となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「総紗縫」と一致するもの

2015年06月04日

とにかく軽い南蛮七宝の半巾完成しました。

 

上がってきました『南蛮七宝文様/半巾』。

総紗縫で織った帯地で半巾にしたものです。

 

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ただでさえ激軽の帯地を半巾にしたので、袋帯からすると半分の重量なので・・・。

こうなりました。

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本仕立て済で、198g・・・。

おそらく iphone6+と同じくらいの重さだと思います。

 

帯の全てが軽ければ良い、というモノでもないのは重々承知していますが、
気軽に結べる半巾の場合、軽い方がイイですよね。

そんな半巾の完成です。

 

長さも袋帯は短く、通常の半巾よりは長い1丈1尺(約4m16cm)。

 

10万前後で販売できるように、もう少し詰めたいと思っています。

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2015年06月02日

過去の難問 その3

 

『過去の難問 その3』

その前の『その1〜その2』とも、何年も前に図案⇒意匠図作成、目出し(試験織り)を織る所までは
手がけていたものの、最終製品の『帯』まで到達していない、『総紗縫/雪佳』です。

その1⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/05/post-2142.html
その2⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/05/post-2144.html

 

それらを今回の機会、再度取り組み直して、おこなっています。

 

この『その3』が最後の難問(であったほしい)。

 

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『総紗縫/神坂雪佳の世界』

 

見るだけで総紗縫らしくない顔をしています。
(白鷺でなくて帯地の顔ですよ~。)

 

『織物の織り方=織組織』は図案に応じた、織組織を選択してそれを有効に活用して、
意匠を作り、帯を作るのが基本です。

 

総紗縫は今でこそ表現力がマシましたが、元々こういう織物は得意としない織物でしたので、
この意匠を作った時は、ほぼ工夫をせず正面から作ったモノでしたので、目出しは織れても、
これ以上は難しい。

 

織るのも難しいし、裏を見ると、糸がパンパンに通り過ぎていて、丸巻きから袋帯への仕立ても難しい、
そんな状態で止まっていました。

 

個人的には、メインの意匠では無いものの水草の発色が抜群に良く、これはお腹の柄単体でも
面白そう。そんな記憶がのこっていました(今回はそれを採用します。)。

 

正面からは行くと、技法が増えたと言っても、同じ様な問題に直面しそうなので、
今回に関しては、糸の処理が困るとき、最近良くする手法でそれを回避し、さらにもう少し、
柄に動きを付けて、完成させる予定をしています。

 

これが終われば、本袋。
そして、経錦。

帯のモノづくり、盛り沢山です。

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2015年06月01日

総紗縫のまとめみたいになりました。。

 

よく言われます。
帯ってこの柄、一本しか織らないのですか?

 

図案を描き、設計図(紋図)を作り、試織してとなると、一本のみでは採算が取れません。
時代を先走り過ぎてか、遅すぎたのか、そんな時代は来ないのか、わかりませんが、
頑張っても(苦笑)一本しか売れないモノもあります。

 

もちろんコスト面だけではなくて、一本目ではキズが多く織りなれる二本目に
安定する、という技術的なことも意匠によってはあります。

 

ずっと同じ柄同じ配色でそのまま織って、売り続けることもできますが、
となみ織物ではしたくない、新しいモノづくりして、多種の柄を世の中に発信したいと考えています。

 

そういった意味でも、総紗縫は非常に人気の織物で、売れ筋を追っかけていれば、
大変有り難いですが、同じ配色の同柄ばかりにならないように、新しいものを1柄作っては、
今までのモノを1柄廃盤としています。

 

遥か昔は、同じ帯が何百本も出た時代もあったそうなので、そんなの気にせず売れるものを
作って売ったらイイ、そう言われるメーカーもありますが、うちでは基本的にやりません。
(例外が出そうなのは、裏無地。同じ柄で被ってくることも、
 それでも意識的に避けるようにしています。)

 

そんな嬉しいような困ったような織物の代表、総紗縫。
当初のモノづくりは箔のみで織るシンプルなものでした。

そこから上記の様な新しいものを。という声に押され、モノづくりして、
大幅に可能性を広げてきました。

 

大きく流れを書くとこんな感じです。

 ☆初期紗⇒緯を入れる⇒切り替え横段⇒プラチナ箔、純金箔使用⇒蛍光糸⇒併用シリーズ『彩』

 ☆後加工としては、『汕頭刺繍』、『相良刺繍』、『竹屋町刺繍』、『スワロ』等々

 

