となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「総紗縫」と一致するもの

2015年11月26日

独立系の帯に柄を+したいけれども・・・。

 

作って発表した時点よりも、人気のある帯があります。
大抵のモノは何であれ、『新作です。』というときが一番人気があって、徐々に下降していく、それは帯の場合も同じです。図案→意匠図→製織して帯となる、ここまでどんな帯も同じですが、それ以降は織るか、どうか?というのは、人気が出て、受注を頂くかどうかに掛かってきます。頂ければ継続して織り、なければ残念ながら、その帯はそこで止めます。

 

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この帯に関しては爆発するわけでもなく、『新作です。』の時もそこまで注目もされませんでしたが、今までずっと継続した人気を保っています。帯も着物も春はどちらかというと薄地に人気が集まり、秋冬は濃い地へ移る、そんな傾向もありますが、そんな大きな波にもほとんど左右ない、作る方としてはたまにいて欲しい、大変有難い帯の一本です。

また、冠としては『作楽』シリーズが付いていていますが、それと併記して『蛍光織』シリーズでもあります。後者は今はほとんど織らない(総紗縫の蛍や金魚と同じシリーズ)ので、ある意味他の帯とは連携しない、独立系の帯とも言えます。

 

そんなこともあって、この帯と同系統(同シリーズ)の帯を作ろうという話が出て、ただ今検討中をしています。ただ、こういうジワジワ人気が来る帯というのは、人気作を作るのと同じか、もしかしてそれ以上に難しいですので、図案の候補は挙がりつつも、モノづくりは難航気味です。まったく同じ様な帯では意味がないので、この帯と連携して、このシリーズが持つ独自性、そんなのを発揮できる、そんな帯・・・。やっぱり難しいですね(苦笑)。

 

少し前に配色をしたモノが、近日中に試験として上がってきますので、また紹介しますね。

2015年11月21日

金魚といえば・・・。


二条城で開催されているアートアクアリウムへ行ってきました。

http://artaquarium.jp/exhibition/kyoto2015.php

 

知り合いの方の商品も陳列してありますので、それを見るのが目的でしたが、独創的な金魚の見せ方に結構引き込まれてしまいました。 この日は随分と気温が下がっていたにも関わらず、大勢のお客さんが夏の風物であるはずの金魚をじっと見て、スマホで写真を撮ったりされているのが、とても印象的でした。

そういえば今のiPhoneの初期壁紙も金魚の尻尾ですし、何か惹きつけられる意匠ができるかもしれません。

今まで、金魚では4柄ほど帯を作りました。お気に入りの総紗縫金魚や雪佳の金魚玉ができたので、もう作ることは無さそう、そんな気持ちが強くありました。でも、皆さんのスマホで金魚を真剣に撮る姿を見ると、金魚のみシリーズが作れそうな気になっています(苦笑)。

 

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(総紗縫/蛍光織、金魚)



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(神坂雪佳の世界/金魚玉)

 

なんでも帯にしたくなる性分なので、できるはずですね。

 

2015年11月18日

オッティを通じて反省しています。

ちょこちょこ作っているオッティが人気です。総紗縫を使って作った特大(以前南蛮七宝でも作ったもの。)は、本社向かいショールームでお客さんの出迎えをしています。必ず目がいくところに置いてありますが、敢えてか聞かれないことも多く(もっと大きくしようか?と思ったりも・・・。)、先日の打ち合わせの時も、この素材を聞かれましたので、『帯一本を使って・・・。』と答えると今更ながら『えっ帯地!』。と驚かれたりもします。この時は帯に驚いてもらうよりも『一本』を強調していたのですが。後に書くように、反省です・・・。

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何度か同じ様に驚かれたことがあります。大抵の場合、『うちは、帯屋なので、帯以外になにを使ったらいいんやろ(笑)?』『そういえば、そうですね。』と笑い話になります。ただ、よく考えてみると、生地として帯を使える、というよりも『帯屋だから帯を使わないとダメだろ。』と当たり前の状態です。普通は勿体無くて出来ない、とても贅沢なことなのに『使っている素材は帯地です。』と簡単に軽く言ってしまうのは、贅沢に慣れ過ぎの感が強いです。

 

