となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「唐長」と一致するもの

2015年12月03日

お月。

 

南蛮七宝文様を中核に作る唐長シリーズ。一柄進めば、さらにもう一柄と慎重に製作しています。
先日(と言ってもちょっと前)、唐長修学院工房で見せていただいた作品の中にあった『これは!』、を今帯にしています。

文様は『ヤキモチ版』と言われる小さな版木(写真)の『光悦月(下弦の月)』。その版木を使って、和紙2色に染められ地に、わっと浮かぶお月さま。そんな作品です。じわじわ、じんわり滲み出て来る、柔らかな空気が素敵でした。見ているだけで、まだ帯としなくても、すでに南蛮七宝文様の着物に合わせたい。そう感じた意匠でした。

現状は、紋も出来て、配色を試行錯誤しながら、試験織に突入しています。

 

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(月の裏です。。。)

 

完成をお見せできるまで、配色に関して詰めなければいけませんが、今回の帯に関しての肝は、織でどこまで表現できるか?糸をシャットルで飛ばして文様を織り成すために設計する、紋作りが最重要でした。

 

和紙の上に版木で文様をのせるため、唐紙で作られた作品は地の色が影響してきます。。織でその影響を濃厚に出すためには、最大限地に使う糸を利用し地を作りながら、本来版木で為される色を緯糸でそっと添える、そんな微細な糸使いができるように紋を設計しています。それに加え、今回に関しては糸と糸の境界線を柔らかくしたかったので、普段使う染み込みの技法に加え、紬糸を通すことで節を利用し、さらに曖昧ぼかしました。上にも書いたように最後の配色がもう少し詰めますが、完成すれば、これ以上引くところが無い、極めてシンプルな帯になってくれそうです。

 

お太鼓にはお月さまがほわ。お腹には紬を通した無地で織り成し、実際に着られる際には、お月さまを振り返ってみる『ウサギを帯留め』で入れて頂きたいと思っています。以前も『南蛮七宝文様×下弦の月』の時にモレッティ硝子を使って、見本的に製作しました。

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今回、もう一度このウサギとにらみ合って、お月さまの光を受けるウサギを作りたいと思っています。具体的には、透明感を強調して作る予定です。

2015年11月27日

龍紋の3分の1を織ってみました。

 

少し前に唐長(修学院11代目の仕事場)へお邪魔した際に(2ヶ月前のこの時です)、自分の背後にいらした龍紋。

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『唐長文様/龍紋』

 

南蛮七宝文様の着物に合わせる帯として、製作したいと思っています。背後にある唐紙の場合は存在感は凄いのに、場の雰囲気に馴染む。落ち着きのある不思議な空気を作っています。じっと見ていると、益々その感が強くなる(主観ですが・・・。)、魅力的な文様と配色です。

唐紙のこの空気感を帯へそのまま持ってくるのは、(したいのですが・・・)素材も使うシチュエーションも違うので、同じ様な空気を纏いつつも、どちらかと言えば織物らしい柔らかな立体感を強調して、空気感を作ろうと紋づくりしました。広い空間の中の龍紋ではないので、お太鼓のスペースも考え、強すぎないような雰囲気です。ただ、地紋だけでは軽すぎる。

シンプルですが、いつも唐長さんの文様を帯にする時は、技術よりも、手元にあるモノを組み合わせて、又は、いかに使い切って表現できるか?その部分が重要です。

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今回の龍紋では、試行錯誤しながら、3分の1ほどの試験を取ってみました。同じ龍を近い色で上下織っていますが、上は織り目が少し粗くボリュームがあり、色も濃く見えます。下は反対に織り目を細かく綴じ色も薄く見えます。この僅かな差でお太鼓の中心を構成します。また、お太鼓に一つの龍ではなくて、周りに同色ながら織り異なる龍を配して、極力存在感を感じつつも、広がりを想像させる。

今のところ、この3分の1ほどで考えているイメージです。写真の色でも悪くありませんが、落ち着かせるところは、まず配色は黒×墨を考えています。織り自体はシンプルなので、上がってくるまでそんなに掛からないとは思います。

