となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年2月 9日

2016年02月09日

りんぐ大島を使って、白✕白。

 

織り手が少ない、と書いてしまうと、まだありそう。
そんな雰囲気が漂ってきますが、ホントに織られていなくて、うちでも少し困っている『りんぐ大島紬』。

今までFacebookでもブログでも少し紹介していましたが、うちが独占しようとしているわけではなく、結果そんな形になってきました。たまたまでしたが、奄美で仲良くお付き合いをさせて頂いている機屋さんが、このリング大島を織られていて、その色が雰囲気がとなみの帯に合う。優しく、綺麗で、美味しそうな色目がなんとも言えない良さです。

 

今、製作中と考えているのは、ここにある草木染めで・・・。
ですが、上記の通り、帯づくりの様には(最近こちらもスピードの面では随分と落ちてきました。)行きません。

 

そんな貴重な『りんぐ大島』(社内でも見かけることも少ない)を白生地と見立て、間に割り込む様に(すみません)織ってもらいました。白無地のりんぐ(厳密には絣入)。そして、その生地の上に南蛮七宝文様の型を置いて(頭のなかでは、めちゃくちゃ勿体無い✕3と鳴っていました)、反物を作りました。

IMG_5031.jpg

 

当然、こんなことをする所はありませんし、リング糸が型を浮かせて色が入らないし・・・。等々問題は噴出していましたが、何とか染め上がったのが、この一反です。通常、表にリング糸が立っているのも、染料が入る部分では沈みますので、柄の濃淡+生地の濃淡も出て、陰影の付いた非常に奥行きのあるモノに仕上がっています。

 

今は白✕白です。
今度は色にすれば、また新たな壁も出てくると思います。お客さんに着て頂く着物作りがもちろん本業ですが、南蛮七宝文様を使って、異なる角度から、表現していく。それもまた今後のモノづくりに繋がっていきそうです。

 

とりあえず、時間は掛かりましたがホッとしています。

2016年2月 8日

2016年02月08日

昨日の着物。海路/衿

 

昨日は本社にお客さんが来られていました。
一日の結構な割合で、階段を走り気味で1〜4階を駆け上がる。普段運動不足には結構こたえて、スタッフには怒られそうですが、少々足が筋肉痛気味です(苦笑)。洋服よりも足が上げにくい、着物の方が運動量は少なく見えますが、実際はどうなんでしょうね?階段を駆け上がることを想定するTPOは無いにしても、こういう時は御召か大島紬の裾捌きの良さに助けられました。

 

そんな昨日の着物は、こんな感じです。

DSC09347.jpg

 

上から、羽織は南蛮七宝文様/御召←特別バージョンで紬糸を通しています。

着物は、大島紬。←女性物を男用に仕立てています。

帯は、写っていませんが、経紬で織った南蛮七宝。

衿には、御召で織った『神坂雪佳の世界/海路図』。御召で織った衿ではなく、御召を仕立てた後、余った生地で衿に持ってきています。南蛮七宝でももちろん出来ますが、ここに南蛮七宝を入れると、帯、羽織、襦袢、草履に南蛮七宝となってしまいますので、ここは譲って、海路図を。

 

全員が全員とも気付かれる、そんなポイントでは無いかもしれませんが、この海路図の市松意匠と色、経に見える経糸で作った縞が非常に良い感じにコーディネート出来たと思います。もし、仙福屋の御召を仕立てられて(特に単衣で)、余っている場合、衿として使ってみることもお勧めいたします。

 

久々にスマートフォンの万歩計が8,000を超えました。大した自慢になりませんので、もう少し運動がんばります。

 

 

2016年2月 7日

2016年02月07日

大島紬に囲まれる最終日。

今日はお客さんが京都本社へ来店され朝から夕方まで、モノづくりや帯、今回は大島紬を見て頂きました。普段とは入口正面からして、雰囲気は違いました(100周年記念の大きなPOP?のぼり?がドンと)。この三日間、となみ織物は半分大島紬、半分は西陣織、そんな割合でした。

 

去年、今年は特に早々、奄美へ行き、現地を見ながら、モノづくりを進めています。またここ数日は奄美から、職人兼機屋さんが来られていますのえ、お客さんの反応を生で受けてもらいながら(あまり機会はないそうです)、それをベースに思い切ってジャンプしたモノづくりの打ち合わせを進めることができました。

 

