしているので、あまり変化が無いように思います。

が、やはり最終の検品を通過し、帯芯が入っていつでも結べる状態の『帯』になると、印象がガラッと変わります。『女性(男性)は、きものを着る女っぷり(男っぷり)が何割も上がる。』とたまに聞くことがありますが、この帯の仕立ても同じ。主観ですが1.5倍くらい良くなります。このことは色んな所で書いたり言ったりしています。

 

今回は、この『唐長輪宝文様』の本仕立てが上がってきました。

P1990070.jpg

 

先ほど、この帯を何度見られたことのある方(社内スタッフでありませんよ)が、『わぁ〜。』と感嘆の声を上げられていました。何度か見ていた帯だからこそ、仕立て前と後の変化に気が付かれたのかもしれません。ちなみに、この帯に関しては地の糸、茶とブルの糸の綴じ方を変えています。仮仕立ての前でもその差は分かるのですが、芯が入ることで内から外へ糸が押し出されるようにして、隆起がクッキリ感じらる様になりました。わぁ〜の気持ち、分かります。

 

なかなか本仕立て後の帯を展示場に陳列することは少ないので、あまりこの面での感動は感じてもらえません。個人的には、少しだけでもそうした使う直前にこれだけ帯が変わるよ。と感じて頂ける様な工夫をしたいなぁと思っています。そのためには色々とやれば面白いこと、沢山考えがありますので、ちょこちょこ実施していますね。楽しみにしていて下さい。

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五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

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