となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年9月 5日

2016年09月05日

「Demitasse ✕ でみたす」でトークショー

ひょんなところから、京都の白沙村荘でトークショーに参加することになりました。
そこでのメインは、村上和美さんのコレクション、デミタスカップの展示。

トークショーとしては、約30分くらいとなる予定です。


普段は帯を作るのが仕事なので、それ以上なにか気の利いたことや、話のネタ・・・、
特別なことはありませんが(苦笑)、折角何名かの方に来ていただきますので、
いまの機に掛かっている超新鮮な帯を用意したり、おそらく普段は見ることは出来ない
帯を作るのに必要な道具等々、持って行く予定をしています。

demitasse×でみたす表.jpg demitasse×でみたす裏.jpgのサムネイル画像
 →http://www.hakusasonso.jp/exhibition/detail/-demitasse.html


ちなみに、私の担当日?は、明日です(笑)。

台風は大丈夫そうなので、あとは、晴れることを祈るだけですね〜。


※ 企画展 「Demitasse ✕ でみたす」
2016年9月3日(土)より25日(日)まで 白沙村荘 橋本関雪記念館MUSEUMⅡにて開催
 →http://www.hakusasonso.jp/exhibition/detail/-demitasse.html

2016年8月31日

2016年08月31日

洗える襦袢→洗う襦袢

昨年に続き今年も山ほど洗っては着て洗っては・・・
のお襦袢です。

nanbanjyuban.jpg


この襦袢、製作途中に色んな機能を搭載していきました(搭載って言葉がピッタリ 笑)。
『南蛮七宝の襦袢をずっと着ていたい。』お客様からの言葉でした。

そこからスタートして、
最初はオールシーズンの南蛮七宝を検討。
 ↓
折角なので、着ていて身体が楽なモノ=より軽い生地
 ↓
居敷当ても無しで⇒耐久性の検討
 ↓
樹脂とかの加工なく、絹そのまま風合いで、
洗える機能を➕!(ここが結構無茶・・・)


と、当然ながらコスト&手間が掛かりました。

そのお陰もあって、社内いても、複数の色数を見ない(いつも1色か2色があるだけ)
そんな人気のお襦袢になりました。

値段的にも通常品の3倍くらいなので、この人気は脅威的です。。。


ちなみに、上の写真は機能を詰め込みながら、あれやこれやと試作段階で仕立てたモノです。


実験として、例えば、着る度に洗濯→着る度に洗濯。本当は必要ないのに居敷当を付けてみては洗濯。


普通の衿つけては、そのまま洗濯。最後に乾燥機まで回してみる
(これは流石に途中で止めておきました・・・。苦笑)等々。


そんなことがあっても、今年の一番洗う時期を無事?乗り越えることができました。

普通に考えれば、『夏でも、簡単に洗えないの?』と言いたくなる襦袢。


それを洗える様にする。簡単そうで結構大変でした・・・。


見渡せば、他にも当たり前にあってほしいけど・・・、
そうで無いものが着物の世界には色々とありそうです。
妥協して安易な物にせず、良いモノづくりが発表できる様にしたいですね。


そんな気持ちを忘れないためにも、
この襦袢に関して、どこまで洗い続けれるのか、時々皆さんに見てもらいますね〜。

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2016年8月30日

2016年08月30日

今日の主役はいつもと違いますよ〜

総紗縫の帯というと、皆さん、まず一本目は悩まれます。

『今までに見たことの無い感じの帯・・・。』
薄過ぎて軽過ぎて、柄がシンプル。これって結べるんだろうか?と。


その一本目を超えると、2→3と総紗縫の魔力にドップリと・・・。

今回の主役、表ではなくて、そんな時に便利な総紗縫の裏地について、です。

DSCF9179.jpg

両面に好きな柄を選んで頂くのが特長の総紗縫。
3本めくらいの帯になると、裏も表を選ぶよりも、
まず今見ている表の柄を『とりあえず、新しく、帯のラインナップに加えたい。』
そう言われる時は、『裏は無地にして・・・。』となることもあります。


