となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「ペイズリー」と一致するもの

2015年02月12日

裏で織る表の組織

 

タイトルが物々しくなっていますが、帯の話です。
今日は総紗縫好きの方向きのマニアックな内容になってしまいました。

 

このタイトルの帯は、元々の織りは、相当の割合で認知してもらっている『総紗縫』です。
それをベースにこちょこちょしながら、紬糸を通し織ったモノです。

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『燦々/ペイズリー』

 

この帯と似たモノとして、『紗楽』があります。
 →紗楽Pinterestへ

 

実は異なる織物ですが、『紗楽』の方が所帯も大きいので、
いつの間にか紗楽に吸収されようとしています。

まだ今のところ、大丈夫ですが、混ざってしまうと完全に同じにされそうなので、
少し説明をします(とくに新人に向けても)。

 

まず、この燦々は、タイトルの様に『裏で織る表の織物。』
製法と透け感が大きく違います。

 

とにかく、紋意匠の作りがヤヤコシイ。→それを元とする製織にも影響があり、
通常織物は裏を見ながら職人が織っていくのに、この帯はその反対です。

表を見ながら織ります(今回のタイトル)。

 

裏を見ながら織るのは、キズや糸が切れた際(下の写真の様に)、対応がし易い、
そんな理由があります。何よりも、今までずっと裏向けで織ってきたから、それ以外は
変だ。そんな風に言われていたこともありました。

 

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(これは本袋の織り上がりです。参考までに。)

 

そして燦々の場合、裏ではなく、表柄を見ながら織るので、織りなれたベテランさんは、
下のように言われていました。
『もぞもぞ居心地が悪うなる、何か悪いことしてるんじゃないか?』(笑)と。

 

色んな苦労を掛けた後、上がってきた織物は、まず透け感が変わります。
総紗縫の透け感は、『透けそうやけど・・・』と、そんな絶妙の所を狙ったものですが、
こちら燦々は、角度によって、柄や色全体が陰影の中に消える、。

紫は消えて、白くなったり、柄も一緒に飛んでしまう。
それも計算できない、不思議で面白い織物です。

 

今のところ数量自体、レアといえる程しか織っていませんので、まず自分の目標として、
『あっ燦々。』と展示会中、一人の方に気づいてもらえるように、宣伝です。

 

たまに、このブログやFacebookにも出てくると思いますので、ご声援よろしくお願いします!

その割に、今回一番目立たない色の帯を出してしまいましたが、この色写真映えしませんが、
すばらしく味のある帯ですので、もし、一度見かけてたら、お顔に合わせて頂けると嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

2015年02月10日

裏無地について。作楽袋帯

 

あれこれ悩みましたが、この帯の裏地が決まりそうです。

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『作楽』

 

表の帯がインパクト抜群ですので、裏はそれ以上にと思い、
三日月をペイズリーに見立てた、裏地の紋を付けようと思います。

 

この裏地ですが、となみ織物にはウリが幾つかあります。
社内では当たり前に行っていますので、お客さんと話す時に意識されず、カットされるおそれのある話です。

現在、西陣では表は自社で織っても、裏無地は裏無地屋で買って、それを付けるところが多いです。

理由としては、主にコストダウンですが、その場合、糸種も織組織も織り手も違うので、
袋帯の場合、2枚の生地は馴染みが良いとは言えません。

 

となみ織物では、紹巴織の場合、基本的に表と裏地を交互に織ります。
そのため、当然ですが、同じ機、同じ職人、もちろん素材も同じ、織ります。

表を織った直後に裏、と交互に織ることで、気象条件もかなり近いので、さらに似通った条件に
なりますし、さらに表と裏はとても良い関係になります。

こうしておくとことで、結んだ時の結び心地が違いますし、長い目で考えると、保管をしていても、
同じ条件で織られたものですので、生地の伸縮率も酷似するため、余計なシワ等は少なくて済みます。

 

的なことがうちの織物の特長です。

 

そういうこともあって、表が上がってきた時には、裏地の紋や配色を決めておかなくてはいけません。

 

