となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年6月23日

2016年06月23日

6月の追い込み 着物制作。

日曜日から奄美へ三日間行きますので、6月最終週の来週京都にいる日は、2日間・・・。
あまり時間がありませんので、今月中に上げていきたいモノ、次の工程に渡しておきたいものの仕上げに掛かっています。

今週初めの段階では、今月中にやらなければいけないことは、ギリギリ間に合いそう。でしたが、大変押しています(例えば、昨日だけでも二時間ほどで終わる予定の仕事が午後全部使ったり(笑うしかないです。 笑)とっても厳しい事態です(苦笑)。

それもモノづくりが壁にぶつかり悩むのではなくて、盛り上がり過ぎているためで、まあ仕方がないかな(押しているのは、なんとかします 笑)。特に若手が中心のモノづくりなので、その空気を大事に、勢いまでその中に組み込んでいければ、面白い仕上がりになりそうです。

具体的に、一つのモノづくりは、新しいコラボの立ち上げ。

一年以上モノづくりの摺り合わせ、特にベースとなる方向性の打ち合わせに時間を掛けています。
それがやっと、三柄だけですが、図⇒型が完成、素材となる生地も決まりましたので、目に見えて進みました。

そして、もう一つは秋用の御召の打ち合わせ。特に新柄出し、です。
となみ織物で作る着物の中の柱です。今までは主に私がやっていた所に、ちょっと新しい空気を入れてみます。

以前も若手との帯つくりのところで書いていたと思いますが、とにかく口を出さない。目でもモノを言わない。後からも何も言わない(笑)、仕上がりとお客さんからの感想ぐらいは聞く。

それを強く強く意識して、同行しています。大変難しいですが・・・(笑)。

たまに違うなぁと思うときは、この感じが良いんじゃないか?
という反物を気づくように流してみたり・・・(笑)。

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『仙福屋の御召/輪宝文』
  ←こんな織物の上げ方が良いのになぁと無言で横に置くとか・・・笑

まだまだ、言いたくなるので、ダメですね〜(苦笑)。

2016年6月21日

2016年06月21日

特別にならない着物づくり

綿薩摩白生地の上に、南蛮七宝の型を置いて染めた反物を私用の着物として、仕立てに出しました。

ここ最近そういえば、私自身が着物を着る回数は、残念ながら減っています。『今日は(着物かスーツの)どっちにしよう?』と2択で考えてしまう時点で、やはり着る回数が減るように思います。まずは自分から意識を変えて『無意識のうちに着物へ手が伸びる』ぐらいには持って行きたいです(笑)。

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昨日は、そのための着物を仕立てに出しました。

(すぐには難しいかもしれませんが)『着るのが大変な時でも、無理をして着て行きたい。』あまり難しく考えず、まずは①着心地が良いモノ、②楽なもの、③価格的にもこなれているもの(綿薩摩では③は厳しいですが)。が揃えば、上手く行きそうです。

生地が夏物でなくても、綿薩摩の場合、その下の襦袢には洗えるサラサラの南蛮七宝を着るだけで、
なんとか夏も越せそうな気もしますが、どうでしょうね?

そんなバージョンの帯も順次、考えていきます。

2016年6月20日

2016年06月20日

秋に向けて仕込み中。となみブルー御召

まだまだホントの仕込みですが、新しい色を試しています。
と言っても、横に通す糸を通すだけで色が変わりますし、今まで使っていない色を使えば、新色の反物が上がってきます。横糸を変える自体は、そこまでの手間ではありません。となると、新しい色を試す、ということはそんなに大したことが無い。と思われそうです。

が、今回の『新しい色を試す』というのは、経糸を変更しての新色作りです。経糸というのは織物を一本織る度に変えるのではなくて、場合によっては何十本モノ織物を一つの経糸、一種類のモノで織り上げます。

そのため、失敗すると、何十本織れるはずの経糸が全て無駄になってしまい、最悪の場合は最後まで織り切らず、途中で切断となります。そのため、今まで安定的に織れていたモノから経糸変更することは、そこそこ大きなチャレンジです。(だから、少なからず『問題ないのに、なんで?』そんな声も聞かれます)

