となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年3月 9日

2016年03月09日

初めての配色変更【金色】

 

この帯を初めての配色変更します。

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『一番右の南蛮七宝✕光悦蝶』

 

 

現在、唐長さんの三条店に展示中のこの色目。
初め、見た瞬間には、ブルーを使った帯と同じ柄とは思えず、いい合わせ方だな。と思ってしまうぐらい、持っている雰囲気が違う様に感じました。地色も蝶々も色が違うので当たり前かもしれませんが、毎日配色、図案製作、試作チェックするのが仕事の人間からすると、意外な驚きです。

 

 

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じゃ、ただ単に元となる唐紙を参照に、色を合わせて織る。そうすれば同じ色で上がってくるのか?というと、上がってくることもありますし、全く別物になることもあります。極めて似てても雰囲気が似つかないこともあったりと、とても一概には言えません。今までの山ほど試織りをした経験からすると、唐長さんの文様を帯にするときは、近い色で合わすと、失敗することが多いです。それよりも雰囲気を汲み取って、新たに配色するつもりの配色で作ったほうが、いいことが圧倒的に多いです。

 

そうは言いつつ、色を合わせにも行く試織も作る予定ですし、上記の様に雰囲気を汲み取ることもやっていきます。

 

もう一つは、この配色替えを行おうと思った、2月15日から、『なぜ今?』の答えにもなりそうなこの帯。

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FB⇒http://on.fb.me/1M5MfFL

 

 

この帯の糸使いが参考にできそうなので、それも含め、再び多面的に作ってみようと思っています。思い通り行かなければ、意匠を作り直す、もしくは刺繍ということも考えて進めます。ただ、一番の大前提、帯としてどうか?それは目出しの雰囲気を見ながら・・・、と最終の袋帯になるまでは大きな山が幾つか残っています。

 

 

2016年3月 8日

2016年03月08日

進めたいことが一杯。

 

 

ずっと頭の片隅でくすぶっていた織物【彩綾】。

最大の特長は経に箔を使っている所、いわゆる佐賀錦です。

 

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いわゆると書いたのは、通常の佐賀錦が想定しているものよりも、細密な織物表現が可能で、実際に今織っているモノも経箔の織物と気づいてもらえないことも多いです。この織物の可能性としては(当たり前ですが)横に通さなくてイイ箔が経から持ってこれること。これだけで、華やか織物の素地がありますし、他の織物と違う表現ができます。経錦とちょっと似た感じです。

 

今は、となみらしい意匠が掛かっていて、それはそれで面白いので継続します。そのラインとは別に(今の)自分の考える帯を・・・と思い続けて、それが形になりそうでならいない、と頭の中でくすぶっていました。それがちょっとした拍子で何とかなりそうな感じも出てきて、今まで製作した目出しを大量に出してきて、織物の検討を進め出しました。

 

ここで行うのは、当初意図していなかったであろう表現や色目、経箔独特の面白さを頭の中に残す作業です。
これをした後、しばらくアイデア等を寝かしていると、突然ポンと帯ができる・・・。

 

しばらくモノづくりに集中できますので、詰めてがんばります。

2016年3月 7日

2016年03月07日

発色良好、手持ちOK。でも、

 

引き続き試験を繰り返しています。『夏に間に合わせて、1本でも結んで頂けるように。』を目標に取り組んでいますが、ちょっと怪しくなってきました・・・。初夏目標を真夏へずらす、も頭を過ぎっていますが、何とか当初目標に間に合うように、取り組んでいます。

 

現状として、経糸はそのまま緯糸を今までの半分にして、全体を軽量化の目処が付きました。手持ち感はイメージ通り、相対的に色糸の割合が増えたことから、発色が綺麗になってきました(もう僅か欲しいところ。)。

 

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これと同時に、地の部分(白と箔の色が入り交ざった所)は、もう少し改良の余地を感じたので、新たに紋を作って修正を掛けています。

 

簡単にはできませんが、この試験織をひっくり返すと、

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(試験織の裏側)

 

糸が浮きが激しく、今のところ結ぶのは無理。ですが、ここをどうにかしたら何か出来そうな気も・・・します。とそんな感じでうろついていると初夏には間に合わない様な気もします(苦笑)。こういうことを繰り返し面白い要素も加えながら、だんだんと形付けていく。そうなっていきそうです。

並行して試験繰り返し、全部で揃い次第、一気に形にする。理想ですが、自分のモノづくりでは出来なさそうです・・・。今回は珍しく締め切りを感じながらのモノづくりですので、緊張感を保ってがんばります。

 

 

2016年3月 5日

2016年03月05日

【角花】つくり 2

 

ここから登場した【角花/唐長文様】。
 http://www.kyo-tonami.com/godaime/2016/01/post-2324.html

 

12代目からの宿題として、前に進めています。以前、お借りした唐紙を図案にし、意匠図へ。そして製織。が帯作りの流れで、今はそのうちの意匠図制作後、製織の前段階です。これで本当に帯を織って良いのか?それをチェックするための、目出しを取る、試験織りをしています。

 