お客さんへ当たり前のように、大変なモノづくりをしています。事実のことですが、モノづくりの工程をすっ飛ばして話をしている様で、メーカーとしては良くないなぁ・・・。と反省をしています。段々とハサミで帯地を裁断するのも、緊張せず慣れてきましたし、怖いことです。

重々しくて、新しいモノへ挑戦ができないのは問題ですが、自分たちの作るものをただの商品とだけしか見ないもの問題です。可愛い顔したオッティを通じて、気をつけたいと思いました。。。
 

2015年11月03日

大内桐/目出し4色

 

Facebook上の反応を見てみたいと思い、珍しく先にUPしてみた『大内桐文様』の目出し。

 

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 ⇒Facebookへ

 

グレー濃淡、おそらく帯としては地味と言われる組み合わせです。UPしたのは一色ですが、実際は下の感じで4色系統を変えて目出し(試験織)を取っています。柄の出方や着姿の顔を主に考えると、一番上と2番目。それを少し修正すれば帯として、完成に近いと思います。(それはそれで進めつつ)UPしたグレー濃淡も、袷帯ではあまりとなみに馴染み無い、無地に近い帯として使い方を提案していきたいと思います。総紗縫で近い提案が出来ているので、袷の帯でも似た感じが出来るのでは?と考えています。(好きな人には好まれそうかな?)

 

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当初このモノづくりは南蛮七宝文様シリーズの派生の一つと考えていました。例えば南蛮七宝文様の着物に合わせる帯を想定。
となみ織物でメインの紹巴織に紬糸を足した織組織を作っているうちに、軸足は当初通りでも、さらなる広がりを感じましたので、もう数柄文様を足してい行ければと思います。

 

意匠と糸使いは本当にシンプルの極みなので、できること、工夫は限られているように見えますが、実際はその中から飛び出ようと色んな工夫をして、試験を取ったり、配色をトコトンまでやり切ることができるので、紹巴織の土台部分が広がりはじめている気がします。この生地は小物にも応用が利きそうですので、普段持てるもの等にも使えるように、まずは帯づくりですが、さらなる工夫を重ねていきます。

2015年10月17日

もっとモノづくりができそうです。

 

いつもは大勢の人が入ることのない機場。先週、大勢のスタッフとお客様がお邪魔させてもらったので、そのお礼と販売現場スタッフの研修も兼ねて、再びお邪魔してきました。となみ織物のほとんど織組織は複雑なモノが多く、その職人、その機でしか織れないモノばかりです。『物凄く素晴らしい。』とか『非常に難しい織物。』と人を通じて聞かされても、もちろん勉強にはなりますが、やはり織る現場を見るのが一番でしたので、いい刺激だったと思います。

 

総紗縫にしても、『バケモノ』と言われるほど手間の込んだことをして織っています(今日もそんな話が上がっています)が、仕上がった織物を見るだけでは、その手間の全てを感じることは難しいです。折角だったら、その凄さを結ばれる方に『自分の帯ってそんなに凄いんだ』と知って頂きたいです。(ちなみに、その複雑な組織のために、経糸が切れてしまったら、繋ぐのに一日掛かってしまいます。そんなことは、織物を見るだけではなかなかわかりません。)

 

実際に、今週先週だけで『この織物は過小評価され過ぎて勿体無い。』。そんな織物がありました。
(その一つが漢錦です。)

 

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(たまたま、一緒に行った常務柄を織っておられたので、いい話が出来たと思います。)

 

他にも、そんな織物はありますが、まずは一つずつ掘り起こして、もう一度モノづくりをやり直しができそうなモノはやっていきます。
そのためには、継続して、もう少し現場同士やり取りする必要がありそうです。これもイキナリではなくて、少しずつ。

2015年10月03日

防寒草履から・・・。

 

最近、ここにupするネタが『帯』というよりも『帯地を使って』のことを書く方が多いので、今日もその流れです。帯地を使って、帯じゃない他のモノを作るには、生地として帯地にハサミを入れなくてはダメです。帯の長さに関係なく、いまだに『勿体ない』そんな言葉が頭をサー、サーっとよぎっていきます。多少は慣れても帯屋ですので、完全に無くすことがムリなのは、仕方がないことです。その代わりと言ってはなんですが、帯を見られた以上に『使ってみたい。』と思われるモノを大事に作っていこうと、思うようにしています。