これ以外に考えられない、そんな帯の場合は全く問題ありませんが、表で様々なことをして(実験等)、
上がってきた場合は、ぎりぎりまで裏地の配色に迷う、場合によっては柄を変えることもありますので、
この帯の場合、非常に切羽詰まってました。締め切りに追われる感じは、こんな事なのかな?と一瞬冷静
になりながらも、最後柄、配色が決まって、ほっとしています。

 

まだ、裏無地は試験織りですので、これから一本帯を織って、最終チェックが入ります。

 

皆さんからの評判が良かった帯地ですので、裏地が付いて一本の帯になるのがとても楽しみです。

 

2013年09月08日

透けすぎない紗。

 

 

涼しいところに出張へ出てきていますが、

総紗縫に紬を足した『紗楽』。とても人気です。

 

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『紗楽+東郷大島』

 

昔からあった織物は織物なんですが、総紗縫くらいの紗目と紬が合わさると、
透けているのか、透けていないのか、良くわかないくらいの透け感が、イイです。

色目も織る前の段階の糸のままで見ると、『えっ』という程の色なのですが、
透け感で全て丸く収めてくれます。

 

以前、紗楽の前に、総紗縫+紬をさらに組織を変えた『燦々』というシリーズを
作っていましたので、再度復活させても面白いかな?と思います。

 

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『燦々/ペイズリー』

 

この時は、少し緯使いを変え、長さも長く織って名古屋帯にしていましたし、
今度は袋帯で。。。

 

まだ、紗楽自体も始まったばかりなので、ゆっくり考えながら進めていきたいと思います。

 

 

2013年03月11日

同柄を再構成。

 

先日のペイズリー柄をしぼ織に、というモノづくり。

 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2013/02/post-1832.html

 

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①『ペイズリー/作楽』

 

 

コツコツと進めて行き、まずは最初の見本裂まで。

 

 

同じ柄を組織を変えて再度作り直すといのは、この日記でも登場しましたが、

なかなか大変なモノづくりの一つです。

 

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②『ペイズリーしぼ織』

 

前の柄が頭にあるし(自分も周りも)、思いっ切り失敗した柄ならましも、

そうではなくて、そこそこ上手く行った柄以上のものを再度構成するので、

色々な所に引きずられず、作ることが最低限必要です。

 

上の事も含めて色々加味すると、新しい柄を作ったほうが、間違いなく、

楽です。。

 

ただ、モノづくりしている上で、自分が関わったことのない柄であれば、

『もっと上手く作れるのに』とか。

自分の作った柄であれば、

『こうしといても良かったかな?』

 

ですので、新しくはじめる柄よりも強い思いを持って、作れることが多いので、

お客さんには良い物を見て頂ける可能性が高いです(失敗ももちろんあります)。

 

そんなこともあって、同柄というのは、チャレンジ甲斐あります。

 

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上と下は同じ柄ですが、色を入れたものを比較しても、別の柄に見えます(①と②比較)。

 

ですので、②の柄のモノづくりは成功だ!というのでは、

全く面白くありません。

 

色を落とすと・・・。

 

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②と③は、やはり似てきますし、明らかに同柄です。

 

この辺りが同柄を扱う、難しさですが、配色を個性的にしてみたり、

組織で遊んでみたり、することによって、新しく作った柄の居場所を

作ってあげる気持ちで作ると、上手くいく事が多いです。

 

まだ、スタートして4合目くらいですので、もう少し時間を掛けながら、

形にして行きたいと思います。

 

また、報告しますね〜。

 

 

 

 

2013年02月12日

ミルクティ色

 

しぼ織りのペイズリー柄を製作中ですが、

その前に少し寄り道して、この『象帯』を・・・。

 

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『象のしぼしぼ帯』

 

配色替えしています。

 

個人的にとても上手く行ったと思っている配色をイジるのは、

このイメージがこびり付いているので、非常に難しいのと、

まだ上の帯はほとんど発表していませんので、その前に作るのも・・・。

 

と色々と悩むところはありますが、

それでも好きな帯に関しては、色を変えたのも欲しくなってしまいます。

 

