となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2016年02月02日

容れ物としての帯/南蛮七宝文様P

 

先日、本決算前にFacebook上にUpした『仙福屋の懐紙入れ』。

12628599_954438751259577_6179781952377338445_o.jpgのサムネール画像
仙福屋の懐紙入れ

 

特別な意識をして上げたわけではないのに、爆発的に注目していただいています(いいね!1600人以上、リーチ4万人超え)。

 

最近は、広い意味の『容れ物』、帯地を使ったバッグも雑誌に取り上げて頂けたり、取材をしたという話も頂いたり、3,4年前のちょっと昔から考えると、素材としての帯地へ関心が随分と好意的に変わった感じがします。

 

南蛮七宝を意匠にモノづくりした商品は、今のところ本社&自分のみの取り扱いとなっています。それは商品の制作する量・把握、モノづくりのスピードからと、一人で勝手に走って、暴走しないためです。ただ、去年は古川美術館の唐長世界でバッグや懐紙入れ、今年も唐長さんのサロンでも展示、と少しずつ実際に触れていただける環境が整う、そんな流れができてきました。

 

生地としての帯地は、まだまだマイナーな話ではありますが、帯で使われる意匠、絹を使った風合いには、他の物と違った魅力、大きな可能性を感じますので、もっと認知されるように伝えていけるように頑張りたいです。

 

ちなみに、最近上がってきた南蛮七宝文様/P型(見本)。

IMG_1722.jpg
『南蛮七宝文様/バッグP型(プティ)』

 

洋だけでも和だけでも勿体無い、そんなバッグになれればと思います。

2016年02月01日

2月、新たな期のスタート。しぼ織;花柄。

 

無事、棚卸しの勘定が全て終わり、あとは集計等の事務的な作業に入ります。昨日は社内が原料、商品、人も引っくり返って、お盆・年末の大掃除以上の掃除となりますので、今日はビシっとすっきりとした空気が社内には漂っています。まずは一息です。いつもビシっと空気が大事ですが、片付けるとともに、帯見本があっち行ってたり、していますし、もう一度散らかさないように気を付けながら(笑)、自分のモノづくりのモノを集めていきます。その中の一つ。

 

現在、試験を繰り返し、なんとか前に進んでいるモノが『しぼ織』の新しいアイデア。

この試験は(帯になればいいですが)、今後作って行こうとする『しぼ織の土台』、柄の一部になるようなモノづくりです。しぼ織に使う素材には、今では希少と言っても良い、『御召緯』を使って製織しています。その特徴は水分に浸けると縮むことです。織りの段階では、それを見越して帯巾を広く織り上げ、お湯に浸けて縮め、帯表面に隆起(しぼ)をつけ、帯巾として再度巾を整えます。

 

しぼ織.jpg

ちなみに、これがベーシックなしぼ。
縦に流れる隆起になる様に、柄に沿って縮む様に設計。織りでは糸で止める様にします。何も考えずに、この糸を使って織ると、しぼが暴走して生地が捻れてしまい、帯になりません。←しぼ織の織り始めは、そんな感じです。

 

新しいアイデアは、しぼをある意味暴走させながら、周囲を深く括って、それ自体が柄になる様に糸で止めています。


IMG_4755.jpg
(花に見える部分は袋状になっていて、触れるとしぼが動きます。)

 

これをこのままで進めてしまうと、生地的に弱くなるので、ここからはバランス。糸で所々止めながら、しぼが動けるスペースは残しておく(帯をお湯に通す→縮める、というのが前提なので、予測は難しく、やはり経験が重要です。)。

 

今後、帯にしていくためには、これをどの程度のバランスが良いのかを理解して、その時点で使う意匠と相談しながら実用的な地紋を作る、となります。考えているのは、従来のしぼと写真のしぼを共存させながら、しぼだけで出来た帯やこのしぼは意匠の無地部分を構成、あとはしぼを立てず、柄で見せるモノ。等々、完成すればしぼ織で作る帯の表現力は確実に上がりそうです。

このモノづくりのキッカケはある方から頂きました。上手く使えるように試験繰り返していきます。
ありがとうございました〜。

2016年01月30日

京都に帰ってきました。

 

