となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「唐長」と一致するもの

2016年07月29日

輪宝文で紗を織ってみました。

帯にするかは、ちょっと横に置いておいて、まず色んな試験を取ってみました。

輪宝文』の総紗縫です。

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唐長11代目奥様好みとして、最近物凄く注目されている意匠。
最初の帯は紹巴織で織りました。

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この帯は、南蛮七宝を陳列する際には常に一緒に持って行きます。
唐長文様同士をコーディネートしたりもしますが、この輪宝文、
気がつけば自然に他の着物の上にコーディネートされ、上手く着姿の顔になっています。

その様子はかなり自然に。
文様としての主張はあるのに、どこでも馴染んでしまう。
唐紙で頂いた異なる配色もありますが、全部そんな感じ、ホントに不思議な柄です。

今回は一番上の写真。
総紗縫の輪宝文の試験です。目出し(試験織)で取ったのは6つ、横段になっている部分です。
色と素材を変化させて、柄の見え方、色の出方、素材によっての帯巾は?透け感は?
等々、1つずつ様子が違うので、チェックしていきます。

生地として織り上がっているので、モノづくりの終盤に見えるかもしれませんが、
全体を100とすると55〜60くらいの中盤です。

最初に織った紹巴織とは違い、各織物には表現力に限界、得手不得手があります。
今回の仕上がりを見て判断するつもりでしたが、この総紗縫の帯に関しては、今のところ無地に近い感覚で、
全体の色目を今まで無いような【青】を使って、モノづくりする。そちらへ持っていくつもりです。

おそらく帯まで持っていけると思いますので、仕上がりを楽しみにしていてくださいね。

2016年07月02日

2016 '7 唐長修学院、訪問

唐長11代目の修学院工房へお邪魔してきました。

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その都度の打ち合わせとは今回は違って、年一回必ず節目に行う打ち合わせです。
年に一回といっても、もうすでに20回を超えていますので、モノづくりの積み重ねを感じます。

この時に行うのは、今後の方針について。
今回は、それに加えて【左うちわ】&11代目奥様の【自分史】の話が加わり、昼過ぎから夜手前までお話を伺うことができました。

ちなみに、
【左うちわ】

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【自分史】

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ちなみに、うちわは全て手で一つずつ唐紙を制作されているもの。
自分史は800部限定と両方とも、書店や普通のお店では手に入らないモノです。

この2つの商品に関してのとなみ織物の窓口・お問い合わせ先はコチラです。
 ⇒info@kyo-tonami.com

今回の話の中で感じたことは(個人的には主題だと思っています)

(一言で言い表せるほど軽くないので言葉自体はでませんでしたが)
『本物』を強く意識して、自分たち原点のモノづくりへのコダワリをもっと尖らせる。
そのために、やらなければ、行けないことがもっともっとあるのじゃないか?

ということです。

また、こういう打ち合わせや会議だと、色々なことに遠慮して、大体が現状の追認となってしまいます。
今回の打ち合わせでは、そんな『追認』という言葉は無く(苦笑)維持すべき部分は維持しつつ、
なあなあまでは行かないまでも、今あるモノづくりのただの延長みたいなモノに関しては、本筋から逸れるので、
軌道修正を行うべき。そういう話も頂きました。

まだ、自分の中で消化できていないことは、これから時間を掛けて行います。
これからの唐長コラボ、おそらく色んな意味で濃くなっていきますので、楽しみにしていて下さい。

2016年06月30日

2016'6 奄美研修。

ブログは久々の更新です。その間、毎年恒例になりつつある奄美研修へ行ってきました。今回は、初奄美のスタッフも一緒に行きました。彼は、それなり勉強もして基本知識は十分にあり、商品としての大島紬に関しては、これ以上ないくらい扱ってきたスタッフです。

その彼が、実際に現地で、自分の目で見て、奄美の空気を感じて、モノづくりを体感しました。知識がある分、今まで点であった様な内容が一つずつ頭の中でくっついて、線になり、それが広がって、またくっついて面になる。そんな感じを受けて来たようです。

