2015年02月12日
裏で織る表の組織
タイトルが物々しくなっていますが、帯の話です。
今日は総紗縫好きの方向きのマニアックな内容になってしまいました。
このタイトルの帯は、元々の織りは、相当の割合で認知してもらっている『総紗縫』です。
それをベースにこちょこちょしながら、紬糸を通し織ったモノです。
『燦々/ペイズリー』
この帯と似たモノとして、『紗楽』があります。
→紗楽Pinterestへ
実は異なる織物ですが、『紗楽』の方が所帯も大きいので、
いつの間にか紗楽に吸収されようとしています。
まだ今のところ、大丈夫ですが、混ざってしまうと完全に同じにされそうなので、
少し説明をします(とくに新人に向けても)。
まず、この燦々は、タイトルの様に『裏で織る表の織物。』
製法と透け感が大きく違います。
とにかく、紋意匠の作りがヤヤコシイ。→それを元とする製織にも影響があり、
通常織物は裏を見ながら職人が織っていくのに、この帯はその反対です。
表を見ながら織ります(今回のタイトル)。
裏を見ながら織るのは、キズや糸が切れた際(下の写真の様に)、対応がし易い、
そんな理由があります。何よりも、今までずっと裏向けで織ってきたから、それ以外は
変だ。そんな風に言われていたこともありました。
(これは本袋の織り上がりです。参考までに。)
そして燦々の場合、裏ではなく、表柄を見ながら織るので、織りなれたベテランさんは、
下のように言われていました。
『もぞもぞ居心地が悪うなる、何か悪いことしてるんじゃないか?』(笑)と。
色んな苦労を掛けた後、上がってきた織物は、まず透け感が変わります。
総紗縫の透け感は、『透けそうやけど・・・』と、そんな絶妙の所を狙ったものですが、
こちら燦々は、角度によって、柄や色全体が陰影の中に消える、。
紫は消えて、白くなったり、柄も一緒に飛んでしまう。
それも計算できない、不思議で面白い織物です。
今のところ数量自体、レアといえる程しか織っていませんので、まず自分の目標として、
『あっ燦々。』と展示会中、一人の方に気づいてもらえるように、宣伝です。
たまに、このブログやFacebookにも出てくると思いますので、ご声援よろしくお願いします!
その割に、今回一番目立たない色の帯を出してしまいましたが、この色写真映えしませんが、
すばらしく味のある帯ですので、もし、一度見かけてたら、お顔に合わせて頂けると嬉しいです。