となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「御召」と一致するもの

2015年05月12日

パレット−1。

 

今日のFacebookにUPしている帯話です。

 

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【Rococo/しぼ織

この帯は御召緯を使って織り、織り上がってから、お湯の中に通し生地を縮めて
しぼを作るシリーズです。

 

この『御召緯』は、非常に希少だ。
そんな話は何度か書きましたが、それよりも先に、
予想外に、この中に使用する、ある一色の『箔』がなくなってしまいました。

職人がいなくなったではなくて、原材料が無く作れない、ためです。

 

西陣にも出入りしていて、他の業界にも詳しい方(どの業種か判る方は分かりますね。)
が、よく言われることは、『西陣はつぶしが効く。』ということです。

西陣の会社は一社で全てをまかなうのではなく分業制です。
そのため、どこかの工程が無くなると、本来はモノづくりが止まります。

分かりやすく言うと、紋屋が無くなると、意匠図が作れなくなる。
整経屋がなくなると、経糸の手配ができなくなる。等です。

 

それを良い言い方では工夫、悪く言えばごまかし、ながらやってきました。
(もちろん他へしわ寄せが来ることもあります。)

 

今回はそこまで大変なことではないのですが、その箔が無くなると、
当たり前ですが、今まで通りには、その色が作れなくなる=『その帯』が作れなくなります。

 

これまでも、そういった事態は何度も起きていて、(ダメですが)ある程度慣れています。


しかも、そういう問題が起きた過程で工夫することで、新たなモノづくりのキッカケが
ポンとできることもあるので、全くダメとはいいませんが、
やはり今まで出来たことができなくなる。
表現の手数が減る、
パレットの一色が無くなるような感じで、少々イヤな感じがします。

 

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今回も今の色では少し単純になり過ぎるため、箔の上に通す緯糸を調整したりして、
元の色に近づける、もしくは全く違う色にする。ということで進める予定です。

 

もし、同じ帯を同じ配色で作るとなったときでも、今後はほぼ一から。
そんな状態になることが予想されますので、それなら新しい意匠を作ろうか。
そういう風にポジティブに考えていきたいです。

 

もうやってる、と言われそうですが、その場合にはさらに。。。

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2015年05月06日

GW4日目

 

明日から再始動です。
懸念だった資料整理も随分捗り、今年のGWはボケずに済んだ様です。

 

明けてから進めたいのは、唐長さんとの深化したモノづくり。

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今まで、実験、試作は山ほど製作しましたので、それの再検証だけしても、
相当な新商品が作れそうです。その一つがこの生地。

 

ベースは御召ですが加工、長さによってはストールにすることもできそうです。
まだ、しぼの付け具合やそれと連動する巾などには、検討の余地が沢山ありますが、
今の段階でも見せる方皆さんに『イイ、欲しい!』と言って頂けますので、
ここらから再スタートしても面白いかもしれません。

 

南蛮七宝文様の一つ意匠だけとっても、紹巴織、二重織り、経錦、経紬、しぼ等
あり、それぞれ得意とする色、配色があり、風合いがありと、これまた検討する
余地が沢山あります。

 

早いこと手を付ければ早いこと進む、明日から頑張ります〜。。

2015年05月01日

サイクルを反対にする必要のあるモノづくりかも。

 

今日は午後だけでも書けそうなことが山ほどあります(唐長さんとのモノづくり)。
整理するだけでも膨大な時間がかかりそうなので、それは整理しながら、
モノづくりの形で紹介していきたいです。

割り込みの南蛮七宝/大島紬も上がってきましたし、今年は後半に掛けて、
違う展開もお見せ出来ると思います。

 

 

御召

その話は置いておいて。

夏単衣御召の製作が進行しています。

 

いつまでも着てられそうな(多分真冬以外の10ヶ月?)組織を作り、対温暖化に真向きな
着物になります。

仕立て上がると大変便利な着物です。ただ、その前段階(反物)では織組織を組むのに、
柄によっては『できる、できない』があり、今のところ、10柄足らずです。

いずれやっては行きたいですが、去年から取り組んで、この柄数ですので、今はまず
合わせやすく帯シリーズと絡ませれる所。そんな部分からはじめています。

 