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また、この研修で訪れる場所は、休眠しているわけでもなく、実際に現役でバリバリと使われている工房、泥田に直接行って体験を行います。

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そこにバリバリの職人さんもおられますので、貴重な時間を割いてもらい、作業を見せてもらったり、自分でもやってみる。しかも、工房内でピリピリの緊張感の中で・・・。勉強にならないはずはありません。

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現地の方の話によると、全く普段は使っていない泥田にそのときだけ職人を呼んできて、モノづくりをここでしている様に見せかけることもあり、それを取材や撮影等で使うこともあるそうです。こういう話を聞くと、テレビや雑誌などを通して見られた方が、本物はこんなものか・・・。と思われるのではないと、本当に残念です。

唐長さんの時も書いていましたが、簡単に本物が失われてしまう時代です。その流れが一度出来てしまうと、逆らうのはとても難しいことですので、自分たちはできるだけ早めに、本物をちゃんと伝える。ということをやっていきたいと思います。

研修は奄美だけでなく、自分たちの本拠地西陣、その他の産地も行っていますので、絶やさず継続して、本物を伝える努力をしていきたいです。どの産地へ行ってもそうですが、毎回そう思います。

2016年06月01日

左うちわ/輪宝文袋帯

本社向かいショールームの入り口には、きのう唐長さんより届けていただいた『輪宝文/左うちわ』を飾っています。

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この輪宝文は唐長さんが所蔵される650柄もの中で、最も吉祥文が集った最高に縁起の良い文様です。
また、さらに11代目奥様好みの柄でもありますし、南蛮七宝文様に近い思い入れがある意匠になってきました。

この輪宝文で帯を制作する何度も修学院へお邪魔させて頂いていましたが、その時もこの左うちわの話は何度か伺っていました。特に奥様の郁子さんが言われて印象的だったのは・・・

『このうちわを左手に持ってあおぐと風が幸せを呼ぶの。』

それが頭に残っていますので、ショールーム入り口に置き、そこから幸せを呼ぶ風が入ってくるようにしています。確かに、じっとこのうちわを見ていると・・・。眺めているだけでも、そんな気持ちになってきます(笑)。

そして、この『左うちわ』の向かい側には、うちわの唐紙を元に製織した『輪宝文』の袋帯を置き、

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入り口から入ってこられた方をこの2つで挟み込む様にしています。

相乗効果でさらに幸せを感じることのできるかな?もし、京都に来られる際には、ぜひ『うちわと帯』に挟まれて幸せを感じて頂きたいです(笑)

他にも、近々郁子さんの本も届きますので、しばらく唐長三昧になりそうです。

2016年05月24日

雀形七宝、初披露

先日FB上でとても評判が良かった名古屋帯『唐長文様/雀形七宝』。社内で着物に合わせて色々とイメージを膨らませていましたが、やはり実際に身体に帯を巻いてもらうのが、一番です。

合わせるモノは、『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬』。これもまた最近上がってきた、面白い曰くつきの着物(苦笑)。

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『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬 ✕ 雀形七宝(名古屋帯)』(七宝の中に雀が・・・)

名古屋帯は袋帯と違い、裏地を必要としない分、コスト的には下げれますから、柄や色を思い切って遊ぶことが(袋でもやってましたが・・・ 笑)し易い形態です。となみの生産数量からすると、名古屋帯はほんの僅かしかなく、織る際は筬の巾が違う(八寸二分or九寸)ので、今ある全ての織組織ですぐに、袋帯→名古屋へと移行できるわけではありませんし、袋帯の裏地も含めた世界観もとっても楽しいモノづくりです。

ただ、こんな感じの名古屋帯の世界をもっと広げることで、ここから『となみ帯/織物』に触れて頂ける機会が大幅に増えるのかな?と、この帯の評判を見たり聞いたり、実際に目にすると、そう思いました。数柄待機していますので、少しずつ進めていきますね。

2016年05月16日

三条店のピアノ・・・

 

先日、唐長三条店で12代目と打ち合わせを行いました。

 