今回の目的は、単純に『新しい色を作る』ことにもありますが、その色は『となみブルー』を表現したいと考えています。となみブルーで織る御召つくりです。今のところは試織で柄も試験です。

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(となみブルーの御召)

まだ完成していませんが、もちろん経糸を変えず、緯糸(横糸)だけでも、これに近い色をつくることもしてみました。ただ、その時は経糸の色が邪魔をして、濁ってしまう。悪くない色でもあったのですが、まだ途中段階のこのブルーの方が遥かに透明感があり、となみブルーに近い色をしています。

この目出しサイズで見ていると、よく見えても、これが『反物になると、どうなのか?』。そこから修正が必要か・・・、などなど、まだ完成までは遠いですが、秋に向けてこのモノづくりは視界良好です。楽しみにしていていください。

2016年6月17日

2016年06月17日

巡り合わせ良く・・・。CandyCircusのきもの1

CandyCircus』、今度は着物。
と言っても、季節的にまずは、ちりよけが一反完成しました。

R0240024.jpg

まず舟田さんに怒られること覚悟して(笑 大丈夫でしたが)、作品を切りばみ状態に。実際の作品ではなくて作品の写しを切って、パズルのように、また図案として成立するように貼り直します。

その出来上がった下絵を舟田さんに数度打ち合わせをしつつ、修正を掛け図案に。そこから型を作り、反物に染め上げていきます。

この様に工程を一言で書いてしまうと、簡単に見えてしましますが、このCandyCircusシリーズはできる限り、完成したモノから、作る大変さよりも、出来上がったモノから楽しさやワクワクを感じて頂きたい、そんなモノづくりを心がけて行こうと思っていますので、大変さの部分は今回カットしておきます。それはまた帯の時に(笑)。

今回、幸運だったのはこの図に応じた白生地が抜群に良かったこと。

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普段はあまり意識が行かないかもしれない白生地ですが、今回はこの生地のお陰で意匠の陰影、奥行き感、流れや勢いまで、上手く乗せてくれました。

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非常に個性的な作品を元に作らせてもらった、塵除けです。ここまで来るまでにも、何度も着姿の確認を・・・と、書くと苦労話になるので、今回はここまで(笑)。

ホントにいい出来栄えで、安心しています。

ちなみに発表は、今まで制作した帯も含めて8月を予定しています。
どんな反応を皆さんから頂けるのか、ちょっと怖いですが、楽しみにしています。

この後は、3柄目帯のお腹部分を作り始めていますので、これもまた8月に間に合うように頑張ります〜。

2016年6月16日

2016年06月16日

上品綟と総紗縫

ここ数日特によく触れるのが『上品綟』。織物の的には綟り織の一つ、夏の代名詞『紗』の一つです。

となみではこの上品綟の他に、総紗縫という紗の一種がありますが、こちらは改良しすぎと言っていいぐらい徹底して、作り込んでいます。そのため、よく言われるのは『えっ、この帯、紗?』と。そんな風に仲間とは思って頂けないことが多いのです。それに比べて、上品綟もとなみ独自の改良を加えていますので、世間の紗よりも、遥かに豊か表現力を持ってはいますが、まだ『紗』の原型が残ります。

ですので、この上品綟が完成した当時は、となみ織物モノづくりのベテランにとって、長く織っている総紗縫よりも、まだ日の浅い上品綟の方が目新しさを感じていました。そうは言っても、世間は『紗』が残る上品綟よりも、原型がほぼない総紗縫に新しさを感じる。この2つのギャップは最初のモノづくりでは、非常に難しい問題でした。(例えば、総紗縫は無地に近いものでも、お客さんの反応は、お~凄い。となるのに対して、上品綟の場合は、かなり凝ったものでも、お客さんからは、どこかで見たことあるかも・・・。と言われてしまったりしたことも。)

そこから様々な情報を加味し、モノづくりを濃く絞ることで、上品綟自体の良さ、らしさ、織物としての特性を掴み出すことができました。それから、上手く回りはじめ、最近の強みが目立つ織物に進化したような気がします。作り手からしても、実際には『この織物でしか出来ないこと』、当然なんですが、それがちゃんとしていないと、モノづくりしていても楽しくありませんし、続きません。

