となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2016年05月06日

まだ帯になるか、わかりませんが。瓢箪柄

 

タイトルの通り、試行錯誤している帯見本です。
柄は唐長さんより、瓢箪。それをとなみ史上、経糸最多の二重織を使って織った織物です。

 

IMG_6115.jpg

 

基本は経糸の色で柄が作れますし、それで文様全体は(特にシンプルな柄ですので・・・)織る。そこに緯糸を通して色に深みと、地風を作る。帯としてのベース部分のモノづくりになっていますし、非常に地味(笑)。ですが、一番か二番めに大事なところです。時間は掛かるかもですが、まずは納得の行くものを、と思っています。

 

それに加え今回は、出来る限り織りやすいモノ=皆さんに気軽に結んで頂けるモノを心がけていますので、特にこのベース部分をしっかりして、織りはシンプルに。もし、このシリーズからとなみ帯に入門者(?)された方には『帯って、こんなに結びやすいんだ!』そんな気持ちになってもらえる様にする、それが目標です。

 

そのために、経の配色、緯糸の配色、それらのバランスで、今後製作していく配色の基本色を作っていきたいです。

 

やりたいことは、一杯ありますので、一つずつ漏れて後戻りが無いように(これが怖い・・・。)、進めていきます〜。
また、詳細はここでご紹介できると思いますので〜。

2016年05月04日

CandyCircus3 お太鼓の意匠図です。

 

まずは、お太鼓の見通しのついた意匠図。
銅版画作家の舟田潤子さんとのコラボレーション、『CandyCircus』、苦戦中の三柄目(この柄よりも先に四柄目が先に完成しそうです。苦笑)

IMG_5986.jpg

写真は意匠図の写しです。

 

紋屋さんとの打ち合わせの際に、ここに色々と書き込んで、織り上がりのイメージをお互い擦り合わせて行きます。モノづくり若手が一番失敗し易いのは、このすぐ隣に帯や意匠図の元となる図案を置かないこと。慣れてしまうと、なんとなく意匠図の写しで図案の代わりにもなりそう(実際色も近づけて出すので)ですが、それが間違いの元。

経験を積むほど、手元には必ず図案を置いて、打ち合わせ、モノづくりに挑みます。

 

そうするのは作る人によって、いろんな理由はあると思います。自分の場合は①作り慣れたやり方にしてしまわないこと=織り易いモノにしてしまうこと、②イメージが膨らみすぎて、手を加え過ぎないこと、③出来上がりの帯に、極力作家さんの空気感を纏わせること、を意識しています。

 

今回もこの3つは、もちろん同じで、図案は横に置きながら、にらめっこしています。いつもと違うのは、何倍も時間が掛かっていること(苦笑)。となみ織物では一番緻密に織れる紹巴織ですが、それでも今回に関しては相当沢山の色を一つずつ取捨選択をしています。また糸同士を混ぜて(例えば、白と黒でグレー)作る色も、作品の中から色を抜いて、紋図の中で出来上がる色が発色的に使えるか?を検討していきます。今回は結果として、実際に通す色数は増えたのに、目に見える色は減りそうな、珍しいモノづくりになっています。これからは、修正、試し織、また検討、修正を繰り返しです。

 

 

今のところ、お太鼓の意匠図段階で、お腹、その他の部分と、完成するのが怖いような楽しみなような、面白いものづくりをさせてもらっています。

 

糸を入れる配色で修正できることも多いので、意匠図を見て、休み明け配色していくのをイメージしています。大変は大変ですが、これで良い帯になって、『この帯だったら着物を着て、ワクワクして外へ出ていけそう!』そんな風に思ってもらえるように。最後の詰め頑張ります〜。

2016年05月01日

一旦休止。

 

となみ織物は、5日までのGWに突入です。体調不良からも、やっと脱しつつ(もうちょっと早かったら良かったのですが・・・ 笑)、あります。この休みの間に、仕事的にやってしまいたいことが沢山あります。あれもこれも、例えば、もっとデータで図・図案を触れる様になるとか・・・、(毎年毎回のことながら)図案・書類・走り書きを整理する、だとか。詳細にそれらをこの日記に書いて自分にプレッシャーを与えるのも良いですが、いつも『あー休みが終わる!』と休みらしくない過ごし方になってしまいますので、今年は密かに例年と違うパターンで、コツコツとこなしていきますね。

 
それプラスして、3〜4月はモノづくり以外で、本当にバタバタとしていましたので、十分に時間が取れなかった目出し(試験織)の検討はやりたいです。そのために、ちょっと前に上がってきたモノから直近まで、写真に撮ってきました。それらを見ながら、この織物で次にどんな柄を織る?色は?それがもし上手く行ったら、その次はどういう表現ができそう?等々、ちょっと先までのことを(社内にいなくてもできますし、かえってやりやすい)想像、膨らませておいて、準備をしておきたいです。
 
そんなことで、なんやかんやとやりたいことはありますので、充実しそうなお休みになりそうです。今年は、頭で覚えておけると過信せず(苦笑)、ちゃんとメモして残しておきます。これが一番大事かもですね(笑)。

