となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業 > お月。

2015年12月03日

お月。

 

南蛮七宝文様を中核に作る唐長シリーズ。一柄進めば、さらにもう一柄と慎重に製作しています。
先日(と言ってもちょっと前)、唐長修学院工房で見せていただいた作品の中にあった『これは!』、を今帯にしています。

文様は『ヤキモチ版』と言われる小さな版木(写真)の『光悦月(下弦の月)』。その版木を使って、和紙2色に染められ地に、わっと浮かぶお月さま。そんな作品です。じわじわ、じんわり滲み出て来る、柔らかな空気が素敵でした。見ているだけで、まだ帯としなくても、すでに南蛮七宝文様の着物に合わせたい。そう感じた意匠でした。

現状は、紋も出来て、配色を試行錯誤しながら、試験織に突入しています。

 

IMG_40442.jpg
(月の裏です。。。)

 

完成をお見せできるまで、配色に関して詰めなければいけませんが、今回の帯に関しての肝は、織でどこまで表現できるか?糸をシャットルで飛ばして文様を織り成すために設計する、紋作りが最重要でした。

 

和紙の上に版木で文様をのせるため、唐紙で作られた作品は地の色が影響してきます。。織でその影響を濃厚に出すためには、最大限地に使う糸を利用し地を作りながら、本来版木で為される色を緯糸でそっと添える、そんな微細な糸使いができるように紋を設計しています。それに加え、今回に関しては糸と糸の境界線を柔らかくしたかったので、普段使う染み込みの技法に加え、紬糸を通すことで節を利用し、さらに曖昧ぼかしました。上にも書いたように最後の配色がもう少し詰めますが、完成すれば、これ以上引くところが無い、極めてシンプルな帯になってくれそうです。

 

お太鼓にはお月さまがほわ。お腹には紬を通した無地で織り成し、実際に着られる際には、お月さまを振り返ってみる『ウサギを帯留め』で入れて頂きたいと思っています。以前も『南蛮七宝文様×下弦の月』の時にモレッティ硝子を使って、見本的に製作しました。

L1890097.jpg

 

今回、もう一度このウサギとにらみ合って、お月さまの光を受けるウサギを作りたいと思っています。具体的には、透明感を強調して作る予定です。

Instagram

tonamiorimono

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...