となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年08月03日

渦、渦。

 

総紗縫・黒+』の中に渦柄を作っています。

L1910074.jpg

 

人間が作った原始的な柄の一つ(他には縞、横段、格子柄等々)で、シンプルなだけあってバリエーションも豊かです。
今までも帯の意匠として作ってきました。

 

IMG_4127.jpg L1890465.jpg 2L1800167.jpg

IMG_6381 (1).jpg IMGP6226 (1).jpg スクリーンショット 2015-08-03 16.43.37.png

 

シンプルでは無いものもありますが、作る方からすると綺麗に渦を巻いているか、強く意識して製作します。
お太鼓として綺麗なことももちろんのこと、柄が大きくなるので、、陳列の際の具合も意識します(苦笑)。

 

自分で製作のモノもまだありますし、会社的には山ほど意匠として残っていても、厭きることはありませんし、
意外にも『今自分は渦柄つくっているんだ』『渦』と意識されにくい、不思議な柄です。

他で言えば、立涌とか、七宝つなぎ、市松等も比較的シンプル柄なはずですが、渦とは同じようには行きません。

 

と何やかんや書きましたが、
一番上にある『総紗縫・黒+』の渦は(写真の様に)シンプルにモノトーンで上げる予定です。
帯留めを入れる余地も作っていますので、この帯を結びたい、そう思って頂ける方、おられると嬉しいです。

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2015年07月30日

次は帯留め・・・。

 

色々とやっていると、まとまった時期に色々な依頼が入ってきます。
今現在は、帯留めを形にしよう制作中です。

 

最近製作を依頼しているモノの多くは、抽象的なモノで(『モアイ』や『ブラックホール』)でした。

次は、(依頼もあり)また以前に戻って再び具象柄を幾つか作る予定をしています。

 

先日、コーディネートされていたのは、砂糖鳥。

L1910002.jpg

『総紗縫とのコーディネート』

 

総紗縫の様なシンプルな柄には、お腹にこういったポイントがドンと入っても、
コーディネートとして大変面白いです。

 

帯一本でガチっと完成した世界を作るのも、もちろん素晴らしいことです。
また、それとは違って、少し柄に(空間的は無く)雰囲気的な隙を作ることで、結ばれる方の
センスを受け入れる場所を作ることも、時々考えてモノづくりしています。


例えば、帯留めを使って、その帯に無い色を足してみても、面白い。
そんな感覚です。

 

常にその帯留めが無いと困る、そんな制服の様なのは、ダメですが、
帯留めを加えると、ちょっとその帯の新しい顔が出てくる、そんなはありだと思います。

 

言うのは簡単ですので、そんなイメージを持ちながら帯づくりに、依頼を頂いた帯留めも
進めていきたいと思います。

今までの理想は、以前作った下弦の月にウサギなんですよね・・・。

 

2015年07月28日

扇子作り−1

 

扇子を作る工房を探していたました。
ほぼ来年用のモノづくりで、今年僅かに間に合えばイイ。そう思っています。

 

今までと異なった工房で製作を依頼する。
そのためには、和紙や布とは厚みも特徴も異なる帯地のため、
まず見本の製作をして頂きました。

 

できる限り薄い帯地、裏に糸が渡らない、それでいて扇の形にした際、
面白みのあるモノ。それを念頭に置いて、柄、生地探しを行っていきます。

 

それと並行して、まず一本目に製作。生地には南蛮七宝文様を。


DSC05562.jpg

あくまでこれは見本なので、非売品です。

 

以前の工房でも職人さんに言われていましたが、
『着物地よりも(生地の厚い)帯地ではムリやろ?』。

 

今回も、その言葉を総紗縫は乗り越えた様です。
本当に有難い、織組織です。

 

2015年07月21日

サーカス  ver1

 

 

先月のモノづくり続き。

少々ふらつきながらの出社ですが、
遠くから見て気付く個性的な柄がありました。

記念すべき、一回目の目出しです。

funa.jpg

 