まだまだ、実現できるかわかりませんので、詳しくは書くことはできませんが、『えっ、そんなことしてもらえるの?』とこちらが驚いた、大島紬で織る唐長文様。こちらはこちらで、八割五分ほどイメージ通りに形になった、りんぐ大島で行う表現方法。『それって考え付かんかった・・・。』と職人さんに感心されたモノ。

 

自分たちが作るとなみ帯の可能性を広げるために、手を出し広げた、着物作り。最初は助っ人に近かった関係が段々とお互いから近づいて、となみの中の大きなモノづくりの一つになってきました。これらも、一方的なモノづくりではなくて、双方が提案し、改善して良いもんを作り出せる形を模索していきたいです。

 

本社3fの帯を一旦全部撤収して、明日はそれを元に展示し直す、大変な日になりそうですが、今回は三日間大島紬を帯と同じかそれ以上並べ展示したこと、本当に良かったと思います。日曜日にも関わらず出社した、となみスタッフの皆さんもお疲れ様でしたm(_ _)m

2016年2月 6日

2016年02月06日

先日は撮影をしていました。

お客さんが(着物や小物無しに)帯だけを見られた時、例えば展示会で帯だけを陳列の場合。Facebookに帯だけのUPの場合でも同じです。帯のみでは着物との相性が分からない、と良くと言われましたし、今も言われることがあります。もちろん、最近では精力的に着物作りをしていて、帯と同じ様に陳列することも少なくありませんので、目の前のお客さんがの場合には、ほとんど問題ありません。

 

ただ、帯だけしか並べないことも少なくありませんし、Facebook等で(早く見て頂きたくて)新作の帯をUPした場合なんかは、帯のみで大丈夫かな?と思わなくもないです。そんな時、手元に少しでも多くの着物コーディネートがあれば、見て頂けるのになぁ・・・と思うこともあります。

昔に比べて、帯のモノづくりは、ほぼ中間色で配色製作するので、帯が着物と合わないとか、合わせにくいということは、本当に減りました。そんなこともコーディネート例を作る事が進まない原因かもしれません。ただあった方が、帯の特性を見ることが出来、間違いなくお客さんからしても良いことと思います。

 

今、ある方にご協力を頂いて(後日紹介できると思います。)、着姿の撮影を始めています。ここでは単純に、となみ織物がこの帯に着物、そして、小物はこれ。と言ってしまうのではなく(従来のモデルさんと変わらないので)、となみ織物の帯、着物、それに仙福屋の小物を沢山の中から選んで頂いて、多少偏りのある、色のついた(笑)コーディネートを作ります。また、着付けはビシッと綺麗に着付けるのもいいですが、あまりやり過ぎると着物姿に現実味がなくなってしまい、遠くから、着物って私と関係ない。と客観的になってしまいます。着るものでなくて眺める物になる。

Facebook上でもたまにご意見頂けるのですが、膝裏のシワが寄っている、お太鼓の柄ぴったり合っていない等(ご意見を頂けるのは大変有難いのですが)、作られた着姿でなくて、極力自装、自然体、普段着だったら着慣れていて、多少動いた後の感じがでれば・・・、そんなつもりの姿を好んでUPしています。

写真を見て、『着物を着てみようかな?』とか、『完璧に着なくても良いんだ。』そう思ってもらえう様に。ただ、そこまで変なのも上げてはいないつもりです。もうちょっとで帯が落ちそう・・・とそこまでの着崩し過ぎるのは良くないとおもいますので・・・(帯屋としても)。

 

長くなりましたが、今は着物って、着てみたい、出てみよう。憧れに近い素敵さ、そんな空気が作れる様にしていきたいです。今から作って行くものには、おそらく偏りがあると思います。そのため、好き嫌いも分かれると思います。好きな方にはそのまま着て行きたい、そうなるように。あまり好きじゃないと言われる方には、せめて次回に期待してもらえるように。

 

そんなコーディネートを紹介していきますね。

 

2016年2月 5日

2016年02月05日

2016若手とのモノづくり①

 

若手とのモノづくりを頻繁でない程度の時々、行っています。今回は帯を一本だけ作るというのではなくて、シリーズ・塊として製作をしようとしています。今回は長い時間、行く先を決めるために繰り返した打ち合わせから、モノづくりを実際に動き出す、最初の一回目です。

 

具体的には、この帯地(紗楽)に刺繍を施すこと。それがこれからするモノづくりの中核。

 

