となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2016年03月05日

【角花】つくり 2

 

ここから登場した【角花/唐長文様】。
 http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/01/post-2324.html

 

12代目からの宿題として、前に進めています。以前、お借りした唐紙を図案にし、意匠図へ。そして製織。が帯作りの流れで、今はそのうちの意匠図制作後、製織の前段階です。これで本当に帯を織って良いのか?それをチェックするための、目出しを取る、試験織りをしています。

 

今回は唐紙によく見られる『共色』を特に意識し過ぎなくらい意識をしています。唐紙の共色はどんな表現をしたら伝わるか、難しいところではありますが、自分の中で消化しているのは、地色と上に乗る色とが近い色なので、気付かない人もいるかもしれないけれども、あるのとないのとでは全然違う、そこにちゃんとある配色。ややこしですが、そんな風に理解しています。

 

織物でするには、とても難しくて、何も考えずに紋を作って織ると、おそらく数ある中の地紋の一つになってしまいます。そのときは柄を強調するため、対極のあるような2色、3色を入れて配色。それはそれで配色での悩み、柄のバランスなどを考えますので、簡単な仕事ではないのですが、今回はそれとは異なり、似た共感にある色を使っての魅せる帯づくりです。

 

織組織は紹巴織、平らな頑張っても指が引っかかる所のない織物です。その織物の組織を少しイジって、僅かな隆起を作り、そこに入れる素材と地の生糸との差で違いを見せれないか?そんな検討を現在しています。

 

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『角花/目出し』

 

この目出し(試験織)段階では、織りに問題が無いのか?の確認のため、織られる2色は、敢えて離してあります。今回、大きな問題はありませんでしたので、ここからそれぞれの2色を近づけて行きます。最終は同じ色を素材違いで織る。後は織組織の違い(高低差)で見せる、ですが、そこまですると無地に見えてしまいそうなので、試験を繰り返したいです。

 

周りからは写真の段階で特に一番上の配色が良い、結びたいと言われています。それはそれで織るとしても、やはりその先の今まであまりやらなかったこと、避けてきた部分にも力をいれて取り組みたい、今はそんなモノづくりを心がけています。場合によっては、南蛮七宝の様に、何年その柄追っかけるの?と言われる柄になるかもしれません。そうなる様にもしたいです。

 

2016年03月04日

離陸準備。

 

しぼ織を夏仕様に改良しようと検討中です。袷仕様⇒夏もしくは単衣仕様へと変更、季節が変わるだけあって、少々の変化じゃない改良となります。完成イメージとしては・・・、今の夏着物に合わせ、色数をそこまで入れず、シンプルな文様。軽くてもしぼの質感は残したまま。ただし地色は効いた色もしくは柄が効き色。

イメージとしてはこんなです。



色は素材の選別する必要がありますので、まずは織組織、土台部分を確率させるのが先。
モノクロに近い形の箔を使って、先日試験を織ったのが下記写真です。

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『夏一本でも結んでもらえるのか?』ちょっと疑問のペースではありますが、まだ試験は続けています(苦笑)。ただ、糸の使い方を変え、しぼの付き方を変えた生地がどこまでの耐久性を持っているのか?一番大事な部分でもあります。そのためテストとして、一本織ってみて、裏地を付け、袋帯として結ぶ試験を今から行いたいと思います。

 

その前の記念撮影がこの写真 ↓

結びにくい、生地が弱い等のネガティブな要素が多いのか、それとも軽くて◎、キッチリと締まる。等々のポジティブな意見が集まるのか、それに加えて、生地の張りや重量バランスを少しでもイイものに。結構、やることは山積みです。

 

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『しぼ織組織』

 

写真の帯を除いて1本目になる予定の図案も、着々と進んでいますので(ちょっと無茶な感じが素敵に上がるそうです)、暑くなる時には、『この帯いいなぁ。』または『あの帯、私も結びたい!』とそんな声が聞こえるのを想像して、少しずつ前へ進めています。

2016年03月03日

『要望』1200経錦

 