奄美から今日へ戻ってきました。
帰りは奄美空港→伊丹空港まであっという間の1時間20分。(新幹線で京都→じるし東京よりも近いですね・・・。)明日は棚卸し、そして本決算です。。急速にグッと現実に引き戻されました(苦笑)。今頭のなかにある温かいアイデアとイメージを2,3日のうちにまとめて、大島のモノづくりを進めていきたいです。奄美初スタッフも2人いましたので、いい刺激になって、大島に限らず、帯も御召も盛り上がるようにしたいです。

 

下の写真は大島紬の糊張り。絣を作る工程の一つで海草糊を使って数本の糸をまとめる作業。糊を乾かすために天気が良くて、糸同士が擦れて切れないように風が弱い日にしかできないため、この場所では今年初めての作業日だったそうです。この日も天気予報的には雨・くもりで、多分だめだろうなぁと言われていましたので、嬉しいサプライズでした。

DSC09255 (1).jpg

 

 

そういえば自分も今まで7回行った奄美で見れたのが2回目。そんな幸運も含め、今後のモノづくりは楽しみです。

 

2月から新しい期が始まります。また一年よろしくお願いいたします。

 

 

 

2016年01月27日

京都では今期終了です。

 

明日からは奄美大島への出張です(〜30日)。となみ織物はこの1月で決算となりますので、今期社内でモノづくりできるのは、今日で最後です。

年末にまた来年と言って、今月もここが区切り。毎年のこと、日にち的には区切りはありませんが、年末よりも区切り感は強いです。また、新しいモノづくり、企画、展開、新しい期から、コツコツとモノづくり、積み上げていきたいと思います。

 

明日からの奄美は、初奄美のスタッフが数多いので、研修も含みつつ、モノづくりを進めていきたいと思います。

おそらく、明日は奄美から何かしら報告ができると思います〜。

 

 

よくお客さんから聞かれるのが『なぜ西陣の帯メーカーが大島紬?』。
それに関して、その都度にお応えしていますが、今回はモノづくりを交えて、その返答ができればいいな、と思っています。偉そうなことを言っていて、大丈夫かな?と思いますが、明日から行ってきます〜!

2016年01月26日

輪宝文続く。

 

昨日の輪宝文に続いて・・・

 

DSC09106.jpg
【輪宝文/宿題の続き】

 

唐長11代目夫妻より宿題を頂いている輪宝文の試験織。すでに何度か試験を取っていて、前回書いていたシーソーの様に揺れながら、なんとかバランスを取って、できた配色です。一色しかうまく行かなかった時は、今日出すのを止めておこうと思っていましたが、(なんと)3つともバチっと決まってくれました。一色で大変だということもあれば、こうやって一つの生地上で三色とも上手く行くことも・・・。この辺りがモノづくりの面白いところですね。

 

この時に糸を出した紬を通したモノも上がってきていますので、多少修正を掛けながら最終段階へ持って行きたいです。
『全然、進まんなぁ・・・。』と最近は手詰まり感も感じていましたが、なんとか錆びた歯車が回るようではありますが、いい方向へ進みだしています。

 

 

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2016年01月25日

麹塵染めも面白いかも・・・。今思いました。

 

ベースがしっかりとしているモノ(今日は図案です)は、完成度が高いのでイジりにくいのはあっても、一度突破口を見つけると、多くのモノづくりの土台となってくれます。今日あがってきた試験織(一本目)を見てそういう気持ちを強くしました。

 

あがってきたモノは、過去の紋(デザイン)を修正&リメイクしたものです。

IMG_1948.JPG

 

元の図案から製作した一つ目の帯を含めて、4つほどの種類を見た記憶があります(実際の製作はもっと多いかもしれない)。ものすごく人気のあったモノが時代の流れや好みに合わせて、色や柄のサイズ、織物を修正して作りなおすのであれば、分からなくないですが、この柄は、そこまでの人気があったわけではありません。それなのにリメイクをする、何かが隠れていそうな柄です。おそらく今後も5,10年単位で大ヒットになるまでリメイクを繰り返しそうです(当たれば、かえって止めてしまうかもしれませんね?)。言い換えれば、図案にあった帯がもっとできるはずと、さらなる可能性を図案から感じているのかもです。