IMG_4940.jpg

 

そのため、まずは下地となる帯地を作ることから(いきなり一番大事な部分です)。

主に考えることとして、柄はどうするのか?色は?素材は(糸種等)?帯の柄は上にのる刺繍とどう絡ませるか?
が当面のモノづくり。初めての試みも、いつか入れる予定をしていますので、今から取り掛かる試験織は、遊べる範囲をできるだけ広く作っています。試験を取るので地色も普段使わない色味でやってみようと思っています。

 

IMG_4941.jpg

 

となみブルーに緑っけを足してみて、鉱石の色を作ろうと思っています。
まず今年前半(5月くらい)までには一旦形にして、そこから少しずつ大きくなるようなそんなイメージでのモノづくりです。

2016年2月 3日

2016年02月03日

本社3F、一瞬の模様替え

 

いつもはこんな様子の本社展示場。

DSC06189-1.jpg

 

 

それが今日の昼間にはこんな状態に。

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常時3,000本くらいは陳列している袋帯がほとんど空になりました。

 

明日の昼に完成予定です。この帯が無くなったスペースに、大島紬おそらく800反(もしかして1000反位になるかも?)とそれに合わせる、となみ帯を入れていく、そんな大模様替えです。そのほとんどが逸品や珍品ばかりで、質量ともこの時は日本で一番の大島紬の会場になっていると思います。

 

キッカケは昨年参加させていただいた、本場大島紬織物協同組合の創立100周年のパーティーです。そこから話が始まり産地の各機屋さんにご協力いただき、となみ織物の帯とのコーディーネート。考えれば考える程、貴重な時間です(まだ着物は1反も並んでいないのに、少し感動しています)。次あるのは100年後と言う話も真顔で聞かれます・・・。

 

スタッフ5人掛かりで、丁寧に桐箱を重ねては、片付けて、を繰り返しを丸一日掛かけてやります。日曜日の夕方には、再び元通りに戻しますので、本当に一瞬のことですが、自分たちも楽しみたいと思っています。

 

大島に絡めた南蛮七宝文様の新作と袋帯も新たに紹介していきたいと思いますので、見所沢山、来れられるお客さんにも楽しんで頂けそうです。陳列が完成したところもまた見てもらいますね。

2016年2月 2日

2016年02月02日

容れ物としての帯/南蛮七宝文様P

 

先日、本決算前にFacebook上にUpした『仙福屋の懐紙入れ』。

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仙福屋の懐紙入れ

 

特別な意識をして上げたわけではないのに、爆発的に注目していただいています(いいね!1600人以上、リーチ4万人超え)。

 

最近は、広い意味の『容れ物』、帯地を使ったバッグも雑誌に取り上げて頂けたり、取材をしたという話も頂いたり、3,4年前のちょっと昔から考えると、素材としての帯地へ関心が随分と好意的に変わった感じがします。

 

南蛮七宝を意匠にモノづくりした商品は、今のところ本社&自分のみの取り扱いとなっています。それは商品の制作する量・把握、モノづくりのスピードからと、一人で勝手に走って、暴走しないためです。ただ、去年は古川美術館の唐長世界でバッグや懐紙入れ、今年も唐長さんのサロンでも展示、と少しずつ実際に触れていただける環境が整う、そんな流れができてきました。

 

生地としての帯地は、まだまだマイナーな話ではありますが、帯で使われる意匠、絹を使った風合いには、他の物と違った魅力、大きな可能性を感じますので、もっと認知されるように伝えていけるように頑張りたいです。

 

ちなみに、最近上がってきた南蛮七宝文様/P型(見本)。

IMG_1722.jpg
『南蛮七宝文様/バッグP型(プティ)』

 

洋だけでも和だけでも勿体無い、そんなバッグになれればと思います。

2016年2月 1日

2016年02月01日

2月、新たな期のスタート。しぼ織;花柄。

 

無事、棚卸しの勘定が全て終わり、あとは集計等の事務的な作業に入ります。昨日は社内が原料、商品、人も引っくり返って、お盆・年末の大掃除以上の掃除となりますので、今日はビシっとすっきりとした空気が社内には漂っています。まずは一息です。いつもビシっと空気が大事ですが、片付けるとともに、帯見本があっち行ってたり、していますし、もう一度散らかさないように気を付けながら(笑)、自分のモノづくりのモノを集めていきます。その中の一つ。

 

