となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2015年11月24日

CandyCircusの二柄目、進めています。袋帯です。

 

風邪悪化のため・・・(声が出ません〜。)、テンポを落としてモノづくりを進めています。一つはしぼ織りのベース部分の改良と、もう一つは『CandyCircus(キャンディサーカス)』の二柄目。

その一柄目は、水滴が水面に落ちた時にできる『クラウン』を花に見立てて、作って頂いた『水花(すいか)』。今は作家の舟田さんと一緒に個展等にでかけています。作品と一緒に並ぶと、帯が居場所を見つけたみたいで、落ち着きます。

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9月にも書いていましたが、そこから二柄目の図案制作に掛かり(作品を元に)、微修正をしながらつい最近(約2ヶ月間)やっと図案が95%完成しました。ここからはこの図案を元に意匠図を作りながら、後5%を埋めていきたいと思います。おそらくこの2柄目は100%図案を完成させてしまうと、後々困りそうなので、5%の遊びの部分を残して進めます。

 

ちなみに、次回帯はCandyCircusのロゴにもなっている、この舟の元の作品から・・・。

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となみ織物が30年以上前に製作していた帯に宝船がお太鼓に来る帯がありました。似ても似つかない帯ではあるのですが、その宝船の大きさや存在感をお太鼓に持って来たら・・・。頭のなかにはそのイメージが先行して帯が出来上がっています。出来上がりは面白いものになり、このCandyCircusのフラッグシップの様な帯になることを祈っています。

 

というわけで、今は、残念ながら、ぼーっとしていますので、今週はこの2つに集中して進めたいと思っています。今、舟田さんが京都で長期開催中の展覧会に間に合えばなあ・・・、と。

 

2015年11月20日

奄美での戦利品?

 

奄美での戦利品が届きました。

産地へ行って、締機、泥染め等々一つずつの工程を辿り、最終反物として上がってくるのを見れば、そら欲しくなります(何度目でも(笑))。しかも、目の前にあるのは、最終検反で尺が足りず短尺、正規流通には流せないもので、つい最近の上がりたて。

さらに、これから力を入れて行こう、そう思っていた『りんぐ大島』に『ある草木染め』。これだけ重なると、買って着ないわけには行きません。

 

多少、寸法に不安はあるものの、仕立て屋さんと話を詰めたいと思います。ギリギリ大丈夫そうなので、気楽に思っていますが、どうでしょう?

 

一元(ヒトモト)絣なので、とても綺麗です。

 

2015年11月17日

おそらく裏地の方が柄込みしそうな表地(予定)。

今日会社に来て、机の上に置いてあったのが、この目だし。これは以前、唐長さんにお邪魔した際に頂いた柄の一つ。

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【七宝文様(試験織段階)】

 

もうこれ以上のシンプルは無い、そんな『七宝柄』です。帯は色、柄、組織が要素と言いますが、帯を作る段階での遊べる要素は他と比べると極端に少ないはずのに、えらく手間取りました。線の太さはもちろんのこと、何も無いように見える線と地の間の影、無地に見える地の上げ方、完成してから一つ一つ詳細に拘りを語りたいです。それなのに、表にするのか?裏にするのか?まだ決まっていません(苦笑)。紋の設計自体は表に耐えられるようにしていますので、配色で魅せて表にしたいとは思っています。

 

全然関係ないかもしれませんが、この帯の意匠図作りの時は、白米を炊くことをイメージしました。米はもちろん、水にもこだわり、米の研ぎ方も気を払う、最後お茶碗で出す所作まで。遠くから見たら、白ご飯は白ご飯かもしれないが・・・。そんなモノづくりでした。急がず、それでも早く仕上げたい帯の一本です。

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2015年11月13日

御召緯は細かい地紋でどこまでボリュームを作ってくれるのか?

本物の御召緯(風が多い)を帯の地全体に使って製織する『しぼ織』。今まで、これで良いと思っていたところにある打ち合わせの最中、パッとでてきたアイデアがあります。

いま、しぼ織の中で一番多いのはこの様な地紋による隆起。それが柄によって少し変化が付いたモノ。

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帯一本を通して、上から下に流れるように織り込んでいます。今考えているのは、このしぼ自体を①さらに細かく②しぼだけで柄を形成することができないか?という2点です。それを実験するに当たっての前実験では、細かく織ること自体は可能。その後の御召緯で織った生地を、湯に通し、全体を縮めた際、どこまで縮んでしぼが作れるのか?そこが大きな問題です。

細かく柄を綴じると、お湯に通し時に、その綴じた糸が御召緯の邪魔をして、縮まないのではないか?等々、想像できますが、その程度は予測できず、実際にやってみないと分かりません。そのため、今日は、お湯に付けるための紋を作るところまで、進めました。

 

理科の実験の様なモノづくりになっています(笑)が、もしかして『しぼ織』の次の大きなモノづくりへのキッカケになるかもしれませんし、ここでは充分な試行錯誤を繰り返して、横道に逸れながら、しぼの細かさの限界点を探りたいと思っています。

紋が上がり次第、その2で報告しますね。

 

