となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年04月11日

ながーい目出し。

 

下の写真『仙福屋の御召/単衣&夏』の目出しです。

仕立て期間を考えると、そろそろ夏前の単衣期としては、
最終に近いです。

 

DSC01981.jpg

 

以前は夏前の単衣期には薄地、夏後の単衣には秋の色。
そういう傾向がありました。

 

最近では、その傾向も少しずつ変わり、ほぼ夏前の色目で占められるように
なっています。温暖化のせい?という話も出ていますが、今は真冬の袷時期でも、
薄地色が人気です。

 

薄地への憧れの様なモノも感じますが、ただ単に魅力ある濃い地が作れていない可能性も
ありますので、今年のこれからは製品としての薄地を作りながら濃い地も探りたいです。

 

この夏単衣着物は、去年が最初のデビュー年。
今年が2年目、袷の御召の様に皆さんに愛される着尺になってもらいたいです。

 

2015年04月09日

上がってきました『南蛮七宝文様/三重紗』

今日は一日打ち合わせ。

珍しく一日絹に触ることがなかったなぁと思っていた矢先、
塵よけが上がってきました。職人さんがこの仕事を最優先にして下さった様で
(そんな素振りも見せはりませんが)、予定よりも随分早い上がりです。

本当に有難いです。

 

DSC01984.jpg
『南蛮七宝文様/塵よけ(三重紗)』

 

前回は問題があり、4歩進んで5歩後退してしまいました。
一番最初の白生地状態『0』よりも、戻ったことになりましたが、
今回の仕上がりを見ると、その5歩戻った分も結果、色の深みになりました。

この染め屋さんが扱う初めての生地だったので、最終の詰めと確認をしたいとの
ことで、生地はもう一度持って帰られましたが、本当に完成度です。

 

最初の失敗はもちろん偶然でしたが、そのお陰もあってできたモノづくり。
次ねらって行うと間違いなく失敗そうなのでやりませんが(笑)、
皆さんにその辺りの話もしながら、この反物を見て頂ければ、と思っています。

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2015年04月07日

モノづくりスタッフと身につく能力 その2

 

年間、帯にするために何百何千と図案を見て検討、モノづくりをします。

図案展があれば、図案を意識して新しいモノづくりのキッカケになることも
ありますが、それがなくても社内の図案庫に行けば、何かしらのアイデアがあります。

 

今、企画中のモノも、アイデアが降ってこないと進まないので、
時間を見つけては篭っています。これについてはまた後日。

 

図案を見ながら時々走馬灯の様に思い出すのは、初めて落とした図案。

意味も分からず、『どの図案が好きか?』と聞かれて、『これ。』と答えたものです。
いま見ると『帯の図案』としては、そんな良い図案とはおもいません(笑)が、
目をつむっても自分で書けそうなほど、鮮明に細部まで覚えています。
(自分では帯にせず、紋作りを横で見ていました。。)

 

図案に対する記憶というのは、不思議なものです。
意識して図案を見ていなくても、以前見たことがあるか、ないか?
社内に無数にある図案と、見ている図案、製作しようとしている図案と似たものがあるのか?
覚えています。

 

先日の展示場にある箱からのぞいている一部の帯柄を見て、全体の帯が分かるのもそうですが、
これも社員としての能力なのかもしれませんね。


つい最近目出しが上がってきた帯も、帯づくりを始めた頃に見た帯のリメイクです。

DSC01743.jpg
『しぼ織目出し』

 

この時は経糸に紬を使った帯で、黒地。元々は正倉院宝物の柄ですので、珍しい柄ではありませんが、
その帯を結ばれた姿を見た時に、『自分だったらこうしよう』。

そう思った記憶が残っています。

 

まだ、写真のように手探り配色状態なので、偉そうなことは言えませんが、時々こういう記憶が表に
出てきて、モノづくりのキッカケにもなります。

 

この帯も完成した時はぜひ皆さんに見て頂きたいです。

2015年04月03日

完成すれば、コロンブスの卵。

 