それで、出来たこの柄。

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『Kilim/夏単衣
』(未発表)

 

 

元々この柄は袋帯から来たものです。
大きさを半分近くにして、色数を減らす。透け過ぎない透け感を作るために、
地紋に工夫して、写真の中では白場を減らし過ぎないように、ただしグレーから
離し過ぎないように(オセロのスタート時のように)、構成しています。
まあ、時間がかかる織物です。

 

去年も暑くなり始めた頃から上がり始め、夏真っ盛りに全て仕上がり、寒くなり始めると
同時に柄作りに入る。ちょうど必要な時に無い(笑)ので、スピードを上げるか、
モノづくりサイクルを変えるか、今年こそは、そろそろ、考えなおそうかな?

 

2015年04月25日

これから数ヶ月は経錦にハマります。

 

しばらくは『しぼ織』で御召緯の縮む具合と対峙していました。
次の『しぼ』に掛かるのは、少し時間を開けた方がイイので、今度は『経錦』へ。

今までのものは、ある程度は自分たちでコントロールしながら、
やるだけやって後は自然に任せていたモノづくり。

今度はかっちりとした紋の中でのモノづくり。
性質は反対くらい異なる織組織です。

 

この『経錦』=『漢錦(あやにしき)』、目立つのはこの様な大柄。
UPするととても評判の良いシリーズですが・・・、

 

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本当はこういった帯ばかりでなく、結構質素な(笑)柄も得意です。
少し前に『鳴錦』シリーズで製作していたモノは、モリスの静かな壁紙みたいな柄が
多く、目立つとは言いづらい。でも根強い人気のある帯群でした。

 

ここで書く自分もそうですが、この織組織はできれば柄だけでなく、結び心地に注目
して頂きたいです。触った感じは、(打ち込みも違うので)紹巴織よりも少し固く、
表面に凹凸がすくないため、紹巴織と似ている様に思われることが多いです。

 

ただ、結ぶと紹巴織の緯で柄を作るのとは違って、経てで柄を作る織物です。
どちらが結びやすい?ではなくて、結び心地の感覚自体が異なります。
(だから紹巴に慣れきってしまうと、切り替えが必要かな?)

 

文章にするのは難しいのですが、この漢錦の結び心地にハマってしまうと、
紹巴に比べて柄はグッと少ない、経錦の柄探し、もしくは新柄待ちとなってしまいます。

 

機が一台、職人も一人と、となみ織物の中ではマイナーな織物ですが、
是非、試して頂きたいです。

 

そんな風に心からお勧めしたい、織物にしばらくは自分もハマって行きたいです。
楽しみにしていて下さい。

 

明日からは、久々の新潟へ行ってきます!

そう遠くならないうちに、久々の北海道も行きたいな〜。
と企画中しています。。。

2015年04月24日

紋で沈めるしぼ織のかたち

 

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お太鼓にポンと鳳凰の柄。
となみ織物で昔に紬地で製作した意匠を今度は『しぼ織』に。

となみらしくないこの柄をしぼ織で作りたかったのと、
その『しぼ』に関しては、しぼを作るための織り、素材(御召緯)なのに、
それを紋で抑えています。

 

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『今までのしぼ』                   『今回のもの』

 

今までと書きましたが、これは御召緯の特長を捉えたモノで今後も使いたい地紋。
右の今回のモノに関しては、柄の表現として、使って行きたいモノです。

 

特に今回の様な鳳凰が中心に来るものは、地紋まで隆起させると煩い。
そう感じたので、今回は沈めました。それでも通常の帯よりもボリューム感は感じる地風です。

 

この二つを使い分けて帯を製作することや、一本の中でもしぼを付ける部分と沈める部分、
といった表現が新たにできるはずですので、この帯一本作ることで、『しぼ織』自体の表現力も
上がりました。

