となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業 > 帯のベストセラー。麹塵染め/竹林について

2015年10月31日

帯のベストセラー。麹塵染め/竹林について

帯でも『ベストセラー』はあります。本やCD等々とは何万というような数字が一気に上るわけではありませんが、長い期間掛け、注文を頂いてコツコツと長いこと織っている帯です。とは言っても、糸は絹、天然繊維ですし、染めも一色辺り糸の一塊(片手で持てる程度)ぐらいしか一度には染めないので、同じ柄と言っても、風合いも雰囲気も少し変わり、全く同じモノではありません。

もしかして、同じ意匠を使っていてもワインの様に、配色のノリが良い年、生地の風合いが良い年があるのかもしれません(面白いかもですね・・・。。。

 

そのベストセラーの一つがこの帯、『麹塵染/竹林』。

L1930292.jpg

 

となみ織物で紹巴織を織り始めて、少ししてから織った帯です。紹巴織の歴史を100とすると初期の5くらいの時期に意匠が作られたもの。当初は麹塵ではなく、通常染料で製織しました。様々な配色が織られ、紋もその時期に応じて修正を加えながら、麹塵染めとなりました。


帯の意匠は『古典柄』と言われる様に、使い捨てではなく、大事に残していきます。時間が経つと、その中の多くの柄は時代に合わなくなってしまったり(それでも意匠としては凄いモノが多い)、同じ様なコンセプトでその時代に合わせた柄も製作しますので、過去の意匠を復刻することは、となみ織物ではそんなに多くありません。

 

そう考えると、この竹林の柄が今も注文を頂き、織り続けることができるのは、本当に稀なことです。モノづくりをするスタッフは全員、新しいモノ作る際は、そうなる様にと集中して製作します。苦心してできたもの、案外すんなりと進んだもの、関係なく、いつの間にか稀にベストセラーになっている。努力時間と比例してくれると、大変有り難いのですが(笑)、そうならないのもモノづくりの面白いところです。

 

また、この竹林柄は今ではやらない配色上の禁じ手が使われていますので、若手がこの柄の意匠図をお手本にすることは、本当に勉強になります。モノづくりまで貢献してくれている大変親孝行な帯です。感謝感謝です。

 

 

昨日の晩にFacebook上でもUPしました。
とても良い評判を頂いています。

 

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