となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年4月26日

2016年04月26日

人気だったもの。

 

今回の出張で、特に特に目立って人気だったのが、この襦袢。

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【襦袢/南蛮七宝文様】

 

今回の出張の結果、色によって偏りはありますが、納期まで最大5ヶ月待って頂くことになりそうな・・・、多くの注文を頂きました。この襦袢に関しては、以前も紹介したことはありますが、そこから徐々にパワーアップしていって、今は特性がてんこ盛り、『生地があり得ないほど丈夫、洗える(洗濯機)、でもシルクの風合い、しかも柄は南蛮七宝文様⇒見せたくなる、諸々。』になって、使い勝手の面からも良いモノに仕上がっています(お洒落ものだったら、この一枚でいい?)

 

 

 

これをお客さんお見せして返ってくる反応が『こんなのが欲しかった。』と言って頂けます。着物と帯だけではタンスの肥やしになっている可能性がありますが、この襦袢が洗える襦袢が欲しかった=必要ということは、そこから『着物着よう!』そんな意思が伝わってきますので、本当に嬉しいです。

 

自分が着物を来てどこかへ行っても、『いいけど、私は着るところないなぁ。』そんな話を聞くことが多い中、有難いです。

反対に、そういったものが今までモノづくり出来ていないから、着物は着にくい。そういうイメージが強いのかもしれません(反省です)。

 

帯だったら、総紗縫。オールシーズンと軽さ、結びやすさ、柄の多様性、コーディネートのし易さ等々。人気が集まるものというモノは、意識をしていなくても、こういった使う方の立場からの目線が優しくいつも入っています。

『使う身になって考える』当たり前のことかもしれませんが、モノづくりしていて、そこを忘れがち、考えた気になっていることが多いです。ちゃんとやっていきますね。

 

夏に近づくに連れて、涼やかな上の写真の様な色が人気です。次に染めるのは、こんな色かな?もしくは帯でこんな色が出るかな?というのが下の写真。質感のある色。糸で出るかなぁ・・・。

 

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2016年4月25日

2016年04月25日

夏らしい新色/南蛮七宝文様/総紗縫

 

機が空かなかったため、予定より約一週間遅れましたが、南蛮七宝文様の総紗縫・新色が上がってきました。夏らしい(オールシーズン帯なんですが・・・苦笑)色目で、とても新鮮です。

 

ちなみに、この文様で総紗縫を織ると、構造としては一番シンプルな形です。帯の色に影響する要素は、『経糸、緯糸、箔』の3つだけ。(糸の本数等々の話を除けば)基本的にこれだけで色が決まります。ただし、一番シンプルと言っても、この総紗縫は、独特な綟り織りですので、透け感も特殊。それに加えて、素材の箔も独自のものですので、横に通す糸の色味は、透け感と箔に持っていかれ、非常に仕上がりの予想を立てにくい織物です。

 

今回、織った帯の色目と織り上がりの帯を見比べると・・・。
色味はこれくらい違います。

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『南蛮七宝文様/総紗縫』

 

箔を使わない『KILIM(キリム)』等であれば、もう少し糸に近い色で、クッキリと色を出すこともできます。が、見る角度や光によって、この南蛮七宝文様が消えかねない、それくらいの柔らかな色をイメージしていましたので、この2色はとても上手く行ったと思います。

 

ただ、南蛮七宝文様の紗に関しては色ごと限定3本しか織りません。上手く行ったと満足して止まっていると、その後は直ぐに新しい配色を考えること、というのが後ろから迫ってきます。単なる配色変更だけにしても、常に色のこと、モノづくりを考えておかないと、自分の中の色ストックが無くなってしまいます(苦笑)怖い話です。。。

 

この帯に関しては、後これから2本ずと織り上げていきますが、織り上がり後、機が空いている間等々を考えると、時間は全然ありません。写真のように色糸のイメージだけでは織り上がりも異なりますので、色を考えて、試験取って、修正をして・・・と考え過ぎると、ヤバイ時間が・・・となってしまいます。

遅れるのは良くありませんが、色々と横に置いておいて、新緑の自然の色を眺めながら、色出ししてと、GW中は多少でもゆっくりと考えたいですね〜。

 

まずはこの2色、夏に結んで頂けることを楽しみにしています〜。

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2016年4月23日

2016年04月23日

1年に1回

出張が終わり、京都へ戻ってきました。


昔ほど頻繁には出張へは出れていません。そのため、社内であれやこれやとモノづくりをしたモノは、通常スタッフからの直接の話、もしくは日報などの文字になったモノで評判、評価を聞く、それが貴重な情報源です。

ただ、できる限りは自分の足を運んで、直接話を聞く、目で見る、これをうまく自分の中で消化できれば、一番使える情報になります。

 

今回は、一年に一回お邪魔させてもらっている場所で、一年間のモノづくり成果を直接皆さんから聞くことができました。実質二日間でしたが、多くの方がとなみの帯を結んで来られていましたので、行く前の想像よりも濃い刺激を皆さんから頂けました。