昔は、帯地を使った他のものというと、直ぐに思いつくのは、利休バッグをはじめとする小物です。そこまでは誰でも思いつきますし、その分突き詰めれば、本当に奥が深い世界です。糸、織組織、意匠、そのモノを作るのに拘れる部分、山程あります。他にも、素材としての質感や機能面。

 

せっかくハサミを入れたなら、とことんまで作りたいので、帯地に撥水を掛けたり、もう一つ進んで特殊コーティングしたり、今はしています。撥水までは世間にあっても帯地が質的に変わるコーティングまではあまり見られません。さらにもしコーティングを行っても、実用化するまでには、試行錯誤の繰り返しです。たとえば、うちでは2年ほど続けて、試作の山になってできたのが、この防寒草履。

 

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『CelticCeltic防寒草履』

 

撥水や防塵はもちろんのこと、耐久性、絹の発色、加工のし易さを求めるため、時間と手間を掛けています。そのため、今でもふつうの防寒は、カバーはビニールか革(アザラシ等)、または合皮がほとんどです。帯地を使ってちゃんと帯地らしさを残しつつ、絹の欠点をカバー。ここまではマネされないだろう、と思っています。また防寒草履の場合、カバー部分に柄が入ったら、雪の日でも外出たくなるはず。完成する直前はいつできるんだろう?と、少し摩耗した気持ちで試作の山を作りながら作った草履なので、今でも思い入れのあるモノになっています。

最近は人気も定着してきましたので、大丈夫ですが・・・。それまでは毎年作った分、全然売れず来年一年在庫に眠ったらどうしょう?と思いながら、発注を掛けていました。それが、今ではちゃんと完売できて、また次の年の今頃に新しいモノが上がってきます。

 

この防寒草履、まだおそらく帯地を使ったモノというのは、ほとんどマネされていないと思います。とことんやってみれば、小物でも、おそらく帯でもそう簡単に追いつけません。帯でも総紗縫は当初、そうでした。今は、仕上がるモノは全然違っても、同じ様な販売方法で販売される帯が沢山出てきています。しかもそういうところに限って、うちが一番最初に考えたと言われたり・・・(苦笑)します。

他にも、草履やバッグで使う、『ダックジュエル』素材も名前自体はうちで作った造語なのに、うちもある。と言っていたところもありました(笑)。ので、今度は『うちが先だった。』と言われないように、ちゃんと商標を取っています(本当はそんなことはしたくないのですが・・・)。

 

色々と書きましたが、作ったものを守るのも大事ですが、それ以上に同じ所で足踏みをせずに、もう一段大きなジャンプできるように、とことんやらないとダメですね。がんばります!

 

『仙福屋の防寒草履』へ

 

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2015年08月17日

最後まで使い切る。

お盆が終わると休みボケも、そこそこに新作が織り上がってきます。

その新作を・・・と思っていましたが、ちょっとバタバタで整理できず(予想より多く新作上がってきましたよ。)それらは落ち着いてから、改めて紹介するとしたいと思います。

 

その前に、お盆明けに相応しいか?は置いておいて、
総紗縫の生地(写真は端切れです。)を使って、草履が一足ちょうど入るトートの試作を紹介しておきますね。

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(ちょっとサイズが分かりにくい写真ですね。)

 

当初iPadとA4書類が入れば良いサイズで製作しようとしていました(A4は特に要望をいただくことが多いので、サブバッグとして。)。ただ、それよりも1周りほど大きくすると、草履一足入り、帯地の端切れとしても無駄なくできますし、折角なのでそこまでのサイズにしました。

 

帯地の製織時にキズ物、アウトレットは必ず発生しますので、再度検品し裁断して小物に活かせるモノは活かします。キズ部分は破棄するにしても、できる限り意匠と技術、素材を詰め込んだ生地を最小まで使おうとすると、生地に応じたアイテムは色々あった方が良いです。また、帯地で製作したトートで草履を持ち運ぶのもありかな?と考えています。

 

2015年08月04日

こっそりと振動を与える準備中

 