三条店の現状はというと、ド真ん中にあったピアノを移動されたので、そこに広大なスペースが空きました。普通、家やお店であればポカンと空いたスペースに違和感を感じるはずなのに、店全体の雰囲気+周囲唐紙だと、そのスペースが埋められ、最初からそうだったような気になります。気がついたとしても、これはこれで良いな。と、そんな気持ちになってしまいます。

実は、あれだけお邪魔した私も今回、ピアノの件は知っていたはずなのに、スルー。帰りにそういえば・・・と気付きました(苦笑)。自分に観察能力が無いのか、唐紙がすごいのか、未だに三条店の雰囲気に酔ったのか?わかりません(笑)。

 

そんなこともあって、今並べている帯や着物、小物の陳列をお店に合わせたものへ見直したいと思います。
あるもので十分対応できるもの、新しく作ったほうがいいモノ、等々の打ち合わせです。

 

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【三条店 新しいカメラの試撮 左後ろには南蛮七宝巾着】

 

 

また、新たなモノづくりも始まりますので、しばらくはドップリと唐紙の世界に入って行きたいです。

2016年05月06日

まだ帯になるか、わかりませんが。瓢箪柄

 

タイトルの通り、試行錯誤している帯見本です。
柄は唐長さんより、瓢箪。それをとなみ史上、経糸最多の二重織を使って織った織物です。

 

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基本は経糸の色で柄が作れますし、それで文様全体は(特にシンプルな柄ですので・・・)織る。そこに緯糸を通して色に深みと、地風を作る。帯としてのベース部分のモノづくりになっていますし、非常に地味(笑)。ですが、一番か二番めに大事なところです。時間は掛かるかもですが、まずは納得の行くものを、と思っています。

 

それに加え今回は、出来る限り織りやすいモノ=皆さんに気軽に結んで頂けるモノを心がけていますので、特にこのベース部分をしっかりして、織りはシンプルに。もし、このシリーズからとなみ帯に入門者(?)された方には『帯って、こんなに結びやすいんだ!』そんな気持ちになってもらえる様にする、それが目標です。

 

そのために、経の配色、緯糸の配色、それらのバランスで、今後製作していく配色の基本色を作っていきたいです。

 

やりたいことは、一杯ありますので、一つずつ漏れて後戻りが無いように(これが怖い・・・。)、進めていきます〜。
また、詳細はここでご紹介できると思いますので〜。

2016年04月11日

『アンティークと唐長の世界』展

 

9日(土曜日)には、京都の『ギャルリー田澤』さんへ。
唐長11代目のギャラリートークへお邪魔してきました。

 

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『アンティークと唐長の世界 4月7日〜22日』

 

ギャラリートークでは11代目から、
ケルト・アイルランドから始まる文様が時間を掛けてユーラシア大陸を渡り、日本へ。
日本とアイルランドには1万キロ以上の距離が離れているが、ほぼ同様の文様がある。
アンティークと唐紙との相性の良さ。
唐紙を感じるのに、必要な光の話、等々。

今まで何回か聞かせて頂いたことのある話もありましたが、実際に唐紙とアンティークがコラボとして形になった姿を見ながら、唐長や唐紙に対して多大な興味を持たれている方々が30名集まり、一緒に聞く、その空気感は格別に良かったです。これはついでですが、自分も南蛮七宝の御召(薄ベージュ)を着ていたせいもあって、作品にはなれないまでも(笑)、他の方よりも作品に近づくことができた、ちょっと特別な時間を体験してきました。

 

今回の11代目の話にも出てきたこと。また自分の唐長さんでのモノづくりで意識していることがあります。

それは、季節や光、調度品などを含めたその場の空気感を唐紙に映すこと、です。

 

例えば、今の時期であれば、襖に入っている唐紙が、その季節の空気や射してくる光、周りの調度品を映して、4月らしい色目になる。5月だったら5月、秋であれば秋・・・。そういう色使いを常に意識すること。

きものに置き換えると、帯だったら帯の色目がその時の季節や着る人の雰囲気、着物の色に応じて、雰囲気を映してくれる。
もちろん、コーディネートは必要にしても、その帯を結んだときには、それらを越えて何かいい感じを与えてくれる。そんな帯作り、を意識しています。