 

明日からは奄美大島(←仕事です。)へ。目的は、奄美大島の職人さんと一緒にモノづくりをしている『りんぐ大島紬』について。となみで製織する帯のためにも、もっともっと力を入れていきたいです。それはご報告できると思います。ここ一ヶ月で沖縄⇒鹿児島⇒奄美と3つ続けて南国です。『南国風の良いデザインが上から舞い降りてこないかなぁ?』と、そんな期待も持って行ってきます。ちなみにまだ風邪は治っていません〜

 

2015年11月10日

ビロード染め上がり、一反目。

 

先日から白生地を紹介していたビロード、染め上がってきました。

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『南蛮七宝文様/有線ビロード』


染め屋から上がってきたときは外出してましたので、詳細の打ち合わせは今から。電話では『生地に色が入り易い。』ので、予想以上にこちらのイメージに合わせるのが難しい(濃くなり過ぎる)、と言われていました。それでもこちらの色見本通りに上がてくれるのは、本当に有難いです。白生地段階との大きな違いは、ビロードの特長でもあるパイルをカットした部分、染め色が濃くなり、際立ちます。製織前の打ち合わせ段階では、このカットした部分を『花に見立てて、流れるように反物全体に散らす。』。

白生地では触って、『あ、ここにある。ここにも・・・。』と文字通り手探りでしたが、これでやっと雰囲気が掴めます。
そして、この反物が一反目です。二反目は少しカットする部分を増やして(花に見立てた部分の中心も)、花全体を浮かせる、そう考えていますが、これも染めてみないと、実際はどうなるか?やってみます。

 

 

染め上がってもビロードのボリューム感と存在感は健在で、遠くから見ても『おっ』となります(笑)。

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地風も雰囲気もコートとして最適ですので、仕立て上がりが楽しみです。

2015年11月03日

大内桐/目出し4色

 

Facebook上の反応を見てみたいと思い、珍しく先にUPしてみた『大内桐文様』の目出し。

 

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 ⇒Facebookへ

 

グレー濃淡、おそらく帯としては地味と言われる組み合わせです。UPしたのは一色ですが、実際は下の感じで4色系統を変えて目出し(試験織)を取っています。柄の出方や着姿の顔を主に考えると、一番上と2番目。それを少し修正すれば帯として、完成に近いと思います。(それはそれで進めつつ)UPしたグレー濃淡も、袷帯ではあまりとなみに馴染み無い、無地に近い帯として使い方を提案していきたいと思います。総紗縫で近い提案が出来ているので、袷の帯でも似た感じが出来るのでは?と考えています。(好きな人には好まれそうかな?)

 

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当初このモノづくりは南蛮七宝文様シリーズの派生の一つと考えていました。例えば南蛮七宝文様の着物に合わせる帯を想定。
となみ織物でメインの紹巴織に紬糸を足した織組織を作っているうちに、軸足は当初通りでも、さらなる広がりを感じましたので、もう数柄文様を足してい行ければと思います。

 

意匠と糸使いは本当にシンプルの極みなので、できること、工夫は限られているように見えますが、実際はその中から飛び出ようと色んな工夫をして、試験を取ったり、配色をトコトンまでやり切ることができるので、紹巴織の土台部分が広がりはじめている気がします。この生地は小物にも応用が利きそうですので、普段持てるもの等にも使えるように、まずは帯づくりですが、さらなる工夫を重ねていきます。

2015年10月31日

帯のベストセラー。麹塵染め/竹林について

帯でも『ベストセラー』はあります。本やCD等々とは何万というような数字が一気に上るわけではありませんが、長い期間掛け、注文を頂いてコツコツと長いこと織っている帯です。とは言っても、糸は絹、天然繊維ですし、染めも一色辺り糸の一塊(片手で持てる程度)ぐらいしか一度には染めないので、同じ柄と言っても、風合いも雰囲気も少し変わり、全く同じモノではありません。

もしかして、同じ意匠を使っていてもワインの様に、配色のノリが良い年、生地の風合いが良い年があるのかもしれません(面白いかもですね・・・。。。

 

そのベストセラーの一つがこの帯、『麹塵染/竹林』。

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となみ織物で紹巴織を織り始めて、少ししてから織った帯です。紹巴織の歴史を100とすると初期の5くらいの時期に意匠が作られたもの。当初は麹塵ではなく、通常染料で製織しました。様々な配色が織られ、紋もその時期に応じて修正を加えながら、麹塵染めとなりました。


帯の意匠は『古典柄』と言われる様に、使い捨てではなく、大事に残していきます。時間が経つと、その中の多くの柄は時代に合わなくなってしまったり(それでも意匠としては凄いモノが多い)、同じ様なコンセプトでその時代に合わせた柄も製作しますので、過去の意匠を復刻することは、となみ織物ではそんなに多くありません。

 

そう考えると、この竹林の柄が今も注文を頂き、織り続けることができるのは、本当に稀なことです。モノづくりをするスタッフは全員、新しいモノ作る際は、そうなる様にと集中して製作します。苦心してできたもの、案外すんなりと進んだもの、関係なく、いつの間にか稀にベストセラーになっている。努力時間と比例してくれると、大変有り難いのですが(笑)、そうならないのもモノづくりの面白いところです。

