となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

2016年1月29日

2016年01月29日

極めて充実の奄美研修。

 

昨日から奄美大島にいます。初奄美のスタッフも含めて研修、一方でモノづくりの詰めも順調に進んでいます。今回のメインは大島の特徴『絣』ではなく、染め分野。そこを徹底して拘ろう、原料集めから染料作り、染めまで全て行ってきました。

反物を見る前に、京都に原材料を送ってもらうことも可能ですが、やはりモノづくりの現場はちゃんと足を運んで一度でも見ておかないと、作るのも、お客さんや社内スタッフへ説明をするのも軽くなってしまいます。だから、今回の研修は今後とても役に立ちます。

ここ奄美には十数年間、となみ織物の帯や色を見て、大島を作って下さる職人&メーカーさんがいはります。うちの社内の空気も良く知って頂いていますので、その帯に合わせる着物の色、ほとんど口を出すことはなく、意見交換だけで済みました。新しい試みも『これどうやろ?』。と幾つか提案を頂いていますので、さらに意見を交わしつつ、ブラッシュアップしたモノづくりができそうです。今年中盤以降、上がりを楽しみにしていて下さい。

熟練の職人技を見つつ、自分たちもやってみる。どれだけ大変か骨身に沁みてきたので、うちは帯屋ということを忘れないように(苦笑)、今後の帯作りにも活かしていけると思います。

 

ほんのちょっと、何気ない流れで行う作業ですら、自分でやると苦労します。産地独自の技術やこだわり、工程がありますが、無くすわけには行かないモノです。

 

2016年1月27日

2016年01月27日

京都では今期終了です。

 

明日からは奄美大島への出張です(〜30日)。となみ織物はこの1月で決算となりますので、今期社内でモノづくりできるのは、今日で最後です。

年末にまた来年と言って、今月もここが区切り。毎年のこと、日にち的には区切りはありませんが、年末よりも区切り感は強いです。また、新しいモノづくり、企画、展開、新しい期から、コツコツとモノづくり、積み上げていきたいと思います。

 

明日からの奄美は、初奄美のスタッフが数多いので、研修も含みつつ、モノづくりを進めていきたいと思います。

おそらく、明日は奄美から何かしら報告ができると思います〜。

 

 

よくお客さんから聞かれるのが『なぜ西陣の帯メーカーが大島紬?』。
それに関して、その都度にお応えしていますが、今回はモノづくりを交えて、その返答ができればいいな、と思っています。偉そうなことを言っていて、大丈夫かな?と思いますが、明日から行ってきます〜!

2016年1月26日

2016年01月26日

輪宝文続く。

 

昨日の輪宝文に続いて・・・

 

DSC09106.jpg
【輪宝文/宿題の続き】

 

唐長11代目夫妻より宿題を頂いている輪宝文の試験織。すでに何度か試験を取っていて、前回書いていたシーソーの様に揺れながら、なんとかバランスを取って、できた配色です。一色しかうまく行かなかった時は、今日出すのを止めておこうと思っていましたが、(なんと)3つともバチっと決まってくれました。一色で大変だということもあれば、こうやって一つの生地上で三色とも上手く行くことも・・・。この辺りがモノづくりの面白いところですね。

 

この時に糸を出した紬を通したモノも上がってきていますので、多少修正を掛けながら最終段階へ持って行きたいです。
『全然、進まんなぁ・・・。』と最近は手詰まり感も感じていましたが、なんとか錆びた歯車が回るようではありますが、いい方向へ進みだしています。

 

 

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2016年1月25日

2016年01月25日

麹塵染めも面白いかも・・・。今思いました。

 

ベースがしっかりとしているモノ(今日は図案です)は、完成度が高いのでイジりにくいのはあっても、一度突破口を見つけると、多くのモノづくりの土台となってくれます。今日あがってきた試験織(一本目)を見てそういう気持ちを強くしました。

 

あがってきたモノは、過去の紋(デザイン)を修正&リメイクしたものです。

IMG_1948.JPG

 