そんな総紗縫ができた当初、裏無地は色数も少なく、本当の無地。
『ちょっと無地過ぎひん?』という少し矛盾した声を頂き(苦笑)、工夫するようにしました。
また、確かに無地過ぎると、織物の構造から織り難にもなりやすい。

それらの改善で・・・。と制作したモノが現行のモノです。

その時この柄は、霞のような雲柄→『霞雲(かんう)地紋』と名前を付けて、
通常の『無地』とは分けていました。が、いつの間にか、無地が無くなって、
この霞雲が無地となっています。

作った方としては、多くの方に使って頂ければ良いのですが、
『この柄には、本当は名前もあるんやけど・・・。』とたまに言ってみたくなります(苦笑)。

随分昔の話なので、もしかして新しいスタッフは知らないかもしれません。
ですので、新しそうな、となみスタッフには、自慢できるかもしれませんよ(笑)。

ぜひ、聞いてみてください。

今日は、裏地にも名前をつけている、メーカーらしい話でした。

2016年8月29日

2016年08月29日

『8月最後の男着物』

ただでさえ、男物の着物はハードルが高い。その上、夏物。


『だったら、浴衣着る。』


そんな声もたくさん聞きながら、それでも夏は特にカッコいいと思う、男物の夏着物。
おそらく、次に着るのは9月初めになり、その時は単衣物になるので(とは言っても今回の着物はそこでも登場できそうですが・・・)、今年最後の夏男物を登場させてみます。

DSC02081.jpg

まず、
◎羽織:南蛮七宝文様の三重紗。
今月で生産が終了する反物。とにかく軽く、着ているのを忘れるくらいなので、この夏はフルで活躍した羽織です。これの代用品もしくは・・・と来年用はどうするか、頭の痛いところです。


◎着物:格子柄/大島紬の夏物。
シンプルで羽織が無地じゃない場合、結構登場する着物。
これも軽くて風を通すので、よく出てきます。

◎襦袢:南蛮七宝文様の洗える襦袢(絹)
今年、自分が関わったモノづくりの中では最大のヒットだと思います。
少々コスト的に高く付きましたが、機能性は抜群。
今のところ、在庫0なので、頑張って製織中です・・・。

◎羽織紐:純銀細工。
どんな羽織にもコーディネート可能なので、これも夏によく出てきます。

角帯:この日結んだ角帯は、ただいま貸出中で撮影できず。
淡いベージュ色の組紐を繋いだ角帯。年中結べるので、自社の総紗縫角帯と共に、
この夏は活躍しました。


着物のお洒落は、女は男物へ。男は女性物へ。
という言葉を意識しているわけではありませんが、全て女性用の反物で制作しています。

ちなみに、反物の巾は狭いので、そこは仕立て方法でカバーしています。

『男物を着たいけど、なに着たらイイのかわかない・・・。』そんな声もたくさん聞きましたので、今回のように時々紹介していきますね。

2016年8月26日

2016年08月26日

Candy Circus 3柄目

やっと完成しました。舟田さんとのコラボレーション『CandyCircus』。

四柄目『アネモネ』の方が先に完成し、どちらが三柄目か(苦笑)わかりまりませんが、
なんとか表地の完成です。


image.jpeg


気を付けたことは一つ。

一もニも三もなくて、色の発色だけ。
そこに気を付けて、すべてを向けたモノづくりです。


この紹巴織のモノづくりは、ベース部分三色の使い方が最終の出来を大きく左右します。
そこをいかに選択するのか?が、その人のモノづくりのセンスが出てくる部分です。


とどこかにも書いていましたし、まだそう思っています。
が、このCandyCircusの三柄目に関しては、その公式は当てはまらず、糸の色同士が
滲んでくすまない様に、祈る気持ちで、頭の中で色を混ぜながら、紋図を作りました。


