となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2013年03月18日

京都も春らしくなって来ました。

 

京都も随分暖かくなってきました。

桜と紅葉では京都も観光客の方で一杯になりますが、

今の時期も意外に見どころが沢山あります。

 

杏と梅です。

 

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杏(あんず)

 

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梅や桜はまじまじと見ることはありますが、

杏はあまり見ませんし、周りの方も『桜』と思われていました。

(周りの気温と期待で、遠くからは確かに桜に見えます)

 

着物で言うと、最近は『桜の花』は様々なところに顔を出していて、

年中見られますが、梅はそれよりもずっと季節と連動している感があります。

 

昔はそこまで季節ごとの『花』に興味はありませんでしたが、

今は、花を見るたびに、帯と連動して考えしまします。

 

この日も梅を見ていて思い出すのは、『若冲の梅』。

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こういうのが思い浮かばない時が、モノづくりのチャンスかな?

と思っていますので、花が沢山咲いている時は、出来る限り(花粉症を我慢して)、

外へ出る。

 

重要です。

 

 

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2013年01月24日

モノづくり、若手編。

 

最近はモノづくりに関わる、若手が随分と増えてました。

 

昔からの職人の世界なので、周りから、

『それいいな!いいアイデアやわ!』という声は掛けられず、

厳しい声を受けながらのモノづくりです(笑)。

 

たまに、ちょっと可哀想になってくるので、小さな助け舟を出すことも

ありますが、最初は、基本的に楽しく、途中苦しんで後悔しながら、

最後までやり切った方が、なにかと次のモノづくりに繋がるので、

助けはたまににしています。

 

IMG_2271.jpg

 

うちの会社では、時と場合によりますが、アメリカの大学みたいに、

モノづくりします!と宣言して、取り掛かるのは、非常に簡単ですが、

そこから最後までやり切って完成まで持っていくのは、とても難しい

と思います。

 

他では、ベテランにならないと、モノづくりに関わるのさえ、難しいという所も

あるそうなので、どっちが良いのかは分かりませんが、頑張って欲しいと思います。

 

写真は、スタッフが周りにコンセプトを説明しているところです。

(伝わったかなぁ?)

 

 

2013年01月09日

長らく悩んでいた帯。

 

 

今日の帯は随分と紋づくりに悩んだ小袋帯です。

 

となみ織物の小袋は、広巾で織ってから、それを半分にして半巾よりも幅が広く、

丈も長い織物で京小袋と呼んでいます。

 

織物的には本袋と似たような感じで、一つの杼が裏と表を同時に織り上げていきます。

 

そのため、表と裏を別々に織っていく袋帯とは違った、

気にしなくて良い悩み事が多く生じてきます。

 

完成したもの

L1180754.jpg

『京小袋/若冲』

 

 

たとえば地色の場合でも、どちらかに黒を入れてしまうと、

通常その糸が全部に通りますので、色目は隣にも影響して、

色目を薄く織ろうとした、黒に影響され色目がくすんでしまいます。

 

この帯も、その部分が製作する際に、最も悩んだ部分です。

 

当初、いつものように織ったものでは、右に黒に近い色を入れると、

予想通り、左が濁ってしまいました。

 

そのため、極力一つの色目が片方では活きるように、

もう片方では全くの脇役になってもらうようにと、

 

地を通り糸の組み合わせを試験し、さらに地紋も最適なものを作りました。

 

右は左への影響を考え極力薄いグレーを黒に見えるような努力をする。

左は、薄いグレーをさらに薄く見せて、気にならないように地紋で封じ込め、

をしました。

 

IMG_1871.jpg

写真を見てもらうと、右と左の地紋が異なっています。

(右は細かな横段、左は細かく叩いたような地紋)

 

 

しばらく、以前紹介したペイズリーも含めて、小袋はイヤだなぁ〜。

というくらい悩みましたので、こういう帯は仕立て上がりが、

とても楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2012年12月25日

和紙地紋 その2

 

先日の和紙地紋

今回は、モノづくりしている際の試行錯誤を文字にしてみましたので、

ちょっとヤヤコシイかもしてません。

 