とても楽しみな一本です。

 

 

2015年11月17日

おそらく裏地の方が柄込みしそうな表地(予定)。

今日会社に来て、机の上に置いてあったのが、この目だし。これは以前、唐長さんにお邪魔した際に頂いた柄の一つ。

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【七宝文様(試験織段階)】

 

もうこれ以上のシンプルは無い、そんな『七宝柄』です。帯は色、柄、組織が要素と言いますが、帯を作る段階での遊べる要素は他と比べると極端に少ないはずのに、えらく手間取りました。線の太さはもちろんのこと、何も無いように見える線と地の間の影、無地に見える地の上げ方、完成してから一つ一つ詳細に拘りを語りたいです。それなのに、表にするのか?裏にするのか?まだ決まっていません(苦笑)。紋の設計自体は表に耐えられるようにしていますので、配色で魅せて表にしたいとは思っています。

 

全然関係ないかもしれませんが、この帯の意匠図作りの時は、白米を炊くことをイメージしました。米はもちろん、水にもこだわり、米の研ぎ方も気を払う、最後お茶碗で出す所作まで。遠くから見たら、白ご飯は白ご飯かもしれないが・・・。そんなモノづくりでした。急がず、それでも早く仕上げたい帯の一本です。

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2015年11月04日

帯一本分使用したオッティ。

 

今日は夕方から唐長さんの両替町サロンへお邪魔してきました。

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初めてのお客様と一緒でしたが、大きく模様替えされていましたので、そのお客様とほぼ同じ反応をしながら、2時間ほど濃い滞在をさせてもらいました。『モノづくりが詰まっている時に、ここや修学院の工房にお邪魔すると、スッとなにか憑き物が取れたように、進みやすくなるような場所ですよ。』と実際にここを見るまでは非常に判りにくい雰囲気説明(しかもかなり主観の入った)をさせてもらっていました。が、行った途端に『さっきのわかるわかる。』そう言って頂けました。もしモノを作られる、もしくはそれに類する仕事をされていて、文様や配色に興味のある方には、本当にオススメしたい場所です。

 

 

 

古川美術館(爲三郎記念館)での展覧会を記念して製作したオッティを持って行きました。まずは見て頂くだけだったのが、たまたま入り口付近にあった椅子に置くと、場所に馴染む、一体化、最初からあったような感じがして、そのまま置いて帰りました。しばらくは同じ場所に座って、お客様を出迎えてくれると思います。

 

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(帯の表地一本分使用。。。)

 

何かをある場所に置いた時、『これくらいでイイかな?』もしくは『ここが良いかな?』と多少の妥協はありますが、唐長さんでは『もうここしかない。』そんなことが頻発します。古川美術館でもそんなことがありましたし、帯と着物を作っている時でも少なくない回数、そんなことがありました。

 

なにが原因かわかりませんが、最初は『少しコワイ・・・。』と思っていたのも最近は『また来た』とそれも楽しめるようになってきました。成長かな??

 

今回の訪問の目的は別なことでしたが、それはもう少し詰めてから、発表したいと思います。楽しみにしていて下さい〜。

2015年10月28日

思っていたよりも順調なビロード製作。

 

南蛮七宝文様のビロード。まずは一反目の白生地が上がってきました。

L1930273.jpgのサムネール画像

 

ビロードと聞くとまず思い浮かぶのが・・・光沢のある生地と風合い、ボリュームある質感だと思います。
それに対して、業界の方はおそらく『反物の巻の太さ』を思い浮かべる方が多いと思います。

 

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これだけ違うと展示場でひと目でわかりますね。

 

この違いが視覚的なところからも『ビロードって、通常扱うモノと何か違う織物。』そんなイメージを強く持たれる理由の一つかもしれません。織れるところも少ないですし、現在ではビロード風の物も含め、本当に少なくなってきました。その中でのモノづくりです。

 