 

また、この竹林柄は今ではやらない配色上の禁じ手が使われていますので、若手がこの柄の意匠図をお手本にすることは、本当に勉強になります。モノづくりまで貢献してくれている大変親孝行な帯です。感謝感謝です。

 

 

昨日の晩にFacebook上でもUPしました。
とても良い評判を頂いています。

 

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2015年10月29日

過去最高の手間を掛けた裏地を再び。

 

以前、帯の裏地に製作していた『パズル柄』。

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表3柄ほどの裏地に使っていました。それ以降、使っていません。もちろん、忘れていたわけではなくて、配色の大変さに手間取り、満足できたのが3柄分、そういうことです。今回登場したのは、先日久しぶりに裏無地見本帳をざーっと整理しているときに、『そうそう、この柄は作るのがホント大変だった。』と手を止めたことにあります。

 

ちなみに、通常の紹巴織が3色の糸で地色を構成しているところに、この意匠の場合、6色緯糸を織り込み(太さは半分なので重量は同じ)、柄と色を作る帯です。表に出る色は選択できますので、たとえば、一番表面に出る色を『白』他の5色は下に潜ませる。通常は、表に出るのは『オフホワイト』。

そんな配色ができるはずですが、このパズル柄の場合は、他の色が作用して、茶になったり緑になったと、今までの経験とは違うパターンで色が混ざり合って表にでてきます。すべては6色の組み合わせで決まりますので、それを試験、チェック、組み替えて、再チェック一つずつしていかないと、本番では使えない、そんな織組織です。

紋を作る際も、その辺りを予測しながら製作しますし、紋作りから配色、反物として織り上がるまでは、過去最高の時間を掛けて作った裏無地となりそうです。賞があれば、間違いなく一等賞です。

 

そんな風に思いましたので、再度リメイクして、次に作る新しい帯シリーズに活用できるか?検討しています。さらにややこしくなりますが、紬を通して織って面白いかもしれません。

 

ほかには小物としても面白いかも・・・。

 

2015年10月28日

思っていたよりも順調なビロード製作。

 

南蛮七宝文様のビロード。まずは一反目の白生地が上がってきました。

L1930273.jpgのサムネール画像

 

ビロードと聞くとまず思い浮かぶのが・・・光沢のある生地と風合い、ボリュームある質感だと思います。
それに対して、業界の方はおそらく『反物の巻の太さ』を思い浮かべる方が多いと思います。

 

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これだけ違うと展示場でひと目でわかりますね。

 

この違いが視覚的なところからも『ビロードって、通常扱うモノと何か違う織物。』そんなイメージを強く持たれる理由の一つかもしれません。織れるところも少ないですし、現在ではビロード風の物も含め、本当に少なくなってきました。その中でのモノづくりです。

 

ちなみにビロードの特長は、上記の様にありますが、南蛮七宝文様をビロードで織るにあたり、一番気を付けている部分は、ビロードのカット部分(輪状に織った先端部分をカットし、周囲部分とのメリハリを付ける。)です。ランダムにカットするのでも、もちろん構いませんが、今回は南蛮七宝文様が花に見えるように考えています。

 

ちなみに、染めないと、非常に分かりにくいです。

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花弁だけをカットして、この花が全体に散るようにしました。これが一反目。この次に織り上がるものは花弁に+して、真ん中部分もカットする予定です。染めてみないと、最終判断はし難いので、早速この一旦目を染めてみたいと思います。

巻の太さに比例するのかも?と思うほど、手間とコストは掛かる織物です。反物で見るのと同じ様に仕立てると、独自の世界を作れる織物です。大事に育てていきたいです。

 

 

 

PINTREST南蛮七宝

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2015年10月22日

バランス感覚も大事。尖ったところも大事。使いやすさも。


先日、唐長さんとの打ち合わせで見せて頂いた柄を今作っています。その柄というのは、南蛮七宝文様の着尺や無地っぽい着物に合わせることを意識して選んだモノ。シンプルで、奥行きと文様自体に力強さを感じるもの。さらに、できればお太鼓姿から、品も漂ってくる。そんな帯です。こう書くと難しいですが、実際も難しいです(笑)。

自分でデザインから製作するのとは違って、文様自体はほとんど触らず、色、織と素材の組み合わせで、イメージするモノを作る。たとえば、色だけでも極まれに『使う色少ないから配色は楽ですか?』と聞かれることもありますが、皆さんの予想通り(笑)、ごまかしが効かないのでとても難しいです。

今の柄も、意匠図自体はほとんど完成しましたので、次は色。着物の色も沢山ありますので、他の色とケンカしないようにしつつ地色を作り、織りの表情が出るように、今回は紬で色づけし、箔を使って品を出そうと思っています。それらがバラバラになってしまわないように注意して意匠図を作りましたが、さてさて配色はどうしょう?というのが今日のところのモノづくりです。

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こういう色合わせで一色は試験を織ってみようと思っています。

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