となります。

改めて書くと、『ほーっ。よーやってきなぁ。』と感慨深いです。

 

最近はこの『黒』も定着してきて、今は『黒+』も一緒にモノづくりを行っています。

 

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『黒+』

 

はじめのはじめは、ほとんどが軽い思いつきです。

そこから作っても、ほぼ100%失敗してしまいますが、ほとんどが失敗してからの2回目で、
方向性や成功の確率が決まるので、この目出しもこれをどう持っていくか?探りたいです。

 

あまり体調が良くないので、治してからがんばります。
多分、最近の京都の気温ですね。

 

 

 

2015年05月27日

過去の難問 その2

 

今日も

前回に引き続き
雪佳の世界を総紗縫で織ろうとした目出しです。

 

カキツバタと同じ難問があります。
それは帯一本にずっと流れる『流水』部分です。

 

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『総紗縫/神坂雪佳の世界』

 

 

そこを見ると流水は3種類あります(同じ紋を素材を変えて織っています)。
(一番上の少しザラザラした箇所①、真ん中のグレー掛かった所②、下の白に近い部分③。)

 

『味の回』でも触れていましたが、帯で使うものは天然繊維です。
目で見たり手触ったりしても全くわかりませんが、均一性が完全にあるはなくて、
ほんの僅かな太細はもちろんあります。

 

この流水部分は、その僅かな太細で地に『味に極めて近い』微妙なキズが出来てしまいます。

それが出てこない、又は隠れる様な織り組織であれば解決できますが、
この総紗縫はその辺り全く容赦のない、こまった織物です。

 

上で①〜③で上げた部分は、特にそのむき出し部分ですので、
おそらくこのまま織り進めたら、5本織って5本とも正反ナシとなりそうです。

 

以前はここで止まっていました。それを再びやり直しをしていますが、やはり詰まるところは一緒。
過去の自分と同じところで詰まった瞬間、その時のことをハッキリと思い出しました(笑)。

 

昔なかった地紋を地に入れることでほぼ解決できるはずですが、
今回、その地紋を知っていても過去通った道を完全再現してしまいました。
『作り手自体のモノづくりのクセ』は直らないなぁと感じました。。。
はぁ、、、です。

 

もう一柄、同じく雪佳があります。

つぎは過去の自分に負けないように頑張ります〜。

 

2015年05月25日

過去の難問 その1

 

まだ若かりし頃(笑)、途中まで製作した雪佳の総紗縫。

総紗縫の初期の方に製作したモノで、途中そのときの限界を感じ、しばらく寝かしておいた
モノづくりです。

 

スタッフから
『雪佳の総紗縫って作らないのですか?』と聞かれ掘り出してきました。
(先週掘り出して、目出しまでは織りました)

 

なにが問題か?というと、
単純に製品として織れない。そんな難問です。

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『八橋/神坂雪佳の世界/総紗縫』

 

ブルーで織ったカキツバタの花の部分、ここの上げ方も相当怪しいモノですが、まだ比較的マシです。
他の部分の白濃淡は、織ってみないと分からないものの、おそらくこのままではキズだらけになります。

 

最後まで完成せず、止まっているのが改めて納得する状態です。

 

完成までまだまだですが、この柄の総紗縫がお太鼓にきたら、間違いなく素敵な着姿になります。

それを頭に置きつつ、心が折れないように、紋を修正していきたいです。

 

 

タイトルに『その1』と付けたのは、まだ同じ時期に同じく雪佳の総紗縫で止まっているのが、
この柄を入れて3柄あります。

 

今後、まとめて全部上手く行くかもしれないし、2柄だけかもしれない。
そんなのも抱えています。

2015年05月21日

Kilim夏。

 

今日は待望の夏御召が上がってきました。

夏だけど・・・。
帯の総紗縫の様に、透けすぎない透け感を追求し続けて織っているものです。

 

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『夏単衣/Kilim菱(キリムビシ)』

 

ぱっと見た感じ白大島?そんな雰囲気も持っていますが、
持った感じはもう少しフワッとした絹らしい風合いを持った織物です。

 

帯『Kilim』の柄を多少変化させ、モチーフにしたものですが、
そういえば、龍郷柄にも見えなくもないですね。

 

色自体は、ほぼ2色で構成されています。
今から慎重に配色を行い、このKilimシリーズ(今2柄)を充実させたいです。

 

 

 