例えば、『◯◯◯という様な着物できませんか?あったら絶対イイと思います。』

と、着物として永遠の課題と言って良い程の宿題を頂いています。

みんな分かっているけれど、若しくは手を付けたとしても、確実に失敗しそうだから、
目に見える課題の壁が高すぎて、手を付けることも出来ない、宿題です。

 

うちがやるべきだろうな、と何度か取っ掛かりを見つけようと、挑戦はなんどもしていますが、
今日みたいに正面から言われると、どこか避けていた課題でもありました。

 

DSC04922.jpg
『仙福屋の夏単衣御召』


(この夏単衣をベースに)明日からそれに取り掛かりたいと思います。

こうやって漠然としか書けませんが、改めて進み次第、
少しずつそれが何か明かして行きたいです。

 

気になる方、楽しみにしていて下さい(笑)!!

 

少しずつの改善、積み上げは出来ても、
突拍子もないアイデアがパッと浮かぶことは机の上では少ないです。

 

春はちょっとした自然の変化が日に日に現れてくるので、
数分でも上を見ながら散歩するのが良いのかもしれません。


 

DSC01782.jpg

 

昨日の様な桜も良いですが、今堀川通のイチョウ並木に新芽が一斉に出てきました。

桜と隣合っていることもあるので、ずっと薄いピンクに慣れた目をここに向けるのも、
良い変化になってとても良いですよ。

 

落ち着いて出来てしまったモノづくりに満足しているよりも、課題・宿題が目の前にあって、
あーでもないし、こーでもないしと試行錯誤をし続けている方が自分たちには合っている、
とつくづく思いました(笑)。

そんな悩ましげないい一日でした。

 

 

2015年04月02日

さくらさくら。

 

今日の昼休み、会社近所周辺(寺之内通)を約20分ほど散歩してきました。

昼間は車で通りますが、景色は車目線でしか見れてませんし、夜は歩いたとしても、
寺社仏閣通りなので、灯りはすくなく景色は変わってしまいます。

 

明日からの天気が曇り雨とは考えられないくらいの晴天で、
桜はこんな感じでした。

DSC01807.jpg

 

帯の配色には最近使っていない配色ばかりですので、
目の前にそういう色が広がると少々とまどってしまいます(笑)。

僅かに白の入った単色の水色の空とのコントラストが本当に素敵でした。

 

光を受けている桜も色が輝いて好きですが、
光を背にした桜も、夜桜のような迫ってくる迫力があって、これもまた素敵です。

 

DSC01836.jpg

 

毎年見ていても飽きない魅力ですね。

 

 

社内に帰るとちょうど『しぼ織り』目出しの配色確認。

 

DSC01750.jpg
『しぼ織り・目出し』

 

目が外の色を受けて、感覚がズレている様な気がしますが、
これから自分の欲しかった色目に近づけていく工程に入ります。

冬に図案を作っていたモノですので、目が元に戻しながら、自分の欲しかったモノに
修正を掛けていきます。

 

週末、もう一度桜を見たいので、最終の配色に決まるまで、
もう少し掛かってしまいそうですね〜。

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2015年04月01日

先日の三重紗。見事に失敗。

 

先日の三重紗白生地

引き染めでやってみましたが、見事に失敗。

そのまま行けないことは無いけれども、僅かにムラになる気配(←結構大事です)があったので、
今後はこの手法でやらず、この反物では深入りせずに、この段階で止めて、引き返してきました。

 

IMG_4890-1.jpg
南蛮七宝文様/三重紗』

 

染屋さんとは前回の打ち合わせの時に、完成した姿を話し合っていましたが、
少し焦りながら、次回は違う方法で色を入れていきます。

 

(最初の引き染めが下染めになり)何度も色を掛けることになります。
結果、同じ色だけど深さのある色となる、そんな予想をしています。

色見本と比較しても同じ色だけれども、反物を立てたり、
仕立てて着るとなにか存在感が違う。

災い転じて・・・となることを祈っています。
 

同時に違う色を5反染めましたので、
これらの反物だけ特別バージョンにしたいなぁ。。。

 