元の図案から製作した一つ目の帯を含めて、4つほどの種類を見た記憶があります(実際の製作はもっと多いかもしれない)。ものすごく人気のあったモノが時代の流れや好みに合わせて、色や柄のサイズ、織物を修正して作りなおすのであれば、分からなくないですが、この柄は、そこまでの人気があったわけではありません。それなのにリメイクをする、何かが隠れていそうな柄です。おそらく今後も5,10年単位で大ヒットになるまでリメイクを繰り返しそうです(当たれば、かえって止めてしまうかもしれませんね?)。言い換えれば、図案にあった帯がもっとできるはずと、さらなる可能性を図案から感じているのかもです。

 

社内にはこんな図案、過去に作った帯があります。一度でも帯になったものは、壁として残っていますので、ここを乗り越えるモノづくりも今年は力を入れていきたいです。頑張ります〜。

 

 

今日の朝。全国的に話題になっているので触れておかないと・・・。
会社のある寺之内通まで南北に通る堀川通もしくは烏丸通を北上していくと、数キロ走るだけで、気温がドンドン下がっていきます。(会社よりも北に行くと、北大路通り1度、北山1度、御薗橋1度、下がる感じです。)そんなこともあって、職人さんとの会話の出だしは(同じ地域だと思われる様な狭いエリアでも)、『雪ありました?』です。

 

今日は、珍しくマイナス気温でしたが、まだ業界的には若い僕らよりも、60後半〜70代の職人さんのほうが遥かに元気よく、全く普段と変わらないペースでした。織り上がりの商品を持って/糸を取りに、来られる等々。今日は本当に寒かったです。。。見習わないとダメですね・・・。

 

IMG_1949.JPG

2016年1月22日

2016年01月22日

順番待ちの織物。

 

業界一般的に見て、帯を織れる職人さんがずっと減り続けています。
それにつれて、生産数自体が減り、織れない織物が出てきたりもしていますので、以前と同じことをするのが簡単ではありません。となみでも、織り手が少なく直ぐには織れない場合、技術的にその方しか織れない様な織組織、素材の問題等々、モノづくりの環境は良いとは言えません。それでも周りを見ると、相当良い方ではあります。

『(図案、意匠図が出来たものを)直ぐに織りたい。』おそらく誰がメーカーをやっても、その気持は間違いなく強く出ると思いますが、今は織組織によっては、機の空くのを待つ、そんな時間も必要になってきました。

 

その待ちが長い織物。社内には幾つかあり、時期によっても変わりますが、一年を通してそれが必要なのは、この本袋。
先日、唐長11代目の奥様に登場して頂いて、撮影を行った帯シリーズです。

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 Pin⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/本袋/

 

神坂雪佳の世界/海路】シリーズ/本袋
図案・意匠図を作り、目出しを織った段階で止まっていたモノ。となみ織物の中では一風変わった雰囲気です(目出し見ると特に)ので、早いこと帯一本で見たい。そう思っていた帯です。

L2050048.jpg(表)

IMG_4723.jpg(裏)

その順番が回ってきました。

 

写真の段階から配色を修正、その糸を準備して、本番を織るのを待ちわびていました。織る段になり改めて、その糸を見ると、やっぱりこっちの方が良いかな・・・とか、糸の太さはもう少し細くするか?、そんな迷いが出てくるのが目に見えています(今まで何度もありましたし・・・。)。その対処方法として、ここだけは拘らず、以前行った配色を信じて、そのまま行くことする。自分の多くないルールの中の一つを適用することにしています。

 

そうは言っても、仕上がりどうなるでしょう?
 

2016年1月21日

2016年01月21日

しぼ織。2016年最初の柄スタート。

 

ひっぱり出してきた、しぼ織りの目出し。

 

IMG_4699.jpg
『しぼ織/目出し』⇒Pintrest『しぼ織り』

一番手前にある鳳凰の目出しは、この横段具合がお気に入りです。
PinterestにもUPしていたりします。

 

一つの柄を完成させるためには試験として、柄(お太鼓)全体を織ることもあれば、一つの柄を寸断する様に多くの配色を試しに織ることもあります。この試しに織る生地のことは、いろいろな呼び方がされていて、一応となみ社内では『めだし』と呼んでいます。何回も何回もこの目出しを取り、図案や自分の中にあるイメージに近づける仕事を京都にいる間は、日々行う。それが帯地メーカーとしての大事な仕事です。

 