 

自分でも次の柄を考えますが、若手がこれらの地紋を使い面白い新しい帯ができることを
楽しみにしています。

 

 

 

先日もUPした牡丹桜はこの様に咲きました。

見事です・・・。

 

今年は残しておきたかったので、UPします。

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2015年04月20日

明日、見に来られる方のために。

 

会社向かいのショールームを明日の『南蛮七宝』用に陳列替えをしていました。
ショールームと言いつつも、陳列練習のため、少しずつ商品だけでなく、棚板の位置、
商品台、商品並びを変えています。

 

毎回スタッフの打ち合わせで話し合っているのが、商品を良く見せる陳列ではなく、
一つ一つが立つ様な陳列です。言うの簡単、でも難しい。


有り難いことに、ここは売るためには?と考えなくて良いスペースです。
一つの商品に対して、どう売るか?との会議はせずに、作る時に考えていた利点以外に、
使っているうちに気づく利点ってなんだろう?そんな打ち合せをしています。

 

ですので、その話し合いが活きるような一つ一つの商品が立ち、
その陳列が心地いいと感じるまで試していきたいです。

 

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『南蛮七宝文様/御召、八寸名古屋帯←着る時は合わせなくても』

 

店の主張が前に出過ぎてゴチャゴチャな陳列、
スッキリし過ぎて何を見て欲しいか、伝わらない陳列。

そうではなくて、毎日試行錯誤して、考え続けていれば、
スペースも限られた場所なので、少しずつ良くなっていくと思います。

 

明日の皆さんの反応がとても楽しみです。

 

 

 

2015年04月18日

今日の着物。。袷モノがもう少しほしい。

 

3日間の出張が終わり、京都へ戻ってきました。

写真を撮ろう撮ろうと思っていたのに余り撮れず、仕方なしに
今日着ていた自分の着物を撮りました(折角出てきたのに残念)。

 

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羽織は御召に紬を通した南蛮七宝文様←昨日は立涌地紋の無地。
麹塵染の南蛮七宝御召。角帯は紹巴織の作楽。羽織紐は仙福屋でもお馴染みの
純銀帯留め作家さんに作って頂いたモノ。

写っていませんがお襦袢は若冲の付喪神。
そんな構成です。

 

夏や単衣モノは最近作りましたが、袷モノは何年も作っていので、
そろそろ自分用に。そんなモチベーションでモノづくりに取り組んで行きたいと
思っています。

 

今日置いていたヤヤコシイ紬の着物(もちろんうちのオリジナル。)を見て触って、
何かできそうなイメージが湧きましたので、早いことこの気持のまま、
この辺りをベースにモノづくりをしていきたいです。

 

これくらい短い出張でも、皆さんから濃いお話も聞けて、とても有意義でした。
福岡の皆さん、ありがとうござました!

2015年04月11日

ながーい目出し。

 

下の写真『仙福屋の御召/単衣&夏』の目出しです。

仕立て期間を考えると、そろそろ夏前の単衣期としては、
最終に近いです。

 

DSC01981.jpg

 

以前は夏前の単衣期には薄地、夏後の単衣には秋の色。
そういう傾向がありました。

 

最近では、その傾向も少しずつ変わり、ほぼ夏前の色目で占められるように
なっています。温暖化のせい?という話も出ていますが、今は真冬の袷時期でも、
薄地色が人気です。

 

薄地への憧れの様なモノも感じますが、ただ単に魅力ある濃い地が作れていない可能性も
ありますので、今年のこれからは製品としての薄地を作りながら濃い地も探りたいです。

 

この夏単衣着物は、去年が最初のデビュー年。
今年が2年目、袷の御召の様に皆さんに愛される着尺になってもらいたいです。

 

2015年04月03日

完成すれば、コロンブスの卵。

 

例えば、『◯◯◯という様な着物できませんか?あったら絶対イイと思います。』

と、着物として永遠の課題と言って良い程の宿題を頂いています。

みんな分かっているけれど、若しくは手を付けたとしても、確実に失敗しそうだから、
目に見える課題の壁が高すぎて、手を付けることも出来ない、宿題です。

 