ただし、遠くから見ると非常にいい感じでしたが、
近くから見る完成度からすると、失敗です。

全体的には悪くないですが、細部を見るとう~んと思う箇所が多く、
配色の問題でもありませんので(配色にはもう少し薄く、緑を加えたいです)、
再度、意匠図から手を加えていく予定です。

つまり、やり直しです。

 

一番の失敗は、やはり急いでしまったこと。反省です。
元の作品と自分のイメージをギリギリのところを合わせて、ここで行けると
思っていましたが、暈す部分の詰めが甘く、織りの限界が見事に出てしまいました。
(ココが腕の見せどころなのに・・・。)

もう少し織と配色とで、工夫した紋を作らないとな。。。
と反省です。

 

ビシッと一回で決めるつもりだった柄でしたが、少し立ち止まって。
今回上がってきた試験織りを元に、もう少し異なる配色で織って、
そこで上がってきたモノを元に修正を少しずつ加えて、完成させていく予定に
変更します。

 

IMG_0978.jpg

 

希望的観測を沢山加えた予定には、間に合いそうにもないですが、
当初予定よりは早く完成できそうですので、今度はジックリと作りこみをしたいです。

 

周りからは、『いや悪くないとおもうけど・・・』。そんな声も入ってきますが、
元に戻すのは難しくないので、まずは良くなる様に修正したいです。

 

 

3日間全く外出せず、大人しく寝て過ごしました(iPhoneの歩数計で300歩くらい・・・)。

そのお陰か、今日は随分と扁桃腺の腫れはマシです。

今週はイベント事が盛り沢山なので、無理せず早寝を心がけます〜。


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2015年07月17日

南蛮七宝文様/東郷織物綿薩摩/光悦蝶刺繍

 

今日の京都は昨日の大雨で山鉾巡行が気になりながら、
刺繍職人さんの工房へ行ってきました。

 

『出来上がる寸前においで。』
と言われてて、急いで欲しい様な仕上がりまでに京都に帰って来れないかも・・・。
という心配もありましたが、どうやら最後の蝶々を残して置いて頂いた様で、
うちのスタッフも含め、南蛮七宝+光悦蝶の完成間際を見せて頂くことができました。

 

帯の場合とも似たことですが、着物(もしくは帯)の地色に干渉されて絵緯、刺繍糸の発色が
鈍ってしまうことありますが、それらも全て引っ括めてこちらのイメージ通りの出来でした。

 

L1890884.jpg

作業を行われている時の空気感は白黒が伝わる気がしますね。

 

 

 

L1890922.jpg
【南蛮七宝文様の夜に残像を残す光悦蝶】

 

 

『もし、何かダメな所があれば解くので仰ってくださいね。』
との声には、とてもとても。

美しく丁寧な刺繍を本当にありがとうございます。

 

出来上がり次第、これを絵羽にする予定です。

2015年07月15日

7月15日移動中の写真

 

移動中、上を見ると素敵なアーチ状の天井がありましたので、写真を一枚撮りました。

L1890810.jpg
『2015年7月15日移動中』

 

これだけで帯図案になりそうです。
(全く触っていない写真です。)

 

今回は、撮った時点から既に絵の様な写真です。
なので、あまり問題にはなりませんが、帯は写真そのままの様に写実的に織ることもできます。

自分的には図案、意匠図、製織と人の手を通るので、日本画の様に、
何か想像の余地が残るような、唐紙である様にどこか削ぎ落とした部分(僅かでも)を
作ったモノの方が好きです。

 

繰り返しになりますが、今回は問題ないですが。。。(笑)

 

たまに、この帯の柄はどんなところから考えられました?
と聞かれることがあります。

 

そんな時、困る図案は・・・、
たまたま撮った写真の、現実のような絵のような部分とか、
図案では考えつかないような現実のリアルな色(そこだけを抜き出すとか)の場合です。