 

社内にはこんな図案、過去に作った帯があります。一度でも帯になったものは、壁として残っていますので、ここを乗り越えるモノづくりも今年は力を入れていきたいです。頑張ります〜。

 

 

今日の朝。全国的に話題になっているので触れておかないと・・・。
会社のある寺之内通まで南北に通る堀川通もしくは烏丸通を北上していくと、数キロ走るだけで、気温がドンドン下がっていきます。(会社よりも北に行くと、北大路通り1度、北山1度、御薗橋1度、下がる感じです。)そんなこともあって、職人さんとの会話の出だしは(同じ地域だと思われる様な狭いエリアでも)、『雪ありました?』です。

 

今日は、珍しくマイナス気温でしたが、まだ業界的には若い僕らよりも、60後半〜70代の職人さんのほうが遥かに元気よく、全く普段と変わらないペースでした。織り上がりの商品を持って/糸を取りに、来られる等々。今日は本当に寒かったです。。。見習わないとダメですね・・・。

 

IMG_1949.JPG

2016年01月22日

順番待ちの織物。

 

業界一般的に見て、帯を織れる職人さんがずっと減り続けています。
それにつれて、生産数自体が減り、織れない織物が出てきたりもしていますので、以前と同じことをするのが簡単ではありません。となみでも、織り手が少なく直ぐには織れない場合、技術的にその方しか織れない様な織組織、素材の問題等々、モノづくりの環境は良いとは言えません。それでも周りを見ると、相当良い方ではあります。

『(図案、意匠図が出来たものを)直ぐに織りたい。』おそらく誰がメーカーをやっても、その気持は間違いなく強く出ると思いますが、今は織組織によっては、機の空くのを待つ、そんな時間も必要になってきました。

 

その待ちが長い織物。社内には幾つかあり、時期によっても変わりますが、一年を通してそれが必要なのは、この本袋。
先日、唐長11代目の奥様に登場して頂いて、撮影を行った帯シリーズです。

本袋広告
 Pin⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/本袋/

 

神坂雪佳の世界/海路】シリーズ/本袋
図案・意匠図を作り、目出しを織った段階で止まっていたモノ。となみ織物の中では一風変わった雰囲気です(目出し見ると特に)ので、早いこと帯一本で見たい。そう思っていた帯です。

L2050048.jpg(表)

IMG_4723.jpg(裏)

その順番が回ってきました。

 

写真の段階から配色を修正、その糸を準備して、本番を織るのを待ちわびていました。織る段になり改めて、その糸を見ると、やっぱりこっちの方が良いかな・・・とか、糸の太さはもう少し細くするか?、そんな迷いが出てくるのが目に見えています(今まで何度もありましたし・・・。)。その対処方法として、ここだけは拘らず、以前行った配色を信じて、そのまま行くことする。自分の多くないルールの中の一つを適用することにしています。

 

そうは言っても、仕上がりどうなるでしょう?
 

2016年01月21日

しぼ織。2016年最初の柄スタート。

 

ひっぱり出してきた、しぼ織りの目出し。

 

IMG_4699.jpg
『しぼ織/目出し』⇒Pintrest『しぼ織り』

一番手前にある鳳凰の目出しは、この横段具合がお気に入りです。
PinterestにもUPしていたりします。

 

一つの柄を完成させるためには試験として、柄(お太鼓)全体を織ることもあれば、一つの柄を寸断する様に多くの配色を試しに織ることもあります。この試しに織る生地のことは、いろいろな呼び方がされていて、一応となみ社内では『めだし』と呼んでいます。何回も何回もこの目出しを取り、図案や自分の中にあるイメージに近づける仕事を京都にいる間は、日々行う。それが帯地メーカーとしての大事な仕事です。

 