うちがやるべきだろうな、と何度か取っ掛かりを見つけようと、挑戦はなんどもしていますが、
今日みたいに正面から言われると、どこか避けていた課題でもありました。

 

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『仙福屋の夏単衣御召』


(この夏単衣をベースに)明日からそれに取り掛かりたいと思います。

こうやって漠然としか書けませんが、改めて進み次第、
少しずつそれが何か明かして行きたいです。

 

気になる方、楽しみにしていて下さい(笑)!!

 

少しずつの改善、積み上げは出来ても、
突拍子もないアイデアがパッと浮かぶことは机の上では少ないです。

 

春はちょっとした自然の変化が日に日に現れてくるので、
数分でも上を見ながら散歩するのが良いのかもしれません。


 

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昨日の様な桜も良いですが、今堀川通のイチョウ並木に新芽が一斉に出てきました。

桜と隣合っていることもあるので、ずっと薄いピンクに慣れた目をここに向けるのも、
良い変化になってとても良いですよ。

 

落ち着いて出来てしまったモノづくりに満足しているよりも、課題・宿題が目の前にあって、
あーでもないし、こーでもないしと試行錯誤をし続けている方が自分たちには合っている、
とつくづく思いました(笑)。

そんな悩ましげないい一日でした。

 

 

2015年03月28日

お湯に浸す数時間前。

 

最近はモノは紹介しても『モノづくり』自体はあまりここには出てきません。

ではモノづくりしていないのか?

というと自分個人としては、確かに『帯』や『着物』のような形に残りそうなことは、
あまり進んでいません。

どちらかというと、今は次の核になりそうな案のモノづくりや、
他社とのコラボレーションでのモノづくりを中心にしています。
(正直、こちらも進まん。。。でも、勉強になる。)

 

となみ織物全体としては、モノづくりに関わるスタッフが増えましたので、
一日一柄?という相変わらず、もしかして、それよりもさらにパワーアップしているかもしれません。

 

おそらく出張組が帰ってきたら、社内の情報を見ていなければ
間違いなく浦島太郎状態になります(笑)。

 

 

新しい帯の目出し(試験織)

 

さてさて、そんなとなみ全体のモノづくりとは違い、今回は個人のモノづくりになります。
『しぼ織』。おそらく作楽シリーズになる予定の帯目出しが上がってきました。

3色の候補で織ったものです。

 

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『しぼ織(作楽?)/目出しNo,1-3/経糸:白、ブルーを基調とした配色。』

 

このしぼ織は今では貴重になってしまった本物の『御召緯』を使って製織。
その後、お湯にくぐらせ縮め、それを再び帯巾に広げて、しぼを作る織物です。

上の写真は、そのしぼをまだ付けていない段階の最初期段階モノ。
(これくらいの目出しであれば、来週早々にしぼを付けたものを見ることができます。)

 

 

御召緯を使った帯

 

御召緯がお湯に浸かると、その特徴から縮む。
そのため、ある程度『紋』でその縮み具合を調整し、柄に見せることも出来ます。

帯にしても評判上々。
小物にすると、大方は『えっ帯?というよりも、その前に絹?』そんな反応が返ってきます。

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『しぼ』の隆起が地部分のメリハリになり、この帯独特の雰囲気を作ってくれます。

 

 

新しい試み

 

今、目出しとっているのは、この隆起をさらにコントロールしてしまうこと。

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しぼ織の高いところが山、低いところが谷だとしたら、谷部分は平穏にまっ平ら。
反対にその分を山に持ってこれば、帯にはさらなるメリハリと、新しい表現が手に入る、
かもしれません。

 

 

これを書いている間、この帯に関して、いい案が出てきましたので、早速週明け試してみます!!