 

最近、上がってきたのはこの『角花文様』の帯。
意匠的には、日本が文明開化期に入って、洋が流入、急に変化するその時代の空気感も受け入れて、消化できる、そんな雰囲気を持っている文様です。

 

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【角花/紹巴織】

 

いくつかの配色替えも意識して意匠図を製作していますので、もう数色は織りたいと思っています。ただ、どうしても一番目に作りたかったのが、この配色。地色は柔らかなベージュに胡粉をくすませた白、また柄部分の緯糸は絹と箔を使い、素材感の差、異素材のメリハリを利用して柄を浮き上がらせました。裏地はまだですので、袋帯として完成するのはもう少し先ですが、おそらく周りの空気感を拾いながら、着物や小物とコーディネートしていくと、上手く馴染んでくれる帯になったと思います。

 

この文様でも、沢山試作は取りましたが、まだまだ素材部分やってみたいことはあります。また、文様が変わるとそれに応じて、したいことも変わります。それに応じて、倍々と試験織も考えて、試し織りもやっていかなくてはいけませんが、一番シンプルな文様で、色んな話やモノを見て、色や文様の表現にプラスすることができる環境、なかなかありません。最大限、活かしたいと思います。

 

 

ギャルリー田澤さんでの唐長の世界展は、22日まで。もう少し会期があります。
もし、お時間と興味のある方は是非、訪れてみてください。

桜が終わった京都は少し空いてくるかもしれませんので・・・、ぜひ。

 

 

 

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2016年04月08日

一日を整理中です。

今日は朝から盛り沢山な日でした。

随分、そのうちに書けそうなコトもありそうですので、楽しみにしていてください。恐らく皆さん、忘れてころかなぁ・・・。今の静かな時間を使って整理しています。

 

明日は京都で唐長11代目夫妻のギャラリーがあります。モノづくりの打ち合わせ等でお話を聞かせて頂くと、お二人の自然な空気感の中に気付かされる事があります。それも沢山。

それを楽しみに贅沢な時間を過ごしてきたいです。

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『南蛮七宝文様に光悦月』

 

 

2016年04月06日

生地作り。

 

途中の図案や仕上げ段階の意匠図(紋)を待つ間、次は『これやってみよう。』と、少しだけ新しい試みを色々としています。
試みが全てが思い通りに行くわけではないので、また思いついたこと全てを試すわけにも行きませんが、自分の中で上手く行きそう、やってみたい、そう思ったことに関しては試験を進めます。

今日紹介するのは、それなのに『今のところは』失敗に終わった風通の帯です(苦笑 ややこしい)。

 

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『右側が今回の試験。
左側(無地っぽく見える方)は地紋の見本

 

この試験織の経糸は、麹塵。そこに緯糸(横糸)として太めの紬糸を打っています。ここで入れた紬糸は通常の絹糸よりも倍近く太く、ただでさえ打込んでいる(目が細かい)この織物ではこれ以上織れません。この試験でも精一杯、織り手さんに織ってもらったものです。おそらく紬糸を細くすればなんとかなりそうですが、今進めたい帯の風合いがつくれませんので、このやり方では難しいため、今は方向転換を考えています。

 

もし、そのやり方が上手く行けば、ここにもう一色余分に使うことでき、さらに風合いも作ることができそうです。
もう何度か試験は必要ですが、ここで上手く行けば八寸名古屋帯(唐長文様)が進められそうです。以前から作りたかったモノづくりですので、継続して続けていきます。

 

 

2016年04月02日

静かな土曜日の仕事。(角花 その3)

 

となみ織物は、第二、第三土曜日は、休みを頂いています(今日は営業日)。
それ以外の土曜日も、ほとんどが比較的静かな一日です。

 

先日、『(メーカーさんって)毎日どんな仕事しているんですか?』と聞かれたので、今日だったら、返事は『溜りに溜まった事務作業と(自分の周りの)整理整頓を行ってます。』と今日だけを見ると何屋さんからわからない仕事と、言わないとダメでしょうね(笑)。普段は、帯の、新しいモノづくりを進めるか、修正するか、使い方を考えるか。だいたいは、この3つを一日中行っています。