帯作りの大きな工程の中では、①図案後の②意匠図作成、その後の段階でする仕事。この目出しを引っ張り出してきて、今はしぼ織りとしては画期的なモノづくり(になるはず・・・)をしようとしています。そのイメージ作りのため、写真の様に並べて、しぼの具合や緯糸と経糸の関係。どこまで緯糸で発色できるか?この織物を作った時に、繰り返し行ったことの再確認をしています。

 

やっているうちは、そうでもありませんが、日々様々な試行錯誤を行って、こういう目出しを作っています。一日2,3枚だとしても、何十年と積み上げるので、時々振り返って見るとスゴイことになっています。掘り起こせば、なにか見つかる、宝の山と言っても良いかもしれませんね。

 

(自分で言っておいてなんですが)画期的な新しいモノづくりをしようとするのも大事ですが、目出しを掘り返しながら、寸断された色の再確認。これは今ならできるモノづくり。この時は先走り過ぎたモノづくり。等々、呟きながら、目出しの山と向き合うことも、モノづくりの一つです。

やることはまだまだありそうです。

 

この写真をベースに作る帯、おそらく皆さんが予測できない所に入り込む帯になるとおもいます。お楽しみに(笑)。

 

 

 

 

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2016年01月19日

最後のコート地。ビロード。

とうとう仕立て上がってきました。
ビロード
 ⇒
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/12/post-2297.html

嬉しくてスーツの上から羽織ってもらって、撮影。
写真で見た時に、着物らしさが少しでも出るように・・・。としていましたが、それは次回で。

今回は、大体の雰囲気を見てもらいたいです。

DSC09119 (1).jpg

 

使用した反物は、織り上がり一本目の染め上り初反。当然、仕立ても初めてです。
今回は特別バージョンで、裏にも坪金の襦袢(共柄として)南蛮七宝文様を使っています。

 

DSC09125.jpg

 

この羽織っているモノの形は少し特殊な形をしていますので、和の仕立て知識だけではできず、洋の縫製技術も持った、稀有な仕立て職人さんに仕立てを依頼して実現したものです。
 

自分で着て誰かに撮影してもらうのか?着物を着た誰かに羽織ってもらって、撮影するのか(商品からしたらどちらでも構わないですね。。。)?ただ、いずれにしても、この雰囲気を伝えることの出来る写真が、まだ出来ていませんので、全貌の写真は近々に。

2016年01月14日

CandyCircus2柄目。最終⇒手直し(苦笑)

 

9日に最終とタイトルに入れていましたが、一歩戻って、最終の前の修正を行っています。
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/01/post-2316.html

 

IMG_4624.jpg

舟田さんとの打ち合わせで、総論OK、全体OK、各論9割OKと。銅板を帯にする上では、満足できなくもないですが、さらに完成度を上げるため、修正を行います。このこだわり、勉強になります。図案から作る自分の帯でもやっているつもりではいても・・・。とちょっと考えさせられました。

 

ちなみに、一柄目の【水花】はよりも技法の取捨選択を行えたので、修正しやすくなっています。例えると、一柄目は誰が配色しても似た配色になるように、ガチガチに作りこんだもの。今回に関しては、もう少し余裕を持たせたので、配色する人のセンス、バランス感覚に頼る部分が大きい。←紋を作る時には僅かな差ではありますが、やっぱり違います。

 

もう一つ、舟田さんと打ち合わせをしていて、気を付けなくては・・・。と感じるのが『織物の発色』。絹糸は発色に関しては他の繊維と比較にならない抜群の力を持っています。ただ、織物なので他の色との組み合わせを考えると、糸そのままの色ではなくて、僅かにくすむこともあります。それを極力減らすために、隣り合う色や裏に通る見えない糸に気を使っています。

 

それを気遣いつつ、作品に入っている全て色に触れつつ、デフォルメしていく。その方の作品の中に入れてもらえる位の空気感を大事に、モノづくりをする。時間も掛かり、突然表現方法に困って止まったり、悩むことも多々ありますが、今回の様に(まだできていませんが・・・)帯の形になると、やっていて良かったと感じる、登山の様な楽しいモノづくりです。コラボさせて頂いて行うモノづくりはいつもそう感じながら、コツコツと進めています。

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