帯作りの大きな工程の中では、①図案後の②意匠図作成、その後の段階でする仕事。この目出しを引っ張り出してきて、今はしぼ織りとしては画期的なモノづくり(になるはず・・・)をしようとしています。そのイメージ作りのため、写真の様に並べて、しぼの具合や緯糸と経糸の関係。どこまで緯糸で発色できるか?この織物を作った時に、繰り返し行ったことの再確認をしています。

 

やっているうちは、そうでもありませんが、日々様々な試行錯誤を行って、こういう目出しを作っています。一日2,3枚だとしても、何十年と積み上げるので、時々振り返って見るとスゴイことになっています。掘り起こせば、なにか見つかる、宝の山と言っても良いかもしれませんね。

 

(自分で言っておいてなんですが)画期的な新しいモノづくりをしようとするのも大事ですが、目出しを掘り返しながら、寸断された色の再確認。これは今ならできるモノづくり。この時は先走り過ぎたモノづくり。等々、呟きながら、目出しの山と向き合うことも、モノづくりの一つです。

やることはまだまだありそうです。

 

この写真をベースに作る帯、おそらく皆さんが予測できない所に入り込む帯になるとおもいます。お楽しみに(笑)。

 

 

 

 

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2016年1月20日

2016年01月20日

京都の雪はこれでも大変。

 

朝は雪も凄いし(京都にしては、です。)今日は来客はなくて、資料集めと整理。目出し(試験織)を見ながら配色チェックをかためてできる日、と出社途中、雪を見ながら心に決めて行ったら、終わって振り返ると・・・。結果なんやかんやとバタバタの日になりました。

 

防寒草履が冬には欠かせない地域の方々からすると、『これくらいは雪じゃない。』と言われると思いますが、一応こんな感じです。

IMG_4680.jpg
(京都で言う、よく降った雪です。)

車はノロノロ、道でコケる方、頑張って頑張って作ったと思われる、小さな雪だるま。

 

 

来週は奄美へ(もちろん仕事です。。。)行きますので、今のうちにと進めている幾つかのモノづくり。その一つが、初登場の唐長文様『角花文様』。12代目から頂いた宿題として、今意匠図を製作しています。

 

DSC09103.jpg

 

文様を作る2色が表情に繊細な色なので、上手く撮れたとしても雰囲気が異なり・・・。さらにモニターでの色表現は難しい(ですので、白黒でとも思いましたが、せめて色の持つ雰囲気だけでも。届くかな?)。

この意匠、今のところまだ帯にするとは決めていません。ただ、地に入った雲母(きら)を織物でどこまで表現できるか?それの実験をしようと意匠図を製作中です。先日、紹介した南蛮七宝文様で使った技術を改良して使いながら、とイメージして職人と打ち合わせを繰り返しています。

 

来週の今頃までには、これで紋を掘って下さい。そう言えるように頑張ります〜。

 

 

他にも久々に作楽の新柄。ケルティックも図案を作ったり、ここでのUPは最近偏りがありますが、順調にモノづくり、進んでいます!
 

 

2016年1月19日

2016年01月19日

最後のコート地。ビロード。

とうとう仕立て上がってきました。
ビロード
 ⇒
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/12/post-2297.html

嬉しくてスーツの上から羽織ってもらって、撮影。
写真で見た時に、着物らしさが少しでも出るように・・・。としていましたが、それは次回で。

今回は、大体の雰囲気を見てもらいたいです。

DSC09119 (1).jpg

 

使用した反物は、織り上がり一本目の染め上り初反。当然、仕立ても初めてです。
今回は特別バージョンで、裏にも坪金の襦袢(共柄として)南蛮七宝文様を使っています。

 

DSC09125.jpg

 

この羽織っているモノの形は少し特殊な形をしていますので、和の仕立て知識だけではできず、洋の縫製技術も持った、稀有な仕立て職人さんに仕立てを依頼して実現したものです。
 

自分で着て誰かに撮影してもらうのか?着物を着た誰かに羽織ってもらって、撮影するのか(商品からしたらどちらでも構わないですね。。。)?ただ、いずれにしても、この雰囲気を伝えることの出来る写真が、まだ出来ていませんので、全貌の写真は近々に。