思いっきり失敗もしましたが、一応見れる段階の目出しがこれ。

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上・中・下と三段に配色を分けています。

(区切りのような横段も三色なので、合計6つの見本)

 

一番上は、まだ入りたての新人さんに勉強してもらうための配色。

(組み合わせ的には、とても面白かったのです。次は上手くいくかもですね。)

 

ベースとして考えたのは、真ん中の地色がベージュっぽいものです。

ちょっと思っていたよりも、細かい所がキツイ色になったので、修正。

 

そして、微修正後はこれ。

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『しぼしぼ象帯/作楽』

 

しぼ織りの場合、御召緯を使っているので、この後お湯に通して、

シボを付けます。

 

その際、多少地色がわずか変わる恐れがあるので、『完成』とは言いませんが、

だいたいのイメージ通りになった配色です。

 

その色は、ちょっと前に私用で作った大島のミルクティ色。

実物と比べると、だいぶん変わるかもしれませんが、頭のなかでは、

こんな感じになっていますので、これで良いと思います。

 

完成まで後、ちょっとです。。。

 

 

 

 

もう一つ面白いものがありますが、

風邪が残っているのか、体調不良気味なので、

明日楽しみにしていてください〜。

 

年のせいか、治りにくい!

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2013年02月06日

しぼ織、続編。

 

しぼ織りの様々な問題(縮める工程での失敗の多さ)が

ある程度解決してきましたので、続編を考えています。

 

一つが個人的にとても気に入っているシンプル唐草の帯。

 

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御召緯と箔とで織って物凄いシンプルな帯ですが、

紋を作る際は、何度か再考して上げ方に気を使っています。

 

箔と糸との表に出る割合を変えて、地と箔を混ぜた色に見えるように、

しています。ヤヤコシイので、写真で見るとこんな感じです。

 

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通常帯では、全く普通に使う糸の上げ方で珍しくもなんとも無いのですが、

この帯は、お湯に通して萎ませるので、その辺りも計算して糸を通します。

 

と前置きが長くなりましたが、今考えているのは、このペイズリー柄。

 

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作楽/ペリズリー』

 

このままは、紋口も違うので、そのままは無理ですから、

新しい紋を作りますが、こんな流れの帯を作りたいと思います。

 

折角なので、シンプルはそのまま、何かプラス1で、

作れればと思っています。

 

最近、風邪引いてか、身体中痛いような気がしますので、

その間にぼ〜、っと頭の中で図案と織物をこねくり回してみます。

 

 

 

 

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2013年01月09日

長らく悩んでいた帯。

 

 

今日の帯は随分と紋づくりに悩んだ小袋帯です。

 

となみ織物の小袋は、広巾で織ってから、それを半分にして半巾よりも幅が広く、

丈も長い織物で京小袋と呼んでいます。

 

織物的には本袋と似たような感じで、一つの杼が裏と表を同時に織り上げていきます。

 

そのため、表と裏を別々に織っていく袋帯とは違った、

気にしなくて良い悩み事が多く生じてきます。

 

完成したもの

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『京小袋/若冲』

 

 

たとえば地色の場合でも、どちらかに黒を入れてしまうと、

通常その糸が全部に通りますので、色目は隣にも影響して、

色目を薄く織ろうとした、黒に影響され色目がくすんでしまいます。

 

この帯も、その部分が製作する際に、最も悩んだ部分です。

 

当初、いつものように織ったものでは、右に黒に近い色を入れると、

予想通り、左が濁ってしまいました。

 

そのため、極力一つの色目が片方では活きるように、

もう片方では全くの脇役になってもらうようにと、

 

地を通り糸の組み合わせを試験し、さらに地紋も最適なものを作りました。

 

右は左への影響を考え極力薄いグレーを黒に見えるような努力をする。

左は、薄いグレーをさらに薄く見せて、気にならないように地紋で封じ込め、

をしました。

 

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写真を見てもらうと、右と左の地紋が異なっています。

(右は細かな横段、左は細かく叩いたような地紋)

 

 

しばらく、以前紹介したペイズリーも含めて、小袋はイヤだなぁ〜。

というくらい悩みましたので、こういう帯は仕立て上がりが、

とても楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年12月22日

久々の京小袋。

 

