となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年5月16日

2016年05月16日

三条店のピアノ・・・

 

先日、唐長三条店で12代目と打ち合わせを行いました。

 

三条店の現状はというと、ド真ん中にあったピアノを移動されたので、そこに広大なスペースが空きました。普通、家やお店であればポカンと空いたスペースに違和感を感じるはずなのに、店全体の雰囲気+周囲唐紙だと、そのスペースが埋められ、最初からそうだったような気になります。気がついたとしても、これはこれで良いな。と、そんな気持ちになってしまいます。

実は、あれだけお邪魔した私も今回、ピアノの件は知っていたはずなのに、スルー。帰りにそういえば・・・と気付きました(苦笑)。自分に観察能力が無いのか、唐紙がすごいのか、未だに三条店の雰囲気に酔ったのか?わかりません(笑)。

 

そんなこともあって、今並べている帯や着物、小物の陳列をお店に合わせたものへ見直したいと思います。
あるもので十分対応できるもの、新しく作ったほうがいいモノ、等々の打ち合わせです。

 

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【三条店 新しいカメラの試撮 左後ろには南蛮七宝巾着】

 

 

また、新たなモノづくりも始まりますので、しばらくはドップリと唐紙の世界に入って行きたいです。

2016年5月14日

2016年05月14日

金銀と紬と経の箔

 

先日、紹介した『角花』の意匠を使ってフォーマル地の試験しています。

 

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3種類3色、すべて素材を変えて織ったところ、ギリギリ織れたのが、上の2種類。
ほかは全滅です
(数センチが織れないモノもあり)。金銀糸は通常の糸よりも太いものを使い、経は箔、打ち込みも多く入る、と何かをイジるには条件が悪すぎるので、ある程度予想はできました。そのおかげで、この一回目の目出しで、(いつもだったら何回も取る必要があり)ある程度の限界が掴めたので、満足しています。

そして、この生地作りが間違っていなかったら、次は色。

『金糸』が立ち過ぎると合わせにくいし、経の箔とケンカする、立ち無さ過ぎると、この帯の風合いを作る&金色をグッと抑えている『紬』が前へ出てくるので、フォーマルらしさが薄れてしまう。こんな風に、最近はデジャヴの様に、対極の2つのバランスを取るような仕事ばかりしている気がします(笑)。

 

まだ、織り見本の初期ですが、ちょっと無理して一本目を織って頂いていますので、次はそれを見て、軌道修正を行いたいです。もし、その生地が想像と違う結果になっても、フォーマルバッグ用として『今まで無かった感じで、抜群にいいんじゃないか?』とも言われていますので、そっちの方も視野に入れておきたいです。

 

ここ2週間、ずーっと色んなことが詰まっていたので、ちょっとバテ気味です(苦笑)。。。

2016年5月11日

2016年05月11日

色の整理=廃盤作り

 

試験織(目出し)というと、初めて織る織物の具合をチェックすることです。
意匠図を作った後、それがこちらの意図通り織れているのか?を見ます。ごく稀に頭の中では全く気付かなかったこと、例えば十センチなら何とか織れても、帯一本分は織れない、ことがあることも。綺麗に織れた様に見えても、織りクセが出ていたり、と意匠図(=設計図)が出来たと安心していても、意外にチェックすることは多いです。

 

そして、この試験織のもう一つ目的は、色を見ること。意匠図作る、織りのチェックする、問題ない、じゃ次はというと・・・。
具体的に色を配置して、全体としてどういう色の雰囲気を織り出せるか?の確認で織ります。そして、帯は大抵の場合、イメージの中にある色を何色か試して、そこから1色もしくは2色くらいに絞って、最終帯を織ります。

これが織りの場合、(特にうちは文様がシンプルなモノが多いですので)10数色を織ってから、どうしてもダメなもの以外は残します。いいモノを残すか、ダメなものだけを省くのか。帯と着物の配色選択、アプローチとしてはちょうど反対です。

 

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『輪宝文様/着物試し織』

 