2016年1月18日

2016年01月18日

雪が降ると防寒草履に注目が・・・。

 

京都も今夜から雪という話が・・・。
今、出張へ出ているスタッフは関東地方が多いので、覚悟をして出る北海道や新潟と違って『ほんまに大変です。』。そんな報告が来たりもしています。気をつけてくださいm(_ _)m。

 

普段、雪が降らない地方に降ると、人気がでるのが防寒草履。何十センチと降ってしまうと、全く役に立ちませんが、それでも雪の溶けた道路を歩く場合や少々の雪であれば、必需品です。帯メーカーとしては『雪が降ったので(雨が降ったので)履くものが無くて、洋服にしました。着たかったのに・・・。』と言われるのは辛いですから、作り続けています。

 

仙福屋ブランドの防寒草履、冬になるとFacebookでも時々UPしていて、この前上げたアヴェマリア楽譜の防寒草履。

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Facebook
/楽譜/防寒草履リンク

 

とてもいい評判を数多く頂いています。他にも少しカラフルなものとか、作る/作ったときにはちょっとやり過ぎたかもしれない・・・。というようなモノから出て行っている様な気がします。やはり雪でも、外に出て見せたい!と強く思うものの方が良いのかもしれませんね。

 

当初、この防寒草履も、全く無地のカバー、花緒も同じ。そういうものを仕入れていましたが、実用面では問題なくても、やっていて全然面白く無い。そんなこともあり、となみ社内では当たり前のようになってしまった(苦笑)、帯地にコーティングをして製作をしています。周りを見ても、(数年経っても)実用化されているところは殆ど見ませんし、やっぱり難しいんだと職人さんと自画自賛をたまにしています(笑)。

当初は、織組織に応じて、また発色ができる限り維持できもの、さらに持った際の厚み。裁断、縫製等の加工が困難にならないもの。
ということで、試行錯誤して出来たものです。今でも織組織には制限があって、できないモノも中にはありますが、完成度はとても高いです。←とういうことを社内にはほとんど伝えていませんので、『①冬が来て、②雪が降り、③この防寒草履が人気になって、④いつ上がってきますか?』と言われる度に、言おうかな、と思います(笑)。

 

モノづくりはできる限り苦労話ではなくて、前向きに。こういうことが出来るようになったから、どんなもの作る?そういう風にしたいと思っています。

 

 

2016年1月16日

2016年01月16日

南蛮七宝+信夫帯を改めて紹介。

一本目から、随分経ちましたが二本目が上がってきました。

古川美術館で初登場だった『南蛮七宝×信夫×光悦月』袋帯。この帯が一本目。完成したのは、古川美術館/爲三郎記念館で行われた『唐長の世界』前日(検品が終わったのは当日でした。。。)。

 

モノづくりを始めた時から既にギリギリ。逆算してのモノづくりは、多少余裕をもたせましたが、失敗してしまうと、会期初日には間に合わない。そんな日程でした。この日までに図案を、ここまでに紋を、そして試し織、配色。帯が丸巻きとして上がってきてからは、すぐに検品、問題なければその日の早いうちに刺繍の職人さんの元へ。その間に裏地を織って、最終仮仕立て(職人の手は空けていてもらう)。とギリギリでした。

この時ばかりは、ほぼこの帯のモノづくりを頭に詰めに詰めて進めましたし、ユックリと織り上がって来た帯を見た記憶もそうそうなかったです。色は間違っていないか?柄のちゃんと織り上がっているか?その部分を中心に見ただけです。そして、刺繍も終わって、気が付いたら、美術館に陳列と。

こんな感じで。

そのため、帯を手に取って、じっくり見る。ということは初めてでした。

 

 

そうやって作った帯の二本目。美術館に並べていたものは、『光悦蝶』が飛んでいますので、刺繍無しとしては、一本目の帯となります。織物的には、南蛮七宝文様には三色の糸使い、信夫は 金銀一色ずつ。製作している時は無心だったので(ハッキリと覚えていませんが)偶然なのか、計算したのか判りませんが、金銀の重なり具合、地の南蛮七宝に使う糸が金銀糸に乗っかる部分などは綺麗に整理されていて、落ち着いた『今』見ても、とても良い出来だと思います。自画自賛になってしまいますが(笑)。


 

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