ちなみにビロードの特長は、上記の様にありますが、南蛮七宝文様をビロードで織るにあたり、一番気を付けている部分は、ビロードのカット部分(輪状に織った先端部分をカットし、周囲部分とのメリハリを付ける。)です。ランダムにカットするのでも、もちろん構いませんが、今回は南蛮七宝文様が花に見えるように考えています。

 

ちなみに、染めないと、非常に分かりにくいです。

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花弁だけをカットして、この花が全体に散るようにしました。これが一反目。この次に織り上がるものは花弁に+して、真ん中部分もカットする予定です。染めてみないと、最終判断はし難いので、早速この一旦目を染めてみたいと思います。

巻の太さに比例するのかも?と思うほど、手間とコストは掛かる織物です。反物で見るのと同じ様に仕立てると、独自の世界を作れる織物です。大事に育てていきたいです。

 

 

 

PINTREST南蛮七宝

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2015年10月22日

バランス感覚も大事。尖ったところも大事。使いやすさも。


先日、唐長さんとの打ち合わせで見せて頂いた柄を今作っています。その柄というのは、南蛮七宝文様の着尺や無地っぽい着物に合わせることを意識して選んだモノ。シンプルで、奥行きと文様自体に力強さを感じるもの。さらに、できればお太鼓姿から、品も漂ってくる。そんな帯です。こう書くと難しいですが、実際も難しいです(笑)。

自分でデザインから製作するのとは違って、文様自体はほとんど触らず、色、織と素材の組み合わせで、イメージするモノを作る。たとえば、色だけでも極まれに『使う色少ないから配色は楽ですか?』と聞かれることもありますが、皆さんの予想通り(笑)、ごまかしが効かないのでとても難しいです。

今の柄も、意匠図自体はほとんど完成しましたので、次は色。着物の色も沢山ありますので、他の色とケンカしないようにしつつ地色を作り、織りの表情が出るように、今回は紬で色づけし、箔を使って品を出そうと思っています。それらがバラバラになってしまわないように注意して意匠図を作りましたが、さてさて配色はどうしょう?というのが今日のところのモノづくりです。

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こういう色合わせで一色は試験を織ってみようと思っています。

2015年10月05日

古川美術館へ

 

今日は休館日の古川美術館へ。【唐長の世界】が10月12日までですので、これまでの様子や皆さんからのご意見をお聞きしました。次のモノづくりに活かせる話もあり、自分たちのいつもの業界とは違うなと感じさせて頂ける話があり、と再びお邪魔させて頂いて、良かったと思います。

 

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ちょっとだけ、新しい展開も出来そうですし、少しずつ進めていければ思っています。今回でお邪魔するのは3回目です。前回になかったラリックと唐紙作品のコラボ、鳥肌が立ちました。色の組み合わせ、抜群です。もしお時間ある方は是非。

 

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帰り道、上を眺めると紅葉。『緑色は古川美術館の色です。』と言われていたように、この美術館の近くでみる紅葉前の紅葉は印象的なグリーンです。いつもバタバタと制限ありで訪問させてもらっているので、今度は仕事なしでゆっくりと訪れてみたいです。

2015年09月29日

唐長さんへ

 

今日は午前中丸々、唐長さんへお邪魔してきました。

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3時間以上(とっても濃い時間)お邪魔していましたので、話は多岐に。モノづくりのヒントも沢山頂いてきました。まだまだ内緒のこともありますが、まず自分がこだわる南蛮七宝文様について、11代目からは『もっと突き詰めれば、もっと面白くなるんじゃないか?』という視点でのヒントも頂けました。南蛮七宝を核に据えての次の具体的なモノづくりや、今すぐにはを形にするのは難しいかもしれませんが、少しずつ具体化できそうなモノ。霞を掴んでいるようでいて、やってみれば何か掴めそうなヒント等、これからやれることは山ほどありそうです。

まずは・・・。となにから手を付けるか、ここで書きたかったのですが、一度今日出た話を整理して、一つずつ自分なりに分解しながら、モノづくりしていきたいと思います。またそれは進めながら、みなさんに紹介していきますね。