半巾製作を少し止めて、進めているのが、京小袋です。

 

この帯のコンセプトとしては

袋帯よりも気楽に、半巾よりも幅広く、というものです。

 

幅も長さも半巾よりもありますので、様々な着姿にも結んでもらえますし、

TPO的には、柄にもよりますが、付下げくらいまでカバーしてしまおう、

です。

 

 

そんな京小袋ですが、柄数自体もある程度揃っていますので、

今、製作に取り掛かっているのは、もうちょっと個性的なものです。

 

今は三柄ほど図案作成も終わり、そのうち二柄に関しては、

紋作りも終わっています。

 

そして、今日、最初に上がってきたものは、試験織りですが

この『ペイズリー』(まだ配色途中)。

 

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『京小袋/作楽『ペイズリー』』

 

今までの京小袋とは少し趣向を変えて、表も裏も

ある程度関連したもので両面にしています。

 

ちなみに、この小袋。

製作的に一番難関は写真のように裏も表も同時に織っていくことにあります。

 

この帯は、

一つの杼が表裏地部分を通るので、同じ色が異なる柄を織ることになります。

この辺り意匠図を製作する際には、相当頭を使わないと、

配色が無茶苦茶な帯になってしまいます。

 

この帯でいうと、

判り易いのは、左側の大きなペイズリーのグリーン。

 

普通に両面とも使うと、似た雰囲気の帯になってしまいますし、

使わないのも面白くない。ということで、左は面、右には際として、

利き色で使っています(他の配色も同じことが言えます)。

 

他にも、柄の丈(紋丈)なども制限を受けたり、と普段の帯とは違った

関門が沢山ありますが、その分出来上がりは楽しみな帯です。

 

手間から考えると、コスト的に合わない帯かもしれませんが、

作る工程としては、とても楽しい帯です(秘錦も同じ考え方)。

 

今回の配色は上下で2色ですが、おそらくどちらか採用して、

一本の帯として、織り上げたいと思っています。

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2012年10月15日

膨らます。

 

少し前に製作したペイズリー柄。

今日は、落ち着いた色の着物とのコーディネートを見せて頂きました。



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ここからは、作る方からの話になりますが、この帯の地の部分には、

表に主張しない程度の地紋を織り込んでいて、ペイズリーを支えています。

 

現在、この『地』部分に少し手を加えて新たに製作しています。

 

まだ写真で見せれるほど上手く行っていませんが、

写真のお太鼓端部分(柄がボカしてフェードアウト)

その辺りの雰囲気を増幅した感じになります。

 

上手く行けば、変わった柄をお太鼓柄で乗せて、

名古屋かシンプル袋帯にする予定です。。。

 

 

 

2012年02月12日

ペイズリーのコーディネート。

 

作楽ペイズリーを結んでもらいました。

 

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やっぱり

帯は結ぶもんですね

 

2012年02月04日

本仕立をみています。

 

土曜日の西陣はとても静かです(特に2月は)。

車や人の流れも落ち着いて、職人さんの出入りも少ないので、

この日にしかできないことは沢山あります。

 

たとえば、時間を取って、打合せ。

今後の大きなモノづくりの話や具体的な柄、組織の草案など

です。

 

ほかには、製作したあとの帯をゆっくり見る、ということです。

たとえば、今日は以前製作したペイズリーの本仕立帯が上がって来ました。

 

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作楽ペイズリー

 

帯の本仕立をする際は、ほとんどの場合、中に帯芯を入れます。

そうすると僅かですが、帯がほわっと持ち上がり、

ワインが花開くような感じで、足りなかったモノが足されて、

結ばれる準備が整います。

 

仕立て前の帯と後の帯の印象は、柄も色も変わりませんが、

帯芯を入れるだけで、印象が変わります。

 

普段は、ゆっくりとは、そういう帯を見ることはできませんが、

こういう日には、見て、次のモノづくりに活かせる時間が取れるのが、

とても有り難いですね。

 

 

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『作楽/ペイズリー(裏地)』

2011年11月24日

ライトな感じで。

 

