2011年10月21日
新しい地紋。
『新しい地紋』と書くと、新しく見えます(当たり前ですね)が
実はあまり目立たないモノづくりの一つです。
簡単に言うと、字のごとく『地』の『紋』なので、
帯の柄の中で一番広い部分(底)の『紋』=『柄』の柄作りです。
問題は、目立たないが帯全体に影響するということです。
たとえば、『この柄なんでもないけど、良い感じ』という場合、
この地紋が影響していることも多いです。
地紋を新しく作ると、織組織や素材によっても、風合いが変わったり、
織っている糸の発色が変わったりと、目立たない割に、
なかなかのクセモノです。
しかも、帯全体に占める割合は普通、一番広い。
そんな『地紋』ですが、モノづくりする上での心構えは、無地を作る。
そういう気持ちです。
無地なので、これも矛盾のような表現ですが、実際の織物は経糸と横糸、
なので、それの組み合わせによって、いかようにもなっていきます。
今日はその地紋作りで製作していたものが、一つ完成しました。
通常、地紋は無地だけで織って、『これ良い』とか『いまいち』とかする、
のではなくて、柄の中で判断します。
今日上がってきたのは、こういう新柄。
配色はまだもう少し詰めますが、ほぼ決まりのが、中に入っています。
『作楽:ペイズリー(大)』
地の部分が織る地色や横糸によって、浮き沈みが見えると思います。
この辺りを操作していくのが、紋づくりで自分たちが考えるところです。
この柄の場合、ある柄を一度紋で作っておいて、上から横糸でつぶして、
柔らかさを出しています。
目指しているのは、織でも染でもない、『織り?染め?』。
と言われるくらい、どっちつかずなところです。
できれば、『織っているとは思えませんね』と言われるくらいは、
ちょっとイヤで、それすら意識させない所が、この地紋や今から作る地紋には、
居心地が良いところだと思っています。
そんなことで、『地紋』にも少しだけ注目してもらえると、
また一つ、帯を見る際に、楽しみが増えると思いますよ。