今回は唐紙によく見られる『共色』を特に意識し過ぎなくらい意識をしています。唐紙の共色はどんな表現をしたら伝わるか、難しいところではありますが、自分の中で消化しているのは、地色と上に乗る色とが近い色なので、気付かない人もいるかもしれないけれども、あるのとないのとでは全然違う、そこにちゃんとある配色。ややこしですが、そんな風に理解しています。

 

織物でするには、とても難しくて、何も考えずに紋を作って織ると、おそらく数ある中の地紋の一つになってしまいます。そのときは柄を強調するため、対極のあるような2色、3色を入れて配色。それはそれで配色での悩み、柄のバランスなどを考えますので、簡単な仕事ではないのですが、今回はそれとは異なり、似た共感にある色を使っての魅せる帯づくりです。

 

織組織は紹巴織、平らな頑張っても指が引っかかる所のない織物です。その織物の組織を少しイジって、僅かな隆起を作り、そこに入れる素材と地の生糸との差で違いを見せれないか?そんな検討を現在しています。

 

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『角花/目出し』

 

この目出し(試験織)段階では、織りに問題が無いのか?の確認のため、織られる2色は、敢えて離してあります。今回、大きな問題はありませんでしたので、ここからそれぞれの2色を近づけて行きます。最終は同じ色を素材違いで織る。後は織組織の違い(高低差)で見せる、ですが、そこまですると無地に見えてしまいそうなので、試験を繰り返したいです。

 

周りからは写真の段階で特に一番上の配色が良い、結びたいと言われています。それはそれで織るとしても、やはりその先の今まであまりやらなかったこと、避けてきた部分にも力をいれて取り組みたい、今はそんなモノづくりを心がけています。場合によっては、南蛮七宝の様に、何年その柄追っかけるの?と言われる柄になるかもしれません。そうなる様にもしたいです。

 

2016年3月 4日

2016年03月04日

離陸準備。

 

しぼ織を夏仕様に改良しようと検討中です。袷仕様⇒夏もしくは単衣仕様へと変更、季節が変わるだけあって、少々の変化じゃない改良となります。完成イメージとしては・・・、今の夏着物に合わせ、色数をそこまで入れず、シンプルな文様。軽くてもしぼの質感は残したまま。ただし地色は効いた色もしくは柄が効き色。

イメージとしてはこんなです。



色は素材の選別する必要がありますので、まずは織組織、土台部分を確率させるのが先。
モノクロに近い形の箔を使って、先日試験を織ったのが下記写真です。

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『夏一本でも結んでもらえるのか?』ちょっと疑問のペースではありますが、まだ試験は続けています(苦笑)。ただ、糸の使い方を変え、しぼの付き方を変えた生地がどこまでの耐久性を持っているのか?一番大事な部分でもあります。そのためテストとして、一本織ってみて、裏地を付け、袋帯として結ぶ試験を今から行いたいと思います。

 

その前の記念撮影がこの写真 ↓

結びにくい、生地が弱い等のネガティブな要素が多いのか、それとも軽くて◎、キッチリと締まる。等々のポジティブな意見が集まるのか、それに加えて、生地の張りや重量バランスを少しでもイイものに。結構、やることは山積みです。

 

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『しぼ織組織』

 

写真の帯を除いて1本目になる予定の図案も、着々と進んでいますので(ちょっと無茶な感じが素敵に上がるそうです)、暑くなる時には、『この帯いいなぁ。』または『あの帯、私も結びたい!』とそんな声が聞こえるのを想像して、少しずつ前へ進めています。

2016年3月 3日

2016年03月03日

『要望』1200経錦

 

今回きものSalonに掲載の『1200経錦』。
モノづくりの順序としては違っている様な気もしますが、載ってから社内でモノづくり熱が急に上昇中です。結果として、作りたい。作って欲しい。と社内で声が上がるのは良いことです。

 


Pinterest

 

ただし。この織物の機は一台のみ。紋を作っても織る順番は、なかなか回ってこない(本袋と同じです)⇒メリット:じっくり図案と紋づくりができる。経糸は三色、一度決まれば、その色が経糸十数本織り上げるまで固定されてしまう。⇒配色に拘らない柄を作ればイイ(そんな柄あるかな?)。

 

等々、まだ図案検討中なので、完成までは遠いですが、前向きに、頭のなかの声と戦ったり、話し合いをしながら、進めていきたいと思っています。織りのネームは『1200経錦/作楽』です。

 

以前、この組織で製作して、注文を頂くと織るものが、この『鳴錦』。

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この辺りを意識しながら、図案検討したいです。

2016年3月 2日

2016年03月02日

若手に向かって、自分に言っています。

 

『これで完璧。』と言ってみたいですが、モノづくりでそんなことはあり得ません。同じ様に見えるモノ、例えば以前製作した同柄の帯を織っていたとしても日々進化するように、意識してモノづくりしています。帯の場合、土台となる織組織は完璧に近いと感じても、ずっとそれを織り続けるとマンネリしていきますので、成功するか分からなくても、常に変化をさせるようにします。たとえば、無地だったら地紋を入れてみたり、緯糸の素材を変えたり、糸種が同じでも合わせる本数を増減させてみたり。