ここまで柄が詰まると、自分で着ても大丈夫そう・・・。
 

最近は毎日(小さくない)大・中のハプニングだらけで、
今日は、iPhoneが突然動かなくなりました。

これが続いたハプニング最後の締めだということを祈っています(苦笑)。

 

2015年05月13日

どういう展開にしましょうか?『紗の半巾』

 

先月に少しだけ触れていた『紗の半巾』。
仕様(長さ、帯芯等)も決まり、完成しました。

 

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『紗半巾』

 

作るキッカケとなったのはちょこちょこ書いていたように、
スタッフが結んでいた角帯からです。

やはり実際に自分で使ってみて、
心からイイと思った言葉でお客さんにお勧めすることが大事ですね〜。

 

たまたま偶然、2日ほど前にこの帯のプロトタイプを結ばれていた(通常の総紗縫を半巾にしたもの)
方から、メンテナンスの連絡がありました。

 

その方初めは『夏は暑いから、着物は着ない。』と言われていましたが、

『去年、夏大島と勿体無いけど浴衣にも着て、めいいっぱい元取りましたわ。』と言われていました。
今の時期にメンテナンスを出されたということは、夏にもめいいいっぱい着られるのでしょうね。

その時は、夏着ない発言に触れれませんでしたが、元は取れてよかったです(笑)。

 

そんなに上がってくるものでもありませんので、今後の展開もそこまで考えていません。
当面は京都の本社向かいに陳列をしておきます。 

 

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2015年05月04日

 

GW2日目。

持って帰ってきた資料の整理をしようと、ザーッと写真を開けると・・・。
(Macの『写真』です。)

 

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『南蛮七宝大島紬+漢錦(経錦)』

 

まずこれに目が行きました。

おそらく南蛮七宝、最後の大島紬『割り込み』バージョンです。

絣が特長になり、様々素晴らしいところがありますが、
この着物はトントンと織っているリズムもイイ(とても分かり難くて、すみません。。。)です。

 

全て織り終わるまで、まだ一年は掛かるので、それまでに奄美へ行って
製織を音とともに撮らせて頂きたいと考えています。

 

それは置いておいて、上の写真はこの反物が上がってきた際に
何色を合わせよう⇒この着物をイメージしてどんな色の帯を作ろう?と
撮ったモノです。

 

それで選んだのは、紹巴織でも二重織でも、総紗縫でも無くて、
経錦の緑。経て出しの織物ですので、色が緯で織ったものよりも生に近い、
新鮮な?緑色です。

 

もちろん、これ以外にいろんな色味にコーディネートできますが、
敢えて、ムリしてでも自分が合わせてみたかったモノです。

スッと馴染んでくれたので、色に関しては問題なく、この反物からキッカケもらった、
イメージを膨らませて、そんな柄を考えて行きたいです。

 

筬を打つ音を聞きに行けばイイ図案ができるかもしれませんね~。

 

そんなわけで、ほとんど入り口で止まった整理でした(笑)。

2015年04月30日

退化させてみるのも、いいかもしれない。

 

今の自分のモノづくりは経錦を中心に、と考えています。
ただ、出張へ出てしまい、結ばれた帯を見てしまうと、そちらへも目が行ってしまいます。

 

FacebookにUPしていたこの『総紗縫』の帯もそうです。

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総紗縫

 

今では廃盤となっている柄です(レアです)。
まだこの織組織ができ始めた当初モノです。この柄が出来るまでも、というより総紗縫が形に
なるまで素材、打ち込み、柄を相当数、試行錯誤した空気が残っている頃の帯です。

 

この前にも数柄はありますが、ほぼこの辺りから始まり、今では色、緯使い、素材に工夫をして、
大幅にやれることが増え、それに連れて柄の表現力も増して、となみ織物の中でも総紗縫は、
大きなポジションを占めています。

 

織組織の進化としても良いのかもしれませんし、
一つの織組織がここまで認知されるのは何十のうちの一つです。

 

『黒』や『黒+』、『 Kilim』もまだまだ表現の余地は沢山あるので、
さらなる進化をさせていきたいです。

 

 

退化

それにプラスして。

写真の帯は、これだけ進化した『総紗縫』の中でも、印象に深く残る良い帯です。
また、結ばれた方からも周りの評判が良くて嬉しい。そんな話も聞きました。

 

そうなってくると、この帯の持っている何かを膨らませて、
この系統のモノづくりするのがメーカーしなくては。となります。

 

そういえば、この帯のベース部分『麻の葉』も未だに人気です。

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『総紗縫+染め』

 

皆さんからの評判は上々ですので、逆行までは行きませんが、
一部退化させるモノづくり。もしかして、進化した部分も加味して、進む分、
面白い方向に行くかもしれないモノづくり、そちらも手がけていきたいです。

 

当初難しかったモノづくりが進化して出来るようになりましたが、
今度は反対に、かつて出来たモノが大は小を兼ねる状態で簡単にできるか?