まだ柄が10柄も無かった頃の総紗縫は、地色⇒白、グレー、ウコン・紅花(2つとも今は廃盤)から
はじまりました。

 

その後に、鳩羽や金茶が加わり、横段で地色の色数が増え、『彩』になって、緯糸が数多く入って表現力も
上がり、Kilim等で、さらに鮮やかな地色が加わりました。また、色数が増えるのとは違った流れとして、黒
、佐雅楽では、単色ながらも一色を突き詰めていく配色へ。と最初は4色程度だった、一つの織組織シリー
ズが多くなっています。

 

常に『もうこれ以上ムリじゃないか?』と一瞬立ち止まった時に、誰か一人の発想でその壁が少し崩れて、
後は大勢のスタッフで、壁を壊し、新しいジャンルを作る。そんなモノづくりです。今は上に上げたように
沢山の選択肢があって、その中でモノを作っていてもある程度出来てしまうので、進化するキッカケは無い
ようにも見えます。が、やはり誰かの意見、それはお客さんの要望かもしれないし、スタッフの思いつき、
もしかして、織り手のところのミス、がキッカケになって新しいモノができる。かもしれません。

 

何かあったとき、それがキッチリと拾えるようにアンテナは高く広く張っておきたいです。

 

今、一つキッカケになりそうなのが、この総紗縫で製作した半巾。

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『半巾/鳩羽色』

 

京小袋とは違い、本当に袋帯を半分にしたサイズです。
普段着、お洒落着に簡単に結んで頂ける、のでまず一本目の総紗縫(袋帯)を持っている方から、徐々に人気
が出てきているモノです。
もちろん、袋帯の配色で充分足りているという意見がほとんで、ここからモノづく
り出来そうに無いように
おもいますが、一度だけ『半巾なので、色のパンチあっても面白いと思うよ。』と意
見を頂きました。
狭い巾の中のモノづくりですので、袋帯よりも強烈な色を使っても大丈夫、なところもあり
ます。

 

今は糸を出しながら配色をしていますが、ここから次のモノづくりのタネが見つかるかもしれません。
失敗する確率の方がウンと高いモノづくりですが、今順調な総紗のモノづくりに何か振動(激震ではなくて)
を与えてみたい気もします。ので、こっそり進行させていきます(笑)。

 

楽しみにしていて下さい。

 

 

 

 

明日、明後日と一日中、着物姿の方に囲まれてきます。
またカメラを持っていきますので、お太鼓撮影に協力ください〜。

よろしくお願い致します。

 

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2015年08月03日

渦、渦。

 

総紗縫・黒+』の中に渦柄を作っています。

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人間が作った原始的な柄の一つ(他には縞、横段、格子柄等々)で、シンプルなだけあってバリエーションも豊かです。
今までも帯の意匠として作ってきました。

 

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シンプルでは無いものもありますが、作る方からすると綺麗に渦を巻いているか、強く意識して製作します。
お太鼓として綺麗なことももちろんのこと、柄が大きくなるので、、陳列の際の具合も意識します(苦笑)。

 

自分で製作のモノもまだありますし、会社的には山ほど意匠として残っていても、厭きることはありませんし、
意外にも『今自分は渦柄つくっているんだ』『渦』と意識されにくい、不思議な柄です。

他で言えば、立涌とか、七宝つなぎ、市松等も比較的シンプル柄なはずですが、渦とは同じようには行きません。

 

と何やかんや書きましたが、
一番上にある『総紗縫・黒+』の渦は(写真の様に)シンプルにモノトーンで上げる予定です。
帯留めを入れる余地も作っていますので、この帯を結びたい、そう思って頂ける方、おられると嬉しいです。

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2015年07月30日

次は帯留め・・・。

 

色々とやっていると、まとまった時期に色々な依頼が入ってきます。
今現在は、帯留めを形にしよう制作中です。

 

最近製作を依頼しているモノの多くは、抽象的なモノで(『モアイ』や『ブラックホール』)でした。

次は、(依頼もあり)また以前に戻って再び具象柄を幾つか作る予定をしています。

 

先日、コーディネートされていたのは、砂糖鳥。

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『総紗縫とのコーディネート』

 