少し修正を加えながら、新柄です。

 

L1180708.jpg

作楽/宵待草』

 

まず、織り部分ですが、

底の地紋である和紙地紋は糸の綴じを変えていますので、

目で見ても(手で触っても)、立体感を少し付けています。

 

反対に、8つの光が出ている星部分ですが、ここはシンプルに糸を完全に

綴じて、真っ平らにしました。

 

おそらく帯全般に多い、地が名前の通り一番低く、

柄の部分は盛り上がっている(イメージは唐織)とは、

反対の紋の作り方をしています。

 

そこから今回は、その一番平らな部分(星柄)に、

この帯中では一番目立つ色目の『黒』を入れました。

(要するにボリュームが無い所が一番めだつ色目。)

 

また、もう一つ、その『黒』も浮かないように地の部分に、

同じ黒を混ぜてしまっていて、浮きながらも統一感を作ろうとしています。

(不思議な浮遊感を作りたいと思っています。)

 

ただし、今のところ、上の写真配色ではイメージよりも僅かに浮いて見えるので、

現在は色の構成をもう少し似せて、全体を沈ませようと思っています。

 

ということをこの帯では行なっていました。

他にも、図案の段階では柄のサイズや配置決めにも、試行錯誤していますし、

何が正解か?というのは無いので、なんとも言えませんが、

まずはやってみる。

 

新入社員にも言っている言葉が、このモノづくりには、

いつまで経っても重要です。

 

 

年が明けるまでに、新しく製作している図案等に掛かって行かないと、

また一からでは、モノづくりがリセットされてしまうので、

ゆっくりと急ぎながら、進めています。

 

まだまだ、今週もバタバタしています。

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2012年12月11日

しぼしぼの帯、コーディネート。

 

コーディネートしたものとか、お客さんに撮らせてもらったものは、

Facebookへ上げるようにしていましたが、今日はこちらで。。

 

以前、製作していると書いていた象のしぼしぼ帯です。

(象はお太鼓の真ん中にはいないで、馬がいますので、

『馬の帯』でも良いのですが。やっぱり、象の帯です。)

 

表の完成自体は、ちょっと前でしたが、裏地の緯使いや染めの方法等で、

少々手間取って、しばらく裏地のない状態でした。

 

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『象のしぼしぼ/作楽×久米島紬』

 

裏の素材と織りを従来のモノと変えましたので、このコーディネートは

試し結びという側面もありました。

 

写真で見てもらっても判るように、お太鼓の形を作るのにも全く問題なく、

新しい試験は上手くいきました。

 

この帯は、しぼを糸の縮みに全てを任せてしまうのでなくて、

かなりの部分を紋を使い柄に応じて糸が縮むように操作しています。

 

伝えにくい表現ですが、仕立て上げ、お太鼓に結んで帯を立てると、

味のある陰影の付いた、立体感が表現できていると思います。

(説得力のある立体感みたいな感じです。。)

 

お腹部分には、腹紋とヴァイオリンの帯留めとのコーディネートをしていますので、

こちらは、近日中に、またFacebookにアップしたいと思います。 

 →http://www.facebook.com/tonamiorimono

 

多くのファンができる組織になることを楽しみにしています!

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2012年06月26日

花緒を作っていて。

 

恒例の仕事となってきた、小物作り。

今日は以前、職人さんへ出していた生地が花緒になって、

帰ってきました。

 

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『雲龍の花緒;お太鼓付近を使用。。』

 

最初は、『帯地を切るなんて・・・。』という感じでしたが、

出来の良い、思い通りの花緒が上がって来たり、なんかすると、

『作って良かった〜。』となり、

最後は『同じ感じの花緒がもう一本欲しいな。』となることもあります。

 

帯地はもちろん、帯一本の長さで完成品ですが、ほとんど例外なく、

いい帯というモノはどこを取っても(トリミングしても)、

いい雰囲気を漂わせます。

 

また、どれだけ短い尺(たとえば、ハギレでも)でも、

『この帯はあの帯のこの辺りの部分だな』と判別できます。

不思議です。

 

