となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年08月27日

となみブルーに金糸でネームを織る。

 

今日は帯地のネームについて。
帯の柄⇒タレ部分⇒その下の帯の名前が織り込まれている所です。


仕立てをしてしまうと表には出てこないので、気が付かれないことも多く『ネームってなに?』と残念なことになりますが、ここもモノづくりしている際に、当然力を入れて製作しています。

うち、となみ織物では、まず基本的に【西陣織、帯のシリーズの名前、となみ帯】の3つ、場合によっては、例えば変わった素材や珍しい織組織、意匠はここに+1されて、4つ。のほぼどちらかです(今回の写真の場合は3つ)。

 

拘りとして、何十年ずっと自分たちの会社名、ブランド名を入れていて、となみ織物では慣れきっています。最近になって気付かされたのは、(当然のことながら)この帯の責任所在を明確にするということも、主な目的の一つだ、ということです。西陣にはたくさんのメーカーがありますが、残念ながら、このネーム部分に自社名またはそれに類するものを入れないところが大多数あります。他社のことながら、結ぶ帯がどこの帯かわかない、または将来もし譲られた時にどこの帯?となってしまうのは、非常に残念なことです。

 

そんなこともあり、となみ織物ではここはとても大事に扱って、モノづくりしています。

 

今回のネームは、以前紹介した帯のものです。名前は新しく『水花(すいか)』(←作家の舟田さんに直接命名して頂けました。)となりました。帯意匠に関してはこちらのリンクで。

 

L1930036 (1).jpg
『水花(すいか)』

 

地色は、帯意匠部分と同じ地色。そこに少し黄味が落ちた金糸でネームを織り込みました。通常金は強くなってしまうので、フォーマル帯を除き避けられて来ましたが、このブルーには相性良く、とっても映えてくれました。

極まれに配色を間違えると、たとえば黒の地色に濃いグレーを合わせてしまったりすると、ネームが見えない・・・。敢えての場合は構いませんが、えっということも無くはないです。

 

配色も難しいですが、コラボのようにネームが決まっていて、それが上手く行かないと、折角作品を使わせて頂いたとしても、どこか間が抜けてしまった感じがしてしまいます。そのため、ここだけに時間をキッチリと割いて細部まで作り込む、それを大事にしています。

今回は見ての通り細かいので、意匠図を製作する際、サイズ、全体のバランスで多少悩みましたが、その分帯に相応しいものに出来上がりました。そんなこともあり、これだけを文様としてモノグラムの様に散らして、柄を作りたい。そんな風に頼んでみようかなと思っています。

 

2015年08月26日

本袋の配色替えの先。

 

以前織った本袋の柄。前回は本袋という織組織で今までと異なる素材、上げ方の試験を行っていましたので、配色もその色が強かったです。が、今度は外部アドバイザー(全く異業種)のご意見も頂いて、配色を変更しました。ある意味今回は配色の試験です。

 

以前の配色
DSC05999 (3).jpg

 

         ↓

 

L1930040 (2).jpg

 

お太鼓には出ない部分も写っていますが、これがこの帯の全容です。

 

これで本番を織るかは着物との絡みもありますので、もう少し検討をしていきますが、あっても面白い色かな、と思います。できそうで出てこない色の組み合わせ。もちろん調整は必要な部分はありますが、面白い配色の感性を持った方とのコラボは、今後のモノづくりに大きな影響を与えてくれるので、今後も積極的に行っていきたいと思います。

 

色・柄・組織が帯の3大要素。その内の配色にアドバイスを頂く。自分たちのモノづくり色が無くなりそうで・・・という意見も無くはないです。ただ、今まで多くのコラボをして来た中の、今現在のとなみ織物です。多くの意見を頂き、がんがんと吸収し次のモノづくりに活かす。全ての箇所に影響させるのは、おそらく頑張ってもムリなので、変えられるところ全て変える。そんなつもりで新しいモノづくりをしていきたいです。