 

困りながらも、元々はそういった写真からですよ。
と応える様にしていますが、この辺りは織ってみてからでないと、
採用しないことも多いです。

 

だから、どうしようも無いようなに見えるモノも写真に撮ってみて、
『あっ、なんかいい感じ』とちょっとでも自分が思えたら、写真ストックに置いておきます。

そんなのも大量にMac内に残っています〜。

 

見ると自分しか意味が判らない、ライブラリーです(笑)。。。

2015年07月08日

まずは設計図クリア。

 

幾つか候補が上がっているの中の文様【七宝繋ぎ】。
形を変え、様々な意匠の中に入り込んでいる文様であり、
あまりに定番過ぎて正面から向き合うこともない、かえって新鮮なモノづくりです。

 

L1890571.jpg
【唐長文様七宝つなぎ】(配色はのちのち・・・。)

 

唐長さんから頂いたお題の一つで、
見たとおり簡単なのに、やってみると強烈にむずかしい。

 

この世界を織物で表現(配色は今から手を付けます)のため、

L1890060.jpg

 

意匠図の段階で七宝の円部分を一ドット削ったり足したりして、太細を付けました。
また、地色が柄部分を侵食するように、際部分を暈すように糸を混ぜて設計しています。

それと、見えない三色目の緯糸が全体に渡って通り意匠に奥行きを作る様にもしています。

実際、この糸は配色にはほとんど影響しませんが、あるのと無いのとでは、全く違った雰囲気
になるので大事な3色目です。

 
今のところ、表柄のみを織っていて、袋帯にしますので、裏地には何を?
その部分は検討中です。同柄配色違い、それとも真無地、もしくは・・・。
 
それも大事な問題ですが、まず織れるように意匠図はできましたので、次は
色、そこの問題をクリアしていきたいです。このモノづくりに関しては、
遠くを見ると、足元がふらつきそうになります。
 
だから、一歩ずつ着実に上がって行きたいと思っています。
あまり自分には合わないかもしれませんが、堅実に(笑)。

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2015年07月07日

緯と経糸。

 

社内では、横糸のことを''よこいと''と呼ばず、緯(ぬき)糸または緯とだけ、呼んでいます。

織物は経と横との関係性で柄、色を作ります。
柄を作るのは、よく判りますが、色?と疑問に思われることもあります。
織物は織り方によっても異なり一概には言えませんが、経糸と緯糸が混ざった色になります。
たとえば、経;黒、緯;白で、織り上がりがグレー。というように。

 

意匠図を作るときは柄を織り成す以上に、気を使うのは、配色の問題。
配色がし易いのか?と、配色変更に対応できるのか?そして、イメージ通りに色が綺麗に出るのか?

この悩みは全て意匠図の段階で決まってしまいます。
(それから後は、裏ワザを使っても微修正位しかできません。)

 

その経と緯との関係でわずかですが配色変更した帯が上がってきました。

 

L1890518.jpg
『南蛮七宝文様/下弦の月』

 

受注を頂いてから織りに入る南蛮七宝シリーズの袋帯です。

となみで使う糸は絹糸で天然繊維です。僅かな太細もあり、染めるロットによって僅かな差がでます。
その差は味として存在しますが、今回は意識的に変更しました。

 

 

L1890089.jpg

 

撮影前先月に、唐長さんへお邪魔した際、みていた下弦の月です。

 

帯の中でもう少しお月さんが浮く映える色。
それを作るために、緯糸は変えずに経糸を白くしました。

 

写真からは僅かの違いしか出ないかもしれませんが、帯を立てた時に、
白の映え方が変わってきます。

 

どちらが皆さんの好みになるのか?それは実際に見てもらいたいです。
今は比較して頂けるように2本、同じ帯がありますので、じっくりと。。。

 

 