 

本社に帰ってくると、こういう時、不思議と上がってくるのが南蛮七宝文様の新作。今日は新しい配色の御召でした。

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『紋紬/南蛮七宝文様』

 

この反物は緯糸には紬糸、経糸を紋で遊び、ザックリとしつつ、お洒落着になり過ぎないよう(もちろんお洒落着なのですが・・・)に最後の線を超えるのは止めている紬の着物です。『どういう織物か?』を説明するのは、とてもヤヤコシイ反物なので詳しくは、ここでは避けますが、今日上がってきた配色のものは、とても面白い雰囲気を持っています。この反物の場合、緯に通る多くの色糸のうち、一つには『水色』を入れて、くすみつつもスッキリ感も感じます。

 

他にも『黄色』を通した配色違いのモノももう間もなく織り上がってきます。ここに入れる帯をどうするのか?とても楽しい課題をこなすモノづくりも進めていきますね。

2015年09月23日

濃い打ち合わせ中

 

2時間ほどでしたが、京都のとある場所で(かなりマニアックな喫茶店です)打ち合わせを行っていました。話が逸れることありましたが、いい話が出来たと思います。帯地を使ったモノづくりのベース部分を最終段階に向けて進めています。どこかで書いていましたが、試作はあくまで試作なので、どうでもイイと思う生地で製作すると、中途半端なところで終わってしまい、完成品まで至らないことが多くなりがちです。勿体無いと思っても、自分が最高と感じる生地で製作する、いつも心がけています。

 

そういうこともあって、最近使う帯地は試作でも基本的に南蛮七宝もしくはCeltic。ある程度の完成まで近づいて、これらの帯地を使って製作し、イマイチと思えば、足掻かず(苦笑)もうそれ以上進めない。それを心がけています。

 

今回も南蛮七宝文様を使った試作3タイプを目の前において打ち合わせ。でしたが、すぐに気がついたのが、後ろある『角つなぎ文様』。。。

 

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『唐長文様/角つなぎ』

 

この柄、織りでも引箔でも昔織ったこともありますが、もう少し何か加えたいと思っていた中、縁を感じた出会いでした。明日以降、になりますが、おそらく悠翔織を使ってもう設計から見直したいと思います。話も逸れ、後ろには角つなぎの襖、気が散りながら(笑)、濃い濃い打ち合わせをすることができました。

 

その成果は来月中には何とか形にしてご紹介できれば、と思っています〜。

2015年09月14日

なんとも言えない色作り

 

唐長文様で帯や着物を作る場合、紋意匠(柄作り)にも、もちろん力を入れますが、さらに一段気を入れて作るのは『色』。今まで相当チャレンジしながら、色々やりました。特に今、進めているモノは先染めの反物の上に、さらに色を加えてなんとも言えない色を作ること。単に下地を染めて上に色を掛けるのでなくて、それだけでも着物として成立する織りの反物(先染め)の上に、敢えて色を掛ける、そんなことをしています。

最初の方は、『下の色が上から掛ける色と上手く馴染む様に』ということを狙っていました。たとえば黒と白を掛けてグレー。そんなイメージです。そこからスタートして今進めているモノづくりは、『上から掛ける色が完全に下の色を覆い隠すように』。そんなことを意識しています。

 

なぜ、そんなことをするのか?というと、上の色で下の色を完全に消した様でいても、今使っている先染め生地の場合、先染めという性質上や生地の打ち込み具合のため、人の動きや生地の角度によっては、(完全に消したと思っていた)色が下から浮いてきます。コツは色を出す際や染める際に、下の色を完全に忘れてしまうとダメですが(だから真っ黒はダメです。)、僅かに下の色を気にしながら進めていきます。この『気にしながら』のあんばいが重要で、それが色々やった現在やっと掴めてきました。そんな段階です。

 

今は手元にありませんが、下の色が『ベージュ×若草色』。その上に少しヒネたグレーを掛ける。そうすることで、柔らかく元気なグレーの反物です。一番気に入っている配色です。