それで丁度いいくらいかな、と思っています。

 

2015年08月25日

広がっています。

 

帯地を使った小物づくりは、自分たちが欲しいもの、持ちたいものを中心に行ってきました。今回はそこから一歩進んで『こんなものがあれば素敵』との要望を頂いて、それを形するモノです。以前もバッグでそういうモノづくりもしていますが、自分たちの目の前にある要望を形にするのと違って、なかなか困難なこともあります。

 

今回はこの小物。パス&小銭入れ。色々とありましたが、なんとか完成です(29日に間に合いました・・・)。

 

L1930010.jpg
(受注生産品) 

 

今までもかなり沢山の商品、試作を製作してきましたが、最初は加工する職人さんも『帯地って扱ったことないしなぁ。』と躊躇されていたのが懐かしく感じるほど(笑)、今では新しい糸使いや織り組織関係なく、試行錯誤も厭わず、製作して頂いています。有難いです。

帯だけではなく、様々なモノづくり出来る環境も整っていますので、後は此方側がちょっとずつスピードアップと進化しながら、モノづくり進めていきたいですね〜。 

2015年08月24日

伝えていく仕事も。

 

先日、本社お客様が来られた際に、モノづくりの空気や雰囲気を味わって頂こうと、職人さんの技を見て頂きました。その職人の工房ではないので、完全に空気感が出来たわけではない。もっている凄さの僅かな部分しか伝えられていないとは思います。ただ、来られた方の真剣な表情と反応を見ていると、やってよかったな。と感じました。

 

L1910259.jpg(焼き箔の実演中)

 

多くの分業が同じ方向を向いて、やっと一つの帯ができる業界です。あまり派手な部分はありませんし、他の業種の実演を見ていると『うちはなにが一番うけるやろ?』と考えることもありますが、この日のことを見ていると、素のまま、伝えることが大事だと感じました。

 

ちなみに、この職人が関わった箔を使って織り上げた帯はこの帯。

L1891162.jpg

 

自分の使う、結ぶものがどのような工程、想いで、どんな人が作るのか?普通の日常からすると、あまりそういったものは手元には多くありません。折角良いポジションにいますので、もう少し伝えることを意識して、自分たちができることをやっていきたいと思います。

 

この日はこの焼いていく箔のにおいが本社1Fに充満していました。それも来られた方の記憶に残って良かったと思います。

 

 

2015年08月21日

『蝶千種 その3』

 


お盆前に紹介していた『蝶千種』。 
この一本があがらないと、次柄の紋つくりへと進めないので、できるだけ急ぎで丁寧に、織ってもらったもの。上手く、完成すれば、これが『神坂雪佳 蝶千種』シリーズの基準になる一本です。 

 

DSC06316 (1).jpg
『神坂雪佳の世界 蝶千種』(色が出なくて、すみません。)

 



配色は織りではホント出しにくい、雪佳らしい中間色。染料のように、ほんの僅かな差で地色の印象が変わってしまうので、合わせる糸同士に最大限の気を使います。また、僅かな地色の差は上に乗る蝶々との相性も変わってきます。がらがシンプルな分、ここを大切に微妙なさじ加減をしています。


以前、これに近い色を作っていた時も(それもやっぱり雪佳でした)、ずっと地色を決めきれず、そこで一週間以上中断。決まってからは、複雑な柄なのにトントン拍子で上手く行ったこともあります。

 

写真では色々と調整してみましたが出ず。そこにあまり時間を使い過ぎるのも微妙(苦笑)な感じがしました。そんな色には困った帯ですが、次は裏地を。そして仕立てた後はもう一度撮影に、がんばってみます。 
 

 

 

2015年08月18日

洋の色目は置いておいて。ショール配色その2 

 

 
前回も書いていました。見本で何度も織り、

ショール白生地7.jpg
『ショール白生地』

糸種の選定に時間を割いたショール生地は随時織り上がっています。

 

あとは色。
それが難しいです。

 

 