今回きものSalonに掲載の『1200経錦』。
モノづくりの順序としては違っている様な気もしますが、載ってから社内でモノづくり熱が急に上昇中です。結果として、作りたい。作って欲しい。と社内で声が上がるのは良いことです。

 


Pinterest

 

ただし。この織物の機は一台のみ。紋を作っても織る順番は、なかなか回ってこない(本袋と同じです)⇒メリット:じっくり図案と紋づくりができる。経糸は三色、一度決まれば、その色が経糸十数本織り上げるまで固定されてしまう。⇒配色に拘らない柄を作ればイイ(そんな柄あるかな?)。

 

等々、まだ図案検討中なので、完成までは遠いですが、前向きに、頭のなかの声と戦ったり、話し合いをしながら、進めていきたいと思っています。織りのネームは『1200経錦/作楽』です。

 

以前、この組織で製作して、注文を頂くと織るものが、この『鳴錦』。

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この辺りを意識しながら、図案検討したいです。

2016年03月02日

若手に向かって、自分に言っています。

 

『これで完璧。』と言ってみたいですが、モノづくりでそんなことはあり得ません。同じ様に見えるモノ、例えば以前製作した同柄の帯を織っていたとしても日々進化するように、意識してモノづくりしています。帯の場合、土台となる織組織は完璧に近いと感じても、ずっとそれを織り続けるとマンネリしていきますので、成功するか分からなくても、常に変化をさせるようにします。たとえば、無地だったら地紋を入れてみたり、緯糸の素材を変えたり、糸種が同じでも合わせる本数を増減させてみたり。

 

大きなモノづくりとは言えないまでも、上手く行った時は今まで無かった表現をすることができ、次のモノづくりの核の様なモノになることもあります。日々、この積み上げをする、できなくても意識してアンテナを張っておくことは、とても大事です。稀に、革命的なモノづくりが突然ポンとできることもありますが、うちで言えば『総紗縫』、できてもそれに気がつかないこともあるので、作ったままでなくて、それを使ったモノづくり、その後のメンテナンスが重要です。

 

これは帯の話ですが、おそらく着物も小物もそう変わりません。そう思っていますので、今日は若手とそんな話をしながら、まずは問題意識の発見として、草履の重量を測ってみました(笑)。

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となみさんの草履はちょっと重いな、反対にちょっと軽いな、と両方言われたことがありますが、これが重くても軽くても、これを元に何か進化させる気付きが、今日でてきました。漠然意識ではありますが、小物一つとっても、できるか分からない状態でも、何か変化が起こせないか?常に意識して、より良い面白いものを作ろう!疲れていたり、物凄く売れていたり(苦笑)するとついつい忘れがちですが、とても大事ですね。

2016年03月01日

継続するかは検討中です。

 

東郷織物のみじん格子の上に、型で南蛮七宝文様を置いた着物です。

 

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『実験』と書いてしまうと製品(着物にはあまりしたくない表現ですが)として大丈夫?と思われそうですが、何度も試験を繰り返し、繰り返し行って、完成までこぎ着けた着物です。では、この反物作ったけれども、続けていくのか?色を変えてやってみるのか?南蛮七宝以外のモノは?などの検討は、まだまだこれからです。

 

東郷さんと言えば『大島紬』、今までも南蛮七宝で大島紬はやってきました。泥、白、藍、夏、割り込み。
産地へ行って、試行錯誤して、今現在考えられるモノづくりを行いました。まだ少しはありますが、数量は全部限定のモノです。まだ、もうちょっとは大丈夫だけれども・・・、『じゃ、次は?』となった時に戸惑って、面白くない、あまり気のりのしないモノづくりをしないためにも、こういう実験はとても大切です

 

でも、完成品です(笑)。

 

 

 

2016年02月29日

ゆっくりながら再始動。輪宝文様の御召/試験織1

高松から京都へ帰ってきました。花粉症と風邪で本調子ではないのですが、溜まったモノづくりを見ると、結構元気がでてきます。いくつか並行したモノづくりはどれも一斉に手を付けていきたい気持ちもありますが、それをやってしまうと、混ざってしまいます。そうならない様に、一つずつ進めていくのが安全です。