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2015年03月23日

南蛮七宝文様 上から色を引く。

 

南蛮七宝文様のモノづくり。

一つの柄を追っかけて、帯の織組織や着物、小物、織り産地まで変えて、
試行錯誤を続けています。帯のモノづくりの要素としては、色・柄・組織ですので、
そのうちの『柄』の部分は切り捨ててしまったモノづくり。

代わりに残りの2つ、色と織組織には徹底して拘ることができます。

 

その南蛮七宝文様の御召は、南蛮七宝文様の着物を作り始めた際の第一号となる
モノづくりでした。経糸に三眠蚕やブラタク糸を使って製作。

ハリがあって、薄く、単衣でも袷でも選択して頂くことができ、さらに風合いから、
着物でも羽織でもコートでも。また反物の巾も広く織っていますので、男物も可能という、
南蛮七宝文様に興味をお持ちの方には、抜群の広い用途をもった着尺です。

 

その反物を今回は引き染めしてみました。

 

通常、あまり先染めの無地では行わないことです。

御召入れた極彩の縞や織物の凹凸に染料が入ることで、文様と合わさって一体どうなるのか?
(ちょうど羽織も欲しかったので、失敗したら、最悪自分で着よう。と)

 

製作したものがこれ。

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『南蛮七宝文様/先染め+引き染め』

 

元々ある縞に染料が入り込み、その縞が潰れ消えたり、表に出たりしながら、
奥行きができました。また、地に入っている元々の色が上から引いた色とで
干渉しながら、複雑な色になっています。

 

文様も写真のように浮いたり沈んだりします。

 

ただいつでも良い感じに上るとは思いませんので、偶然にも多少頼りながら、
着物を作る。そんなモノづくりです。

 

出来が良かったので、かえって自分の着物にしたくなってしまった、
そんな反物です。

 

 

2015年03月04日

キズもスジも汚れも無いB反。稀です。

 

タイトルの通りだと思わず、問題無さそうですが・・・。

昨日紹介した御召と一緒に上がってきました(百何十本かに一本の確率です)。
(もちろん織り手さんは気づかれ、すみませんと。)

 

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『仙福屋の御召/麹塵染め(アウトレット)』

 

 

問題は、重量面。

この表題御召はそこで、引っ掛かりました。

 

モノづくりする際は帯も着物も、この『重量』には特に気をつけています。


糸を沢山使った方(重くなる)が原価的には高いので、高級。
という考え方を元に製作されているモノもあります。

特に昔は今よりも、そういう考え方が強くあって、昔の帯は総じて重いです。

 

ただ、お洒落着、街着である限り、生地を軽くしていくのが、着る方への負担も少ないため、
モノづくりの正しい方向だと考えています。

とは言っても、生地が軽すぎると、手持ち感がペラペラで、
シワになり易く、しかも戻らない。そうなると、絹の場合それもまた問題です。

 

 

 

『仙福屋御召/麹塵染め』この着尺は帯と同じ麹塵糸に通常の糸とを交互に入り、
重量面やシワ、風合いのバランスを取りながら織ります。

 

 

余談になりますが、時々反物の〜gという重量自体は軽くても、
手持ち(着心地)が全く軽さを感じない、不思議な反物があります。

織組織や糸の使い方、打ち込みの具合でそうなってしまうのですが、
こればかりは織ってみて、実際に手に持ってみる。そんなアナログさも重要です。

 

人間の手ってスゴイとその度に感じます。
ぜひ、沢山の反物を見られる際は、実際に反物全体(←ここが重要)を持って触って、
他と比較する、是非して頂きたいです。

 

話は戻りますが、丸巻き自体で見ても、これだけ違います。

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『左が通常。右が今回の稀な反物』

 

この反物は自分用でも相当枚数を作っているので、どうしょうか検討中です。

 

さらに余談ですが、反物や帯を持つ時に軽ければ、その時心のなかでは『よしよし』です。
重かった場合、『重っ』とは言いますが、感覚的には『おもい』というよりも『ヘビー』に近いです。