 

上がりたてのモノは『ベージュ×真っ白』の上に濃いモスグリーン。

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『ベージュ×白』×『濃いモスグリーン』

 

にすると、濃いグリーンの着物の中、遠くに霞んだ文様を感じられ、奥行きもいつも違う奥行きを感じることができます。食い合せを一つ一つ探す、そんな試行錯誤ですが、この感覚を薄地から濃い地まできっちりと掴み、今までに無い、なんとも言えない色味をまず唐長文様で表現できれば、考えています。シンプルな分、映えてくれそうです。

 

たまに今でも、下の生地を完全に殺してしまったり、同化させてしまい過ぎることもあるので、モノづくりするリスクとしては低くはありませんが、実際に見て触って頂けると、『お〜。』と思って頂ける色に仕上がっています。少しずつお披露目したいと思うので、楽しみにしていて下さい。

 

2015年09月10日

目標。

 

昨日は久々に唐長さんの両替町ギャラリーにお邪魔してきました。あっという間の2時間でしたが、少しずつ新しいコラボの話が進んでいます。最近は唐長モノづくりがここでは話題として多いですが、実際に今一番多くの時間を割き、優先順位も一番と考えています。そこから得られる感覚、具体的には配色や柄の組み合わせ、(ですが言葉にしてしまうと何かちがう?)をいつも得させて頂いています。

 

今、モノづくりとして自分のブランドの作楽もあり、銅板作家の舟田さん、(言葉にしにくいですが)新しい配色を模索、新しい織組織を検討してみたりと書き出すと、『あっこれだけ?』と自分でも思ってしまう(苦笑)のですが、どれ一つ取ってみてもある程度でも形にできたと言う為には、何年も掘り下げないとダメなモノばかりです。一つ一つを大切に、それに関わっている時は最大限絞って集中して、モノづくりを進めていきたいと思います。

 

作楽、一つ取ってもその中に小休止中のモノがあったりと、忘れてはいませんので(資料も山ほどデジタル、アナログとも溜まっていますし・・・。)あー今日は無駄な時間を過ごしてしまった。とならないようにしたいと思います。気が付くと、他の仕事も増やしてしまいがちですので・・・。

 

さてさて、唐長さんに関しては、11代目の奥さんとのコラボ(唐長-Ikuko)での新柄製作のため、今度は修学院の工房へお邪魔させて頂きます。自分の中では、今まで製作してきた南蛮七宝文様の御召と、これから製作する南蛮七宝以外の唐長文様帯とのコーディネート。さらに、そのコーディネートにはこれ。といえる帯締め、を製作する。そして、そんなコーディネートを幾つものパターンが出来た時、本当にモノづくりやっていて良かったな、と思える瞬間を味わえそうです。当面の目標です。

 

自分も楽しみですし、皆さんも楽しみにしていて下さい。
ひとつずつ進めて行きたいと思います。

2015年09月01日

続・南蛮七宝文様

 

まだ、土曜日の『唐長の世界』熱が続いています。
そのため、今日も唐長文様の帯を(南蛮七宝です)。

 

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この帯の元となったモノは、11代目の作品です。二つの印象の異なる南蛮七宝文様を繋げたシンプルな作品。その分、世界観ができていて余計なモノは何も入れることが出来そうにありません。そんな空気を自分なりに汲んで、帯にしました。その空気感に織物としても、見た目には全く伺えない、大きなチャレンジをしています。

基本的にこの帯の織り方『紹巴織』は、緯糸(横糸)で色柄を織り成します。そのためもあって発色が他の織物よりも鮮やかで、自分のイメージ通りに作れたり、持った際の絹独特の風合いをストレートに感じられることが特長です。今回は、この帯の色のメリハリを綺麗に、濁らせずに作るため、特に色へ拘り(となみで織る他の織物でもそんなに悪くはありませんよ)、大幅な回り道を行っています。

 

