となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2016年03月18日

若手とのモノづくり

 

若手と一緒にモノづくりを。。。。。。。で今までも何度かお披露目しています。
今度はとなみ帯地の土台の上に刺繍を施す、その土台作りを行っています。

 

商品は【arabesque(アラベスク)】(リンクはPinterest)。
織物は総紗縫+紬の『紗楽』地で製作中です。

 

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『紗楽/arabesque(アラベスク)刺繍土台』

 

この意匠は(黒の共感で非常に分かりにくいですが)草花モチーフのアラベスク。総紗縫の仲間で、緯糸に通常の絹糸と紬を通し、綟り織りで製織したモノ。寝かすと透け感が消え、立てると透ける、総紗縫とほぼ同等。

 

この柄をベースに、くすんだ茶、極めて濃い藍、ひねたベージュを製織する予定です。綟り織の透けと紬の節とで面白いモノになるんじゃないかなぁと期待しています。ただ、若手衆は出張へ行ってしましましたので、最後の詰め部分は引き継ぎがあったつもりで(苦笑)、進めたいと思っています。

2016年03月17日

少し新しいことをした南蛮七宝。いよいよ。

 

2016春夏『きものSalon』の左下。

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『きものSalon春夏 p130』

 

『きものSalon編集長好み』の南蛮七宝の袋帯。
初めの一本が仕立て上がってきました。今日、結んでもらうべく発送しました。

仕立て上げると、芯の厚みで表地が僅かに持ち上がり、ふっくらとして、反物の時よりも遥かによく見えます。
(でも、写真を撮るのを忘れてしまった・・・。すみません。)

 

そう書いておいて、今日の所はこの丸巻きの写真で・・・。
(裏地は初お目見えです。)

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紹巴織ではあまりしない(特に最近では見ない)、金糸を全面に通しています。正確には金糸と通常の糸を混ぜ、糸に光沢を与えつつ、光らせ過ぎないように、抑えることをしています。金も銀も同じことを行っていますので、奥から輝きが出てくるような上品さに仕上がっています。


ただ、目出し段階での試験はしているものの、全面に金糸が通っています。そのため、糸のみで製織するよりも結ぶ際に、帯が滑りやすいかもしれません。金糸に混合させた糸でその辺りもバランスを取っていますが、最後は結んで見ないとわからない部分があります(そんなこともあって今回結んでいただくことに)。それに加え、裏地には紬糸を通し織った裏地を採用。考えつく、出来る限りのことは行いましたので、あとは問題なかったくらい、結びやすさに触れられないか。改善が実を結び、結びやすかったよ、と言って頂けるか。それても、もうちょっとと言われるか。

どれを取っても、次のモノづくりへポジティブに活かせると思います。
もちろん、社内でも繰り返して結ぶことを行っていますが、新しい考えで作った帯が社外で初めて結ばれる場合、いつもこうやってドキドキしています。

 

全てクリアした後は、まず唐長三条店で販売開始を予定しています。

 

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2016’春夏 きものSalon

2016年03月16日

梅の意匠で。

 

今年、最後になりそうな梅をちょこっと見てきました。京都生まれの京都育ちで今も京都にいるのに、全然京都のことを知らないと、最近よく指摘されてしまいます(苦笑)。そういえば、『梅も実際に見たのは何年前?』と思い返すと、『桜は見たけど・・・』と梅に関しては思い返せません。

文様としても、配色にも使うものですし、感性を磨いておくためにも、やっぱりこういう時間は意識して作ることが必要ですね〜。

 

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カメラを持って行ったので、何枚か撮りました。
どう撮ると写真として良いのか?はわからなくて、こういう時は帯として、どういう構図だったら、良い柄がお太鼓に来るだろう?そんな目で撮っています。もう一つは、色目。自然の色をそのまま糸に持ってくるのは至難の業です。ただ、雰囲気、透明感、色の方向を決めるには、とても役立っています。

 

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桜は去年も見たし、一昨年も・・・、その前も。しかも、桜文様はよく作るし、自分の帯ブランドネームも『作楽(さくら)』だし、思うと、気が付かないうちに自分の中の桜ポジションは梅の上に。。。
 

この日の梅を見ていると、こんないい花なのに、それじゃいけない。そう思いました。
モノづくりのキッカケにして、帯作りたいと思います。

 

もちろん、桜は年中行けそうな雰囲気が強いですし、梅は。。。そんなこともあるのは重々承知で何か作っていきたいです。

2016年03月15日

いろんな提案を頂いています。

 

最近は、試験織りを取ることが非常に多く、この『丸龍文』もその一つ。
そもそもの始まりは、2月15日から・・・。

 

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ここで12代目から頂いた配色のヒントを粛々と試行錯誤加え、色を作っています。

 