 

今、比較的に完成/ゴールに近いものは作楽の新柄。それに今まであった紋の配色を変更するモノ。織り組織に変えてリメイクするモノ等々。量で見ると、ぞっとします(笑 出張中にはそれを整理していました。)。他には図案段階のCandyCircus3柄目、メルマガに掲載していた『しぼ織』、唐長文様の帯等も優先順位を変えながら進めています。この辺り全て引っ括めて、たのしみの宝庫です。

 

今日は、その中でも一番ゴールに近そうなモノ作りの検討を行っていました。ざっくりとした部分は、出張中でもメールのやり取りで進めていたものの、やはり織りの実物を見ると、修正点はもっと見えてきます(それでもやっていたくなります)。

 

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『唐長輪宝文/御召の試験』

 

細かな修正点は色々とあるにしても、大きなのは2つ。
1,全体を構成する輪宝部分(◯のところ)が楕円具合がきつい←筬での打ち込みが入りすぎています。
2,文の真ん中の上げ方が異なる。

とはっきりしています。←写真ではそれも見逃しそうになることも・・・。

 

後は、実際にお手本にした唐紙と試験織との間を何度も目を行ったり来たりさせて、最後の詰めを行います。

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『お手本にした唐紙/輪宝文様』

 

大きな修正点はだれでも見つけることが出来ることができますので、、それ以外の修正点に気がつくことと、仕上がった紋に対しての配色がここからの自分の仕事です。

 

来月中旬に、唐長さんの三条店で初反の発表ができれば・・・上出来です!

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2016年02月24日

一歩後退。糸糸本袋

 

少し前に紹介していた【本袋/海路】。ちょっと失敗です。

 

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「本袋/海路」

風合いとバランス、目出し段階では問題無いと思っていましたが、一本の帯で見ると残念ながら帯としては難しい、織物バランスで上がってきました。通常本袋の製織は表と裏を反対向けに(引っくり返った状態で)織ります。そのため、織り上がった後、検品するためには長い筒状の帯(440cm)のものを、ずーっとひっくり返す作業をしなくては、柄が見えません。検品後仕立てするためには、また反対に返して芯を付けてから、またひっくり返す。書くだけでも、手間のかかる作業を糸や箔の通った帯地を一切傷つける、痛めることなく行う。熟練の技を持った職人の工程があります。

 

今回織り上がってきた帯は、お客さんの手元に行くまでの工程に耐え切れないかもしれない、5回に3,4回は失敗しそう(帯に傷がいく)そんな様子です。原因は、紋(意匠図)づくりの工程でしたので、ここを修正すればいいだけの話ですが、風合い自体は非常にいいのに、勿体無いです。諦めきれない部分もあって、なんとかしたい部分と5本に1、2本だけしか正反が上がらない本袋。では形になりません。再度このバランスを取り直して出直したいと思います。

 

この本袋は特殊な機のため、織れる人はとなみでは1人。ですので、織りたい新柄が行列を作っていて、出番待ちをしています。経糸に違う色が掛かってしまうと、順番が飛んだり・・・。

今回の柄も、紋に修正を掛け、再度配色替えを行って、経糸の順番を待つ。いつになったら上がってくるか?分からないモノづくりです。もしそこで失敗すると、次はいつになるか分かりませんので、次回にはきっちり完成させるように、万全の準備をして臨みます。

 

この帯の雰囲気は、モダンかつ懐古的な雰囲気もあり、結ぶ人は選びそうですが、ピタッと感性が合う方には良い着姿ができそうです。何度も繰り返しますが、完成はまだまだです・・・。

2016年02月10日

若手モノづくりⅡ

 

西陣のモノづくりに関わる人に、もし世代別モノづくり分布表の様なモノがあれば、間違いなく自分も若手層の真ん中よりも下の方に入ると思います。今回モノづくりするは、そこよりも遥かに若い、最若手と言っても良い、となみスタッフです。

いいな、と思うのは、『こんなモノが作りたい!』という気持ちが溢れているところ。(繰り返しますが)自分も少なくないはずなのに、とにかく熱いその熱意に押されてしまいます。