意外にすんなりは行かないかもしれませんね。

 

頑張ります〜。

 

 

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2015年04月22日

帯を帯として結んで頂けるように。

 

本当に総紗縫のを載せたいのですが、まずはイメージ写真を・・・。

 

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ある数人のお客様からの要望で現在製作している帯です。

 

総紗縫はご存知の通り、となみ織物の中では主力と言って良いほどの帯シリーズです。
基本的な織りは『紗』です。ただ、とても難しいものでキズ物が、となみ織物の史上最高、
といっていい程でます。

 

その中でも数は少ないですが、
どうしょうもないキズ物、例えば短尺(規定の長さに届かない)。
これに関しては小物、草履の花緒やバッグに加工していきます。

 

ただ、帯の長さがあって袋帯にしたいけど・・・。
に関しては販売用ではないスタッフが帯のアピールに結ぶ角帯(昨日の日記参照)に
することもあります。

 

帯として職人さんが魂を込めて織ったものは、角帯だとしても帯として結んでほしい。
そんな気持ちは、いつもどこかにありました。

そんなときに『その角帯の柄で半巾ってできます?』と声を掛けて頂きました。

 

それなりの数量を作っていくには、少し乗り越えるべき問題もありますが、
『帯を帯として結んで頂けるように。』倉庫に眠る帯を見ていると、頑張ってみようと
おもいます。

 

 

2015年04月21日

男も惚れる総紗縫。

 

男性の場合、着物1枚に帯3本と言うのか、私は聞いたことがありませんが、
着物よりも好きな角帯を見つけた時、惚れてしまい、かなりの頻度で離れられなくなります。

それだけ、織りの種類が少なく、柄も色も似たようなものばかり。
仕方がないのかもしれません。

 

今日のお客様は、総紗縫の角帯を気に入って頂けました。
(角帯自体、普段の要望は多くはないのに、たまたま、今日はお2人重なりました。)

 

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『総紗縫の角帯』

 

当初、自分の趣味でした。

試験織や試作、キズ物を使い、仕立てに工夫をしながら(沢山帯地を潰しました)、
製作した帯です。今のバージョンは袋帯の機を使って織り、糸も紋もそのまま活かします。

 

そのため、最初に値段を言うと大抵『いい値段やね〜。』と少々ひるまれますが、
紗の生い立ちから、総紗縫の特殊性をひと通り説明すると、『なるほど〜』と
納得して頂けます。

 

触れると違いが判る角帯です。
少しずつ、この角帯ファンを増やして行こうと思っています。


 

もう一つ、この総紗縫を素材?として製作しているモノがあります。
それに関しては明日、また紹介します!

 

南蛮七宝も好評でしたので、今日来られたお客様には喜んで頂けと思います。

2015年04月17日

博多滞在2日目。

 

博多2日目は帯、着物、小物を並べてのイベントです。

わざわざ京都本社に来られた方もおられて(ありがとうございます。)、
言われたのが、(本社には)帯が多すぎる!というご意見。

当然ながら、プロ専用の展示場ですので、帯しか無い。
 →参照『本社展示場』

 

今までも、そういう話を頂いていましたので、そんな反省を活かし、
今回の博多は帯:1、着物:2、小物2。そんな割合で、非常にバラエティ豊かな
会場です。

 

帯は裏すら付いていない新柄を。
着物もちょっと出張したら、おそらく見られなかったもの。

小物も、市場に流れているありふれたモノではなくて、となみ織物独自のもの。
例えば、帯地を使ったバッグでも南蛮七宝系のもの。帯締めなどの小物も、麹塵染の
帯糸を使った限定品。総紗縫に合わせたオールシーズンの帯締め、帯上げ。
新作のペーパーヤーンに南蛮七宝の花緒など。

 

このスペースにこれだけ置けるのか?
そんな展示場になっています。

 

陳列にお金や手を掛けて見せ方を工夫をするのも、もちろん大事ですが、
それは別の機会に、今回に関しては帯や着物、小物の新作を素のままに見て頂く。

そんな機会です。

 

