となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年2月24日

2016年02月24日

一歩後退。糸糸本袋

 

少し前に紹介していた【本袋/海路】。ちょっと失敗です。

 

IMG_4915.jpg
「本袋/海路」

風合いとバランス、目出し段階では問題無いと思っていましたが、一本の帯で見ると残念ながら帯としては難しい、織物バランスで上がってきました。通常本袋の製織は表と裏を反対向けに(引っくり返った状態で)織ります。そのため、織り上がった後、検品するためには長い筒状の帯(440cm)のものを、ずーっとひっくり返す作業をしなくては、柄が見えません。検品後仕立てするためには、また反対に返して芯を付けてから、またひっくり返す。書くだけでも、手間のかかる作業を糸や箔の通った帯地を一切傷つける、痛めることなく行う。熟練の技を持った職人の工程があります。

 

今回織り上がってきた帯は、お客さんの手元に行くまでの工程に耐え切れないかもしれない、5回に3,4回は失敗しそう(帯に傷がいく)そんな様子です。原因は、紋(意匠図)づくりの工程でしたので、ここを修正すればいいだけの話ですが、風合い自体は非常にいいのに、勿体無いです。諦めきれない部分もあって、なんとかしたい部分と5本に1、2本だけしか正反が上がらない本袋。では形になりません。再度このバランスを取り直して出直したいと思います。

 

この本袋は特殊な機のため、織れる人はとなみでは1人。ですので、織りたい新柄が行列を作っていて、出番待ちをしています。経糸に違う色が掛かってしまうと、順番が飛んだり・・・。

今回の柄も、紋に修正を掛け、再度配色替えを行って、経糸の順番を待つ。いつになったら上がってくるか?分からないモノづくりです。もしそこで失敗すると、次はいつになるか分かりませんので、次回にはきっちり完成させるように、万全の準備をして臨みます。

 

この帯の雰囲気は、モダンかつ懐古的な雰囲気もあり、結ぶ人は選びそうですが、ピタッと感性が合う方には良い着姿ができそうです。何度も繰り返しますが、完成はまだまだです・・・。

2016年2月22日

2016年02月22日

大島の羽織りに御召・南蛮七宝

一昨日昨日と、博多にいました(今は京都へ移動中です)。

100周年のイベントということで、大島紬とそれに合わせた自社帯に1日中囲まれていました。産地からもお手伝いにメーカーさんも来られていましたので、着物は南蛮七宝の御召でしたが、羽織には無地の大島紬羽織(ほぼ黒の泥染)でした。

 

 

今回のイベントでは1000反の商品を展示しています。現在、大島紬の生産量は最盛期の何十分の一にまで減っていますので、おそらくこれ以上考えられない品揃えと、『えっ』となる質も併せ持ったイベントになっています。

 

100周年というキッカケが無ければ、開催は難しかったと思いますし、このタイミングでできたことが本当に良かったと思います。今回は西陣でありながら、どちらかと言えば脇役だった、となみ織物も商品をコーディネートしながら、多くのことを学ばせていただきました。

 

自分たちの作る帯が産地を超えて、一番よく見えるための着物を探す。

簡単な様で今まで出来なかったことです。この機会を大事に次のモノづくりにつなげていきたいですね。

 

次は高松に行きます。高松自体が初めてですので、ここでもなにかものづくりのヒントを頂いて来れればと思っています。その前に今日は京都で先日から始まったデザインウィークの催しが・・・。となみブースらしからぬブースにどんな反応があるのか、楽しみです。

 

もしかして、となみと気付かれないかもしれません(笑)。

 

2016年2月21日

2016年02月21日

きものsalon/2016春夏

今回の誌面掲載は1200経錦。

 

 

経糸で文様を織り成す「経錦」をとなみ独自に改良を加えた上、通常経錦では使わないジャガードを使って織る帯シリーズ『1200経錦』です。この織物、『どこがすごいのか?』を伝えるのが難しい(写真だけでは特に)ので、いつものイメージ写真中心だけではなく、今回は『1200経錦だから実現できた7つのコト』を記載しています。

私たちが自分たちの織物の良さをそのまま文章に書くと、マニアックになり過ぎますので、着物は好き、よく着る、ある程度作ることにも興味がある。そんなライターさんにインタビュー形式でやり取りながら、作って頂きました。

 

この帯のキーポイントは経糸。

三つの経糸を上下させることで、表に出るほとんどの柄を作ります。これが織れる機、職人は本当にかぎられていますので、今後も大切にしていきたいです。

 

 

 

 

 

参照『漢錦』/同じ1200経錦のシリーズ

イメージ写真だけよりも伝わる様になったと思います。

https://jp.pinterest.com/pin/34480753371645891/

 

 

http://amzn.to/1LzG90g

 

 

 

『掲載の打ち合わせ中』

http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/12/post-2294.html

 

2016年2月19日

2016年02月19日

昨日の続き。

 

スクリーンショット 2016-02-19 17.06.46.png

 

 