そこに最大限意識を払いましたので、色数、色を混ぜた(染み込み)箇所、発色の面に
おいて凄く満足度の高い仕上がりになっています。


まだ裏地を作らないと、袋帯にはなりませんので、完成ではありませんが、
それを作って、袋帯にしてから、もう一度登場させたい帯です。

2016年8月22日

2016年08月22日

溺愛の帯


これは、社内でしばらく使わ続けそうなので、合言葉みたいになり始めてます。
ただ、自分の中から出てきたわけではありません。

L1001774 (1).jpg
『となみ帯×汕頭刺繍』

今回のきものSalonの帯シリーズ『となみ帯×汕頭刺繍』。この誌面を作ため『どんな雰囲気で撮ってもらうか?』を決める前に、帯を表すための、言葉探しからスタートしました(いつもは雰囲気から先に)。

スタートからして違うため、誌面に載せたモノは、いつもと違う様に感じてもらえるはずです(違って見えますよね? 笑)。

となみ帯+汕頭刺繍をお持ちのあるお客さんから言われた言葉。『この帯を結ぶ時だけは、手を入念に洗って、片手では持たず、両手で抱えるようにしています。』

そのことを聞いてから、『そう扱う帯に相応しい言葉って、なんだろう?』とずっと頭にありました。『大切な帯』や『大事な帯』『好きな帯』いずれも良いですが、文字だけを見て、思いを載せきれない、少し足りないかもしれない、と思いました。

そこで、社内で、汕頭シリーズが特に好きなスタッフの聞き取り調査を気づかれないよう、それとなく行って(あまり格式張ると言葉出てこないかもしれませんので)、それを打ち合わせを通して、最終こねこねして、出てきたのがこの『溺愛』です。

通常刺繍は、白生地等に施すことはありますが、敢えて図案・紋づくり、製織までしてきた織りの帯に対して行うことは、あまりありません(勿体無い、そこまでせんでも・・・となります)。

そういった業界の常識も少々超えつつ、こちらとしてはモノづくりに気持ちを込めました。それが結ぶ方にどう伝わるかは、分かりませんが、帯を気に入ってもらえれば、溺愛を受け入れて頂けるだけの器はあるような帯シリーズだと思っています

社内でも賛否両論あった、今回の誌面ですが、プラスもマイナスも振り幅が大きい分、ファンの方にはさらに濃く、なって頂ければ嬉しいです。

2016年8月19日

2016年08月19日

色をメインに。

今までに無いイイ色を作りたい。と試験を繰り返しながら制作しています。

色というと、今では定着した『となみブルー』もそうでしたが言うのは簡単、
そこに至るまでの、作る・発見する・使う&使える。ようになるまでには、試行錯誤の連続。

この制作方法で着物は、今までもちょこちょこ登場していますが、試行錯誤を繰り返し、段々と形になりつつあります。


DSCF9031.jpg
『南蛮七宝文様/御召』


今までのモノをご存知では無い方のために、まず通常染めの着物は白生地を使います。
白(または生成り)の上に色を置くため、染めあがりの色は当然予想し易いです。

今、制作しているモノは、元々色の入っている先染めの着物(これだけで製品として成り立つ)の上に色を加えて、 元々ある色が底から照ってくることを想像しながら、深い色を作る。

そんなモノづくり。特に今回挑戦したのモノは、底にピンク色があり、その上からグリーンを足す。

料理だと隠し味に、りんご、チョコレートでコクを・・・。イメージとしては一緒ですが、なかなか思い通りに行かず、 最終のブレ幅も大きいので、苦戦中。

また、この着物の場合、同じものは作りたくありませんので、完成する度に異なる色を作る。

そのため、経験も蓄積されにくく、失敗も未だにあります。
それでも少しずつは欲しい色が作り出せてきました(現状5反のうち、失敗は1くらいです)。

帯が最大限にイキイキしてくれるイイ色作り、帯作りと同じくらい力を入れていきたいです。

2016年8月17日

2016年08月17日

充電

お盆の前は何やかんやとありましたので、休みの間は最小限の仕事のみ。あとは充電(ぼーっとする&寝る)でした。おかげさまで今日は回復、元気です。しばらくは事務処理の続きますが、また掛かっているモノづくりの状況をお届けしていきますね。