詳細はカット致しますが、一つは本来そこには使わなくて良い緯糸1色を帯一本ずっーと通しています。全く表に出てこない箇所もあったりするので、この織組織の常識をちょっと逸脱しています。帯の完成品を前にしてしまえば、全然大したことのない、コロンブスの卵的な技法ですが、そこに至るまで悩んで悩んだ帯です。(そんなこともあって、これからずっと印象に残っていきそうな帯です。)

 

現在この配色の反対バージョンも進行中です。熱は冷めてから、冷静に取り組んだほうが良いのかもしれませんが、まだまだ面白いアイデアを頂いています。今後ももっともっと形にして発表していきますね。

 

唐長-Ikukoさんのホームページです。
http://www.karacho-sanjo.org

2015年08月29日

古川美術館『唐長の世界』初日に。

 

今日は予定通り名古屋の古川美術館へ。
なんとか予定通り前日に仕上がった『南蛮七宝文様×信夫×光悦蝶』を車で京都から運び込みました。
(もうすでにお客さんも大勢おられる中での陳列です。)

 

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(左手の帯がその帯です。)

 

唐長11代目の作品とこのような形で展示させて頂くのは初めてのことです。来られた方のみしか雰囲気をお伝え出来ませんが、自分としては帯や着物も作品の中に入ることができ、元の場所に収まるようなそんな錯覚を味わうことができました。何千色とある糸の中から、できる限りのことをして配色、織もとなみの中でも最高に緻密な織を使い表現を行ったモノです。これからも、色々とやっていきたいことはありますが、まずは一歩すすんだかな、ととても嬉しい気持ちで一杯です。

 

今まで唐長の着物?と縁の無かった方にも、見て頂くことができ、初日ではありますがまずは良かったと思います。
興味のある方、この空気感、楽しんで頂けるはずです。

 

11代目の1時間を超える文様の解説が終わった後も、この会場の空気感をゆっくりと楽しまれるためか、ほとんどのお客様がしばらくの間滞在されていたのが、とても印象に残っています。帯や着物を使った空間つくりにも、活かすことができればと思います、

 

2015年08月22日

古川美術館へ

 

今日は名古屋の古川美術館へお邪魔してきました。
29日からの『唐長の世界』。唐長さんの作品に、コラボで製作する帯着物小物の展示打ち合わせです。

 

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もちろん主は『からかみ』。帯着物は数点になる予定ですが、今まで実施したことがない、新しい試みです。今から非常に楽しみにしています。この古川美術館(爲三郎記念館)には始めて入らせて頂きました。文章では表せませんが、まだ襖が入っていない空間でも、しつらえ、雰囲気と最高のロケーションです。ここに製作した帯や着物を展示させて頂くことのイメージを膨らませながら、来週お邪魔させて頂いた時の楽しみにしたいと思います。

 

まだ、製作中のモノもありますので、もし可能であれば2,3度はお邪魔させて頂いて、帯着物を入れ替えしてもいいのかな?と勝手に想像しています。可能であればですが・・・。楽しみです。

 

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2015年08月20日

きものsalon掲載【本袋&南蛮七宝文様】

 

一日中唐長さんにお邪魔して(リンク)撮影を行ったものです。
 ⇒
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/07/post-2178.html

 

 

本袋広告
【きものsalon掲載】 

 

ずっと前から、やりたかった事の一つ、南蛮七宝文様の持つイメージを高めるともに、歴史、本物が伝わる写真で広告を作る。えらく時間は掛かりましたが、今回上手く行ったんじゃないかな?と。



もちろん、主は本袋の帯です。今後となみ織物の中心の織物一つとして、成長して欲しいから、敢えてここで使いました。ただ、陰ではこのページが今後の南蛮七宝のイメージ写真になりそうなので、うれしく思っています。今月末からは、今までとは違うところで展示も行ったりと、少しずつ着実におもしろい方向に行っています。

 

2015年07月29日

お気に入り

 

お客様が来られていましたので、
本社の4Fに南蛮七宝のスペースを設けました。

 