また、それをモノづくりで形にして、お返しできるようにしていきたいです。 織物メーカーですので、それくらいしか出来ませんが、ワクワクするようなモノづくり、頑張ります。

 

2016年4月21日

2016年04月21日

上がりが楽しみな・・・夏しぼ。

 

今までとは流れを変えて作っている帯です。
 

織物のベースとなる織組織自体はイジっていませんが、イジった?と周りが感じるほど、糸使いや地紋に変化を付けています。そのため、今までだったら、『こんな感じでできあがるんじゃないか?』とイメージできますが、今回のモノづくりはぼんやりと霧がかかった状態です。名古屋帯にした方がイイような気もするし、裏地を上手く利用した袋帯にした方が・・・と、まだ気持ちは揺れています。

 

それでも、生地自体の完成度は試験を取る度に上がっていますし、着実に完成へ進んでいます。
(こう書いた途端、この下の目出しの後、大きく失敗しましたが・・・苦笑)

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『試験織3 CandyCircus4』

 

見切り発車に近い形で、この織物を使って3柄、新しいモノづくりを進めています。
一つは横段柄。意匠自体は今までも何度か製作していて、見慣れたといえば見慣れた柄です。現在は試験織でのチェックが終了して、配色の最終段階です。3つの柄の中では遊びは少ないものの、この織物の指標となってくれそうな帯になりそうです。

あと二柄は、ドンと思い切った意匠です。『Candy Circus』シリーズの4柄目となりますが、しぼ織全体としても、今までに見たことのない、またはやったことのない意匠・しぼの使い方の帯ができそうです(だからこの帯が一番霧がかかっています・・・。 笑)。

完成して、結んだイメージは可愛い、思いのほか着物や小物とのコーディネートし易い帯、だけれども未知な部分がめちゃくちゃ多い、そんなモノづくりを今は色々な出来事と並行しながら楽しんでいます。

 

今日は、今から出張へ行ってきます〜!

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2016年4月18日

2016年04月18日

今から見てもらう夏物。

 

一足も二足も遅い遅い夏物(南蛮七宝文様)の段取り、やっと形になってきました。
通常の流通に流すものだと、『夏』はとっくの昔に終わっていますが、この南蛮七宝文様のモノに関しては、流通に流さず今月末くらいにお見せ、し始めるものですので、何とか間に合っています。もう少しだけ余裕も・・・(苦笑)。

 

ものは去年から製作している『紋紗の着物』。
遠目からの写真ではわかりにくい、地紋で南蛮七宝文様を織ったものです。

 

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白生地で織ってから染めをかけますが、同じ色は無く全部一反限りの色目です。
自分の中にあるイメージと、元となる色見本とを合わせて色出しをする。生地と紋作りを除けば、それだけのモノづくりではあるのですが、これが非常に難しい。意匠は南蛮七宝文様、生地(織組織)はある、後は色を決めるだけ、考えることは一つだけなのに、なかなかそれが難しい。

 

普通は図案作り、紋作り、配色等々の各工程に色んな事があり、ストーリーが出てきますが、この着物に関しては各色それぞれにその悩んだ時の具体的な話が浮かんできます。色んな事が並列して進んでいますので、極めてシンプルなモノづくりに少しの間没頭できましたので、これはこれで良かったモノづくりです。

 

こんな感じで毎日モノづくりを積み重ねていく。モノを作るメーカーですので、それを忘れず大事にしていきたいです。

2016年4月15日

2016年04月15日

今日の着物。衿にも入れてみました。

 

今日はほぼ一日、着物です。
昼間は、相当暑かったので(20度超え?)、この時期からはほとんど単衣で動きます。年中通しても、真冬、どうしてもと言われるお席以外はほとんど軽やかな単衣がここ数年多いです。夏は羽織を着たいので、ここ最近はどんどん織物を薄くしていく傾向です。

 

そんな今日の着物はこんな感じです。

 

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着物;御召(南蛮七宝)、襦袢:坪金(南蛮七宝、衿は染御召地)、羽織:大島紬の黒無地、角帯:組紐。

 

夜は100名を超える会合に参加します(年一回開催)。初めてお会いする方もおられます。お会いした印象を少しでも残して頂くために、また、今こんな着物があるんだ。着てもイイかな。と思って頂けるように、いつもよりも南蛮七宝文様の箇所を一つは多く増やしています。

 

最近は男物の注文、問い合わせを多く頂きますので、この流れを身近なところにも広げていきたいですね。
ただ、着物ってイイですよ、と着物を着ながら勧めていると、自分も欲しくなってしまう、それが問題です(笑)。

2016年4月14日

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

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『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年4月13日

2016年04月13日

注目されて嬉しい名古屋帯

 

Facebook上で、物凄く沢山の『いいね!』ほどではないのに、メールや電話、直接のご連絡を頂くことが多いのが、この組み合わせ。

 