IMG_4892−1.jpg
『となみブルーに近い色味も』

 

4月中旬にはいずれかの一反は上がってくる予定です。
こういうことがあると、この5反は愛着が湧きますね〜。

楽しみです。

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2015年03月31日

春色を再確認する。

 

京都も桜が咲き始めましたので、朝撮りました。

 

IMG_7441.jpg

 

ふだん見る昼間よりも花びらや萼にピンクが挿す感じがして、
朝早く起きて得した気分になります。

 

ちょうど日が昇る最中。
少し時間が経つとその空の白さも取れて、桜の花弁と空、枝、僅かに出る葉
色の組み合わせは帯意匠にできそうです。

 

 

DSC01282.jpg

 

すでに社内に桜を意匠、モチーフにした帯は沢山あります。
他の花だと『同じ意匠だし、もうしばらくは、いらないかな。』となるのに、
今日みたいに朝の桜を見ながらだと、毎年桜の帯を作ってしまう。

無条件に納得してしまいます。

 

今日は、その桜に合わせてか、春小物の製作依頼が数多くきました。

 

IMG_4894.jpg
『総紗縫/丸巻き』

 

帯も小物も、今日言って明日できるものではありませんので、
仕込みというか、ある程度は春手前に仕上がってくるように春色を用意します。

 

それでも、『もっと春らしいモノがあっても良いですよ。』
との声もよく聞きます。

 

やり過ぎの『春』くらいでちょうど良いのかなぁ、と去年の日記にそう書いていますので、
毎年、同じくことを繰り返しているようです。

自然の凄さですね(笑)。
今日の朝桜を見て、桜の色ってこんなんだったと。再確認させて頂きました。

モノづくりに活かしますね。

 

今日は総紗縫の帯地を使っての丸ぐけ依頼でした。

 

2015年03月28日

お湯に浸す数時間前。

 

最近はモノは紹介しても『モノづくり』自体はあまりここには出てきません。

ではモノづくりしていないのか?

というと自分個人としては、確かに『帯』や『着物』のような形に残りそうなことは、
あまり進んでいません。

どちらかというと、今は次の核になりそうな案のモノづくりや、
他社とのコラボレーションでのモノづくりを中心にしています。
(正直、こちらも進まん。。。でも、勉強になる。)

 

となみ織物全体としては、モノづくりに関わるスタッフが増えましたので、
一日一柄?という相変わらず、もしかして、それよりもさらにパワーアップしているかもしれません。

 

おそらく出張組が帰ってきたら、社内の情報を見ていなければ
間違いなく浦島太郎状態になります(笑)。

 

 

新しい帯の目出し(試験織)

 

さてさて、そんなとなみ全体のモノづくりとは違い、今回は個人のモノづくりになります。
『しぼ織』。おそらく作楽シリーズになる予定の帯目出しが上がってきました。

3色の候補で織ったものです。

 

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『しぼ織(作楽?)/目出しNo,1-3/経糸:白、ブルーを基調とした配色。』

 

このしぼ織は今では貴重になってしまった本物の『御召緯』を使って製織。
その後、お湯にくぐらせ縮め、それを再び帯巾に広げて、しぼを作る織物です。

上の写真は、そのしぼをまだ付けていない段階の最初期段階モノ。
(これくらいの目出しであれば、来週早々にしぼを付けたものを見ることができます。)

 

 

御召緯を使った帯

 

御召緯がお湯に浸かると、その特徴から縮む。
そのため、ある程度『紋』でその縮み具合を調整し、柄に見せることも出来ます。

帯にしても評判上々。
小物にすると、大方は『えっ帯?というよりも、その前に絹?』そんな反応が返ってきます。

スクリーンショット 2015-03-28 21.08.41.jpg
 

『しぼ』の隆起が地部分のメリハリになり、この帯独特の雰囲気を作ってくれます。

 

 

新しい試み

 

今、目出しとっているのは、この隆起をさらにコントロールしてしまうこと。

DSC04853.jpg

 

しぼ織の高いところが山、低いところが谷だとしたら、谷部分は平穏にまっ平ら。
反対にその分を山に持ってこれば、帯にはさらなるメリハリと、新しい表現が手に入る、
かもしれません。

 

 

これを書いている間、この帯に関して、いい案が出てきましたので、早速週明け試してみます!!