 

大きなモノづくりとは言えないまでも、上手く行った時は今まで無かった表現をすることができ、次のモノづくりの核の様なモノになることもあります。日々、この積み上げをする、できなくても意識してアンテナを張っておくことは、とても大事です。稀に、革命的なモノづくりが突然ポンとできることもありますが、うちで言えば『総紗縫』、できてもそれに気がつかないこともあるので、作ったままでなくて、それを使ったモノづくり、その後のメンテナンスが重要です。

 

これは帯の話ですが、おそらく着物も小物もそう変わりません。そう思っていますので、今日は若手とそんな話をしながら、まずは問題意識の発見として、草履の重量を測ってみました(笑)。

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となみさんの草履はちょっと重いな、反対にちょっと軽いな、と両方言われたことがありますが、これが重くても軽くても、これを元に何か進化させる気付きが、今日でてきました。漠然意識ではありますが、小物一つとっても、できるか分からない状態でも、何か変化が起こせないか?常に意識して、より良い面白いものを作ろう!疲れていたり、物凄く売れていたり(苦笑)するとついつい忘れがちですが、とても大事ですね。

2016年3月 1日

2016年03月01日

継続するかは検討中です。

 

東郷織物のみじん格子の上に、型で南蛮七宝文様を置いた着物です。

 

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『実験』と書いてしまうと製品(着物にはあまりしたくない表現ですが)として大丈夫?と思われそうですが、何度も試験を繰り返し、繰り返し行って、完成までこぎ着けた着物です。では、この反物作ったけれども、続けていくのか?色を変えてやってみるのか?南蛮七宝以外のモノは?などの検討は、まだまだこれからです。

 

東郷さんと言えば『大島紬』、今までも南蛮七宝で大島紬はやってきました。泥、白、藍、夏、割り込み。
産地へ行って、試行錯誤して、今現在考えられるモノづくりを行いました。まだ少しはありますが、数量は全部限定のモノです。まだ、もうちょっとは大丈夫だけれども・・・、『じゃ、次は?』となった時に戸惑って、面白くない、あまり気のりのしないモノづくりをしないためにも、こういう実験はとても大切です

 

でも、完成品です(笑)。

 

 

 

2016年2月29日

2016年02月29日

ゆっくりながら再始動。輪宝文様の御召/試験織1

高松から京都へ帰ってきました。花粉症と風邪で本調子ではないのですが、溜まったモノづくりを見ると、結構元気がでてきます。いくつか並行したモノづくりはどれも一斉に手を付けていきたい気持ちもありますが、それをやってしまうと、混ざってしまいます。そうならない様に、一つずつ進めていくのが安全です。

 

今、比較的に完成/ゴールに近いものは作楽の新柄。それに今まであった紋の配色を変更するモノ。織り組織に変えてリメイクするモノ等々。量で見ると、ぞっとします(笑 出張中にはそれを整理していました。)。他には図案段階のCandyCircus3柄目、メルマガに掲載していた『しぼ織』、唐長文様の帯等も優先順位を変えながら進めています。この辺り全て引っ括めて、たのしみの宝庫です。

 

今日は、その中でも一番ゴールに近そうなモノ作りの検討を行っていました。ざっくりとした部分は、出張中でもメールのやり取りで進めていたものの、やはり織りの実物を見ると、修正点はもっと見えてきます(それでもやっていたくなります)。

 

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『唐長輪宝文/御召の試験』

 

細かな修正点は色々とあるにしても、大きなのは2つ。
1,全体を構成する輪宝部分(◯のところ)が楕円具合がきつい←筬での打ち込みが入りすぎています。
2,文の真ん中の上げ方が異なる。

とはっきりしています。←写真ではそれも見逃しそうになることも・・・。

 

後は、実際にお手本にした唐紙と試験織との間を何度も目を行ったり来たりさせて、最後の詰めを行います。

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『お手本にした唐紙/輪宝文様』

 

大きな修正点はだれでも見つけることが出来ることができますので、、それ以外の修正点に気がつくことと、仕上がった紋に対しての配色がここからの自分の仕事です。

 

来月中旬に、唐長さんの三条店で初反の発表ができれば・・・上出来です!

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2016年2月26日

2016年02月26日

この目で絶対に確認しなくてはいけないモノづくり

人生初の高松にいます。

先週末から今週初めまで出ていたんので、モノづくりが本社からメールで飛んできます。

 

そのうちの一つがこの柄。

『紹巴織の目出し』

 

詳細は改めてしたいと思っていますが、オフホワイトに白で配色したもの。写真では全然分かりません。もちろん、どんなモノも自分の目で確認しますが、これに関しては絶対に直接見ないと、感覚も分かりません・・・。そんな試験織りでした。

 

出張へ出て、しばらくモノづくりが止まっています。珍しく〆切のあるモノづくりもあったりしますので少々焦りつつ、ホテルへ帰った夜は気を紛らわすためコツコツと図案整理をしています(苦笑)。

 

 

 

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