となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年3月23日

2016年03月23日

もうそろそろ上がり始めます。

 

今年も夏に向けて(早いですね〜)準備を進めている着物があります。

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生地は去年から織り始めた『南蛮七宝文様/紋紗』。

 

折角の南蛮七宝の夏着物。自分へのハードルを高くして、一つの反物を染めた後、染料は破棄=同じ色は作らない⇒『全部違う色』。この着物は、そういうコンセプトで製作しています(各色1反限り)。

 

こんな意見もありました、『とは言っても(色は無数にあるから)ちょっと変えれば、どれだけでも作れんじゃないですか?』。たしかにそれはその通りですが、『これ売れそう。』と、元の色から作る微妙な色違いの反物を作っても、モノづくり的には全く全く面白くありません。だから、色を考えて、考えて悩んで、作りたい色が無くなってしまった時点、そこで、この夏の着物は終了となる予定です。

 

そんな色つくりですが、去年染めに出す予定でまだ染めていない色もあります。それらは(もう一度精査して使う色、そうでない色は出てくると思います)今までの流れとして、継続してやっていきます。続けて、今年出す色。それは去年から今年にかけて一年間、唐長さんにより深く入ってモノづくりさせてもらった、その上での色つくり。この2つがどう変わるのか?

見た目からして違うのか?着た段階で、それとも帯を合わせた段階で変わるのか?
 

怖いようでいて、楽しみでもあります。

2016年3月22日

2016年03月22日

伝える方法の一つ。

 

京都の桜はもうちょっと。蕾が膨らんで、色も少々ピンクに。

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その蕾のピンクを受けて心なしか枝全体も、木⇒山全体もピンクになり始めたような気がします。京都は盆地だけにこの季節からしばらくは周りの空気もそれにつれて薄いピンクに。その結果、ここで毎日とくに何も意識せず自然に生活していると、どうしても作る帯の色目が、そちらへ引っ張られ、ピンクや淡い白へ寄って行きます。

現在、作っているものを発表する時期は『夏』以降。そうなると、この流れにすべて身を任せ、流されてしまうわけに行きませんが、頑張ってハンドル操作をして、夏色の中にわかない程度のほんの少し春色を加えてやると、春の持つ柔らかさと夏の持つ切れ味の良い色味、相反するようなモノが、仲良く立ってくれることもあります。

いつも期待できるほどの可能性は高くないですが、この時期限定で、やってみる価値のある配色です。
その時期がそろそろ来そうです。

 

帯で使うのは、ほとんど原色はなく、中間色のさらに中間みたいな色です。Web上モニター上で表現するのには、不適当。本当に難しいです。また、カメラで撮ったままのモノを修正して、実際のものに近づけようとすると、なんとなく不自然になりますし、全く触らないというのも(よっぽどのことがない限り)ちょっと居心地が悪くなります。

今回は、そのことを少しだけでも改善してくれそうなことがありました。

 

 

ひょんなことから、ある企業から撮影の素材として帯を提供して欲しい。そんな話があり、その縁でライトを借り、撮影用として使用してみました。

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『南蛮七宝文様/ダックジュエル利休』

 

こういう時は使用前使用後で比較すべきだったんでしょうが、思っていたよりも、随分自分の目でみた色に近い色が出ました。UP用を比較してしまうと、僅かですが、元のデータでは意外なほど違って見えます、

前述のように、撮影後UPするためには、全く触らないわけには行かないので、そうした場合、どうなるのか?光量が足りないので、そこを修正した場合は?等々、今後m,さらに検討して行ければと考えています。

 

元にあるものよりもよく見せる必要は全くありませんが、実物に近い色、質感が出せるように、できればモノづくりの空気が伝えれるように、そうする努力も必要だな、と思います。

 

となみ織物的には一番苦手なところですが、これも一歩ずつ進んでいきたいです。

2016年3月19日

2016年03月19日

2016年の草履はじめ

久々に『仙福屋の真綿入り草履』を製作する工房へ行きました。

 