色々な色を組み合わせながら、製作したペイズリー帯です。

 

今では、全く使われていない様な色目を染めに出したり、

色見本は、和のものから少し離れた所のモノを使ってみたり。

 

以前(といってもつい最近)は、こんな色。

 

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『作楽:ペイズリー

 

落ち着いた色目がペイズリーの動きを消さないように、

茶系の色目で試行錯誤して製作した配色の帯です。

 

少し以前に見たのは、柄に大胆な大島紬に合わせた姿を

見せてもらいました。負けてなかったです。

 

2つ目の色目は、元気なペイズリーを元気なまま出してみました。

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二つを並べると、茶の方が迫力があって、今回のものは圧倒されそうですが、

意外に二つ仲良く並んでいました。

 

二つは、着られる方の背格好、着物の種類で、好みはわかれると思いますので、

後はコーディネートされる方にお任せします。。

 

 

 

 

2011年11月01日

『作楽;ペイズリー(大)』

 

明日から、出張へ行きますのでその前にと、

タイミング良く上がってきた裏地。

 

先日、配色していたものです。

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作楽:ペイズリー(大)』

 

二つを合わせてみると、色数でどちらが表かは判りますが、裏の七宝も

シンプルながらパンチ力があって、負けていません。

競い合っているような。。

 

袋帯ですので、両面を合わせて出来上がりが楽しみです。

どちらを裏にしても、『表に出たい!』と言い出しそうな・・・。

 

 

ペイズリー

 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2011/10/post-1516.html

 

ペイズリー裏地

 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2011/10/post-1519.html

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2011年10月24日

跳ね返りペイズリー。

先日の続き・・・。

 

地紋が上手く行くかは、短い裂(目出しといいます)で見ても、

まず流れがわからないので(後の大部分は想像になるので)、

まずは一本の長さで職人さんに織ってもらいました。

 

通常、ここから軽い気持ちで進めてしまうと、大体が紋グセといって、

字の通り紋のクセ(経にキズっぽいモノが見えたりします。)問題が出てきて

『あぁ〜』という自体になることも多いです。

 

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作楽:ペイズリー(大)』

 

ただ、この帯はどうしても早く、イメージが新鮮なうちに見たかったので、

じつは、『地紋』で紹介した時には、見切り発車で織ってもらっていました。

そのため、週明け早々の今日、早速見ることができました。

(ほんとうに無理を言ってすみません〜。)

 

結果は、◎。

予想以上にきれいな陰影も出て、地に大小の表情も付いて、

満足できる『地紋』の出来だと思います。

 

後はこれが正真正銘の一本目なので、端から端まで、細部からと、遠くから見て、

紋の修正や色(というよりイメージ)を近づけていきます。

 

 

とその前に、もっと大きな所の確認で。。

 

じつは(今日2回目)、お太鼓の位置はイメージのみで進めてしまったので、

一本織り上がった、今、チェック中です。

あまり見切り発車しないので、周りはちょっとドキドキだと思います。

 

写真は、判りにくいですが良く見てもらうと、お太鼓の形を2つ作って

(下は特に見づらいですね)、着姿を想像して、どちらにするか検討している所です。

 

これまた結果は◎

 

 

さらに、これまたちょっとしたコトなのですが、

帯端のキワ部分を一本すーっと柄を抜いています。

 

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(地紋すら入らない真無地にしています。)

 

これは、動きのあるペイズリーの居場所をさらに狭くして、

もっと元気よくさせてみよう、という試みです。

 

以前は、静かな柄でやってみて、さらに凛とした空気が出せましたが、

今回の場合はそれとは真逆です。

 

端を抜いたバランス上、ペイズリー本体柄の上げ方をボカシを入れたり、

消したり、大きさ、スペースも動かしましたので、ペイズリー自体の

居場所は狭くならず、活動スペースのみが狭くできた、と思っています。

 

そのお陰か、ペイズリーが元気よく端から端、

縦に行っては返って跳ね返って、動きと流れのある帯になった。

と自分では思っていますので、後は着物と合わせて、小物も入れて、

見るのが、とても楽しみな帯です。

 

なので、◎。

 

後は裏地の配色をしていますが、こちらは反対に止まった柄。

を予定していて、両面で表は、活動的、裏は静止。

 

早く上がってこないかな?