そうすると、本当にイメージが重く、どれだけ糸の通った織物でも、せめて『重いなぁ』くらいに
戻そうと思います。感覚だけの話で、非常に伝わり難いアナログな部分ですが、これも心掛けとしては、
大事です。

 

 

 

 

2015年03月03日

桃の節句。

 

3月3日は桃の節句。

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桃をモチーフにした帯は社内でも少なく、図案で数柄のみです。
(思い当たっただけですので、来年はもう少し調べてみます。)

 

桃の節句も桃太郎の話と関係があり、鬼(邪)を払う。
だからお供は鬼門(北東)の反対方向、申、酉、戌を連れて行った。

古代中国でも仙人の果物、仙果だったり、孫悟空が食べ散らかしていたのが、桃だったり、
とモノづくりのベースとなりそうな題材は(熟れていないものの)一杯あります。

おそらくモノづくりをしていないと、
『桃の花』を『桃』として意識することも少なかったと思います。

 

ほわっとした色を作るために、染めも含めて、ゆっくり考えたいな。
と桃を見ていました。。

 

 

 

さてさて、今日は年間通じてずっと人気のある、仙福屋の御召。

新色が上がってきました。

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『仙福屋の御召』

 

この織組織は打ち込みを入れてシャリ感を作りつつ、生地を立てると透けるほどの
薄さを持った生地です。

 

そのため生地としては、真夏以外の袷・単衣時期を仕立てによって対応できるため、
同じ織り方で春は春らしい色、単衣は涼しげ、秋はシックに、冬は暖かみのある色で
配色を行います。

 

今回は(桃色はありませんが)真冬に想像した春から、単衣時期をイメージした色目です。

 

どんな色、柄の帯を合わせて頂けるのか、楽しみです!

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2015年02月09日

雪佳のきもの/仙福屋の御召

 

『雪佳のきもの』のベースにもなっている『仙福屋の御召』は、帯と絡ませながら製作をしています。

 

たまに、『柄決まっているから楽やな〜。』と同業の方から言われます。
『そうですね〜。』その時は答えますが、実際はそんなことないです(笑)。

 

帯柄から御召に、特に仙福屋の御召は独自に『新しい無地を作ろう』と意識してしていますので、
柄はシンプル、色数は極限まで減らしています。

そのため、時々帯としては抜群に良いが、色数を減らしてみると
『この柄はじつは色で持っていたのかも・・・。』ということも。

帯でも時々は感じる色数の制限が、ここではさらに窮屈になり過ぎて、
『あ〜!』となることもあります(最近は慣れてきたので、やっと大丈夫です。)。

 

さてさて、タイトルにあるように、上記仙福屋の御召で『雪佳のきもの』を作っています。

今年は琳派400年になるので、琳派最後の巨匠といわれる雪佳も注目を浴びています。

その流行に乗るのも会社として大事だと思いますが、モノづくりの場合、波が来たから簡単に乗る、
というのも何なので、この着物に関しては今年の400年が終わった、来年401年に揃いそうな、
ちょっとへそ曲がりなモノづくりをしようか?と思っています。

 

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『仙福屋の御召』

 

神坂雪佳をモチーフにしたモノづくりは、十数年以上は行っています(琳派300数十年?)。

今年に入ってからの琳派の(この業界での)盛り上がりはワールドカップみたいですので、
そこからは少し距離を取りながら、と思っています。

できれば、琳派を知らなかったけれど、今年を契機に琳派が好きになり、興味を深く持ち、
入り込んでくれる方、そんな人向けのモノづくりになれば、と思っています。

 

 

個人的には、来年401年になった時に、こちら側の業界はどれだけ琳派を続けているのか、
今から楽しみにしています。一年で終わるには奥が深過ぎるテーマなので、ずっと続けて、
盛り上げていきたいです。

 

それでも今回の広告は、会社的に『神坂雪佳の世界』をと思っています。
うちでもやっていますよ、という小さなアピールもしておきますね。

2015年02月05日

となみ帯を使って製作したポーチ。

 