と昨日書いていたデザインウィークの展示準備を行いました。
西陣の企業何社か中でのブース展示となりますので、周りと似た感じにならないように、との要望も頂きました。ので、ここはやっぱり
『CandyCircus』で。今のところ帯は2柄しかありませんので、舟田さんにご協力を頂いて作品も並べさせて頂き、コラボ展示となっています。おそらく来られた方には『今の西陣織はこんなのもあるんだ。』と感じて頂けるんじゃないかな?そう思います。

 

横は2mほどのそこまで広くはありませんが、世界観が出ていて、こんな感じと写真も撮りましたが、当日のお楽しみにとして、また後日それはご紹介しますね。

 

その中で一つ、舟田さんから帯以上に絶賛頂いたのが(苦笑)、帯留め。
モレッティ、ノーススターガラスを使って、ロゴにも使われている『船』です。

L2120042.jpg

 

この帯留めの後ろには作品や帯が掛かっていて、上からはモビールと。となみらしからぬ世界が広がっています(笑)。
22〜24日まで限定展示です。

 

今後も帯や着物も作りつつ、こんな形で見て頂ける機会が作れればと思っています。

 

 

きものSalon掲載のことはブログ上で明日UP致します。
 →Facebookには今晩UP予定です。

2016年2月18日

2016年02月18日

出張用に着物をつめる。

 

今日は半日打ち合わせ、残りバタバタと進めています。
書きたいことはいっぱいありますが、まずは明後日から行く出張準備。

着物はこんな感じで持っていく予定をしています。

 

上から、襦袢、羽織、着物。

L2120028.jpg

 

今回は着物は先に送って、身一つで新幹線という出張予定ですので、荷物を詰めて・・・。
とすると、しばらくして、ここに写っていない角帯を入れるのを忘れていました。角帯だけ手持ちです(苦笑)。

 

最近は私が着ているもの、そのものか色違いで後はコーディネートは任せます。という話を頂くことが多いです。その時は「この色目の組み合わせはどういう考えで?」みたいなことを聞かれることも多いですので、今までの様にある程度、適当ではなくて、それなりに理由を考えて、コーディネートするようにしています。

 

写真の着物は麹塵染めの南蛮七宝御召。コーディネートをし易い着物の一つです。もし、色の変化が気になる(そういう方は麹塵染めを選ばれないですが・・・)方でも、御召の立涌調の柄で全体のバランス、墨色とのコーディネートでそこまで気にならなくなります。
 

自分でよくする組み合わせです。

 

折角、忘れた角帯ですので、3本くらい現地に持って行って午前午後、夜とで変えたいですね。

 

 

 

 

 

スクリーンショット 2016-02-18 17.47.37.png
http://goo.gl/WFpZ1d

 

京都では、2月21日からデザインウィークが開催されます。
となみ社内では実施致しませんが、少しのブースを頂きましたので、いつもと違うとなみ織物を展示したいと思います。

 

この準備もまだまだ。。。

2016年2月16日

2016年02月16日

大きな宿題。

今日はほぼ1日事務処理と打ち合わせで終わりました。決算も済みましたので、何から何までバタバタと1日終わりました。

 

昨日はここでも書いていた通り、一日中唐長さんの三条店にいました。普段聞けない話も聞くことができ、気付かない事にも長時間いたお陰で目が環境に馴染んだせいか、気付くことも多くありました。昨日で言えば、三条店に来られるのは初めての方ではない方も、店のスペースと全く比例しない時間滞在されていましたし、中には『泊まれる』と言っていた方も(笑)おられました。噛めば噛むほど味を感じる様に、帯作りしてる立ち位置からすると、何か今までのモノづくりに足せそうな気になってきます。

 

 

12代目の誠次さんが製作された南蛮七宝文様の作品に『いや〜、これやりたいなぁ。』と感じたモノが幾つもありました。『南蛮七宝で、まだ作るの?』と社内では言われてしまうかもしれませんが、きっとやり切れれば、まだまだ新しい表現を見つけることができそうです。

 

特に感じたモノの一つが上の作品。おそらく写真では伝わりませんので、実際に見て頂きたい、のですが吹けば、ボカシが飛んで白地の和紙だけになりそうな淡くぼかされた南蛮七宝の唐紙。

 

地に使われている雲母を織物で、表現することからして難しいです。今ある方法で行うと、べったり銀が見えてしまう。沈めるとほとんど雲母には見えなくなる。とここもバランスですが、今すぐにはこれを調整する方法は思い浮かびません。そのため、ここを表現するために、ずっと試行錯誤するよりも、この雰囲気を織りで織れることは意識せず、他のモノづくり過程で、違った角度で手法を思い付く、ちょっと運に頼った、少し遠回りなアプローチをしてみようと思います。

 

今まで、色々と唐長さんに関わるモノづくりをさせて頂いていますが、急ぐ部分と今回の様に、気長にちょっと横に置いておく部分、両面でできるモノづくり。それが出来るようになりましたので、これからのモノづくり、自分でも楽しみです。