京都での仕事もあるので、頻繁にはできませんが、お客さまも楽しみ、
(それ以上に?)自分たちも楽しめる、そんなような展示会は、
出来る限り、今後も増やして行っても良いかもしれません。

 

2015年04月16日

ペーパーヤーンの草履と一緒に博多。

 

博多へ一年ぶりにやって来ました。

そこに届いた出来たてホヤホヤの草履。
『ペーパーヤーン&南蛮七宝文様』。

単衣と夏草履です。

 

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『真綿ペーパーヤーン南蛮七宝文様(仮称です)』

 

同じく仙福屋では夏草履として、網代とパナマも作っています。

が、この二つは、素材の質に草履の出来が左右されてしまいます。
良い時は良いですが、そうでない時、妥協したくないので、製作数は安定しません。

特に網代は昔の敷物に使われていて、年代や作られた職人によって、目の細かさ色が
大きく異なります。ですので本当に良い素材を見つけた時だけの製作にすることにしています。

 

場合によって、一年間全く作らないことも・・・。

じゃあ、そんな時に何を作るか?
そんな中、昨年試行錯誤して出来た草履がこの『ペーパーヤーン』です。

 

説明を書くと、こんな感じ。

真綿草履の夏バージョン、台の天部分にペーヤーン(紙布)を使用し、
足ざわりが良く涼感有り履くだけで気持ち良い。人によっては健康になりそう(笑)、そんな感想も。
また、ペーパーヤーンには撥水汚れ防止加工も施しています。

台巻部分にはダックジュエル。見た目にも涼感を作りました。さらに巻に総紗縫の南蛮七宝を挟み込み、
見た目にもメリハリを。

ちなみに、ペーパーヤーンは北欧産のモノを使っています。
耐久性に優れヒネた色も今のとなみ帯地の地色に寄り添ってくれ、
全体の雰囲気もとなみ&仙福屋らしさも出たように思います。

 

この草履は南蛮七宝文様を巻に入れたので、当然花緒にも・・・。

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ツボ通しの花緒、ツボの色もペーパーヤーンに合わせて。

と、ちょっと特別な夏草履でした。

 

土曜日までの滞在です。

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2015年04月13日

これからのとなみの強み。総紗縫で言えば・・・。

 

毎日毎日、となみ織物では何かしらの新しい帯が上がってきます。
最近は特に若手が出張へ行き、情報を仕入れたり、何かを感じ、それらを元にモノづくり
したものが随分増えました。(段々と現となみの特長になってきました。)

 

モノづくり、最初は大変です。
『モノづくり新人さん』を見ていると、
何から手を付けていいのか?本当にわかりません。というのが動きでわかります(笑)。

 

好きなモノを作りながら、それが結ぶ方に取っても好きなモノになる。
これは簡単には行きません。また、じっと考えていても、とことん嵌って、進みません。

 

そのため、最初は(怖くても)目出し(試験織り)の配色から行います。
もちろん、これも安くないコストが掛かりますので、真剣の真剣に一色ずつ、
その前にベースとなる柄を入念に選び、一色ずつ配色を行います。

 

スタートは大体みんなそうですが、慣れてくると配色することが、塗り絵状態になってしまいます。
(もちろん、そんな簡単な訳はなくて、慣れで錯覚してしまいます。)

ここでしばらく成長が止まる人が多いですが、コツコツと自分の得意な方向の柄や、
織の表現の使い方、陰影の作り方を見つけると、配色もいい意味で人と違うことが、
できるようになります。

 

それで初めて柄を作ろうとする、そんな気持ちにもなってきます
(最初はそんな気持ちすらなりません)。

 

ここが『モノづくりの』入り口です。

 

入門の入り口から少し入った所から、いきなり困難です。

ここまで来るまでもかなりの努力と忍耐力が必要ですが、
昔みたいに着物の一枚に帯3本と言われたほど、なかなか帯は買って頂けません。

一本が宝物になるようなモノづくりをしないとダメなので、一つの柄を作るのに、
こちらに思い入れや作り込みが無いと、なかなか伝わらないです。

 

作っても評価を得ることすらできないので、この辺りで自分の成長が感じられず、
止まる人も多いです。なんとなく、どこかで見たような帯。

そういう状態になっていると思います(塗り絵)。

 

今までそういうスタッフを沢山見ていましたので、
自分のモノづくりの一つには、これからのさきがけになる様なモノを作る。
それを心がけています。

 