同じ場所に同じものを置いても何かしっくり来ない時もあり、
なんだかなぁ・・・。となり、毎回試行錯誤しますので、同じ陳列になることはまず無いです。

 

このなんだかなぁ・・・、というのは恐らく季節や周りの他の帯を含めた空気感が
変わるからかな?と想像はしてみるのですが、不思議です。

 
そして、今回お気に入りの場所はここ。
 

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【南蛮七宝文様 しーぎ染め × 蕨】

 

唐長さんが、からかみで大事にされている陰影(ゆらぎ)をそのまま織物に
持ってくるのは難しいにしても、その空気感を纏わせようとするのと、
最初から諦めてするのとは、大きくモノづくりが変わってきます。
 

いま、自分が作るモノづくりの中心は紹巴織と総紗縫の2つ(本袋は待機中です・・・)。
特にこの織物はボリューム感が元々少ないので、なにも気にかけず目にした物そのまま作ってしまうと、
平面過ぎる帯になってしまいます。そのため、織物として上がった時には目に見えないかもしれない、
経糸と緯糸との僅か(ドット一つ)でも、作りこむことにしています。

 

同じものを同じところに置いてもイイ感じにならず、なんだかなぁとなってしまうのは、
織物での陰影作りが上手く行って、周りの空気を敏感に汲みとってしまうから?

と今のところ、非常にイイ方向へ考える様にしています(笑)。

 

2015年07月24日

輪宝文様・完成しました。

 

昨日は座る暇なく、一日京都の歴史の中にいました。
聞く話、全てが100年単位の話でしたので、いかに普段歴史の中で生活と仕事を
しているのか、こういう時に気付かされます。

昨日の唐長さんでもそんな話が出ていました。
中に入ってしまい、それが日常になってしまうと、それが自然になってしまうんだなぁ
とこちらでも感じさせられました。

 

さてさて、ここしばらくは唐長モノづくりを取り上げることが多く、
それ以外はどうなっているんだ?思われるかもしれません。

でも、今日もその唐長柄の袋帯です(苦笑)。
そこまでやって、やっと一柄・・・。以前、紹介していたモノですので、
見られた方もあると思います。

からかみの色を織りで再現するとともに、織での陰影を織組織で出そうと、
意匠図段階ではもちろん、配色での糸使い含めて、改良と工夫をしました。

 

写真では少しくらいの変化にとどまるかもしれませんが、実際に見た質感は
段違いに変わりました。色の透明感にしてもホンの0.数ミリですが、糸を合わせる
ことで、随分と変わります。

でも、これは実物を見て頂かないと、判りにくいところかもしれません。

 

そんな修正を加え、完成した輪宝柄です。
 

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裏に関してもギリギリまで、白の白さと透明感を保つために、
この裏地に使う色糸同士のバランスを調整しました。

 

この二つが両面になった袋帯。

素敵なできだなぁとシミジミ、個人的に感じましたが、皆さんの反応も楽しみです。

2015年07月22日

過保護にしようかな?

 

先日来られていたお客様に『南蛮七宝』文様を見て頂いていました。

この文様も、数多くの帯や着物に紛れ込んでしまうと、大勢の中の一柄になってしまいます。
思い入れのある方が見ると『あ~!南蛮七宝!』と掘り返して?もらえるかもしれませんが、
そうでない多くの場合は、やはり紛れてしまいます。

 

ただ、この日のこの時はそうならず、最初から『わたし、この柄好きです。』
『全部の柄見たわけではないけど、この中で一番好きかも・・・。』
そう言って頂けました。柄が光っていたとのことです。。

 

自分が唐長文様の中でも、特に拘って製作しているモノなので、すなおに嬉しいですし、
『南蛮七宝のモノづくりやっていこう。』、と初めて思った時の気持ちを思い出しました。

自分の初心に触れた気がして、改めて背筋が伸びました(笑)。

 

今は、次の唐長文様も考えていて・・・。という話もさせて頂きましたが、
ちょこっと進めては、止まり、また少し進めて。そんな調子です。

 