 

 

昨日、来られた方からお礼のメールやメッセージを頂きましたが、内容は様々ながら、皆さん『必ずもう一度来ます。』という文章が入っていたのには、驚きです。何度も行ってても同じですので、とても分かります(笑)。

 

インプットが多かった分、時々この日のことはちょこちょこ出てきそうです。

 

2016年2月15日

2016年02月15日

三条店リニューアルオープン

 

今日は唐長さんの12代目・三条店リニューアルオープンのため、1日唐紙に囲まれるイイ一日を過ごしました。書きたいことは沢山ありますので、メルマガFacebook等に順序よく出して行きたいと思っています。

 

今日はひとつだけ。

この2月15日をリニューアルオープンの日に選んだ一つの理由が、この日が11代目女将(12代目のお母様)のお誕生日だったこと(ちなみに昨日は11代目のお誕生日!)です。

 

そのため、サプライズで女将好みの輪宝文様(一番上部はお太鼓になっています)で作って頂きました。そこにいたお客さんも含め、みんなでHappyBirthdayを歌い、ちょっと特別な1日になったと思います。

『来年も唐長文様のケーキ、作ってや。』そんな言葉も頂きましたので、今からアンテナを張っておきます。

 

『このケーキ、誰がカットするのか?』もちろん、譲り合いが起きていました(笑)。

 

この三条店の空間は特別ですので、随時今後も紹介させて頂きたいと思います。

 

 

2016年2月13日

2016年02月13日

準備。

唐長三条店での準備。

昨年の古川美術館/為三郎記念館『唐長の世界』でも同様、唐紙で囲まれたスペースの中に唐長文様を使った帯地や着物、小物を並べるのは、本当に楽しく、いつもの陳列・展示とは違う体験をすることができます。帯と唐紙との同柄があれば(例えば南蛮七宝帯の横に南蛮七宝のランプ)素晴らしいですし、光悦月の帯の近所に兎の柄があれば、月を見上げる兎の情景を頭の中に思い浮かべてしまいます。

 

ここ三条店も物凄く広いスペース、ではありませんが、何度も訪れたはずのに新しい発見がありますし、しばらく椅子に座って空気感を楽しめます。

南蛮七宝文様で製作したモノを中心に展示をおこなってきましたが、11代目の奥様とのコラボで製作中の輪宝文のモノも少しだけ並べています。

(右上には足ものぞいています。)

 

昨日UPした三条店のFacebookもありますし、このブログでも随時情報は皆さんにお知らせしていきますね。京都に来たときには三条店に寄りたくなる、そんなモノづくりをして、発信しています。

 

今週はずっとバタバタでしたので、明日はひさびさに充電できればいいな、と思っています。そして、月曜日はオープン日です。

 

2016年2月11日

2016年02月11日

となみも準備中。

 

少しずつ進み始めた、唐長さんとのモノづくり。 今月の15日には京都の三条両替町が『三条店』として、リニューアルされます。うちで製作するモノづくりも、見て頂ける予定になっています。いまはその準備でバタバタとしています。

 

そこにUPされているのが、南蛮七宝の版木。自分も長い間、南蛮七宝のモノづくりに関わっていましたが、それでもこの版木を見ると鳥肌が立ちます。

 

この文様に惹かれている方には堪らないと思いますので、今後この版木も見て頂ける機会があればいいな・・・と、こればかりは唐長さん次第ですね。いきなりドンと大きなことではなくて、毎月新しいアイテムも増やすことも考えていますので、ご期待下さい!

 

 

 

 

2016年2月10日

2016年02月10日

若手モノづくりⅡ

 

西陣のモノづくりに関わる人に、もし世代別モノづくり分布表の様なモノがあれば、間違いなく自分も若手層の真ん中よりも下の方に入ると思います。今回モノづくりするは、そこよりも遥かに若い、最若手と言っても良い、となみスタッフです。

いいな、と思うのは、『こんなモノが作りたい!』という気持ちが溢れているところ。(繰り返しますが)自分も少なくないはずなのに、とにかく熱いその熱意に押されてしまいます。

 

今回進めているモノづくりは、新しい試みが中心です。勢いある熱意のまま『いきなり本番いきましょうよ!』と言いかねないので(笑)、そこはこちらの意見を通してちゃんと満足が行くまで試験する。それ以外は好きに、本人のイメージ通り、モノづくりを進めれればイイ、と思っています。かえってその方が意表をつくモノができそうです。

 

というわけで、まずは帯としては使えない丸巻きを使って行う実験・試験の下準備中。

IMG_5070.jpg
(こんな感じで率先)

 

職人さんとの打ち合わせ中でも、こちらへ質問してきたことを少し返すくらいで済んでいます。本人のイメージがしっかり固まっている証拠で、とても頼もしいです。ちょっと前は上がってきたら、『どうしましょう〜?』だったんですが。

 

すぐにはできませんし、形となっても一つだけでは、メーカーと言えませんので、次の課題として、継続することを伝えていきたいです。

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