となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2014年06月13日

中無地のしぼ地紋。

 

しぼ織』は御召緯の特性を使って、
広巾に織った帯地をお湯に付けて縮めた時に出来るシボを地紋に使った帯です。

 

Tonami2014.1-2.jpg
⇒FBへ

 

 

近頃は生産量も少なく、他のものと代用されてしまいますが、
見た目以上に触るとこの糸を使った帯の風合いは独特のものです。

 

日々、御召緯を本職に使う御召屋さん(着物)からも、
『よーこんなややこしい帯つくるよなぁ』と感心されている『しぼ織』。

(まあ、こちらから見ると着物の場合、帯より随分丈の長い着物をよ~織るなぁ
と思いますが・・・。)

 

 

シボの出し方を紋である程度操作することができますので、
伝統的な古典柄で作ってみました。

 

しぼ七宝。

IMG_2544.png

しぼ織/七宝地紋』

 

全く七宝に見えず立涌っぽいです。

 

IMG_2545.png

 

ちゃんと、裏を見ると七宝柄です。

 

こういう地紋は普通に中無地に使ったりしますので、あまり表には出てきませんが、
直接結び心地に繋がることも多いので、とても気を使います。

 

 

 

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2014年05月22日

『ゾウ+経紬』の帯

 

先日、ちょっとだけ紹介していましたが、刺繍職人さんとのコラボ帯が
もう一柄完成しました。

 

この『サカナ+総紗縫』を製作してもらった方の2作目です。

28bb3deca2c0de02aa9d5c0f77851b9c.jpg

http://www.pinterest.com/pin/34480753371532837/

 

 

今回は『ゾウ+経紬』。

DSC02116.png

 

細分に朱金色を使った配色が絶妙です。

 

IMG_2107.jpg

 

こうやって一針ずつ丁寧に仕事をして頂いて、配色等も職人さんにほぼ任せっきりでしたが、
話をしている中で様々な要素を拾って下さって、こちらのイメージ通りの仕上がりです。

 

IMG_2106.jpg

 

完成まで約2ヶ月の作品でした。

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2014年04月03日

夏・襦袢/南蛮七宝

 

今月末から南蛮七宝を持って、長期間京都を空けますので、
当面は南蛮七宝モノづくり紹介が多くなると思います。

 

ちょっと面白くなりそうな模索中の『しぼ織』実験等もやっていますので、
来月分モノづくりも行いたいので、今月はピッチを上げて、モノづくり頑張ります。

 

今日は、新しい夏・襦袢です。

夏襦袢は世間に、数多くありますが、夏は何を着ても暑いので、
汗をかく、汗をかかなくても、着ていてサラサラしているものが基本です。

 

南蛮七宝文様で、夏というと『紋紗』襦袢ですが、生地製織の予定分は全て終ってしまい、
その生地を使い切ったら、次がない・・・そんな状態でした。

 

また、自分が夏着る襦袢としては、麻白無地と紋紗/南蛮七宝襦袢中心に着回していますが、
夏着物の着る機会が、今後増えていきそうな気配がしていましたので、もう一枚と、
じっと待っていたお襦袢でもあります。

 

今回は涼しさ、着心地、耐久性に特化した、南蛮七宝の夏襦袢です。

 

IMG_1567.png

『夏・南蛮七宝襦袢』

 

自分で着ていないので、今のところ着心地は伝聞状態で絶賛はできませんが、
(現在仕立て中)触った感じでは、相当いい感じの仕上がりです。

2014年04月01日

夏・南蛮七宝大島紬/限定8反

 

普通でも時間の掛かるモノづくりですが、
その中でもさらにもう一つ時間の掛かる他産地とのコラボレーションが、
たった今、上がってきました。

 

泥茶の大島紬から始まって、
 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2012/05/post-1670.html

 

『白大島』
 IMG_2186-2.jpg

 

山奥に原材料を探しに行った『しーぎ』(今、織ってます)、
 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2014/02/post-1959.html

 


そして、今回の夏大島紬です。

IMG_4369.png

(織り上がり、ハサミを入れる所です)

 

今までのこともあり、こちらのイメージやこの南蛮七宝文様にも慣れてもらっていましたので、
立ち上げ自体は、今までよりもすんなり行きましたが、一番大変だったのは、『織り手』。

 