もちろん失敗もありますし、自分が一人でどうのこうのではなくて、
この着物業界ではない方とのモノづくりの中で、そういったモノづくりに気付かされ
試行錯誤して、形にしていきます。

 

その中の一つがこの総紗縫。
 

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『総紗縫/黒+』。今までの総紗縫にできないことを入れています。

 

 

ちょこちょこ載せている、この帯シリーズ。
まだ、そんなに柄数が揃っていない『黒』に、その上から改良を加えました。
(『黒』自体まだまだ作り切っていないモノですし、新柄も待機しています。)

 

このモノづくりは、今すぐ帯としてどうのこうのすると言うよりも『黒+』の様なベース部分を作り、
社内全体に周知させておけば、、。今のスタッフは自分たちの中にある情報をタネにして、
なにか全く新しくて良いモノを作ってしまう様な気がします。そこへの土壌づくりです。

 

今は総紗縫が、となみ織物の持つ織組織の大きな一つです。

今後もその部分は継続して行きつつ、
若手が試行錯誤しながら作った、今は想像できないシリーズが大きくなっていく。

 

ちょうど両面選べる帯が総紗縫です。
片面は、今までの総紗縫の発想柄。もう一方は今はまだ想像できない柄。

そういうことも、これから長い目で見て、期待し楽しみにしています。

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2015年04月06日

帯を活かすためには、確保とモノづくりの必要があります。

 

京都は、桜が終わりに差し掛かってきました。
毎年ちょうどこの頃に、仕込んでいた夏向きの小物が上がり始めます。
ここから秋単衣が終わるまで、少しずつ上がり続けていきます。

 

帯締めも帯揚げも最初は世間にあるもので、帯とコーディネートしていました。

山ほどの素材、織、配色がありましたので、合わないものも沢山ありましたが、
コーディネート出来るものもその分ありました。

ただ残念ながら、最近は特に夏小物(帯締、帯揚げ)は面白いものは急減しています。
例えば、帯揚げを染める生地自体が上がってきません(そこそこ良いものよりも上のものが特に)。

 

そんなことが続くので、近年ではとなみ&仙福屋オリジナルで製作します。
例えば、帯の柄を使っての帯揚げの製作など。

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モンステラ/仙福屋の夏帯揚げ

 

これを見て、やっぱり手の込んだモノって良いな、と小物屋さんが言われたりも
するそうですよ。。

 

この辺りは新しい柄を作りながら、職人さんが継続出来る限り、
面白いものを作って行こうと考えています。

 

今日、紹介するのは夏/無地。

 

何でも合わせられますが、基本的に『総紗縫』と『上品綟』に合わせるつもり、
色を選択した帯上げです。

 

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となみ織物の特長は色。とも言われるます。
こういう中間色、ヒネた色を見るとテンションまで上ってきます。

 

総紗縫や上品綟に使う緯の色目は幅広くありますが、
ベースとなる色に色味には共通点もあるので、その色と合わせイイ色を探し出しながら、
帯上げを染めてもらったものです。

 

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もちろん、人に似合う色、好みの色あります。

それらも全て包含しつつ、使いやすい色というと、大体30色前後で、
素材自体にも、涼感を作るために、『麻素材』を使っています。

 

 

その麻自体も帯上げの生地として、なかなか上がってこないそうで、
良いモノに関しては、絹も麻も少ない状況ではありますが、着物を着る上では必需品の帯上げ。

 

自分たちの帯を結ばれる方には、合わせるものが無いや何でもイイや。
と言われてしまわないように。こういった小物の確保も今後重要な帯屋の仕事の一つになっていきそうです。

 

色に関わることなので、どちらかと言えば、かなり好きな部類ですので、
拘って拘って、無地だとしても、『お~。』と言って頂けるモノを作っていきたいですね。

 

 

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2015年03月31日

春色を再確認する。

 

京都も桜が咲き始めましたので、朝撮りました。

 

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ふだん見る昼間よりも花びらや萼にピンクが挿す感じがして、
朝早く起きて得した気分になります。

 

ちょうど日が昇る最中。
少し時間が経つとその空の白さも取れて、桜の花弁と空、枝、僅かに出る葉
色の組み合わせは帯意匠にできそうです。

 

 

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すでに社内に桜を意匠、モチーフにした帯は沢山あります。
他の花だと『同じ意匠だし、もうしばらくは、いらないかな。』となるのに、
今日みたいに朝の桜を見ながらだと、毎年桜の帯を作ってしまう。

無条件に納得してしまいます。

 