L1910016.jpg
『現状は三色、そのうちの一色』

 

今日は着物の色見本を見て、生地と相談しながら配色検討している最中です。

 

色見本から(着物の色見本なので、いまは完全に和)、もう2、3色を選ぼうしている最中です。海外のブランドが作るショールの色と比較すると、空気も水も違うから、和の色は受け入れられない。と何人かの方から言われました。

そういう話を聞いたため、手っ取り早く洋の専門家に色出ししてもらう?と少々悩みましたが、今の段階で、帯のモノづくりでも要素である『色・柄・組織』の一つ、『色』を自分たちがあまり関与しない形で任せてしまう、それはなんか違う・・・と感じます。やはりまずは和の色からでも、自分たちの色を作ることから、入って行きたいと考えています。

 

着物と違って洋装、普段の生活に取り入れやすいためか、『こういう色がほしい。』『ヴィヴィットなモノ。』『こんな色やったら買うのに。』とかほんとビックリするくらい多くの方から、ご意見を頂けます(笑)。少しとまどいはありつつも、とても有難いです。生地巾の限界は決まってることを考えると、帯のモノづくりとも似ていますので、その中での最大限でモノづくりしたいです。

 

ショールの色検討中 その一
 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/08/post-2208.html

2015年08月12日

蝶千種 その2

 

先日の蝶々のモノづくり。随分進み目出しが取れたところで、お盆休みに途中しています。
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/06/-httpamznto1ewqvug.html

 

DSC05994.jpg
『蝶千種/紹巴織』

 

ちょうど真ん中で地色を変えて試験をしています。この2色のうちの一つを取るのか?
もう少し修正するのか?僅かに織を変えて、ボリュームを付けている蝶々の上げ方のチェック。
蝶千種からお太鼓を考えて、図案を作ったチェック等行えば、お盆明けには帯の形として、
前に進められそうです。

 

『蝶』の意匠というと毛嫌いされることもあったので、最近は帯の意匠に取り上げることも
多くなかったのですが、昔から数多く製作されてきた文様ですので、やはり作っていきたいです。
南蛮七宝×光悦蝶をはじめ、魅力的なモノが出来ると思いますので、考えて面白いものを作りたいです。

 

この蝶千種であと3,4柄製作予定です。
今の時間、落ち着いて進めていたいです〜。

2015年08月09日

お盆休み一日目の整理。

 

7月入ってから半期決算の準備、8月入って出張と相当バタバタ、気持ちもバタバタでした。やっとホッと一息出来ましたので、7〜8月の合間に上がってきた試験や目出しのチェックが出来そうです。今年はお盆休み一週間ありますので、読みたかった本を出来るだけ読みながら、それら溜まったモノにゆっくりと目を通したいと思います(たぶん、明日から)。

 

その前にこれだけは紹介しておきます。銅板作家の舟田潤子さんとコラボで製作している帯です。

DSC05986.jpg
『踊り子(仮称)』

 

帯の意匠として技術的にチャレンジな部分も沢山ありますが、それでも元の作品自体から感じる『楽しい気持ちになる。』。帯の意匠にそういったモノというのは、(凄いとか、綺麗とかはあっても)あまり見たことが無いテーマですので、チャレンジしたくなりました。

 

最初の意匠ですので、となみブルーを使って(空のイメージです)オリジナル作品を製作してもらってからの帯製作を行っています。完成後は作品と帯を並べて陳列したいです。

 

織は紹巴織。
出来る限り作品の流れは組入れつつ、となみブルーが踊り子の中心に入る白緯で弱まらない様に工夫をしています。黒緯には絹とは異なる異素材を入れ、太細も異なるので、そこがこの帯のアクセントと考えています。

2015年08月08日

まずは目出し

 

今日は2日遅れの筋肉痛で歳を感じています(笑)。しかも、京都は猛暑です・・・。
そんな中、しばらく腰を落ち着けて取り組もう考えていた、本袋目出しが上がってきました。
このお陰で少し元気になっています。