 

たとえば、今日モノづくりといえば僅かな時間でしたが・・・。
紋屋さんとの打ち合わせをしました。

 

意匠図を作ってから、各配色ごとの試験を織って、それがちゃんとこちらのイメージ通りに織り上がるのか?
というのを、下の写真(目出し)では確認を行います。

 

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『唐長文様/角花』試験中3月6日UP

 

先月初めに上がってきた試験織を僅かに修正。その後、柄部分の素材を変えてまず一本織ってみる(一番下の色で)。
そこまで決まりました。濃い地色にするには、問題もあるので、そのあたりがこの目出しを見て検討しているところです。

 

他には、一進一退のCandyCircusの3つ目の柄。
どう色を整理するのか?上の様にまだ生地として上がってくるのは、まだもう少し先の意匠図をどう作るのか?
その打ち合わせ段階です。

今日は、本当にこれくらいモノづくりで終わっています。

 

来週は土曜日が休みで、平日は京都にいながらも会社にいない時間が多そうです。
少しずつでも進めて、メーカーの仕事は・・・と、ここに大きな顔でUPできるように(笑)、自分を良い意味で焦らすようにしていきます!

 

2016年03月28日

お月。本仕立も上がってきました。

 

南蛮七宝文様以上に好き嫌いが分かれてしまうかもしれない【唐長文様・光悦月】。(初めお客さんに説明するときは、光悦月(こうえつづき)とちゃんと呼んでいますが、気がつけば馴れ馴れしく『お月』と呼んでしまう個人的にも好きな帯です)。

 

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『唐長文様/光悦月』この帯は唐長11代目の作品を元に製作させて頂いています。

 

この帯のことを『もう抜群に良い!』と褒めて頂く方の意見を、よく聞いていると大きく2つのこと『色目と雰囲気』を気に入って頂いています。これをもう一度、異なる意匠の中に再現、というのは難しいです(ほとんどの場合、やっぱり前の方が好きと言われます。)。また、この帯と同じ意匠で、配色を変えるだけで、おそらく空気感は崩れてしまうと思います。

とは言っても、それが分かりながら行うのがモノづくりです。可能性が高そうだけど、実は失敗する可能性が一番高い、同じことをするのか、反対に元の空気だけ大事にして全く異なるアプローチを掛けるのか、色々と試行錯誤やっていきたいと思います。気持ちは、『一柄うまいこと行ったから、できるはず。』それを励みに(苦笑)。

 

この帯の良い所(色目と雰囲気)は、おそらく紹巴織に通す紬糸の使い方だと思います。色をくっきり出さず、紬の節で少し柔らかくする。お太鼓のお月柄が周り全体を少しずつ紬の節に侵食されて、実際に作った月の大きさよりも小さく、しかもホワっとしたおぼろげさが出てきている。意匠図の際に、狙ってはいなかった偶然性も大きいですが、それも含めたいい帯です。

 

 

そして、先日この帯に芯を入れ本仕立したものが上がってきました。
やっぱり、帯は仕立て上がった袋帯がイイです。薄く織り上げた帯地が芯の分だけ、厚みが持ち上がります。それと一緒に紬の節もホワっと立つ。それに合わせてお月にも、さらにおぼろさが出る。芯の分だけ、わずかに重量は増えましたが、手に持つと仕立て前の紬の節とは比較にならない手触りの良さ、紹巴織が活かしてくれる風合い、それが全部揃うと、結んで外に出たい、そんな帯です。

 

この帯の色違い、9:1くらいの分が悪い勝負だと思いますが、新しい配色も作ってみたくなりました。

2016年03月23日

もうそろそろ上がり始めます。

 

今年も夏に向けて(早いですね〜)準備を進めている着物があります。

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生地は去年から織り始めた『南蛮七宝文様/紋紗』。

 

折角の南蛮七宝の夏着物。自分へのハードルを高くして、一つの反物を染めた後、染料は破棄=同じ色は作らない⇒『全部違う色』。この着物は、そういうコンセプトで製作しています(各色1反限り)。