総紗縫の様なシンプルな柄には、お腹にこういったポイントがドンと入っても、
コーディネートとして大変面白いです。

 

帯一本でガチっと完成した世界を作るのも、もちろん素晴らしいことです。
また、それとは違って、少し柄に(空間的は無く)雰囲気的な隙を作ることで、結ばれる方の
センスを受け入れる場所を作ることも、時々考えてモノづくりしています。


例えば、帯留めを使って、その帯に無い色を足してみても、面白い。
そんな感覚です。

 

常にその帯留めが無いと困る、そんな制服の様なのは、ダメですが、
帯留めを加えると、ちょっとその帯の新しい顔が出てくる、そんなはありだと思います。

 

言うのは簡単ですので、そんなイメージを持ちながら帯づくりに、依頼を頂いた帯留めも
進めていきたいと思います。

今までの理想は、以前作った下弦の月にウサギなんですよね・・・。

 

2015年07月29日

お気に入り

 

お客様が来られていましたので、
本社の4Fに南蛮七宝のスペースを設けました。

 

同じ場所に同じものを置いても何かしっくり来ない時もあり、
なんだかなぁ・・・。となり、毎回試行錯誤しますので、同じ陳列になることはまず無いです。

 

このなんだかなぁ・・・、というのは恐らく季節や周りの他の帯を含めた空気感が
変わるからかな?と想像はしてみるのですが、不思議です。

 
そして、今回お気に入りの場所はここ。
 

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【南蛮七宝文様 しーぎ染め × 蕨】

 

唐長さんが、からかみで大事にされている陰影(ゆらぎ)をそのまま織物に
持ってくるのは難しいにしても、その空気感を纏わせようとするのと、
最初から諦めてするのとは、大きくモノづくりが変わってきます。
 

いま、自分が作るモノづくりの中心は紹巴織と総紗縫の2つ(本袋は待機中です・・・)。
特にこの織物はボリューム感が元々少ないので、なにも気にかけず目にした物そのまま作ってしまうと、
平面過ぎる帯になってしまいます。そのため、織物として上がった時には目に見えないかもしれない、
経糸と緯糸との僅か(ドット一つ)でも、作りこむことにしています。

 

同じものを同じところに置いてもイイ感じにならず、なんだかなぁとなってしまうのは、
織物での陰影作りが上手く行って、周りの空気を敏感に汲みとってしまうから?

と今のところ、非常にイイ方向へ考える様にしています(笑)。

 

2015年07月28日

扇子作り−1

 

扇子を作る工房を探していたました。
ほぼ来年用のモノづくりで、今年僅かに間に合えばイイ。そう思っています。

 

今までと異なった工房で製作を依頼する。
そのためには、和紙や布とは厚みも特徴も異なる帯地のため、
まず見本の製作をして頂きました。

 

できる限り薄い帯地、裏に糸が渡らない、それでいて扇の形にした際、
面白みのあるモノ。それを念頭に置いて、柄、生地探しを行っていきます。

 

それと並行して、まず一本目に製作。生地には南蛮七宝文様を。


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あくまでこれは見本なので、非売品です。

 

以前の工房でも職人さんに言われていましたが、
『着物地よりも(生地の厚い)帯地ではムリやろ?』。

 

今回も、その言葉を総紗縫は乗り越えた様です。
本当に有難い、織組織です。

 

2015年07月27日

京都の夏を着物で気持ちよく乗り切るために。

 

先週はほぼ毎日着物を着ました。

手持ち着物の中で一番少ないものは、真夏モノで薄地色のモノ。

 

単衣が一番多いので、まだ夏っぽいかな?という単衣で乗り切ろうと思いましたが、
流石に今年の京都の気温は難しいです。

 

先日紹介したモノが、私物夏物で一番涼しいモノです。
結果、今年の登場回数はNo,1です。
 

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その真夏モノは、真ん中に挟まれたようになっている淡いベージュの着物です。
(南蛮七宝文様)

織は総紗縫や上品綟と比較すると、
織り目の粗い紗組織で、糸に工夫をしてシャリ感を強調した織物です。

下の襦袢を写真の様に文様がはっきりしたモノすれば、紗合わせの様にも見える透け感です。

 

 