メーカーとして帯を作る際にどうしても、出てくる目出しや帯にならないハギレ、
試験織だからと言って、織や染めをサボる、ダメな糸を使う、そんなことはありません。

そのため、試験織(目出し)もずっと取っておく『保存用』と保存用を取るまでの『試験用』
の二つに分かれます。

 

この試験用ですが、それまでの関わってきた職人さんのこと、工程、素材としての絹を考えると、
当然、捨てたり、粗末にするわけには行かず、保存用とは異なる場所に置いていましたが、
ここ最近は用途が出てきました(帯地を織っている最中に数%は出てくるキズ物等も同じ。)

 

草履の鼻緒やバッグがその用途の一つですが、絹織物を使った素材として、純『和』ではない
小物も作りたい、そんな声もよく聞きます。社内でも同じで、商品化するかは、横に置いておいて、
いろいろ試行錯誤、作って使って、改良してを繰り返し、行っています。

その中から出てきたのが、今回のバレンタインデー企画で紹介した『仙福屋のポーチ』。
 

ある方の『絶対、男にウケる。』との声を頂いてから、自分でも使っていますが、
これが意外にもホントに便利です。

 

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『一番最初に作った見本です。自分の南蛮七宝/御召の生地を使ったモノ』

中には写真のように、デジカメ、充電器+コード(2本)、イヤフォン。
まだ入りますが、これ位が丁度良いポーチの膨らみになってくれます。

 


このポーチは『(男性からすると)自分では買わないかもしれないけれども、もらったら
物凄く嬉しいもの。』の範疇に入る様な気がします。

帯(もしかして、絹糸)の立場からすると帯になるつもりが、それともハギレで諦めていたのが、
まさかポーチになって、毎日使って頂ける。お客さんから良い評判を頂けるのであれば、
社内には山ほどある『試験用』裂も、幸せかもしれませんね。

 

今後も、帯づくりと共に色々とやってみます。

 

私達の目標として、『自分たちが作ったものを持って頂く。』ことです。

それは、もちろん帯や着物を考えていますが、
これが毎日使って頂けるものであれば、小さな小物でも、とても嬉しいです。

 

 

ちなみに、このバレンタインデーのポーチ柄は仙福屋スタッフが、
『自分がもらったら、うれしい柄』を真剣に選んでいましたよ!

 

スクリーンショット 2015-02-05 23.47.05.png
 →http://www.senpukuya.jp/products/list.php?category_id=165

 

 

 

 

 

2015年01月06日

新年の挨拶回りでの着物。

 

昨日の新年の挨拶回りはこの着物で行きました。

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『着物:御召(南蛮七宝)、羽織:御召、襦袢:南蛮七宝(坪金生地)』

 

紋付きを着る機会があるので、紋付きで袴履いて練習するか?という気持ちを
ありましたが(袴は久々なので直ぐに履けるか微妙・・・)、やはり新しい年の初めは『南蛮七宝』。

ということで、上の格好です。

 

毎年、仕事始めの西陣の智恵光院通は午前中、挨拶回りの車で一杯になりますが、
不思議なことに殆どの方は、白いネクタイにスーツの方ばかりです。

そこにいる皆さんが、ビシッと紋付きばかりだと、京都(西陣)の密かな見どころにも
なりそうなのですが、今のところとても残念です。

 

少し減りましたが、着物は年間通じて、相当着ます。
今年気をつけたいなぁ、と思うのは着物整理。

色んな所に置くためか、着たい時に手元に無いことがとても多いです。
(全く自分のせいですが・・・。)

 

それに加えて、特に羽織紐は羽織に付けたまま、畳んでしまいますので、
羽織一つ一つ、開けて見ないと、その時付けたい紐が無かったりすることも、
よくあります・・・。

 

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(二つの石が磁石で引っ付きます。)

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(もの凄く重い土星です。)

 

個人的な今年の目標は、着物の大整理。
 

 

ちなみに、行方不明中のお気に入り羽織紐です。。。

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これはどこかの羽織に付いているのを見た様な・・・。

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整理、がんばります〜。

 