昨日16日は大文字の送り火。となみ家では『大』の字ではなくて、恒例になっているのは『舟型』。実家の目の前に、こんな風にデンとあります。


DSCN0156.jpg


この日はいつも趣向を変えて、超々望遠カメラを持って行きましたので、こんな具合。

DSCN0149.jpg


京都市に大雨警報が出るほどでしたが、無事に終わりました。
これから、京都は少しずつ(やっと)秋に向かっていきます。

2016年8月 8日

2016年08月08日

要勇気の着物

織物は経糸と横糸(緯糸)で柄を織ります。通常その両者の色が入り混じり、織組織などの様々な関係性によって、目に入る色(配色)が決まります。また織物の性質上、緯糸は変更し易く(杼を変える)、経糸は変更し難いものです(一度機に掛けた経糸を替える場合、基本的に裁断することになる)。

帯も着物も基本的に同じ。そのため『経錦』などの経の配色でほとんど全ての色が決まる場合は、経糸と心中するつもりでやります。変わった色目のモノづくりの場合、配色を考えた後、それを実行する場合、要勇気!です(笑)。帯よりも要尺の長い着物の場合、さらにもっと勇気が必要です。今回は、その勇気を出して(苦笑)制作した『仙福屋の御召』が織り上がっていますので、紹介します。

DSCF3758.jpg
『仙福屋の御召/となみブルー』


こんなモノづくりの場合、勇気は要りますが、その反面、通常の着尺経糸にはある程度汎用性のある色を使います。例えば、薄い地色の着物であれば、淡い生成り色やオフホワイトの経糸。その色が製織時に、緯糸と一緒になることで、(ある程度は計算できますが)柔らかな奥行きのある中間色に仕上がりますし、ある意味それを狙っています。

写真の着物はそのモノづくりとは異なって、経糸に『となみブルー』を染めて使っています。もし失敗してしまうと、全部青みが強烈に入った、こちらの想像とは大きく違った反物・・・。になってしまうので、上記に要勇気と書きましたが、まさにそのモノづくりでした。まだ、ほんの一部の方の評判しか聞けていませんが・・・、物凄く良い評判です(笑)。

ただ、こういう時に限って、リスクを考え、出来る限り経糸を小さく、織れる本数が少ない経糸で織ったりしています。モノづくりって色んな意味で難しいですね(苦笑)。

2016年8月 5日

2016年08月05日

インプット十分。

3日間の大きなイベントの出張から帰ってきました。

行っている間は、お客さんとずっと話をさせてもらい、ずっと立ちっぱなし・・・
一色で、京都にいる普段とは大きく違いましたので、今日は声が出にくく、足パンパンです(苦笑)。

京都にいて、モノづくり。時々、他産地でモノづくりが、基本の仕事をしているため、
大勢のお客さんが来られるイベント等の出張は本当に稀です。

作ったもの見て頂くだけではなくて、以前購入頂いたモノを使われる姿を見せてもらう。
それに対しての反応を頂く、感想や意見が聞ける。それも山ほど沢山。

DSCF3359.jpg

当面のインプットは十分頂きましたので、これを糧にモノづくりしていきます〜。

写真も沢山撮らせて頂きましたので、モノづくりに関わった方々、職人に見てもらって、
モチベーションにもしてもらいます。

DSCF3626.jpg

ここ数年、毎年この出張へは行って、帰って来るとクタクタのクタクタになりますが、行って良かったと思います。
これからお盆休みの11日まで、モノづくり残さないようにやっていきます〜。仕事は山積みです・・・(笑)。

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