ちなみに、去年一番はこの着物。

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もちろん真夏も着ることはできるので、登場回数も2番目に多いですが、
上の真夏ものよりは、少し涼しくないですし、35度を超えると涼しい方を手に取りたく
なってしまいます。

 

 

同じ織組織の色違いの着物を着ても良いのですが・・・。
やはり今年の夏の記憶を忘れずに、来年真夏用のモノづくりの動機にしようと思います(笑)。

 

 

 

2015年07月14日

やり残しの優先順位。

 

忘れていなくて、いつかやらなくてはイケない、そう思っているモノづくりが
数多くが残っています。後にしたから、優先順位が落ちるモノ、そうであれば、
まだ良かったと言えるのですが、そこまで上手く出来ていませんで、今すぐに
しなくては!そんなモノづくりも手元に眠っています。

そんな資料は定期的に決まったやり方で見直さないと、後から大きな後悔になるので、
自分の仕事の棚卸しとそれに基づく優先順位の組み替えは、とても大事な仕事です。

 

そのため、今回は紙資料とEvernoteにある大量の走り書き、これまた大量のクラウド上の写真を
当たっていきます(今回は7千枚程度です)。ほんのちょっと前から考えると、簡単に残せる分、
当たらなくてはいけない資料は何倍にも増えてしまいましたが、すり抜けてしまうアイデアも
補足できる様になってきましたので、ホント便利で助かっています。

 

そんな資料の山を今は掘り返しています。
出てきた案はパズルみたいに幾つかを引っ付け、新しい形に整えて、モノづくりできる様にします。
また、その時に端数として残ったものは、キッチリと何に使ったか、なぜ今回は使わなかった、
使えなかったのか?付記して、資料の山に再び沈めておくと、いずれ役に立つことが多いです。

とそんな仕事をしていきます。

 

資料の山を開けるまでは、どーんと気が重い。
そんな仕事ですが、一度手を付けると(だから無理にでも定期的にします)相当楽しい、
しばらく机の前から離れなくなるほど、の仕事です。

 

今日見つかったのは総紗縫群。
【黒】シリーズは、上の様に資料の山の中から出来たモノづくりですし、その時の端数を集めて
膨らませて、製作した五線譜柄のモノづくり(一本目製作はトト神)、それが止まっています。

汕頭や相良刺繍(こちらは刺繍で柄を際立たせるモノづくり)とは別に、
こちらは刺繍で意匠自体を作ってしまうモノづくりです。

 

 

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『黒シリーズの音符&五線譜柄』

 

今見てみると、製織した反物数以上に、この柄の上に刺繍やその他で載せるアイデアの方が多かったので、
まずどこから始めるか?が問題です。
(そこまで練っていたのに、止まっているのはなぜ??そんな状態です。)

 

総紗縫だけで、数日掛かりそうですが、どのモノづくりのタネも
半年ほど寝かしてあっただけあって、その分良いモノが出来そうな気がしています。

2015年06月29日

参加します。

 

7月8日から『協力』という形で帯を出展することになりました。
詳細はまた後日になりますが、京焼の作家さんとのコラボ展です。

今日はその打ち合わせと下見に、白沙村荘へお邪魔してきました。

 

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『煌星の饗宴』

 

話の中で『帯をどんな風に使って頂いても良いですよ。』と申し出てました。
ずいぶんと遠慮はされていましたが、どんな形になるのか、準備の日になるまで分かりませんし、
楽しみにしたいです。

 

焼物はグレー色との相性が良い、との話を聞きましたので、
その辺りも考慮しながら、帯選びしたいです。

夏なので、涼やかな上品綟か総紗縫。
それとも先日FBで載せていた緯糸もガッツリ通し、帯らしい帯系統なのか、まだ未定です。

 

打ち合わせの中で、
焼物を見せる、紹介する場所というのは非常に少ないということも聞きました。
帯を見て頂けるのも、焼物と比較してどうか?は分かりませんが、こちらも少ないです。

 

折角こういう機会を頂けましたので、来られるお客様の反応はとても楽しみです。
正直、全く想像も付きません。

 

もう日はありませんが、上でも書いた様に、持っていくモノについては悩んでいます。

細密な織りで『これって織物?』という自慢作か、
敢えて多少息を抜いた、帯を見ていると『これだったら結びたいな。』と思えるものか?