 

 

 

 

 

2011年10月21日

新しい地紋。

 

『新しい地紋』と書くと、新しく見えます(当たり前ですね)が

実はあまり目立たないモノづくりの一つです。

 

簡単に言うと、字のごとく『地』の『紋』なので、

帯の柄の中で一番広い部分(底)の『紋』=『柄』の柄作りです。

 

問題は、目立たないが帯全体に影響するということです。

たとえば、『この柄なんでもないけど、良い感じ』という場合、

この地紋が影響していることも多いです。

 

地紋を新しく作ると、織組織や素材によっても、風合いが変わったり、

織っている糸の発色が変わったりと、目立たない割に、

なかなかのクセモノです。

 

しかも、帯全体に占める割合は普通、一番広い。

そんな『地紋』ですが、モノづくりする上での心構えは、無地を作る。

そういう気持ちです。

 

無地なので、これも矛盾のような表現ですが、実際の織物は経糸と横糸、

なので、それの組み合わせによって、いかようにもなっていきます。

 

今日はその地紋作りで製作していたものが、一つ完成しました。

 

通常、地紋は無地だけで織って、『これ良い』とか『いまいち』とかする、

のではなくて、柄の中で判断します。

 

今日上がってきたのは、こういう新柄。

配色はまだもう少し詰めますが、ほぼ決まりのが、中に入っています。

 

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『作楽:ペイズリー(大)』

 

地の部分が織る地色や横糸によって、浮き沈みが見えると思います。

この辺りを操作していくのが、紋づくりで自分たちが考えるところです。

 

この柄の場合、ある柄を一度紋で作っておいて、上から横糸でつぶして、

柔らかさを出しています。


目指しているのは、織でも染でもない、『織り?染め?』。

と言われるくらい、どっちつかずなところです。

できれば、『織っているとは思えませんね』と言われるくらいは、

ちょっとイヤで、それすら意識させない所が、この地紋や今から作る地紋には、

居心地が良いところだと思っています。

 

そんなことで、『地紋』にも少しだけ注目してもらえると、

また一つ、帯を見る際に、楽しみが増えると思いますよ。

 

 

 

2011年09月01日

数日は北海道に〜

 

しばらくは、北海道へ行っていました。

その間はモノづくりを小休止する予定でしたが、

周りの皆さんから、取っ掛かりのアイディアを頂いてきました。

(物凄くたくさんです。)

 

織りや素材、配色を考えると、『相当無理かも・・・』と思って、

しまいますが、京都へ帰ってきて、、それらを整理みると、

『やってみるか。』という気持ちになりました。

 

そういえば、まだまだ何も分かっていなかった頃に、

図案、綜絖、紋図の職人さんが言われていたことを

思い出しました。

 

それは、図案家は、心から『良い』と思う図案を書くべき。

『これ、織るの難しいかも?』と後の職人さんの仕事に気を遣うとか

『こっちの方が売れそう』と、今までの流れの継続仕事を

やりやすいようにしてしまうと、

小さくまとまり過ぎて、面白いものができなくなる。

 

それが繰り返されて、結局、毎年面白くなくなっていって、

同じようなモノばかりに・・・。

 

今月は、京都から出たり入ったりの多い月になりますが、

ちょこちょこと出てきますので、楽しみにしていて下さい。

 

 

その北海道では、目の前に帯や着物、小物が、

いつもよりも多くあったので、様々なコーディネートをしています。

 

例えば。

 

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伊藤若冲の世界×大島紬×純銀帯留め(千鳥、ト音記号)×カット硝子帯留め』

 

とか

 

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燦々(なごや帯)×仙福屋御召×モレッティ帯留め(金魚、ヒトデ)』

 

生成の地色の帯に、もう一方は明るいブルーのペイズリー柄。

対極のような帯ですが、そこに着物が入ったり、帯締めや帯留めが

入ると、優しくもなり、粋にもなり、意味有りげにも見えと、

周りの方々も頷きながら、面白いコーディネートを楽しんでいました。

 