原材料が出来てからも、しばらく探した職人さんに織って頂きました。

実際、まだ反物は手元に届いてませんので、風合い色味等の細かい部分は判りませんが、
この写真を見ているだけで、想像が膨らんでいきます。

 

予定では明日到着です。
 

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2014年03月10日

総紗縫、青の経

 

久々に総紗縫に青の経糸が掛かったので、
今まで織っていない柄を織ってみようと思い、試験を取りました。

 

結果は。。

IMG_1080.png

 

見事に失敗。

元々、この織物でこの柄を作った時は、紬糸を通して織る用にしていましたので、
今回は経糸が表にあまり出ず、柄が埋没してしまいました。

紋自体が違いますので、やってみて面白く上がればと思っていたら、思いっ切り、
面白くない失敗です。もっと青が全面に出る、とかではなく、色も柄も出ない、
非常に地味な感じです。

次はキッチリと紋を修正して出直します。

 

もう一つは。。通称アリス帯。

IMG_1074.png

 

こちらも予想とは違った上りになりましたが、銀の箔の上から黒い箔を重ねてみて、
どんな上りになるか、というのを試験しながら製作した帯でしたので、青の経だと、
色が濁ってしまい、惜しかったですが、こちらも出直しです。

今変えようと思っているのは、銀と黒の箔の通す位置を逆転すること。

おそらく、それで上手く行きそうなのですが。。。

 

といつもはこんな感じで、完成に向けながら試行錯誤を繰り返す毎日です。

 

2014年03月03日

アリス名古屋帯⇒総紗縫へ

 

週末にまだ雪の残る(雪祭り後)の札幌へ行ってきました。

 

IMG_0985.jpg

 

年間に少なくても1〜2回はお邪魔していますので、結構忌憚のない意見を頂けます。

帯の組織については専門性が高いので具体的なモノは少なくても、『もっと透け感がほしい』
『軽くして欲しい』等々はいっぱい色んな意見は頂けますし、色や柄に関しては、さらに
山ほど言って頂けます。

 

こういう関係を築くにはとても沢山時間が掛かりますので、本当に感謝しています。

 

その中から、帰ってきて一つ目に取り掛かるのは、このアリス柄の『紗化』。

IMG_0976.jpg

『アリス/作楽名古屋帯

 

紹巴織で織った柄を総紗縫に持っていくのですが、
普通にやってしまうと、①地色に対して箔のみで上げてしまう。ことでできるので、
そう時間は掛かりません。

 

色々やってみて、最終、そのシンプルさで落ち着くことも少なくはないですが、
この帯に関しては、不思議の国のアリス:英文を毛筆で書き、図案⇒意匠図へとしたもの、
ですので、筆のかすれ具合や力強さが欲しいので、②少し糸を使いながら、箔をつぶし、
地部分ももう少し何かしたいと思っています。

 

元々の『帯』がある方がモノづくりは難しいので、すぐ『はい、できました!』とは
ならないと思いますが、思い入れのある柄でもありますので、色も面白く、作っていきたい
と思っています。

 

久しぶりに移動移動でしたので、ちょっと腰は痛いですが、その分いい空気を頂いてます。

 

 

 

2014年02月20日

Celtic×Celtic 名古屋帯

 

『好きですね〜。ほんとに。』と何回も言われながら配色を取り直している、
『Celtic×Celtic』名古屋の目出し。

 

IMG_0823.jpg

Celtic/紹巴織目出し』

 

 

織りは紹巴織ですので、この織物説明として
『経糸を緯糸(横糸)で覆い隠して織る織り方。緯糸で柄を織り出す。』。

というような説明を行いますが、その説明通りで経糸の色が薄くても濃くても、
緯糸で色を作ることができます。

ただし、織れたとしても満足行く色ができるかは別の話で、濃い色を深く、
綺麗な色を透明感を持たすためには、それ専用の経糸を作ると、一つ上に到達してくれます。

 

今回織っているのは、経糸を濃く、深い色を作ろうと、違う経色になる度に、
目出しを取って、最終の微修正を行っていました。

 

写真の通り、最終候補は上の三色になりましたので、そろそろ本番の名古屋帯が
織りに掛かれそうです。

 

 

2014年02月08日

『配色×配色』 南蛮七宝/絵羽シリーズ

 

『南蛮七宝』の帯や着物をもって、お客さんやスタッフの話を聞いていると、
かならず一度言われるのが、『色が変わると違う柄みたい』ということです。

 