南蛮七宝に下弦の月に関しては、いまのとなみ織物の色にもなっていますので、置きたいなぁ。。。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年06月13日

本袋のモノづくり進行中

コツコツと積み上げながら製作中の本袋。

よく携わる紹巴織、総紗縫、しぼ織とは根本的に異なる織物です。
裏を同時に織る意味では、(今はなき)『秘錦(ひごん)※』に似ています。
 ※ご存知の方もおられると思いますが、タレがまでが本袋で後は一枚ものの帯。

 

秘錦のモノづくりの場合、両手両足を縛られた気持ちでのモノづくりです。
これは?⇒織れない。あれは?⇒できない。じゃこっちは⇒キズが・・・。

 

ただ、それが大変だったしもうイヤかと振り返ってみると、実はそうでもなく(笑)、
帯の製作自体が元々制限があり、その中の試行錯誤が結果『美しいモノ』を作るための
要素だったりしますので、この制限付きモノづくりも悪くありません。

 

今回の本袋は、それよりも自由度があります。

 

そのため、まず最初の柄は敢えて制限度がMAXだった
秘錦の柄リメイクから敢えて入っています。

 

それ自体はほぼ紋はできたので、紋堀りが終わり試織となれば、
紹介していきたいますね。

 

他のスタッフは秘錦つくりの際には、ほぼタッチしていませんでしたので、
紹巴織や総紗縫からの本袋アプローチになります。

自分の場合は、その通常アプローチの他に、秘錦からのアプローチも役に立つはず?
ですので、その辺りも含めてちょっと変わったモノづくりも出来ると思います。

 

秘錦リメイクの帯が上がれば、
次は『海路/雪佳本袋』を主としてモノづくりやっていきますね。

2015年06月11日

色々出てくる名古屋帯。

 

名古屋帯の要望を頂いたので、(九寸と八寸帯)帯の山に囲まれながら、帯を探していました。
(となみ織物の名古屋帯というと)どこで聞いても、あまり印象のない様な返答が返って来ますが、
相当むかしから製作しています。

 

もちろん比べ物にならないほどメインは袋帯ではありますが、袋帯と比較して、
小回りが効くので、ある着物屋さんのオリジナル柄を作ってみたりと、結構面白いことを
している帯でもあります。

 

そんな帯たちに囲まれて、仕事をしていましたが、『そうそう、あったあった。』と
そんな昔ではないのに、作ったことを忘れていた帯も出てきます。

 

たとえば、このベースは総紗縫の機で織ったサイコロの帯。

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『さいころ/総紗縫名古屋』

 

 

実はこの帯が『総紗縫/黒』の元になっていたりします・・・。
たぶん、社内は誰も知らないかも。。。

 

図案・紋を作り、試験を取ってと、袋帯を作るのと、どこも変わることはないのですが、
それでも、少し遊びながら、生地に実験をしながら作ることができます。

 

自分のしなくては行けないモノづくりは沢山あるので、今はここには力が入れれない。。。
といった状態の時に、関わると、面白いものができることがあります。

 

他にも、かなりシンプル紬の名古屋帯があります。

経糸の関係で織ったモノで、数も揃っていませんが、一つ一つの帯はおしゃれです。
こういうモノは仙福屋に並べても良いかなぁ、と現在画策中です。

取り敢えず、秋単衣が欲しくなる、そんな時期には、仙福屋Labo
となみ丸に並べていこうと思っています。

 

さいころ帯は一年に一人、好きかも?と言っていただければ嬉しい帯です。

 

 

2015年06月08日

次の一歩。『輪宝紋様』

 

唐長さんとのコラボで製作している南蛮七宝文様。

取り組み始めてから気がつけば随分と月日も経って、
そこには(少なくとも)十数年のノウハウが蓄積されています。

帯で、紹巴織、総紗縫、紬、しぼ、千寿錦、秘錦、紗楽、上品綟で8組織。
着物も御召や大島、紗、三重紗、ブラタク×2等。
さらに、小物もバッグ、草履、財布、帯揚、ショール等。

 