今日は、その桜に合わせてか、春小物の製作依頼が数多くきました。

 

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『総紗縫/丸巻き』

 

帯も小物も、今日言って明日できるものではありませんので、
仕込みというか、ある程度は春手前に仕上がってくるように春色を用意します。

 

それでも、『もっと春らしいモノがあっても良いですよ。』
との声もよく聞きます。

 

やり過ぎの『春』くらいでちょうど良いのかなぁ、と去年の日記にそう書いていますので、
毎年、同じくことを繰り返しているようです。

自然の凄さですね(笑)。
今日の朝桜を見て、桜の色ってこんなんだったと。再確認させて頂きました。

モノづくりに活かしますね。

 

今日は総紗縫の帯地を使っての丸ぐけ依頼でした。

 

2015年03月24日

南蛮七宝を羽織る。

 

先日、Facebookにも載せたところ、

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『南蛮七宝文様/三重紗』

 

他の色も見たい、実際に羽織ってみたい等々の反響を頂いていましたので、
今回取り上げてみました。

 

 

この生地は、かなり特殊です。

総紗縫の様に、シーズンを長く着て頂けて、透け感は少ないなりにあるので、軽やかに。
仕立てる前に特殊な加工をするので、水分や汚れに強く、しかも風合いは変わりません。

利点のとても多い生地です。

 

ただし、欠点が一つあり、それは生地があまり強くないこと。

そのため、着物としてではなく、
コートや羽織など、上から羽織るモノ専用となります。

 

元々、特殊な透け感がほしい、それに加え上記の利点を最大限活かすため、
『上から羽織るモノのためだけ』と割り切って製作した生地です。

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それには十二分応えてくれています。

 

 

でも、『専用?』となると、着物とコートどちらでも選べる(作り手のリスクが少ない)
モノつくりが多い中、『ほんとに大丈夫?』そんな空気は流れていました。

 

しかも、今現在でも製作しているのは、この南蛮七宝文様のみ。

ただでさえ、上がってくる量も少ない。
そう遠くないうちに織れなくなってしまう織物です。

 

め〜一杯、できることを(配色ですね)やりきりたいと考えています。

 

 

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今はこの5反(織り貯めしていました)を染め出し中。

 

 

南蛮七宝以外にも様々な柄の塵除けやコート生地があります。

 

なぜ、『帯メーカーがこだわるのか?そこまでやるのか?』
なんども聞かれたことがあります。

 

その理由の一つには、上から帯を守る。

帯屋としては、帯が可愛いです。
その帯を守ってくれるものにも、やっっぱり一生懸命こだわって行きたくなります。

 

 

話は少し逸れてしまいましたが、この紗の織はそう遠くなうちに無くなります。

これで作った羽織やコートを作られた方から、絶賛の言葉を頂く度に、
その後に据えるモノづくりが出来ていないことに気が遠くなりそうです(笑)。

 

 

 

 

2015年03月21日

次の総紗縫できるかも・・・。

 

少し前の『猫/総紗縫/黒』。

 

IMG_5644.jpg
猫/総紗縫/黒

 

この意匠は元々、紹巴織→それを紬→総紗縫→今回の総紗縫と4回目のリメイクです。
全て新しく設計図(紋図)を作ります。

 

新しいものが出来ると、前のモノは織らないか?というと、そういう時もありますが、
柄は同じでも作り始めのコンセプトが違うことが多いので、ほとんどの場合、並列して、
同じ柄の帯として存在、製作することが多いです。

(前のモノよりも少なくとも劣るわけには行かないので、
良くわからない自分の中のプレッシャーはありますが・・・。)

 

IMG_5639.jpg

 

 

前のモノは『猫』を一つの上げ方で猫を織ったので、縦に方向に流れる粋な柄になっていました。

反対に写真の2バージョン目は、総紗縫の経緯の関係でそれぞれ一匹ずつ変えて織っています。
 

 

今日は次の総紗縫を・・・と思って、じっと一匹ずつの猫を見ながら、
次の帯のもとになりそうな図案を探していました。

 

 

『総紗縫』という織物は緻密さ他には無い特別な紗です。

一番シンプルな作り方、箔を柄に使うだけで充分訴求力のある帯になりますが、
モノづくりをしていると、何か次に進みたくなります。

 

初めてこの帯を見る方には、一番シンプルなモノを見て頂くだけで、
驚いて頂けはずです。だから、①一番シンプルなモノ→②次に改善したモノ、
③最新のモノと順次、小出しにすれば、順次購入して頂ける可能性があるはず。