2016年04月29日

見てもらい意見を頂いています。/Obi çlutch(帯クラッチ)

『ObiClutch(帯クラッチ)』ひとつ目の形が完成しています。
現在は、皆さんに見て、触って頂いて、ご意見を頂き、または注文を頂いたりしています。

一応、クラッチバッグとしての用途を考えていたのですが、試験に使っているモノが、新しいMacBookを入れるのにピッタリ。

Obiclutch.jpg


当初の目的以外で、今は試験的に使っています(笑)。

 

こうやって、色んな所にもって行くと、中身がほしいという方もおられますが、そこは普通に手に入りますので(笑)、その話は横に置いておいて、帯クラッチに関して、こういうのが欲しいという意見を頂きました。

それは中の色。
今はベージュ地の生地を使っていますが、『そこへ『赤』系の帯地を使って欲しい。』そんな依頼でした。

 

IMG_5979.jpg
『錦地裏地』

 

それを今から形にしていくモノに、正式に採用するかはわかりませんが、仕立て上がり後の具合を見るためにも、現在は試作を製作中です。こうやって一つずつステップを上がって行きたいです。

 

また、お知らせしますね!

2016年04月26日

人気だったもの。

 

今回の出張で、特に特に目立って人気だったのが、この襦袢。

DSCF1051.jpg
【襦袢/南蛮七宝文様】

 

今回の出張の結果、色によって偏りはありますが、納期まで最大5ヶ月待って頂くことになりそうな・・・、多くの注文を頂きました。この襦袢に関しては、以前も紹介したことはありますが、そこから徐々にパワーアップしていって、今は特性がてんこ盛り、『生地があり得ないほど丈夫、洗える(洗濯機)、でもシルクの風合い、しかも柄は南蛮七宝文様⇒見せたくなる、諸々。』になって、使い勝手の面からも良いモノに仕上がっています(お洒落ものだったら、この一枚でいい?)

 

 

 

これをお客さんお見せして返ってくる反応が『こんなのが欲しかった。』と言って頂けます。着物と帯だけではタンスの肥やしになっている可能性がありますが、この襦袢が洗える襦袢が欲しかった=必要ということは、そこから『着物着よう!』そんな意思が伝わってきますので、本当に嬉しいです。

 

自分が着物を来てどこかへ行っても、『いいけど、私は着るところないなぁ。』そんな話を聞くことが多い中、有難いです。

反対に、そういったものが今までモノづくり出来ていないから、着物は着にくい。そういうイメージが強いのかもしれません(反省です)。

 

帯だったら、総紗縫。オールシーズンと軽さ、結びやすさ、柄の多様性、コーディネートのし易さ等々。人気が集まるものというモノは、意識をしていなくても、こういった使う方の立場からの目線が優しくいつも入っています。

『使う身になって考える』当たり前のことかもしれませんが、モノづくりしていて、そこを忘れがち、考えた気になっていることが多いです。ちゃんとやっていきますね。

 

夏に近づくに連れて、涼やかな上の写真の様な色が人気です。次に染めるのは、こんな色かな?もしくは帯でこんな色が出るかな?というのが下の写真。質感のある色。糸で出るかなぁ・・・。

 

DSCF1095.jpg

 

 

2016年04月25日

夏らしい新色/南蛮七宝文様/総紗縫

 

機が空かなかったため、予定より約一週間遅れましたが、南蛮七宝文様の総紗縫・新色が上がってきました。夏らしい(オールシーズン帯なんですが・・・苦笑)色目で、とても新鮮です。

 

ちなみに、この文様で総紗縫を織ると、構造としては一番シンプルな形です。帯の色に影響する要素は、『経糸、緯糸、箔』の3つだけ。(糸の本数等々の話を除けば)基本的にこれだけで色が決まります。ただし、一番シンプルと言っても、この総紗縫は、独特な綟り織りですので、透け感も特殊。それに加えて、素材の箔も独自のものですので、横に通す糸の色味は、透け感と箔に持っていかれ、非常に仕上がりの予想を立てにくい織物です。

 

今回、織った帯の色目と織り上がりの帯を見比べると・・・。
色味はこれくらい違います。

DSC09824.jpg
『南蛮七宝文様/総紗縫』

 

箔を使わない『KILIM(キリム)』等であれば、もう少し糸に近い色で、クッキリと色を出すこともできます。が、見る角度や光によって、この南蛮七宝文様が消えかねない、それくらいの柔らかな色をイメージしていましたので、この2色はとても上手く行ったと思います。

 

ただ、南蛮七宝文様の紗に関しては色ごと限定3本しか織りません。上手く行ったと満足して止まっていると、その後は直ぐに新しい配色を考えること、というのが後ろから迫ってきます。単なる配色変更だけにしても、常に色のこと、モノづくりを考えておかないと、自分の中の色ストックが無くなってしまいます(苦笑)怖い話です。。。

 