 

こんな意見もありました、『とは言っても(色は無数にあるから)ちょっと変えれば、どれだけでも作れんじゃないですか?』。たしかにそれはその通りですが、『これ売れそう。』と、元の色から作る微妙な色違いの反物を作っても、モノづくり的には全く全く面白くありません。だから、色を考えて、考えて悩んで、作りたい色が無くなってしまった時点、そこで、この夏の着物は終了となる予定です。

 

そんな色つくりですが、去年染めに出す予定でまだ染めていない色もあります。それらは(もう一度精査して使う色、そうでない色は出てくると思います)今までの流れとして、継続してやっていきます。続けて、今年出す色。それは去年から今年にかけて一年間、唐長さんにより深く入ってモノづくりさせてもらった、その上での色つくり。この2つがどう変わるのか?

見た目からして違うのか?着た段階で、それとも帯を合わせた段階で変わるのか?
 

怖いようでいて、楽しみでもあります。

2016年03月17日

少し新しいことをした南蛮七宝。いよいよ。

 

2016春夏『きものSalon』の左下。

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『きものSalon春夏 p130』

 

『きものSalon編集長好み』の南蛮七宝の袋帯。
初めの一本が仕立て上がってきました。今日、結んでもらうべく発送しました。

仕立て上げると、芯の厚みで表地が僅かに持ち上がり、ふっくらとして、反物の時よりも遥かによく見えます。
(でも、写真を撮るのを忘れてしまった・・・。すみません。)

 

そう書いておいて、今日の所はこの丸巻きの写真で・・・。
(裏地は初お目見えです。)

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紹巴織ではあまりしない(特に最近では見ない)、金糸を全面に通しています。正確には金糸と通常の糸を混ぜ、糸に光沢を与えつつ、光らせ過ぎないように、抑えることをしています。金も銀も同じことを行っていますので、奥から輝きが出てくるような上品さに仕上がっています。


ただ、目出し段階での試験はしているものの、全面に金糸が通っています。そのため、糸のみで製織するよりも結ぶ際に、帯が滑りやすいかもしれません。金糸に混合させた糸でその辺りもバランスを取っていますが、最後は結んで見ないとわからない部分があります(そんなこともあって今回結んでいただくことに)。それに加え、裏地には紬糸を通し織った裏地を採用。考えつく、出来る限りのことは行いましたので、あとは問題なかったくらい、結びやすさに触れられないか。改善が実を結び、結びやすかったよ、と言って頂けるか。それても、もうちょっとと言われるか。

どれを取っても、次のモノづくりへポジティブに活かせると思います。
もちろん、社内でも繰り返して結ぶことを行っていますが、新しい考えで作った帯が社外で初めて結ばれる場合、いつもこうやってドキドキしています。

 

全てクリアした後は、まず唐長三条店で販売開始を予定しています。

 

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2016’春夏 きものSalon

2016年03月15日

いろんな提案を頂いています。

 

最近は、試験織りを取ることが非常に多く、この『丸龍文』もその一つ。
そもそもの始まりは、2月15日から・・・。

 

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ここで12代目から頂いた配色のヒントを粛々と試行錯誤加え、色を作っています。

 

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意匠はこの意匠から触らずに、糸と紬の色を変えながら、無数できてしまう色探しを行っています。ただ、この紬糸は色糸を覆い隠すようで、角度によって、その色を表に出してくれたりもするので、今後の唐長さんの色づくりにはキーポイントになりそうな感じがしてます。今まで、意識して使っていなかったですが、ここ最近多用することで気づきがありました。

 

これ以上ない、そこまで詰めて切って、織り上げてから、三条店で発表したいです。

2016年03月14日

唐長さん、フルコース

 

今日はほぼ一日唐長さん尽くしとなりました。なかなか味わえない、贅沢な一日です。
朝は11代目夫妻との打ち合わせ、昼からは12代目と水上殿で。モノづくりの話、次への前向きな話、8年後の400年に向けての話と、多岐に渡ってやりたいこと、進めなければいけないこと、解決すべきことが山程あります。