まず柄の段階で、花に見たり、星と丸に見えたり変化しますし、
さらに色の要素が加わると、また違った柄に見える。
物凄くよく分かります。

 

そんな南蛮七宝の『色』は、本番を織るときには、通常の帯よりも沢山の色の組み合わせを
試験で織ります。特に御召の場合は、地部分と上に乗る色との組み合わせに、時間を掛け
さまざまな配色を作り、色サンプルを織ります(反物が出来そうなくらい)。

 

そんな打ち合わせの中、生地同士2色を組合わせて織ったものが、この『南蛮七宝/絵羽シリーズ』。
以前も2反分織りましたが、今度もまた異なった色味で新作を作りました。

無数の色糸の組み合わせで織った多くの生地(サンプル)があり、中から
自分のイメージに合った、二色を選びます(色糸の段階、一から作ることも。)。

 

そして出来上がったのが、この絵羽。

IMG_0449.png

『ベージュとグレー』を合わせたモノに、『淡グレーに薄青』を合わせた絵羽です。

 

もう一枚が、

IMG_0456.png

『濃い墨に藍』×『紫濃淡』

 

まだ上がりたてなので、あまり意見は聞けていませんが、このシリーズに関しては、
同じ配色のものを作るつもりは無いので、全て一点モノの配色にしています。

 

折角なので、このモノづくりに関しては色の組み合わせの組み合わせを、
ずっと追いかけておきたいと思っています。

 

次は、『横段のもう少し色を増やしたものを』と考えたりもしていますが、
2色でも、相当悩みましたので、それ以上の3色バージョンはもう少し時間を掛けで、
考えていきたいと思います。

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2014年01月14日

絽? 織り組織づくりです。

 

キッカケを頂いて、夏用の帯を製作しています。
帯を作るには、まず地(土台)を作って、その上に柄(建物)を乗せます。

その地作りです。

糸使いを少し変える、つもりでと最初はやっていたのですが、紋を作っているうちに、
どんどんと深みにハマって、様々な糸使いと、紋を試行錯誤しています。
(この真っ黒な目出しが長々と上がってきました)

 

IMG_02731.jpg

 

今のところ、写真を見てもらっても、全然夏らしくもなんともないですが、
黒の中でも比較的に白くなっている所は、綟りが入っていて、平織りと組み合わせているので、
世間でいう『絽』です。

その透け感ではどこにでもあるものなので、一工夫して、
(一つ余分に緯を通して変わった感じでと思っています)、組織を作ろうとしています。

 

今のままでは、無地しかできませんので、上の試行錯誤が上手く行ったとして、次に緯で、
もしくは地紋程度のモノを入れる。その次は色糸を入れてみて、発色を確認する等々、
『帯』になるまでは、もう少し時間が掛かりそうです。

 

上手く行けば、今年の夏前に一柄、二柄。
来年にはもう少し。。。

 

2013年12月24日

帰ってきました。

 

4日間ほど出張へ行き帰ってきました。
行った先でも、『風邪大丈夫ですか〜。』と歳の割に物凄く心配して頂きましたが、
ほぼ完治です。ありがとうございますm(_ _)m

 

普段社内ではあまり喋りませんので、出張へ出た時はその分頑張って、モノづくりの話を
持って行かせてもらっています。

最近は、南蛮七宝を中心に、後は作楽シリーズです。

 

自分で製作に携わっていますので、自分だけしか出来ない話があります。

柄の由来やその他、自分以外でも勉強したら、なんとかなることは極力話さず、
伝聞やそれらしい話では伝わり難い話、そんなモノばかり持って行って、見てもらっています。

 

おそらく来年もちょこちょこ気分転換も含めて、出る機会があると思いますので、
折角話す機会を作って頂ける限りは、興味を持って聞いてもらえうように、
頑張りたいと思います。

 

今年、『南蛮七宝』の中で思っていたよりも、多くの良い評判を頂けたのが、
この『南蛮七宝/イチョウ染め』。

 

IMG_4375.png

『南蛮七宝/草木染め100%/Wブラタク』

 

生地自体もあまり上がってこないし、染めに出しても、忘れた頃に上がってくる着尺。
僅かの草木染料ではなくて、100%使うからこそ出来る色。

 

来年はこういう感じの何処まででも、喋りたくなるモノが沢山出てきそうです。

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