 

今回進めているモノづくりは、新しい試みが中心です。勢いある熱意のまま『いきなり本番いきましょうよ!』と言いかねないので(笑)、そこはこちらの意見を通してちゃんと満足が行くまで試験する。それ以外は好きに、本人のイメージ通り、モノづくりを進めれればイイ、と思っています。かえってその方が意表をつくモノができそうです。

 

というわけで、まずは帯としては使えない丸巻きを使って行う実験・試験の下準備中。

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(こんな感じで率先)

 

職人さんとの打ち合わせ中でも、こちらへ質問してきたことを少し返すくらいで済んでいます。本人のイメージがしっかり固まっている証拠で、とても頼もしいです。ちょっと前は上がってきたら、『どうしましょう〜?』だったんですが。

 

すぐにはできませんし、形となっても一つだけでは、メーカーと言えませんので、次の課題として、継続することを伝えていきたいです。

2016年02月09日

りんぐ大島を使って、白✕白。

 

織り手が少ない、と書いてしまうと、まだありそう。
そんな雰囲気が漂ってきますが、ホントに織られていなくて、うちでも少し困っている『りんぐ大島紬』。

今までFacebookでもブログでも少し紹介していましたが、うちが独占しようとしているわけではなく、結果そんな形になってきました。たまたまでしたが、奄美で仲良くお付き合いをさせて頂いている機屋さんが、このリング大島を織られていて、その色が雰囲気がとなみの帯に合う。優しく、綺麗で、美味しそうな色目がなんとも言えない良さです。

 

今、製作中と考えているのは、ここにある草木染めで・・・。
ですが、上記の通り、帯づくりの様には(最近こちらもスピードの面では随分と落ちてきました。)行きません。

 

そんな貴重な『りんぐ大島』(社内でも見かけることも少ない)を白生地と見立て、間に割り込む様に(すみません)織ってもらいました。白無地のりんぐ(厳密には絣入)。そして、その生地の上に南蛮七宝文様の型を置いて(頭のなかでは、めちゃくちゃ勿体無い✕3と鳴っていました)、反物を作りました。

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当然、こんなことをする所はありませんし、リング糸が型を浮かせて色が入らないし・・・。等々問題は噴出していましたが、何とか染め上がったのが、この一反です。通常、表にリング糸が立っているのも、染料が入る部分では沈みますので、柄の濃淡+生地の濃淡も出て、陰影の付いた非常に奥行きのあるモノに仕上がっています。

 

今は白✕白です。
今度は色にすれば、また新たな壁も出てくると思います。お客さんに着て頂く着物作りがもちろん本業ですが、南蛮七宝文様を使って、異なる角度から、表現していく。それもまた今後のモノづくりに繋がっていきそうです。

 

とりあえず、時間は掛かりましたがホッとしています。

2016年02月05日

2016若手とのモノづくり①

 

若手とのモノづくりを頻繁でない程度の時々、行っています。今回は帯を一本だけ作るというのではなくて、シリーズ・塊として製作をしようとしています。今回は長い時間、行く先を決めるために繰り返した打ち合わせから、モノづくりを実際に動き出す、最初の一回目です。

 

具体的には、この帯地(紗楽)に刺繍を施すこと。それがこれからするモノづくりの中核。

 

IMG_4940.jpg

 

そのため、まずは下地となる帯地を作ることから(いきなり一番大事な部分です)。

主に考えることとして、柄はどうするのか?色は?素材は(糸種等)?帯の柄は上にのる刺繍とどう絡ませるか?
が当面のモノづくり。初めての試みも、いつか入れる予定をしていますので、今から取り掛かる試験織は、遊べる範囲をできるだけ広く作っています。試験を取るので地色も普段使わない色味でやってみようと思っています。

 

IMG_4941.jpg

 

となみブルーに緑っけを足してみて、鉱石の色を作ろうと思っています。
まず今年前半(5月くらい)までには一旦形にして、そこから少しずつ大きくなるようなそんなイメージでのモノづくりです。

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