今回は特別ゲストも一緒です。

 

真綿草履の製作は全て手作業。しかもこの工房の中のみで製作されていますので、基本、全てのモノは企業秘密。普段は製作に関わる人以外、絶対に入ることはできない場所です。身内もいれない程らしい(これは聞いて話ですが・・・)。

 

それが自分たちの場合、大変有難いことに『こんにちは〜。ご無沙汰しています。』と、有象無象の意見が出るには支障がありそうなピリピリムードはほぼ無しに、いつも打ち合わせさせて頂いています。いつものその雰囲気に今回は特別ゲストにも、前向きで超が付く個性的なご意見を頂きました。

仙福屋としても売れればそれに越したことは無いですが、そこはちょっと横に置いておいて、新しいモノづくりや素材にチャレンジ、表でも裏でも継続してやり続けて行きたいところです。この辺のことはその場所に行かないとできないことも多いですし。。。


いつもはちょっと離れた京都からイメージを働かせての打ち合わせ。この日は実際に真綿草履の工程の直ぐ横で(そっちには近寄り難い緊張感がバリバリ漂っている空間です。)、

やっぱりイイ打ち合わせができたと思います。さらに、今回は特別ゲストのお陰もあって今まで聞いたことの無い話もして頂けました。あれだけ通ったのに聞けなかったのは、なぜ(苦笑)?と思う部分と、この草履作りの職人技に奥行きを感じたことも本当です。その特別に聞けた話は感覚的な話でしたので、ゲストにそういう感覚を感じての話だったのかもしれません。

なんにせよ、今回も実りが多い訪問でした。

 

新しいモノが出来そうな気がしながら、京都に戻って来れたので本当にワクワクしています。

 

『仙福屋の真綿草履』

http://www.senpukuya.jp/feature/mawata-zori/

 

2016年3月18日

2016年03月18日

若手とのモノづくり

 

若手と一緒にモノづくりを。。。。。。。で今までも何度かお披露目しています。
今度はとなみ帯地の土台の上に刺繍を施す、その土台作りを行っています。

 

商品は【arabesque(アラベスク)】(リンクはPinterest)。
織物は総紗縫+紬の『紗楽』地で製作中です。

 

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『紗楽/arabesque(アラベスク)刺繍土台』

 

この意匠は(黒の共感で非常に分かりにくいですが)草花モチーフのアラベスク。総紗縫の仲間で、緯糸に通常の絹糸と紬を通し、綟り織りで製織したモノ。寝かすと透け感が消え、立てると透ける、総紗縫とほぼ同等。

 

この柄をベースに、くすんだ茶、極めて濃い藍、ひねたベージュを製織する予定です。綟り織の透けと紬の節とで面白いモノになるんじゃないかなぁと期待しています。ただ、若手衆は出張へ行ってしましましたので、最後の詰め部分は引き継ぎがあったつもりで(苦笑)、進めたいと思っています。

2016年3月17日

2016年03月17日

少し新しいことをした南蛮七宝。いよいよ。

 

2016春夏『きものSalon』の左下。

スクリーンショット 2016-03-15 9.17.32.jpg
『きものSalon春夏 p130』

 

『きものSalon編集長好み』の南蛮七宝の袋帯。
初めの一本が仕立て上がってきました。今日、結んでもらうべく発送しました。

仕立て上げると、芯の厚みで表地が僅かに持ち上がり、ふっくらとして、反物の時よりも遥かによく見えます。
(でも、写真を撮るのを忘れてしまった・・・。すみません。)

 

そう書いておいて、今日の所はこの丸巻きの写真で・・・。
(裏地は初お目見えです。)

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紹巴織ではあまりしない(特に最近では見ない)、金糸を全面に通しています。正確には金糸と通常の糸を混ぜ、糸に光沢を与えつつ、光らせ過ぎないように、抑えることをしています。金も銀も同じことを行っていますので、奥から輝きが出てくるような上品さに仕上がっています。