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海路八寸名古屋✕南蛮七宝文様/白大島紬(割込み)

 

この帯は八寸名古屋の『神坂雪佳の世界/海路図』(となみ織物には珍しく八寸)、着物;南蛮七宝文様/割込み白大島(限定)。こちらの着物は8反のみの製作(この色は4反のみ)のレアな大島紬です。

 

個人的な好みはシンプルな着物に、柄の込んだ帯。

ただ、帯はシンプルなモノだけに、配色を変わるだけで、大きく雰囲気が変わります。これが非常に楽しく勉強になるので、ちょっとハマっています。特に、この海路シリーズは、これからも追っかけて行きたいものですので、今回Facebookから注目されたのは、とても嬉しいですね〜。

 

 

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八寸含めて名古屋帯も今後力を入れて製作してきます。

 

 

【海路】
現在三色で八寸名古屋帯を仙福屋で取り扱っています。

 

海路八寸名古屋
 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2148

 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2157

2016年4月11日

2016年04月11日

『アンティークと唐長の世界』展

 

9日(土曜日)には、京都の『ギャルリー田澤』さんへ。
唐長11代目のギャラリートークへお邪魔してきました。

 

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『アンティークと唐長の世界 4月7日〜22日』

 

ギャラリートークでは11代目から、
ケルト・アイルランドから始まる文様が時間を掛けてユーラシア大陸を渡り、日本へ。
日本とアイルランドには1万キロ以上の距離が離れているが、ほぼ同様の文様がある。
アンティークと唐紙との相性の良さ。
唐紙を感じるのに、必要な光の話、等々。

今まで何回か聞かせて頂いたことのある話もありましたが、実際に唐紙とアンティークがコラボとして形になった姿を見ながら、唐長や唐紙に対して多大な興味を持たれている方々が30名集まり、一緒に聞く、その空気感は格別に良かったです。これはついでですが、自分も南蛮七宝の御召(薄ベージュ)を着ていたせいもあって、作品にはなれないまでも(笑)、他の方よりも作品に近づくことができた、ちょっと特別な時間を体験してきました。

 

今回の11代目の話にも出てきたこと。また自分の唐長さんでのモノづくりで意識していることがあります。

それは、季節や光、調度品などを含めたその場の空気感を唐紙に映すこと、です。

 

例えば、今の時期であれば、襖に入っている唐紙が、その季節の空気や射してくる光、周りの調度品を映して、4月らしい色目になる。5月だったら5月、秋であれば秋・・・。そういう色使いを常に意識すること。

きものに置き換えると、帯だったら帯の色目がその時の季節や着る人の雰囲気、着物の色に応じて、雰囲気を映してくれる。
もちろん、コーディネートは必要にしても、その帯を結んだときには、それらを越えて何かいい感じを与えてくれる。そんな帯作り、を意識しています。

 

最近、上がってきたのはこの『角花文様』の帯。
意匠的には、日本が文明開化期に入って、洋が流入、急に変化するその時代の空気感も受け入れて、消化できる、そんな雰囲気を持っている文様です。

 

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【角花/紹巴織】

 

いくつかの配色替えも意識して意匠図を製作していますので、もう数色は織りたいと思っています。ただ、どうしても一番目に作りたかったのが、この配色。地色は柔らかなベージュに胡粉をくすませた白、また柄部分の緯糸は絹と箔を使い、素材感の差、異素材のメリハリを利用して柄を浮き上がらせました。裏地はまだですので、袋帯として完成するのはもう少し先ですが、おそらく周りの空気感を拾いながら、着物や小物とコーディネートしていくと、上手く馴染んでくれる帯になったと思います。

 

この文様でも、沢山試作は取りましたが、まだまだ素材部分やってみたいことはあります。また、文様が変わるとそれに応じて、したいことも変わります。それに応じて、倍々と試験織も考えて、試し織りもやっていかなくてはいけませんが、一番シンプルな文様で、色んな話やモノを見て、色や文様の表現にプラスすることができる環境、なかなかありません。最大限、活かしたいと思います。

 

 

ギャルリー田澤さんでの唐長の世界展は、22日まで。もう少し会期があります。
もし、お時間と興味のある方は是非、訪れてみてください。

桜が終わった京都は少し空いてくるかもしれませんので・・・、ぜひ。

 

 

 

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2016年4月 8日

2016年04月08日

一日を整理中です。

今日は朝から盛り沢山な日でした。

随分、そのうちに書けそうなコトもありそうですので、楽しみにしていてください。恐らく皆さん、忘れてころかなぁ・・・。今の静かな時間を使って整理しています。

 

明日は京都で唐長11代目夫妻のギャラリーがあります。モノづくりの打ち合わせ等でお話を聞かせて頂くと、お二人の自然な空気感の中に気付かされる事があります。それも沢山。

それを楽しみに贅沢な時間を過ごしてきたいです。

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『南蛮七宝文様に光悦月』

 

 

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