実際、意匠図つくりは順調で、目出しもそれぞれの配色を取り、ほぼイメージとおりに
進んでいます。このあと、直ぐに帯として織っても、まず問題ない。

そんな状態です。

 

ただ反面、このまま織ってしまったら、今度は南蛮七宝にやられて埋没してしまいそう。
という心配をしています。(南蛮七宝も超過保護にしていましたので、笑えませんが・・・。)

 

それは、それで柄を活かしきれなかった、紋、配色の責任ということですが、
やはり以前見せて頂いた、一つ一つの版木の力を感じたこともあって、

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(最近、唐長柄製作以外は常に頭にあります。この版木。)


『じゃ、この柄は帯には着物には向かないな。』とは簡単に割り切れませんし。
『はい、織ろう!』とも簡単に行かないものです。

 

良いモノを作るのは前提ながら、敢えて目立つ配色で織って、埋もれないように・・・、
とも違いますので、さてさてどう進めましょうか?

 

と目出し段階で止まっている柄が2柄あります。

やっぱり、この2つも過保護になりそうですね(笑)。

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2015年07月13日

一日、自分は南蛮七宝に囲まれました。

 

今日はお客様が来られていましたので、特別に皆さんを
修学院の唐長さん(水上殿)へお連れしました。

これまた特別に12代目当主から、直接『唐長』についてのお話を聞かせて頂きましたが、
(ある程度下準備、勉強されて来た方は特に)お話としつらえの美しさで、
ドップリと唐紙の世界にはまり込まれた方、多数でした。

なぜ私が南蛮七宝文様にここまで拘っているのか、分かって頂いたと思います(笑)。

 

本社では南蛮七宝文様(新作込)を陳列していましたので、勢いを付けたまま、
おそらく、いつもとは違う、ある意味とても生々しい贅沢な視点で、見て頂けたのでは
ないかな?と思います。

 

今日偶然できた、興味深いコーディネートあります。

それは南蛮七宝泥茶大島紬(割込)に引き箔のオレンジ。
この組み合わせが、意外にも意外。素晴らしく映えました。

 

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帯の力強さを南蛮七宝が受け皿になって、綺麗に受け止める。
そんなコンビネーションを感じました。

 

 

 

 

昨日今日と久々に一日半ほど喋っていましたので、今日はよく寝れそうです。。。
明日から少し、貯まり貯まった資料を持って京都を脱出、充電してきますm(__)m

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2015年07月08日

まずは設計図クリア。

 

幾つか候補が上がっているの中の文様【七宝繋ぎ】。
形を変え、様々な意匠の中に入り込んでいる文様であり、
あまりに定番過ぎて正面から向き合うこともない、かえって新鮮なモノづくりです。

 

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【唐長文様七宝つなぎ】(配色はのちのち・・・。)

 

唐長さんから頂いたお題の一つで、
見たとおり簡単なのに、やってみると強烈にむずかしい。

 

この世界を織物で表現(配色は今から手を付けます)のため、

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意匠図の段階で七宝の円部分を一ドット削ったり足したりして、太細を付けました。
また、地色が柄部分を侵食するように、際部分を暈すように糸を混ぜて設計しています。

それと、見えない三色目の緯糸が全体に渡って通り意匠に奥行きを作る様にもしています。

実際、この糸は配色にはほとんど影響しませんが、あるのと無いのとでは、全く違った雰囲気
になるので大事な3色目です。

 
今のところ、表柄のみを織っていて、袋帯にしますので、裏地には何を?
その部分は検討中です。同柄配色違い、それとも真無地、もしくは・・・。
 
それも大事な問題ですが、まず織れるように意匠図はできましたので、次は
色、そこの問題をクリアしていきたいです。このモノづくりに関しては、
遠くを見ると、足元がふらつきそうになります。
 
だから、一歩ずつ着実に上がって行きたいと思っています。
あまり自分には合わないかもしれませんが、堅実に(笑)。

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