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2015年07月06日

性格の出る裏無地。

 

袋帯がメインのとなみ織物のモノづくりでは、裏無地作りはとても大事です。

 

合わせ方として表地に動きがあれば、裏地には比較的静かなモノ。
その反対でも大丈夫ですし、表も裏も同じくらいの空気感もあり。

要はなんでも良いのですが(笑)、モノを作る人の性格はストレートに出てきます。

 

昔は字の通り、ほとんどが柄無しの無地で、となみ織物もほとんどがそうでした。
そのまま、思考を停止して、裏地は無地のままでも、そんなに問題はないのかもしれません。
が、現在のとなみ織物のモノづくりでは、真無地はほぼ織っていません。

 

製造からすると、コストを下げるため、表地は自社で織っても裏地は無地屋で仕入れ。
実際に他社ではそうされている所も少なくないです。

ちゃんとそれはそれでお客さんに説明が成されていれば、
それはそれで裏無地の性格の一つかもしれません。

 

となみでは、そこではコストを掛けるべきと考えて、
同じ職人の同じ素材、織るのも同じ時期に拘って、裏地を表地に合わせます。
そのため、表地と裏地の沿いが最高によくなるため、結び易くなると考えています。

それはそれとして、裏無地作りへのメーカーの性格が出ていると思います。

 

最近作った裏地は、生糸の生らしい色を染めて作った淡いベージュにグレーで意匠を織ったもの。
紬の節で全体の色を柔らかくしました。

 

L1890245.jpg
伊藤若冲の世界/裏無地】

 

この柄の表に来るものは、ドンとしたお太鼓柄です。
 

お太鼓柄のインパクトは6通や全通のモノよりも力が強い事が多いので、
これだけ大柄を裏地にしても、柄の力では負けるとおもいます。

 

それでも、着物の不思議なところは、着物柄が入ってくることで、表の柄よりも
インパクトが無いのに、コーディネートした時の全体の力が強くなる時があります。

しかも、この表の柄を選ばれる方はあまり小柄や大人し目の柄では満足されない、
と作ったときは思っています。だから、表裏の両者とも、大柄で印象的なモノにしました。

 

さて、表の柄はどんな柄でしょうか(笑)?

 

 

2015年06月30日

蝶々に手をかけてみました。

 

ある着姿を見ていて『帯にしたい。』モチーフを発見しました。
(とは言っても、帯としては全く珍しくないモノです。)

 

もし着姿の写真を見ていたら、こうは思わなかったかもしれませんが、
動きのある着姿は、今でも頭の中にくっきりと残っています。
(しかも着姿自体が楽しそうでした。)

 

今は、その残像を形にするために、この神坂雪佳の『蝶千種』を使い、
イメージを帯柄へ、具体化していく作業をしています。

自分の作る最終の帯からすると、輪郭程度のイメージしかありませんが、
頭から着姿の輪郭が無くならないうちに、やってしまいたいので、
ちょうど本袋も一柄は紋彫り中なので、集中してできそうです。

 

 

Unknown2.jpg
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となみ織物でも、『蝶々』モチーフの帯意匠は相当たくさんあります。
過去の図案帳を見てると、振袖用から訪問着用等々、全図案の十数%は蝶々?かも。
と、それぐらいのめじゃーなモチーフです。

ただ、ここ数年は年に1,2柄あったらいい方で、パタと止まっています。

 

わたしも数年間で2柄ほど作りましたし、その意匠は蝶千種からですが、
蝶々をあまり好きで無い方を意識して、蝶々は控えめにしていました。

 

前述の素敵なお太鼓の着姿を見たため、今回は控えめの蝶々ではなくて、
全面にドンとした帯を作ろうとおもいます(反対は多そうですが・・・。)。

 

段々と並行して色んな仕事入ってきました。
毎年の傾向からすると、こういう時に限って風邪ひきそう(笑)ですので、
気をつけます〜。

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