この帯に関しては、後これから2本ずと織り上げていきますが、織り上がり後、機が空いている間等々を考えると、時間は全然ありません。写真のように色糸のイメージだけでは織り上がりも異なりますので、色を考えて、試験取って、修正をして・・・と考え過ぎると、ヤバイ時間が・・・となってしまいます。

遅れるのは良くありませんが、色々と横に置いておいて、新緑の自然の色を眺めながら、色出ししてと、GW中は多少でもゆっくりと考えたいですね〜。

 

まずはこの2色、夏に結んで頂けることを楽しみにしています〜。

タグ: , ,

2016年04月21日

上がりが楽しみな・・・夏しぼ。

 

今までとは流れを変えて作っている帯です。
 

織物のベースとなる織組織自体はイジっていませんが、イジった?と周りが感じるほど、糸使いや地紋に変化を付けています。そのため、今までだったら、『こんな感じでできあがるんじゃないか?』とイメージできますが、今回のモノづくりはぼんやりと霧がかかった状態です。名古屋帯にした方がイイような気もするし、裏地を上手く利用した袋帯にした方が・・・と、まだ気持ちは揺れています。

 

それでも、生地自体の完成度は試験を取る度に上がっていますし、着実に完成へ進んでいます。
(こう書いた途端、この下の目出しの後、大きく失敗しましたが・・・苦笑)

IMG_5920.jpg
『試験織3 CandyCircus4』

 

見切り発車に近い形で、この織物を使って3柄、新しいモノづくりを進めています。
一つは横段柄。意匠自体は今までも何度か製作していて、見慣れたといえば見慣れた柄です。現在は試験織でのチェックが終了して、配色の最終段階です。3つの柄の中では遊びは少ないものの、この織物の指標となってくれそうな帯になりそうです。

あと二柄は、ドンと思い切った意匠です。『Candy Circus』シリーズの4柄目となりますが、しぼ織全体としても、今までに見たことのない、またはやったことのない意匠・しぼの使い方の帯ができそうです(だからこの帯が一番霧がかかっています・・・。 笑)。

完成して、結んだイメージは可愛い、思いのほか着物や小物とのコーディネートし易い帯、だけれども未知な部分がめちゃくちゃ多い、そんなモノづくりを今は色々な出来事と並行しながら楽しんでいます。

 

今日は、今から出張へ行ってきます〜!

タグ: ,

2016年04月18日

今から見てもらう夏物。

 

一足も二足も遅い遅い夏物(南蛮七宝文様)の段取り、やっと形になってきました。
通常の流通に流すものだと、『夏』はとっくの昔に終わっていますが、この南蛮七宝文様のモノに関しては、流通に流さず今月末くらいにお見せ、し始めるものですので、何とか間に合っています。もう少しだけ余裕も・・・(苦笑)。

 

ものは去年から製作している『紋紗の着物』。
遠目からの写真ではわかりにくい、地紋で南蛮七宝文様を織ったものです。

 

SDIM0099.jpg

 

白生地で織ってから染めをかけますが、同じ色は無く全部一反限りの色目です。
自分の中にあるイメージと、元となる色見本とを合わせて色出しをする。生地と紋作りを除けば、それだけのモノづくりではあるのですが、これが非常に難しい。意匠は南蛮七宝文様、生地(織組織)はある、後は色を決めるだけ、考えることは一つだけなのに、なかなかそれが難しい。

 

普通は図案作り、紋作り、配色等々の各工程に色んな事があり、ストーリーが出てきますが、この着物に関しては各色それぞれにその悩んだ時の具体的な話が浮かんできます。色んな事が並列して進んでいますので、極めてシンプルなモノづくりに少しの間没頭できましたので、これはこれで良かったモノづくりです。

 

こんな感じで毎日モノづくりを積み重ねていく。モノを作るメーカーですので、それを忘れず大事にしていきたいです。

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

L2200045.jpg
『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年04月13日

注目されて嬉しい名古屋帯

 

Facebook上で、物凄く沢山の『いいね!』ほどではないのに、メールや電話、直接のご連絡を頂くことが多いのが、この組み合わせ。

 

P2180384.jpg
海路八寸名古屋✕南蛮七宝文様/白大島紬(割込み)

 

この帯は八寸名古屋の『神坂雪佳の世界/海路図』(となみ織物には珍しく八寸)、着物;南蛮七宝文様/割込み白大島(限定)。こちらの着物は8反のみの製作(この色は4反のみ)のレアな大島紬です。

 

個人的な好みはシンプルな着物に、柄の込んだ帯。

ただ、帯はシンプルなモノだけに、配色を変わるだけで、大きく雰囲気が変わります。これが非常に楽しく勉強になるので、ちょっとハマっています。特に、この海路シリーズは、これからも追っかけて行きたいものですので、今回Facebookから注目されたのは、とても嬉しいですね〜。

 

 

L2200030.jpg

 

 

八寸含めて名古屋帯も今後力を入れて製作してきます。

 

 

【海路】
現在三色で八寸名古屋帯を仙福屋で取り扱っています。

 

海路八寸名古屋
 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2148

 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2157

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...