ただ、目出し段階での試験はしているものの、全面に金糸が通っています。そのため、糸のみで製織するよりも結ぶ際に、帯が滑りやすいかもしれません。金糸に混合させた糸でその辺りもバランスを取っていますが、最後は結んで見ないとわからない部分があります(そんなこともあって今回結んでいただくことに)。それに加え、裏地には紬糸を通し織った裏地を採用。考えつく、出来る限りのことは行いましたので、あとは問題なかったくらい、結びやすさに触れられないか。改善が実を結び、結びやすかったよ、と言って頂けるか。それても、もうちょっとと言われるか。

どれを取っても、次のモノづくりへポジティブに活かせると思います。
もちろん、社内でも繰り返して結ぶことを行っていますが、新しい考えで作った帯が社外で初めて結ばれる場合、いつもこうやってドキドキしています。

 

全てクリアした後は、まず唐長三条店で販売開始を予定しています。

 

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2016’春夏 きものSalon

2016年3月16日

2016年03月16日

梅の意匠で。

 

今年、最後になりそうな梅をちょこっと見てきました。京都生まれの京都育ちで今も京都にいるのに、全然京都のことを知らないと、最近よく指摘されてしまいます(苦笑)。そういえば、『梅も実際に見たのは何年前?』と思い返すと、『桜は見たけど・・・』と梅に関しては思い返せません。

文様としても、配色にも使うものですし、感性を磨いておくためにも、やっぱりこういう時間は意識して作ることが必要ですね〜。

 

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カメラを持って行ったので、何枚か撮りました。
どう撮ると写真として良いのか?はわからなくて、こういう時は帯として、どういう構図だったら、良い柄がお太鼓に来るだろう?そんな目で撮っています。もう一つは、色目。自然の色をそのまま糸に持ってくるのは至難の業です。ただ、雰囲気、透明感、色の方向を決めるには、とても役立っています。

 

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桜は去年も見たし、一昨年も・・・、その前も。しかも、桜文様はよく作るし、自分の帯ブランドネームも『作楽(さくら)』だし、思うと、気が付かないうちに自分の中の桜ポジションは梅の上に。。。
 

この日の梅を見ていると、こんないい花なのに、それじゃいけない。そう思いました。
モノづくりのキッカケにして、帯作りたいと思います。

 

もちろん、桜は年中行けそうな雰囲気が強いですし、梅は。。。そんなこともあるのは重々承知で何か作っていきたいです。

2016年3月15日

2016年03月15日

いろんな提案を頂いています。

 

最近は、試験織りを取ることが非常に多く、この『丸龍文』もその一つ。
そもそもの始まりは、2月15日から・・・。

 

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ここで12代目から頂いた配色のヒントを粛々と試行錯誤加え、色を作っています。

 

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意匠はこの意匠から触らずに、糸と紬の色を変えながら、無数できてしまう色探しを行っています。ただ、この紬糸は色糸を覆い隠すようで、角度によって、その色を表に出してくれたりもするので、今後の唐長さんの色づくりにはキーポイントになりそうな感じがしてます。今まで、意識して使っていなかったですが、ここ最近多用することで気づきがありました。

 

これ以上ない、そこまで詰めて切って、織り上げてから、三条店で発表したいです。

2016年3月14日

2016年03月14日

唐長さん、フルコース

 

今日はほぼ一日唐長さん尽くしとなりました。なかなか味わえない、贅沢な一日です。
朝は11代目夫妻との打ち合わせ、昼からは12代目と水上殿で。モノづくりの話、次への前向きな話、8年後の400年に向けての話と、多岐に渡ってやりたいこと、進めなければいけないこと、解決すべきことが山程あります。

今は問題だとしても、それを1つずつクリアできれば・・・、8年後と言わず、2,3年もすればワクワクする事態になりそうです。そんな話も含め、今日の今日の話です。まずは自分の中でまとめて、形にしてから、また皆さんに見て頂けるようにしたいと思います。

 