さらに、新しい地色の帯が出来ると、そこに合わせる着物の色を増やしまいますので(苦笑)、気がつけばエライことに・・・。例えば最初は5色でも時々の追加で、いつの間にか倍の10色になっていることもあります。

 

そんなこんなでモノづくりとして増やしていくのは良いのですが、あまりに増えすぎると『えっ、こんな色織ったかな?』になり兼ねませんので(台帳を見れば分かりますが、それではダメですし・・・)、その色数を整理をしていました(これではイカンと、かなり久しぶりに)。

 

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『濃地の選択中』

 

まずは、南蛮七宝文様から。最初に色数を決めた時から追加していく度に、真剣に選択しての20色を超える色数です。
絞る(=廃盤を作る)というのは、至難なことでしたが、結果14色(薄地7、濃地7)に。

 

また少しずつ色が増えて、それを絞る。それを繰り返して行き、その時に応じた色を常に意識して、織ってしまったものはそのまま、という惰性のモノづくりに成らないように、手を入れて行きたいです。選んだ色はまた、見て頂けるようにしますね。

2016年5月 9日

2016年05月09日

ざっくりとした注文を頂いたところから・・・。

 

『こんな感じの柄でこんな感じの色』と、相当ざっくりとした御召の注文(笑)を頂きましたので、まずそのための見本を織ってみました。夏に近づくにつれて、御召の場合限定ではありますが、圧倒的に薄い地色に人気が集まります(帯や他の着物はそうでもないのが、また面白いところ)。

 

その見本裂地です。

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写真の部分で6柄2配色あります。

 

この御召は総紗縫や上品綟のように綟って透け感を作っているのではなくて、緯糸と地紋の工夫と改良で風を通す夏単衣モノに仕上げています。反物を下に置くと、透け感が少なく色の重さを感じますが、着ることをイメージして、写真の様に反物を立てると、濃い緯を通して織ったにも関わらず、透け感を感じることができますし、『これだったら夏に濃い色の着物を着てみようかな?』と思って頂けると思います。

まだ、今のところ出来上がってから日の浅い織物でもありますので、薄地が一通り人気が出た後は、この濃い地色の方で・・・。と画策しています(笑)。

 

薄地色のも含めて、この織物が反物になるまで、試作の繰り返しでした。自分でもプロトタイプのモノを着ていて、完成版は良いなぁ・・・(笑)と、思い入れも沢山(柄によってはこの織物に全く向かず、織れなかったとか)のあるモノですので、大事に紹介していければと嬉しいです。

 

今年はいよいよ自分用に濃い地で作ろうかな〜。

2016年5月 7日

2016年05月07日

南蛮七宝文様/夏大島・藍の一反目織り上がり。

 

奄美の職人さんから『原料あるけど、織ってみる?』と話を頂いてから(返事は『もちろん、お願いします!』)、数ヶ月。完全に忘れきった頃に(苦笑)上がってきた南蛮七宝文様/夏大島紬、の正藍です。

 

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(どうも写真では上手く伝わりませんので、またこれに関してはチャレンジしますね。)

 

夏の場合、糸が通常のものと異なり、いつも通り織れないため、奄美大島では夏の織り手さんがほとんどおられない。今では『幻の大島』と言っても良い着物です。南蛮七宝文様では、以前『白』を織ったこともありますが、一経を織り切るのに、優に一年は超えていました。今回もそれと同じか、それ以上の手間を掛けてのモノづくりのスタートです。

 

この南蛮七宝文様の大島紬シリーズは全て限定での製織(4もしくは8反)で、人気があるから再び製作をする。そういうことは全く無い(というよりも出来ない)ので全て売れてしまうと、手元には写真しか残りません(やはり写真頑張らないとダメですね 笑)。個人としては、一反ずつくらいは資料として残しておきたいですが、着物は、やはり手を通してもらってこその着物です。

 

この藍に関しては、もしかして一疋(2反)のみしか製織できないかもしれません。
今までのモノもそうですが、この藍は、どんな方が着られるのか?できれば、着姿の写真を撮らせてもらいたいなぁ・・・。と想像しながら、反物を巻いていました。