 

ですが、となみ的には、いきなり①〜③を見せてしまいます。

会社的な売上や利益を考えると、『どう、それって?』と
異業種の方(同業もそうかも・・・)からも言われることもあります。

 

『それがお客様のため、と強く考えています・・・。』と断言できるとカッコイイのですが、
そういう訳ではなく(そこまで考えていないのかも?)、常に新しいモノづくりを見せる。


そうすると、飽きられないためには、常に新しいモノづくりをしなくてはいけない。
そんな危機感にさらされる、頭はモノづくり、そしてアンテナもいつも立てておく。

おそらく、これがうちの良い所と、強みです。

 

なんて非効率な。。とこれもよく言われますが、メーカーが新しいものが作れなくなったり、
作らず同じものばかり売ることで満足してしまったら、もうメーカーでなくなりますからね。

 

スランプで詰まっても、少ししか進まなくてもモノづくりは続けて行ける会社でいたいです。

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2015年03月17日

新しいけど見た目ほとんど変わらないもの。

 

やっと上がってきました。『総紗縫/黒』の新しい技法。

総紗縫は・・・と始めると永遠と書いてしまいますので省略しますが、
この織物、当初想定していたから、色、織に工夫をすることで大きく表現方法が
発展しました。雑誌で紹介したものでも、ざっと変遷を追っかけて頂けます。
Pinterest『総紗縫』へ

 

もちろん、新しい表現方法が出来たからといって、今までの織り方をしないか?
というとそうではなく、電化製とは違って並列してモノづくりします。

 

モノづくりする人間はほぼ例外なく(自分も含め)新しいもの好きが多いので、
新しいモノを使って作りたくなりますが・・・、
それだけを中心に据えてしまうと、かえってその技法に縛られてしまい、
出来上がりがショボくなることが多々あります。
(この『ショボくなる』という表現がピッタリです)

 

ですので、新しいモノでも大喜びはせずに、社内アナウンスも小さくして、
紹介します。といっても今はまだ目出し段階です。

 


DSC04771.jpg
『総紗縫/黒+』

 

見た目はそんなに変わらず、透け感も総紗縫らしい透け感。
という風に見えますが、じつは画期的なことがいくつかあります(おいおい紹介しますね)。

 

DSC047802.jpg

今までの総紗縫にはできなかったことです。

ただ前述のように、使わなくて良い意匠で使っても反対に野暮ったくショボくなってしまいます。
 

 

結ぶ方からすると、気付かれない可能性もある変化ですが、今後の表現が何倍にもなる、
(何度も言いますが、全く使わなくてよい柄も沢山あります)可能性を持った技法です。

 

素材が凄い!織り方が凄い!色が変わっている!等、派手なところは全くありません。
今の流れで言うと『消費者に届かないと意味が無い。』。そんな風潮からすると、
けしからんと言われそうなモノづくりですが、自分の中ではこういうモノづくりが
かなり好きですね。

 

この後は2柄。これを進めていて、じわじわ総紗縫を内部から染めていこうと
こっそり企んでいます(笑)。

 

まだ、一本織り上がるかも分かりませんので、ここにUPしながらも内緒です。。

 





 

 

 

2015年03月09日

変なもの。

 

総紗縫/帯地の薄さ&風合い等々の凄さを感じて頂くために、
と作り始めた『しゃねこ』や『しゃうま』、『しゃひつじ』。

 

だんだん、当初の目的から逸れてきて『初心忘れるべからず』と頭をよぎります・・・。
ただ、昨日のお客さんにも気付いて下さったりと、少しずつ定着しはじめています(笑)

 

IMG_4468 (1).jpg

『しゃひつじ』

 

特に干支とは思っていませんでしたが、羊は個人的に大好きな動物の一つなので・・・。
(その前の『しゃうま』も)

 

そして、もう一つ下の写真。

上がってきたときには、社内での反応が面白かったモノです。

 

IMG_4474.jpg

 

流石に帯地は蹴れません(プラチナ箔も入っているので・・・)が、
ボールにしても軽いです(笑)。

 

今のところ何に使うか未定です。
会社向かいのショールームオブジェになっています。

 

試験の裂地や帯にならない生地等は、それなりにありますので、ある意味帯地では出来ない、
またはしないことを考えてやってみたい、と思います。

 

そこからまた新しい発想が出て来れば、やってみた甲斐がありますね。

初心から離れすぎた時は、注意をお待ちしますm(__)m。

 

 

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