そして、夕方帰った来た時に上がってきたのが、輪宝文様の御召目出し、その2。

 

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『輪宝文様/御召目出し その2』

 

モノづくりに関しては、いつもこういうピッタリのタイミングで何事も進みます(笑)。普段気づかないことも見つかり、意匠図(柄の設計)を触れるかどうかで悩む部分も明確に。唐長さんの話を聞いた流れで集中してモノづくりに掛かれることは、本当に有難いです。

 

右がその1,左がその2。結局、配色は置いておいて、その2でも再修正を掛けていきます。来週にはその修正も終わり、再度試験を取った後、本番へ向かっていきます。

 

濃い一日でした。。。

 

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2016年3月11日

2016年03月11日

昨日の夕方上がってきた、しぼ織の試験。

 

今日から3日間京都を離れます。
宿題と課題と今後のモノづくりのネタをそれぞれ山ほど持っての移動です。

 

まだ、帯にできるのかわからないモノが多いので、詳細は掛けませんが、最近良く上げているしぼ織なんかは、かばんに目出し(試験織)を入れて持って行こうとしています。良いのか悪いのか分かりませんが、最近は夢にも見ますし(苦笑)。

 

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『今までのと違い、わかりますか??』

 

この意匠を使って帯にするか?まだ今のところ分かりませんが、試験を取るための意匠としては、地部分が広いところ、そうでないところ。お湯に浸け、しぼを出した時に花びら部分の具合を見るのに、ちょうど良いです。今までは、しぼ織自体、しぼを付け過ぎると良く無い問題が出てきましたので、その限度を見る意味でも本当にありがたい柄です。ただ、今のところは、帯として一本を織るのには、柄自体が可愛すぎるかな?となみ織物に無い様なモノだから織ってみようかな?のちょうど間です。

 

ちなみに、新しいモノづくりのため織った試験の回数は、①織組織の変更、②糸使い、③配色をそれぞれ別に試験を取りますので、もう間もなく『いつまでやってんの?』と突っ込まれる程です。現状としては、ほぼ上手く行って、後地色の配色の微調整が難しい、その点をクリアするだけです。なんとか、夏に一本でもこの帯を結んでもらえるように、そのモチベーションで詰めて進めています。

 

そんなこんなで、京都を離れている間に、頭からこのモノづくりが抜けてしまいそうなので、これを書いている間にも目出しはカバンの中に入れる決心をしました(笑)。

 

 

今までのは
 ⇒http://goo.gl/5tIFyR

2016年3月10日

2016年03月10日

夏ひとえ、新色。

 

まだまだ肌寒い京都です。ただ、モノづくりは、商品の準備は季節を一つ、二つ超えて想像してしていく必要があります。(以前年四回掲載していた時は、撮影時に、真冬の気温なのに夏号の構想を練る必要があったり・・・。)。毎年、『今年は去年より暑いな〜。』とか反対に『過去最高に、寒いな。』と大層に感じてしまう方なので、先取りは得意かもしれません(笑 全然関係ないかな?)。

 

昨年、大好評だった『夏ひとえ御召』が新色も含めて、上がってきました。

 

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去年は冒頭で書いた様には上手く行かず(得意と書いた割には)、暖かくなってから、新柄や新色を加えようとしましたので、間に合わず試験で止まっていたモノもあります。この『Kilim(キリム)2』は、今年ようやく当初考えていた色が揃いました。

 

私もこの織組織のモノは着物として南蛮七宝文様を持っています。今年で3シーズン目、回数・頻度とも、かなり着倒していますので、タンスと相談しながら、もう一つ柄違いで作ろうかな、と考えています。

 

ちなみに、この織組織は柄付によっては透け感を作れないので、まだ5柄ほどしか制作できていません。この着物が必要な季節が来ると焦るし、遠ざかるとまた来年に(苦笑)となってしまうので、今年こそは途中で止まっているモノづくりを始動させていきます。さぼっているわけではないのですが、反省です。。。

 

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