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2015年03月25日

視点を変えるキッカケ。

 

 

意匠は夢二モチーフ。

間の取り方、配色、織組織を作楽なりアレンジ製作した袋帯。

 

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作楽』袋帯

 

帯は、①目出しなどの短い試験織、②帯一本として見る完成段階、③撞木に陳列して見る
④そして結ぶ。

同じ意匠の帯でも、多くのパターンで表情を捉えることができます。

 

 

作り手が全てを把握している、そんなイメージもあるかもしれませんが、
図案から何から何まで作っても、自分たちが把握できるのは、3つ目の陳列まで。

 

4つ目の結ばれた『帯』は、お客さんに教わることが、本当に多いです。

 

その帯を好きになって購入された方の結び方を見ると、作る際に、完成→着姿を入念にイメージはしていても、
着物のコーディネートから合わせる帯締めや帯揚げ、お太鼓の大きさ、全てから学ぶことができます。

 

最近は出張へ行くことが少なくなったので、大事にしたいです。

 

 

他にも、自分で作った帯が小物になった時。

本来着姿をイメージして製作したものが、また違う人の手を経て、帯とは違った形で表現されると
これも帯を見る視点が変わり、学ぶ所は多くあります。

 

 

IMG_4434.jpg
『ダテ型バッグ』

 

たとえば、このバッグ。

お太鼓(一番上の着姿)では通常右側が重くなります(ちょうど写真が切れている部分)。

 

そこに注力して柄を置いていきますが、
下のバッグでは反対に柄がない部分に視点を置いています。

 

自分で製作したものが、帯職人とは違った職人の手が入り、裁断・縫製、
そして最終の形が変わる。


どんな僅かな部分でも、雑に作られてしまうと、本当に腹が立ち、悲しくなりますが、
どこからどう見ても、帯地へ敬意を払って頂き、丁寧に一つずつ作られた。

 

モノからそんな気持ちを感じた時は、本当に嬉しいです。

最近、学ばせてもらっています。

2015年03月23日

南蛮七宝文様 上から色を引く。

 

南蛮七宝文様のモノづくり。

一つの柄を追っかけて、帯の織組織や着物、小物、織り産地まで変えて、
試行錯誤を続けています。帯のモノづくりの要素としては、色・柄・組織ですので、
そのうちの『柄』の部分は切り捨ててしまったモノづくり。

代わりに残りの2つ、色と織組織には徹底して拘ることができます。

 

その南蛮七宝文様の御召は、南蛮七宝文様の着物を作り始めた際の第一号となる
モノづくりでした。経糸に三眠蚕やブラタク糸を使って製作。

ハリがあって、薄く、単衣でも袷でも選択して頂くことができ、さらに風合いから、
着物でも羽織でもコートでも。また反物の巾も広く織っていますので、男物も可能という、
南蛮七宝文様に興味をお持ちの方には、抜群の広い用途をもった着尺です。

 

その反物を今回は引き染めしてみました。

 

通常、あまり先染めの無地では行わないことです。

御召入れた極彩の縞や織物の凹凸に染料が入ることで、文様と合わさって一体どうなるのか?
(ちょうど羽織も欲しかったので、失敗したら、最悪自分で着よう。と)

 

製作したものがこれ。

DSC04814.jpg

『南蛮七宝文様/先染め+引き染め』

 

元々ある縞に染料が入り込み、その縞が潰れ消えたり、表に出たりしながら、
奥行きができました。また、地に入っている元々の色が上から引いた色とで
干渉しながら、複雑な色になっています。

 

文様も写真のように浮いたり沈んだりします。

 

ただいつでも良い感じに上るとは思いませんので、偶然にも多少頼りながら、
着物を作る。そんなモノづくりです。

 

出来が良かったので、かえって自分の着物にしたくなってしまった、
そんな反物です。

 

 

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