 

この一柄でここまで製作した十数柄の本袋で行っていないこと、2,3の新しいことをしています。
そのため、細部まで検討して、『帯として大丈夫なのか?』の判断をして、OKとなれば、次の柄へ
取り組めるようになりますので、とても大事な柄です。

 

以前も書きましたが、この意匠の元は秘錦でも製作したモノ。それのリメイクです。

 

DSC05999.jpg

 

配色は『えっ』となられる方多い(自分で色を決めておいてそうなりました・・・。)ですが、もちろん本番は
こうではなくて変えます。織組織や全体のボリューム感を見るために、色を極端にしています。

 

新しいことをすると、無地場に問題が起きることがあります。
今回は、そういうこともなく、新しく行ったことも問題がありませんでした。

 

織ったばかりの織物は、多少伸び縮みしたりしますので、お盆休みの間はこのまま寝かせておいて、休み明け、
配色を再度改めて、この柄を織る予定をしています。それと並行して次の柄も紋つくりを進めることにしています。

 

この帯の次は『雪佳本袋』もしくは『本袋雪佳』。
図案は、良い柄に仕上がっていますので、この柄とともに楽しみにしていて下さい。

 

明日から16日までとなみ織物はお盆休みです。
休みの間は、夏バテしないように資料を持って籠もる予定をしています(笑)。

 

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2015年08月04日

こっそりと振動を与える準備中

 

まだ柄が10柄も無かった頃の総紗縫は、地色⇒白、グレー、ウコン・紅花(2つとも今は廃盤)から
はじまりました。

 

その後に、鳩羽や金茶が加わり、横段で地色の色数が増え、『彩』になって、緯糸が数多く入って表現力も
上がり、Kilim等で、さらに鮮やかな地色が加わりました。また、色数が増えるのとは違った流れとして、黒
、佐雅楽では、単色ながらも一色を突き詰めていく配色へ。と最初は4色程度だった、一つの織組織シリー
ズが多くなっています。

 

常に『もうこれ以上ムリじゃないか?』と一瞬立ち止まった時に、誰か一人の発想でその壁が少し崩れて、
後は大勢のスタッフで、壁を壊し、新しいジャンルを作る。そんなモノづくりです。今は上に上げたように
沢山の選択肢があって、その中でモノを作っていてもある程度出来てしまうので、進化するキッカケは無い
ようにも見えます。が、やはり誰かの意見、それはお客さんの要望かもしれないし、スタッフの思いつき、
もしかして、織り手のところのミス、がキッカケになって新しいモノができる。かもしれません。

 

何かあったとき、それがキッチリと拾えるようにアンテナは高く広く張っておきたいです。

 

今、一つキッカケになりそうなのが、この総紗縫で製作した半巾。

L1910085.jpg
『半巾/鳩羽色』

 

京小袋とは違い、本当に袋帯を半分にしたサイズです。
普段着、お洒落着に簡単に結んで頂ける、のでまず一本目の総紗縫(袋帯)を持っている方から、徐々に人気
が出てきているモノです。
もちろん、袋帯の配色で充分足りているという意見がほとんで、ここからモノづく
り出来そうに無いように
おもいますが、一度だけ『半巾なので、色のパンチあっても面白いと思うよ。』と意
見を頂きました。
狭い巾の中のモノづくりですので、袋帯よりも強烈な色を使っても大丈夫、なところもあり
ます。

 

今は糸を出しながら配色をしていますが、ここから次のモノづくりのタネが見つかるかもしれません。
失敗する確率の方がウンと高いモノづくりですが、今順調な総紗のモノづくりに何か振動(激震ではなくて)
を与えてみたい気もします。ので、こっそり進行させていきます(笑)。

 

楽しみにしていて下さい。

 

 

 

 

明日、明後日と一日中、着物姿の方に囲まれてきます。
またカメラを持っていきますので、お太鼓撮影に協力ください〜。

よろしくお願い致します。

 

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