 

Facebookへは反物の上に帯をのせて、またUPしたいと思います。

2016年5月 6日

2016年05月06日

まだ帯になるか、わかりませんが。瓢箪柄

 

タイトルの通り、試行錯誤している帯見本です。
柄は唐長さんより、瓢箪。それをとなみ史上、経糸最多の二重織を使って織った織物です。

 

IMG_6115.jpg

 

基本は経糸の色で柄が作れますし、それで文様全体は(特にシンプルな柄ですので・・・)織る。そこに緯糸を通して色に深みと、地風を作る。帯としてのベース部分のモノづくりになっていますし、非常に地味(笑)。ですが、一番か二番めに大事なところです。時間は掛かるかもですが、まずは納得の行くものを、と思っています。

 

それに加え今回は、出来る限り織りやすいモノ=皆さんに気軽に結んで頂けるモノを心がけていますので、特にこのベース部分をしっかりして、織りはシンプルに。もし、このシリーズからとなみ帯に入門者(?)された方には『帯って、こんなに結びやすいんだ!』そんな気持ちになってもらえる様にする、それが目標です。

 

そのために、経の配色、緯糸の配色、それらのバランスで、今後製作していく配色の基本色を作っていきたいです。

 

やりたいことは、一杯ありますので、一つずつ漏れて後戻りが無いように(これが怖い・・・。)、進めていきます〜。
また、詳細はここでご紹介できると思いますので〜。

2016年5月 4日

2016年05月04日

CandyCircus3 お太鼓の意匠図です。

 

まずは、お太鼓の見通しのついた意匠図。
銅版画作家の舟田潤子さんとのコラボレーション、『CandyCircus』、苦戦中の三柄目(この柄よりも先に四柄目が先に完成しそうです。苦笑)

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写真は意匠図の写しです。

 

紋屋さんとの打ち合わせの際に、ここに色々と書き込んで、織り上がりのイメージをお互い擦り合わせて行きます。モノづくり若手が一番失敗し易いのは、このすぐ隣に帯や意匠図の元となる図案を置かないこと。慣れてしまうと、なんとなく意匠図の写しで図案の代わりにもなりそう(実際色も近づけて出すので)ですが、それが間違いの元。

経験を積むほど、手元には必ず図案を置いて、打ち合わせ、モノづくりに挑みます。

 

そうするのは作る人によって、いろんな理由はあると思います。自分の場合は①作り慣れたやり方にしてしまわないこと=織り易いモノにしてしまうこと、②イメージが膨らみすぎて、手を加え過ぎないこと、③出来上がりの帯に、極力作家さんの空気感を纏わせること、を意識しています。

 

今回もこの3つは、もちろん同じで、図案は横に置きながら、にらめっこしています。いつもと違うのは、何倍も時間が掛かっていること(苦笑)。となみ織物では一番緻密に織れる紹巴織ですが、それでも今回に関しては相当沢山の色を一つずつ取捨選択をしています。また糸同士を混ぜて(例えば、白と黒でグレー)作る色も、作品の中から色を抜いて、紋図の中で出来上がる色が発色的に使えるか?を検討していきます。今回は結果として、実際に通す色数は増えたのに、目に見える色は減りそうな、珍しいモノづくりになっています。これからは、修正、試し織、また検討、修正を繰り返しです。

 

 

今のところ、お太鼓の意匠図段階で、お腹、その他の部分と、完成するのが怖いような楽しみなような、面白いものづくりをさせてもらっています。

 

糸を入れる配色で修正できることも多いので、意匠図を見て、休み明け配色していくのをイメージしています。大変は大変ですが、これで良い帯になって、『この帯だったら着物を着て、ワクワクして外へ出ていけそう!』そんな風に思ってもらえるように。最後の詰め頑張ります〜。

2016年5月 1日

2016年05月01日

一旦休止。

 