今は問題だとしても、それを1つずつクリアできれば・・・、8年後と言わず、2,3年もすればワクワクする事態になりそうです。そんな話も含め、今日の今日の話です。まずは自分の中でまとめて、形にしてから、また皆さんに見て頂けるようにしたいと思います。

 

そして、夕方帰った来た時に上がってきたのが、輪宝文様の御召目出し、その2。

 

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『輪宝文様/御召目出し その2』

 

モノづくりに関しては、いつもこういうピッタリのタイミングで何事も進みます(笑)。普段気づかないことも見つかり、意匠図(柄の設計)を触れるかどうかで悩む部分も明確に。唐長さんの話を聞いた流れで集中してモノづくりに掛かれることは、本当に有難いです。

 

右がその1,左がその2。結局、配色は置いておいて、その2でも再修正を掛けていきます。来週にはその修正も終わり、再度試験を取った後、本番へ向かっていきます。

 

濃い一日でした。。。

 

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2016年03月09日

初めての配色変更【金色】

 

この帯を初めての配色変更します。

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『一番右の南蛮七宝✕光悦蝶』

 

 

現在、唐長さんの三条店に展示中のこの色目。
初め、見た瞬間には、ブルーを使った帯と同じ柄とは思えず、いい合わせ方だな。と思ってしまうぐらい、持っている雰囲気が違う様に感じました。地色も蝶々も色が違うので当たり前かもしれませんが、毎日配色、図案製作、試作チェックするのが仕事の人間からすると、意外な驚きです。

 

 

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じゃ、ただ単に元となる唐紙を参照に、色を合わせて織る。そうすれば同じ色で上がってくるのか?というと、上がってくることもありますし、全く別物になることもあります。極めて似てても雰囲気が似つかないこともあったりと、とても一概には言えません。今までの山ほど試織りをした経験からすると、唐長さんの文様を帯にするときは、近い色で合わすと、失敗することが多いです。それよりも雰囲気を汲み取って、新たに配色するつもりの配色で作ったほうが、いいことが圧倒的に多いです。

 

そうは言いつつ、色を合わせにも行く試織も作る予定ですし、上記の様に雰囲気を汲み取ることもやっていきます。

 

もう一つは、この配色替えを行おうと思った、2月15日から、『なぜ今?』の答えにもなりそうなこの帯。

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FB⇒http://on.fb.me/1M5MfFL

 

 

この帯の糸使いが参考にできそうなので、それも含め、再び多面的に作ってみようと思っています。思い通り行かなければ、意匠を作り直す、もしくは刺繍ということも考えて進めます。ただ、一番の大前提、帯としてどうか?それは目出しの雰囲気を見ながら・・・、と最終の袋帯になるまでは大きな山が幾つか残っています。

 

 

2016年03月05日

【角花】つくり 2

 

ここから登場した【角花/唐長文様】。
 http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/01/post-2324.html

 

12代目からの宿題として、前に進めています。以前、お借りした唐紙を図案にし、意匠図へ。そして製織。が帯作りの流れで、今はそのうちの意匠図制作後、製織の前段階です。これで本当に帯を織って良いのか?それをチェックするための、目出しを取る、試験織りをしています。

 

今回は唐紙によく見られる『共色』を特に意識し過ぎなくらい意識をしています。唐紙の共色はどんな表現をしたら伝わるか、難しいところではありますが、自分の中で消化しているのは、地色と上に乗る色とが近い色なので、気付かない人もいるかもしれないけれども、あるのとないのとでは全然違う、そこにちゃんとある配色。ややこしですが、そんな風に理解しています。

 

織物でするには、とても難しくて、何も考えずに紋を作って織ると、おそらく数ある中の地紋の一つになってしまいます。そのときは柄を強調するため、対極のあるような2色、3色を入れて配色。それはそれで配色での悩み、柄のバランスなどを考えますので、簡単な仕事ではないのですが、今回はそれとは異なり、似た共感にある色を使っての魅せる帯づくりです。

 