DSC00587.jpgのサムネイル画像
『右も左も織物は上品綟』

先日の撮影会はそんな空気もでき始めたのか、総紗縫よりも多くの上品綟を撮すことができました。こうなると、今度は総紗縫!と、また総紗縫モノづくりも盛り上がっていきそうです。

ありがたい事に進めたいこと一杯です〜。

2016年6月14日

2016年06月14日

撮影会

用途色々で着物の撮影を行いました(自分も含む。笑 それはまた別の話で・・・)。
少し前から撮影の日を決めていて、その基準としては、梅雨に入ってもまだ本格的なじゃないはず(笑)の頃。そんな感じでしたので、前の日から当日の午前中は雨が降っても、昼からは止んで、空気も澄んでちょうどいい頃合い。という狙い通りの撮影日でした。

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私は、撮られる方の役回りもありましたので、着物を着たまま、撮ることもし、バタバタながらも、この時期にあったいい写真が撮れたと思います。

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『上品綟/袋帯、総紗縫/日傘』


メーカーとしては、帯、着物単体を出来上がった際に、見ることが一番多いです。そのため、帯・着物・小物等々、その方の意思でコーディネートされた姿を見るのは、その機会が増えたと言っても未だに幸せです。特に、カメラだと通りすがりパッと見るわけでも無く、ファインダー越しに一つ一つ真剣に凝視することができるので、またいつもとも違った感覚で、自分たちのモノづくりを確かめることができて、本当に良かったです。

たまにはこういう時間を作るのも、モノづくりには大事ですね。

2016年6月13日

2016年06月13日

こだわりを浴びてきました。

先日は電車に片道5時間少々揺られて、モノづくりの打ち合わせへ行ってきました。
次の午前早めに打ち合わせがあったので、(泊まりたかったけど)日帰り。

5時間✕2は少々堪えます。年?(苦笑)

今回お邪魔したお店とのお付き合いが始まって、まだ数年。と比較的短いのですが、ここのモノづくりへのコダワリと姿勢は半端無く、うちのモノづくりへの共感も含めて、今後も一緒にモノづくりしていきたい、と感じさせられる、数少ないメーカーです。今回のモノづくりも、となみ色が全面に入りますので、0から摺り合わせを繰り返し繰り返しして、進めていくことになります。

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ちなみに、今回は【伊藤若冲の世界】と【神坂雪佳の世界】の着物作り。
若冲の場合、今年の生誕300年には間に合わない可能性も高いのですが、こことのモノづくりの性質上仕方がない(苦笑)、と割り切っています。

本来、帯屋である、となみ織物が着物を作るようになったのは、自社帯が活きる着物を作るため、でした。それが最近は、着物でも、となみらしいコダワリを作り出す。そこに強く意識が無くようになってきましたので、おそらく今後もこことのモノづくりは強くなっていくと思います。

頻繁には来れなくても、出来る限り顔は出したいです。
次回は一泊かな(笑)

2016年6月 8日

2016年06月08日

御召作り『Kilim』 その1

仙福屋が作る着物で、夏単衣という季節を絞って制作しているモノがあります。柄的に色々と制約があって、なかなか新しいモノづくりが難航していました。『それよりも、もう一方の方を・・・。』と自分から避けていたこともあります(苦笑)が、今の時期やはり、人気が出て、毎年毎年、その人気も少しずつではありますが、右肩上がりです。

そうすると、もう一方を・・・とも言ってる訳にはいきません。案もあるし・・・。やるか・・・。
と決して嫌ではないのです(笑)が、とうとうスタートしました。

現状のシリーズにもある『Kilim(キリム)』の帯図案を活かしてのモノづくりです。

元々のKilimは織組織は『総紗縫』が中心。配色も非常に綺麗な色が多く、個性的な帯が揃っています。→PINTREST参照

それを元に作りますが、色にイメージが引っ張られないよう、頭の中はこんな風に白黒に。

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ここから着物としての柄のサイズ、意匠の方向、織りの見せ方等々を検討していきます。基本的に帯と着物の柄とは違いますので、この段階で良いと思っていたものの多くは弾かれ、再度織物として織れるのか?どこをデフォルメするか、そこを詰めて、進めます。