2011年07月30日

たまにある偶然です。

 

静岡への一泊出張から帰ってきました。

 

早速、待ち構えていたのが、以前紹介したペイズリーの裏地の配色。

 

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『作楽:ペイズリー&ローマ図』

 

少し前から、色見本を取ったり準備はしていたのですが、

思ったよりも上がってくるのが早くてビックリしたのと、

短い試験織りと帯一本とでは、受けるイメージが全く違っていたので、

見た瞬間、少し喜んでしまいました。

 

短い試験織りで見たときは、『個性無いなぁ』と思っていましたが、

長い帯一本だと、『とてもいい感じ』にできています。

(たまにある偶然です。。)

 

明日は、今年の半期終了による棚卸です。。。

年々、日が経つのが早くなっている気がします。

 

 

2011年07月28日

実験中でも上手くいきそうなもの。

 

昨日の配色確認の続き。。

 

今社内でモノづくりを行っていて、特に大事に

していることは、帯を見た最初のイメージです。

 

ちょうど模索中で、ちょっと光が見えてきたかなぁ、

という最中です。

つい先週までは、様々な色の組み合わせを見るために、

何十もの目出しを沢山とっていました。

 

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作楽;ペイズリー』

 

何となく懐かしさを感じる色目の組み合わせで、

このまま織っても良いし・・・。

縁くくりの白を濃くしても良いし・・・。

 

と今まで使ってこなかった色目を楽しんでいます。

 

それに比べて、大人しい色目ですが、奥行きを作るために、

配色を少し遊んでみた柄がこの2つの柄。

 

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作楽:ペイズリー』

 

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引粉と呼ばれている地紋には特徴を作っています。

(通常は地を馴染ませますが、ワザと違う色を合わせて、

 荒れた感が出るようにしています。)

 

ペイズリー柄を拡大して見てみると、

顕微鏡で微生物を覗いているみたいですね〜。

 

この辺りは、今後モノづくりの広がりを感じます。

 

 

もう一つは、柄から作って、色目を作り替えているものも

ありますが、その中で面白いなぁというのがこれ。。

 

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これだけでも、とても面白いのですが、

さらに素材やなんやらで、いろんな広がりが見えます。

(この状態で帯にしたい色もありますね〜。)

 

そんなこんなで、今のなにか出てきそうな感じ、いいムードで

モノづくりに勢いを付けてしていきたいですね。

 

 

2011年07月27日

帰ってきて。。

 

 

昨日、北海道から帰ってきました。

今日は、その出張の間に上がってきた帯のチェックで、

一日がほぼ終わります。

こんな感じの面白い配色の組み合わせが、たくさん上がっています。

 

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『作楽:ペイズリー』

 

その辺りの様子はまた明日にでも。

 

毎日、札幌では帯・着物・小物に囲まれての生活です。

 

 

北海道で、面白いなぁ〜と思った小物があります。

それがこの『ショール留め』。

 

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『ショール留め:てんとう虫』

 

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なぜか、日傘に付いていますが、ショールに付けるものです。

 

素材は、仙福屋の帯留めと同じく『モレッティ』。

 

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あっという間に過ぎた北海道滞在4日間でした。。

 

 

 

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2011年07月22日

こういう帯は好きですね〜。

 

自分で作っておいて、なんですが、ちょっとワケありの帯です。

 

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『でっかい雪輪』

 

理由は、色々とあるのですが、なごや帯で作っていた表地に

裏地を付けて『袋帯』にしてしまいました。。

 

柄の出方、結び心地などは全く問題ないのですが、

なごや帯を想定していた分、ちょっと不思議な気持ちです。

特に配色とかは、袋帯ではあまり無い色目だったりして、

とても面白いので、かなり自分的には気に入っています。

(糸使いも独特ですし・・・。)

 

そんなワケありの袋帯です。。

他にも、こんな柄があります。

 

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『渦しま』

 

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『紫ぺいずりー』

 

今日は、作りたくても、ある意味作れない超・レアな帯でした。。

 

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