織組織は紹巴織、平らな頑張っても指が引っかかる所のない織物です。その織物の組織を少しイジって、僅かな隆起を作り、そこに入れる素材と地の生糸との差で違いを見せれないか?そんな検討を現在しています。

 

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『角花/目出し』

 

この目出し(試験織)段階では、織りに問題が無いのか?の確認のため、織られる2色は、敢えて離してあります。今回、大きな問題はありませんでしたので、ここからそれぞれの2色を近づけて行きます。最終は同じ色を素材違いで織る。後は織組織の違い(高低差)で見せる、ですが、そこまですると無地に見えてしまいそうなので、試験を繰り返したいです。

 

周りからは写真の段階で特に一番上の配色が良い、結びたいと言われています。それはそれで織るとしても、やはりその先の今まであまりやらなかったこと、避けてきた部分にも力をいれて取り組みたい、今はそんなモノづくりを心がけています。場合によっては、南蛮七宝の様に、何年その柄追っかけるの?と言われる柄になるかもしれません。そうなる様にもしたいです。

 

2016年03月01日

継続するかは検討中です。

 

東郷織物のみじん格子の上に、型で南蛮七宝文様を置いた着物です。

 

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『実験』と書いてしまうと製品(着物にはあまりしたくない表現ですが)として大丈夫?と思われそうですが、何度も試験を繰り返し、繰り返し行って、完成までこぎ着けた着物です。では、この反物作ったけれども、続けていくのか?色を変えてやってみるのか?南蛮七宝以外のモノは?などの検討は、まだまだこれからです。

 

東郷さんと言えば『大島紬』、今までも南蛮七宝で大島紬はやってきました。泥、白、藍、夏、割り込み。
産地へ行って、試行錯誤して、今現在考えられるモノづくりを行いました。まだ少しはありますが、数量は全部限定のモノです。まだ、もうちょっとは大丈夫だけれども・・・、『じゃ、次は?』となった時に戸惑って、面白くない、あまり気のりのしないモノづくりをしないためにも、こういう実験はとても大切です

 

でも、完成品です(笑)。

 

 

 

2016年02月29日

ゆっくりながら再始動。輪宝文様の御召/試験織1

高松から京都へ帰ってきました。花粉症と風邪で本調子ではないのですが、溜まったモノづくりを見ると、結構元気がでてきます。いくつか並行したモノづくりはどれも一斉に手を付けていきたい気持ちもありますが、それをやってしまうと、混ざってしまいます。そうならない様に、一つずつ進めていくのが安全です。

 

今、比較的に完成/ゴールに近いものは作楽の新柄。それに今まであった紋の配色を変更するモノ。織り組織に変えてリメイクするモノ等々。量で見ると、ぞっとします(笑 出張中にはそれを整理していました。)。他には図案段階のCandyCircus3柄目、メルマガに掲載していた『しぼ織』、唐長文様の帯等も優先順位を変えながら進めています。この辺り全て引っ括めて、たのしみの宝庫です。

 

今日は、その中でも一番ゴールに近そうなモノ作りの検討を行っていました。ざっくりとした部分は、出張中でもメールのやり取りで進めていたものの、やはり織りの実物を見ると、修正点はもっと見えてきます(それでもやっていたくなります)。

 

SDIM0072.jpg
『唐長輪宝文/御召の試験』

 

細かな修正点は色々とあるにしても、大きなのは2つ。
1,全体を構成する輪宝部分(◯のところ)が楕円具合がきつい←筬での打ち込みが入りすぎています。
2,文の真ん中の上げ方が異なる。

とはっきりしています。←写真ではそれも見逃しそうになることも・・・。

 

後は、実際にお手本にした唐紙と試験織との間を何度も目を行ったり来たりさせて、最後の詰めを行います。

DSC06874.jpg
『お手本にした唐紙/輪宝文様』

 

大きな修正点はだれでも見つけることが出来ることができますので、、それ以外の修正点に気がつくことと、仕上がった紋に対しての配色がここからの自分の仕事です。

 

来月中旬に、唐長さんの三条店で初反の発表ができれば・・・上出来です!

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