今日はまだ最初の段階。仕上がりはまだ先ですが、いいものができそうですよ。
一度、進めだすと、楽しくなりますが、それまでは非常にハードルの高いモノづくりです(苦笑)。

2016年6月 7日

2016年06月07日

第一段階通過中/Candy Circus3

完成まで遠いので、まだ全体のUPは遠慮させてもらいます(楽しみはもう少し先に・・・ 笑)。紋作り(意匠図づくり)に『もう大変やわ。』と何回言ったか分からない(苦笑)、苦労した柄です。なんとかまず形になったのが、嬉しくて一部ですがUPしてみます。

IMG_6416.jpg
『Candy Circus3』

織物は、自分がよく使うお馴染みの『紹巴織』。となみの中でも細密さと色の発色が綺麗。表現力も抜群。図案から帯にする際、イメージし易い。十何年ずっと毎日の様に作ってきましたので、性も合って、好きな織組織です。

(昔から)『この織物は凄い完成度やけど、もうこれ以上(新しいモノを作るのは)無理じゃない?』と言われ続けてきましたが(多分初めて、それを聞いた時から10年は経ってます 笑)、今でも毎年新しい手法・技法を作っては、既存のモノとくっつけて、新しいモノづくりにしています。

今回の意匠(後日織物で紹介しますね)を紹巴織で織った理由は、特長と同じで、発色や多様な色を作れること、緻密さ(何回も繰り返すほど、凄いレベルのことが出来ます)、本当に武器です。これらを他の織物で似せようと、と思っても、その差は大きいです。

今回はその武器に振り回されました。糸同士を混ぜ、沢山の中間色を作ろうとしたため、収集が付かなくなり、時間ばかり掛かる。元々の意匠の色数を忠実に作ろうと、頭の中でこねくり回して、紙の上で試行錯誤の繰り返しでした。

まあ、どれだけ時間を掛けて万全を期して挑んでも、第一回目の試験織を見るまでは、失敗することは大いにあります。今回は、最大限力を尽くして、それ以上はどうしようもないので、後は待つ。そういう心境でのモノづくりでした。だから、試織が上がってきて、まずはホッとしています。

さらに思ったよりも、色が濁らず、修正は必要にしても、『あ・・・。ヤバイ・・・。』ともなりませんでした。心は折れず(苦笑)、明日早速修正だ、と思えましたので、この帯の完成は意外に早いかもしれません。

とは言っても、形になり始めたのは、まずお太鼓だけですが・・・(笑)

2016年6月 4日

2016年06月04日

ちょっと特別なもの。洗える襦袢、限定数のみ

ある出張先で・・・。
『この色で作れませんか?』と言われて制作した『襦袢』があります。

その時のやり取りとしては・・・。

最初は、基本的に『一反では染めれませんので(染料の無駄等でコスト上がりすぎる)難しいと思いますよ。』とお断りに近い返事させてもらいました。そうすると、その返事として『最小の単位は何反ですか?』と、『染料と生地の都合で・・・。これくらいだったら・・・。』、『難しいかもしれないけど、周りに当たってみます。代わりにこのロット限りの配色にして欲しいです。』という様なやりとりを何度か、させてもらっているうちに、できそうな気になり、その後はモノづくりしたい気持ちになりました。

結果は、最小限制作するのに必要な人数も集めてこられ、作り始めることができました。少し前の話です。

今日は、その一反目が入ってきました。まだ、2反目〜と染めていきますし、全部揃うまでには、もう少し時間がかかります。

また、数人の方が誘い合わせの上での注文ですし、全部が揃わないと『私のまだ?』となることから、急かしつつ、最短で同じ様なタイミンで納められるようにと考えています。

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『捻たグリーンに紺のようなグレーの南蛮七宝文様/洗える襦袢S』

その時の約束通り、この色はこのロットで終了ですので、ある意味、とても贅沢。注文された方からすると、とても満足して頂けるモノになったと思います。モノ自体も本当にいい色に染まってきました。

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