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意匠はこの意匠から触らずに、糸と紬の色を変えながら、無数できてしまう色探しを行っています。ただ、この紬糸は色糸を覆い隠すようで、角度によって、その色を表に出してくれたりもするので、今後の唐長さんの色づくりにはキーポイントになりそうな感じがしてます。今まで、意識して使っていなかったですが、ここ最近多用することで気づきがありました。

 

これ以上ない、そこまで詰めて切って、織り上げてから、三条店で発表したいです。

2016年03月14日

唐長さん、フルコース

 

今日はほぼ一日唐長さん尽くしとなりました。なかなか味わえない、贅沢な一日です。
朝は11代目夫妻との打ち合わせ、昼からは12代目と水上殿で。モノづくりの話、次への前向きな話、8年後の400年に向けての話と、多岐に渡ってやりたいこと、進めなければいけないこと、解決すべきことが山程あります。

今は問題だとしても、それを1つずつクリアできれば・・・、8年後と言わず、2,3年もすればワクワクする事態になりそうです。そんな話も含め、今日の今日の話です。まずは自分の中でまとめて、形にしてから、また皆さんに見て頂けるようにしたいと思います。

 

そして、夕方帰った来た時に上がってきたのが、輪宝文様の御召目出し、その2。

 

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『輪宝文様/御召目出し その2』

 

モノづくりに関しては、いつもこういうピッタリのタイミングで何事も進みます(笑)。普段気づかないことも見つかり、意匠図(柄の設計)を触れるかどうかで悩む部分も明確に。唐長さんの話を聞いた流れで集中してモノづくりに掛かれることは、本当に有難いです。

 

右がその1,左がその2。結局、配色は置いておいて、その2でも再修正を掛けていきます。来週にはその修正も終わり、再度試験を取った後、本番へ向かっていきます。

 

濃い一日でした。。。

 

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2016年03月11日

昨日の夕方上がってきた、しぼ織の試験。

 

今日から3日間京都を離れます。
宿題と課題と今後のモノづくりのネタをそれぞれ山ほど持っての移動です。

 

まだ、帯にできるのかわからないモノが多いので、詳細は掛けませんが、最近良く上げているしぼ織なんかは、かばんに目出し(試験織)を入れて持って行こうとしています。良いのか悪いのか分かりませんが、最近は夢にも見ますし(苦笑)。

 

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『今までのと違い、わかりますか??』

 

この意匠を使って帯にするか?まだ今のところ分かりませんが、試験を取るための意匠としては、地部分が広いところ、そうでないところ。お湯に浸け、しぼを出した時に花びら部分の具合を見るのに、ちょうど良いです。今までは、しぼ織自体、しぼを付け過ぎると良く無い問題が出てきましたので、その限度を見る意味でも本当にありがたい柄です。ただ、今のところは、帯として一本を織るのには、柄自体が可愛すぎるかな?となみ織物に無い様なモノだから織ってみようかな?のちょうど間です。

 

ちなみに、新しいモノづくりのため織った試験の回数は、①織組織の変更、②糸使い、③配色をそれぞれ別に試験を取りますので、もう間もなく『いつまでやってんの?』と突っ込まれる程です。現状としては、ほぼ上手く行って、後地色の配色の微調整が難しい、その点をクリアするだけです。なんとか、夏に一本でもこの帯を結んでもらえるように、そのモチベーションで詰めて進めています。

 

そんなこんなで、京都を離れている間に、頭からこのモノづくりが抜けてしまいそうなので、これを書いている間にも目出しはカバンの中に入れる決心をしました(笑)。

 

 

今までのは
 ⇒http://goo.gl/5tIFyR

2016年03月10日

夏ひとえ、新色。

 

まだまだ肌寒い京都です。ただ、モノづくりは、商品の準備は季節を一つ、二つ超えて想像してしていく必要があります。(以前年四回掲載していた時は、撮影時に、真冬の気温なのに夏号の構想を練る必要があったり・・・。)。毎年、『今年は去年より暑いな〜。』とか反対に『過去最高に、寒いな。』と大層に感じてしまう方なので、先取りは得意かもしれません(笑 全然関係ないかな?)。

 

昨年、大好評だった『夏ひとえ御召』が新色も含めて、上がってきました。

 

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去年は冒頭で書いた様には上手く行かず(得意と書いた割には)、暖かくなってから、新柄や新色を加えようとしましたので、間に合わず試験で止まっていたモノもあります。この『Kilim(キリム)2』は、今年ようやく当初考えていた色が揃いました。

 

私もこの織組織のモノは着物として南蛮七宝文様を持っています。今年で3シーズン目、回数・頻度とも、かなり着倒していますので、タンスと相談しながら、もう一つ柄違いで作ろうかな、と考えています。

 