現在、試験を繰り返し、なんとか前に進んでいるモノが『しぼ織』の新しいアイデア。

この試験は(帯になればいいですが)、今後作って行こうとする『しぼ織の土台』、柄の一部になるようなモノづくりです。しぼ織に使う素材には、今では希少と言っても良い、『御召緯』を使って製織しています。その特徴は水分に浸けると縮むことです。織りの段階では、それを見越して帯巾を広く織り上げ、お湯に浸けて縮め、帯表面に隆起(しぼ)をつけ、帯巾として再度巾を整えます。

 

しぼ織.jpg

ちなみに、これがベーシックなしぼ。
縦に流れる隆起になる様に、柄に沿って縮む様に設計。織りでは糸で止める様にします。何も考えずに、この糸を使って織ると、しぼが暴走して生地が捻れてしまい、帯になりません。←しぼ織の織り始めは、そんな感じです。

 

新しいアイデアは、しぼをある意味暴走させながら、周囲を深く括って、それ自体が柄になる様に糸で止めています。


IMG_4755.jpg
(花に見える部分は袋状になっていて、触れるとしぼが動きます。)

 

これをこのままで進めてしまうと、生地的に弱くなるので、ここからはバランス。糸で所々止めながら、しぼが動けるスペースは残しておく(帯をお湯に通す→縮める、というのが前提なので、予測は難しく、やはり経験が重要です。)。

 

今後、帯にしていくためには、これをどの程度のバランスが良いのかを理解して、その時点で使う意匠と相談しながら実用的な地紋を作る、となります。考えているのは、従来のしぼと写真のしぼを共存させながら、しぼだけで出来た帯やこのしぼは意匠の無地部分を構成、あとはしぼを立てず、柄で見せるモノ。等々、完成すればしぼ織で作る帯の表現力は確実に上がりそうです。

このモノづくりのキッカケはある方から頂きました。上手く使えるように試験繰り返していきます。
ありがとうございました〜。

2016年1月31日

2016年01月31日

2015年度/棚卸し

 

日曜日の今日は休みですが、1月末がとなみ織物の決算となります。そのため、出張者以外全員出社で棚卸しを行っています。
どの会社も似たようなことになりますが、うちは帯のメーカーですので、織り上げた帯、製作した着物、小物以外に、原糸、染糸、箔、図案、意匠図その他諸々も全て勘定&チェックをしていきます。

 

社内には今まで製作したモノが沢山あるため、商品は別として図案(意匠図)等はこの棚卸ししか目に触れないモノもあります(しかも結構たくさん)。それに触れることで、毎回過去の帯をリメイクしたり、全く作っていなかった図案に関しては一から製作することも、少なくありません。特に過去の図案は今のものよりも手が込んでいる(込み過ぎている)こともありますし、多少修正は必要ですが、やりがいがあります。

 

そんな棚卸しが終わると、新しい期の始まりです。

 

ちなみこの棚卸しのボスは、最近Facebook上で登場するようになった、中村です。

スクリーンショット 2016-01-27 17.54.43.png

 

また、となみ織物研究会の方も今年は盛り上げていきたいと思っています。
よろしくお願いします〜!

 

2016年1月30日

2016年01月30日

京都に帰ってきました。

 

奄美から今日へ戻ってきました。
帰りは奄美空港→伊丹空港まであっという間の1時間20分。(新幹線で京都→じるし東京よりも近いですね・・・。)明日は棚卸し、そして本決算です。。急速にグッと現実に引き戻されました(苦笑)。今頭のなかにある温かいアイデアとイメージを2,3日のうちにまとめて、大島のモノづくりを進めていきたいです。奄美初スタッフも2人いましたので、いい刺激になって、大島に限らず、帯も御召も盛り上がるようにしたいです。

 

下の写真は大島紬の糊張り。絣を作る工程の一つで海草糊を使って数本の糸をまとめる作業。糊を乾かすために天気が良くて、糸同士が擦れて切れないように風が弱い日にしかできないため、この場所では今年初めての作業日だったそうです。この日も天気予報的には雨・くもりで、多分だめだろうなぁと言われていましたので、嬉しいサプライズでした。

DSC09255 (1).jpg

 

 

そういえば自分も今まで7回行った奄美で見れたのが2回目。そんな幸運も含め、今後のモノづくりは楽しみです。

 

2月から新しい期が始まります。また一年よろしくお願いいたします。

 

 

 

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