好きにモノづくり?試作作り?させて頂いていますので、
同じ期間で比較すると、通常のモノづくりよりも、遥かに多くの経験値がたまっています。

 

次の一歩として現在は2柄目に取り組んでいて、今までの路線には、全く同じ様には
乗せられませんが、山ほどの失敗(苦笑)をしましたので、根気強く
それらを活用しながら、進めることができると思います。

 

2柄目は、この『輪宝紋』です。

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『輪宝紋』

 

この紋様は、11代目当主と奥さまとの打ち合わせの中で、
柄と色を幾つか選択して頂き、その中から、まずは・・・と選ばせて頂いた柄です。

 

この柄を選んだ理由はいくつかありますが、その一つは・・・。
南蛮七宝がありました。

となみ織物のモノづくり、スタートは当然帯からの製作です。
そうすると、関した帯に合わせたくなるものは、南蛮七宝の着物。

だったら、はじめに取り組むのは、南蛮七宝とは趣きが少し変わるもの。
候補となっていた数柄は、全て素敵でしたが、まずは2つの版木を使った
(その時点で趣きが異なります)この輪宝紋がいいのではないか?

そんなことから選びました。
おそらく何を選んでも間違いないから、余計に迷いました(笑)。

 

この輪宝紋は、七宝繋ぎと同じ様に、吉祥紋様の一つです。

意匠図を作る際に、この柄とずっと向き合っていると、柄の意味、配色関係なく、
柄に惹きつけれられるました。

なにか、あるな、この柄。
文章では説明できませんが、今はそんな感じを紋様から受けています。。

 

まずは頂いた唐紙の色に合わせた配色を行っていますが、
『糸』と『和紙』ですので、全く同じにはできません。

そのため、同じ空気を纏う位の雰囲気を近づけたいと思っています。
それを考えると、現状はまだ色を修正する余地があります。

今後、そのあたり詰めていきたいです。

 

 

この帯も、検品が終わり次第、となみ丸で他の着物との親和性を試したいと思います。
柄の大きさ、色味、やりたい要素は多くあります。

 

 

他の自分としてのモノづくりも、昨日の本袋も含め、山ほどあります。
一つずつ、確実に乗り越えていきたいです!

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2015年06月06日

今年もう少し作っておけば、と思ったもの。

帯を使って製作する小物には時間が掛かるものが多いです。

帯地もいつもあるわけではありませんので、帯から織るとなると、
確実にシーズンが終わってしまいます。

 

帯地があったとしても、仙福屋で扱っている小物の場合、ほとんどが
職人による手作業です。そのため、生地の裁断、縫製、製作を通ると、
すぐに出来るものというのは、ほとんどありません。

 

だから上がってきて小物を見て、もう少し作っておけば・・・。
と思うことも少なくないです。

 

この総紗縫の扇子はその上記通りでした。

 

DSC05455.jpg
【総紗縫の扇子】

 

今から製作して、なんとか真夏には間に合うかな。。。

悩む所です・・・。

2015年06月05日

美しさ満点の特別な草履

 

先月、アップしていた素材のホースヘアー。
草履として、上がってきました。

 

DSC05423.jpg
『ホースヘアー真綿入り草履』

 

本当に美しい草履です。

 

この素材もホースヘアーを染めた糸と共に織った、ある意味生地ですので、
帯が負けないように花緒もウンと気合を入れて、と思っていましたが、敢えて対抗せずあっさりと、
飽きが来ないようなシンプル花緒をまずは合わせてみました。

 

DSC05421.jpg
『総紗縫の花緒とホースヘアー草履台(巻:ダックジュエル)』

 

花緒とのコーディネートはほとんど履かれる方の好みですので、
この草履に関しては花緒と台共に仲良く馴染んでくれればと考えています。

 

 

ホースヘアー地も品質はピンきりで、尻尾?の様にぴょんぴょん繊維が出た物等あります。
この生地はそういったことも殆ど無く、とても綺麗です。
(そのため、一旦織ったモノが無くなると、生地で3ヶ月待ちです・・・。)

 

後は職人さんに挿げで魂を入れてもらえば完成です。

DSC05394.jpg

 

 

花緒と草履台が挿げ回っていますので、明日には上がってくる予定です。
また、UPしますね。楽しみです。

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