となみ織物は、5日までのGWに突入です。体調不良からも、やっと脱しつつ(もうちょっと早かったら良かったのですが・・・ 笑)、あります。この休みの間に、仕事的にやってしまいたいことが沢山あります。あれもこれも、例えば、もっとデータで図・図案を触れる様になるとか・・・、(毎年毎回のことながら)図案・書類・走り書きを整理する、だとか。詳細にそれらをこの日記に書いて自分にプレッシャーを与えるのも良いですが、いつも『あー休みが終わる!』と休みらしくない過ごし方になってしまいますので、今年は密かに例年と違うパターンで、コツコツとこなしていきますね。

 
それプラスして、3〜4月はモノづくり以外で、本当にバタバタとしていましたので、十分に時間が取れなかった目出し(試験織)の検討はやりたいです。そのために、ちょっと前に上がってきたモノから直近まで、写真に撮ってきました。それらを見ながら、この織物で次にどんな柄を織る?色は?それがもし上手く行ったら、その次はどういう表現ができそう?等々、ちょっと先までのことを(社内にいなくてもできますし、かえってやりやすい)想像、膨らませておいて、準備をしておきたいです。
 
そんなことで、なんやかんやとやりたいことはありますので、充実しそうなお休みになりそうです。今年は、頭で覚えておけると過信せず(苦笑)、ちゃんとメモして残しておきます。これが一番大事かもですね(笑)。
2016年4月29日

2016年04月29日

見てもらい意見を頂いています。/Obi çlutch(帯クラッチ)

『ObiClutch(帯クラッチ)』ひとつ目の形が完成しています。
現在は、皆さんに見て、触って頂いて、ご意見を頂き、または注文を頂いたりしています。

一応、クラッチバッグとしての用途を考えていたのですが、試験に使っているモノが、新しいMacBookを入れるのにピッタリ。

Obiclutch.jpg


当初の目的以外で、今は試験的に使っています(笑)。

 

こうやって、色んな所にもって行くと、中身がほしいという方もおられますが、そこは普通に手に入りますので(笑)、その話は横に置いておいて、帯クラッチに関して、こういうのが欲しいという意見を頂きました。

それは中の色。
今はベージュ地の生地を使っていますが、『そこへ『赤』系の帯地を使って欲しい。』そんな依頼でした。

 

IMG_5979.jpg
『錦地裏地』

 

それを今から形にしていくモノに、正式に採用するかはわかりませんが、仕立て上がり後の具合を見るためにも、現在は試作を製作中です。こうやって一つずつステップを上がって行きたいです。

 

また、お知らせしますね!

2016年4月27日

2016年04月27日

アリスの着姿を見て・・・。

 

先日出張先でお客さんに結んで頂いていた、アリスシリーズの3柄目。
マザーグースに出てくるハンプティダンプティの詩を毛筆で書き、図案→意匠図→製織したもの。

アリスシリーズは文字をデザインに使いたくて、何かとチャレンジ中、面白いんじゃないか?と製作した柄です。実験的な要素も色々と含んでいます。デザインが個性的過ぎて帯としてどうなんだろ?周りの目を見てもそんな感じもありました(苦笑)。特にアリス3に関しては、結ばれる際にお太鼓の中心がズレてしまうと、柄として成立しないので、結構ハードルも高い帯です。

その分、着物と合わせてお太鼓に結ぶと、(好きずきはあっても)目を惹き、本当に素敵な着姿を作ってくれます。

ちなみに、このお太鼓の丸は詩の答えを表しています。

 

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この帯を作った時のことは忘れてはいませんが、改めて、しかも着姿として見せて頂くと、過去と今のモノづくりの差に気が付きます。今は技法的に新しいことが出来るようになっても、もっともっと新しいことをしよう、そんな意志・勢いは、この帯の製作時の方がある様な気がします。反省よりも、これからのモノづくりに、もっとそういう意志が込めれる?感じられる様に、遊び心をもって、取り組もうと思います。

 

 

アリス帯2

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帯揚げも

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→https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=1459

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