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2014年12月02日

南蛮七宝文様+綿薩摩

 

南蛮七宝の続きは、この着物『綿薩摩』です。

南蛮七宝/御召(染め)から始まり、御召(織)、大島(茶泥、白、しーぎ、夏)、ブラタク×2
と様々作ってきました。これに三重紗や紋紗、ビロードなどが加わります。

 

今まで絹でしたが、今度は綿薩摩ということで『綿』(絹よりも高いですが・・・)です。

生地を織って頂き、型で南蛮七宝文様を・・・。とだけ思っていましたが、当然ながら絹→綿に
なりましたので勝手が違います。

 

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綺麗に色が入らず(特に真ん中)、正反を潰し試行錯誤して辿り付いた反物です。

 

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現在のところ、薄地のみとなっていますが、濃い地を製作するためにも
型を作って、現在試行錯誤中です。

 

(まず2反)作ってみてベースとなる生地も織りも違うことから、光の入り方が違います。
そのため、綿の場合、全体に透明感を感じられ、より和紙に近づく様な雰囲気がします。

 

着物として全く違うモノですので、どちらがよいか?というのは、これから考えていく所ですが、
(おそらく結論はでません)南蛮七宝文様を乗せる土台としては、有りだと思います。

 

早く仕立てたい着物が上がってきました。

 

2014年11月13日

色の深みを織組織でつけてみました。

この頃(お盆)に製作していたものが上がり始めました。
 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2014/08/post-1998.html

 

一つは、この柄。

 

IMG_1753.jpg
『作楽/しぼ織』


少し前に、紹巴織で織っていた『青』が頭に残っていましたので、
その色をベースに色が生きそうな柄付けに、しぼ織りという織り組織を変えてみました。

紹巴で織った時は、月がモチーフの柄で、自分の中では夜空の色を作ったつもりでしたが、
柄の空気感からか、透明感のある色の表現を沢山の方から、頂きました。

たとえば、

明け方になり始めた頃の青、とか、
宝の方の石の青とか、
月の明るい時の夜の海の色、

こんな感じで、いくつかはメモさせてもらっています。

 

しぼ織は、御召緯を使い広巾で織ってからお湯に付け縮めるという過程がありますので、
どうしても配色した色そのものとは、異なってきます。その辺りも考えつつ、作るのですが、

このモノづくりでしたかったのは、この色を使いつつ、しぼのメリハリによって、
『青』の濃淡ができる。ということです。

 

IMG_1754 -3.jpg
『タレ無地部分』

 

しぼが隆起していますが、この一番山の部分と谷の部分とでは、光や見る角度によって、
濃淡は変わりますし、また着物や小物、合わせる色によっても、おそらく変化してくれる
と思います。

その時、またこの帯を見た方がどんな色をイメージして下さるのか、
とっても楽しみです。

 

特にタレ無地部分は、とても良さそうな色に。。。

 

 

 

 

 

2014年10月21日

紬実験

 

鹿毛引き紬を作ったのは、もともとは自分が着たい、
薄くてざっくり(この辺が少し矛盾)した生地作りからです。

 

紬の節の感じと御召の風合いをブレンドした(簡単に言えば)、

IMG_0745.jpg

 

 

 

 

IMG_0741.jpg

2014年09月17日

不思議な帯ができました。

先日紹介した『作楽』帯

まずは帯として一本上がってきましたので、ショールームに陳列してみました。

 

SDIM0421.png
『作楽×仙福屋の御召』

 

お太鼓にすると、この丸が中心に来るようにしていていますが、
お太鼓にして陳列すると、その場所に不思議な雰囲気が漂う帯です。

 

できれば、写真よりも実物で見てもらいたいと思い、
ショールームに陳列してみましたが、違和感あるような無いような、
なかなか評価の難しい(笑)帯になってくれました。

 

一応、お太鼓にした時の丸は卵に見立てていて、と書くと
この帯の英文が何か判ってしまいますね〜。

 

紹巴ならではの表現力を活かして織った帯でした。

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