ちなみに、この織組織は柄付によっては透け感を作れないので、まだ5柄ほどしか制作できていません。この着物が必要な季節が来ると焦るし、遠ざかるとまた来年に(苦笑)となってしまうので、今年こそは途中で止まっているモノづくりを始動させていきます。さぼっているわけではないのですが、反省です。。。

 

2016年03月09日

初めての配色変更【金色】

 

この帯を初めての配色変更します。

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『一番右の南蛮七宝✕光悦蝶』

 

 

現在、唐長さんの三条店に展示中のこの色目。
初め、見た瞬間には、ブルーを使った帯と同じ柄とは思えず、いい合わせ方だな。と思ってしまうぐらい、持っている雰囲気が違う様に感じました。地色も蝶々も色が違うので当たり前かもしれませんが、毎日配色、図案製作、試作チェックするのが仕事の人間からすると、意外な驚きです。

 

 

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じゃ、ただ単に元となる唐紙を参照に、色を合わせて織る。そうすれば同じ色で上がってくるのか?というと、上がってくることもありますし、全く別物になることもあります。極めて似てても雰囲気が似つかないこともあったりと、とても一概には言えません。今までの山ほど試織りをした経験からすると、唐長さんの文様を帯にするときは、近い色で合わすと、失敗することが多いです。それよりも雰囲気を汲み取って、新たに配色するつもりの配色で作ったほうが、いいことが圧倒的に多いです。

 

そうは言いつつ、色を合わせにも行く試織も作る予定ですし、上記の様に雰囲気を汲み取ることもやっていきます。

 

もう一つは、この配色替えを行おうと思った、2月15日から、『なぜ今?』の答えにもなりそうなこの帯。

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FB⇒http://on.fb.me/1M5MfFL

 

 

この帯の糸使いが参考にできそうなので、それも含め、再び多面的に作ってみようと思っています。思い通り行かなければ、意匠を作り直す、もしくは刺繍ということも考えて進めます。ただ、一番の大前提、帯としてどうか?それは目出しの雰囲気を見ながら・・・、と最終の袋帯になるまでは大きな山が幾つか残っています。

 

 

2016年03月08日

進めたいことが一杯。

 

 

ずっと頭の片隅でくすぶっていた織物【彩綾】。

最大の特長は経に箔を使っている所、いわゆる佐賀錦です。

 

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いわゆると書いたのは、通常の佐賀錦が想定しているものよりも、細密な織物表現が可能で、実際に今織っているモノも経箔の織物と気づいてもらえないことも多いです。この織物の可能性としては(当たり前ですが)横に通さなくてイイ箔が経から持ってこれること。これだけで、華やか織物の素地がありますし、他の織物と違う表現ができます。経錦とちょっと似た感じです。

 

今は、となみらしい意匠が掛かっていて、それはそれで面白いので継続します。そのラインとは別に(今の)自分の考える帯を・・・と思い続けて、それが形になりそうでならいない、と頭の中でくすぶっていました。それがちょっとした拍子で何とかなりそうな感じも出てきて、今まで製作した目出しを大量に出してきて、織物の検討を進め出しました。

 

ここで行うのは、当初意図していなかったであろう表現や色目、経箔独特の面白さを頭の中に残す作業です。
これをした後、しばらくアイデア等を寝かしていると、突然ポンと帯ができる・・・。

 

しばらくモノづくりに集中できますので、詰めてがんばります。

2016年03月07日

発色良好、手持ちOK。でも、

 

引き続き試験を繰り返しています。『夏に間に合わせて、1本でも結んで頂けるように。』を目標に取り組んでいますが、ちょっと怪しくなってきました・・・。初夏目標を真夏へずらす、も頭を過ぎっていますが、何とか当初目標に間に合うように、取り組んでいます。

 

現状として、経糸はそのまま緯糸を今までの半分にして、全体を軽量化の目処が付きました。手持ち感はイメージ通り、相対的に色糸の割合が増えたことから、発色が綺麗になってきました(もう僅か欲しいところ。)。

 

IMG_5370.jpg

 

 

これと同時に、地の部分(白と箔の色が入り交ざった所)は、もう少し改良の余地を感じたので、新たに紋を作って修正を掛けています。

 

簡単にはできませんが、この試験織をひっくり返すと、

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(試験織の裏側)

 

糸が浮きが激しく、今のところ結ぶのは無理。ですが、ここをどうにかしたら何か出来そうな気も・・・します。とそんな感じでうろついていると初夏には間に合わない様な気もします(苦笑)。こういうことを繰り返し面白い要素も加えながら、だんだんと形付けていく。そうなっていきそうです。

並行して試験繰り返し、全部で揃い次第、一気に形にする。理想ですが、自分のモノづくりでは出来なさそうです・・・。今回は珍しく締め切りを感じながらのモノづくりですので、緊張感を保ってがんばります。

 

 

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