IMG_5655.jpg

 

今でもわざわざ帯を切りたくは無いですが、経糸の残糸で織ることや

どうしようも無いキズ物などは、置いていても仕方がないので、

こういった小物にかわっていきます。

 

たまに、『この帯のB反があったら、バッグにしてほしい。』

ということを言われますが、そう簡単にタイミング良く、

上手くは行きませんが、最近になって大変気持ちはよく分かります。

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2012年06月25日

白い帯を考えています。

 

この帯を帯だけで見た時は、そんな風に感じなかったことですが、

着物と小物とを一緒にコーディネートしたとき、

しばらく白にハマっていよう、と思いました。

 

この帯は白地の紗の上に、

さらに、それよりも白く見える『白色』で花を織り込んでいます。

おそらく地色の『白』も、ほかの帯の中に入れると、

おそらく白色と言われそうな色目です。

 

ただ、この地は紗で織られていているので、

透けて、他の色を映してしまいます。

帯芯が透けて見え、影も入っているようです。

そうすると、白く見えなくなってしまいます。

 

IMGP8117.jpg

上品綟

 

大体、帯の白色というのは、他の色よりも白いから『白』です。

 

この帯のように普通の『白』よりも、さらに白い『白色』というのは、

今までありそうで無かったように思います。

 

 

帯は経糸と横糸で出来ているので、横糸でどれだけ白い糸を

織ったとしても、経の色が白くない限り、影響を受けます。

そのせいか、僅かに青い、黄色い、くすんでいる、となります。

 

ですので、基本的に経糸も、白。

当面、今からのモノづくりは、そこから考え始めたいと思います。

 

 

 

※お腹部分はこちら

  →http://facebook.gwbg.ws/fdzb

2012年06月18日

色の組み合わせ。

 

先日、紹介していた帯が一本上がって来ました。

この帯の地色は、いつもよりもさらに写真では出ない色目です。

 

IMGP8088.jpg

作楽/名前未定』

 

地色、葉のような黄緑、ブルーの輪、蹄鉄のような白。

組み合わせ的にも、あまり例の無い、配色にしていますが、

白地(大島紬でも御召でも)、黒地(泥でも藍でも)、ケンカせず、

帯として、すんなり落ち着いてくれました。

 

柄に特徴があるので、好き嫌いはあるとは思いますが、

現在の周りの評判はとても良い(着物と合わせると良い方向へ感想が変わる)です。

 

一本で帯を見ると、思っていたよりも色味が独特で、

予想していた裏無地では落ち着かず、まだもうちょっと掛かりそうです。

 

この日記上では、となみ織物で製作している、

モノづくりの変化の兆しの僅かな部分を紹介しています。

 

そのまま変化していくかもしれませんし、

踏みとどまって、違う方向へ行くかもしれません。

 

自分も楽しみにしています。

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2012年06月15日

総紗縫色から脱出。

 

総紗縫は冬でも結べるので、それに合わせた色を作ります。

ただ、モノづくりをしていて、上手く行ったと思っていると、

どうしても同じ所から動きたくないものです。

 

たとえば、配色でも。

定番の黒・モカ・鳩羽・白・グレーがありますが、

総紗縫の組織では、上の色すべてで、それぞれの良い特徴が出せ、

柄も上手くいきます。

 

そうすると、なかなか全く離れたところへは、飛び出しにくいです。

 

が・・・。

試すことは、最近はじめました。

 

たとえば、『赤』。

赤系ではなくて、『赤』を緯糸に通して配色しています。

そして、その右横は『紫』、左横は『緑』。

 

IMG_5454.jpg

 

経糸が濃い系色なので、短い目出しだと、そこまで違和感は感じませんが、

一本まるごとこの配色で織ると、おそらく『・・・』と言葉がでなくなるかも、

しれません。

 

この他にも、試していますが、

定番の色目に匹敵するようになるには、箔も新素材・新色を創りだすか、

相性の特別にいい柄を探すか、なにかしないと、一過性で終わりそうです。

 

まず、世の中に出せるように、がんばります〜。

 

 

 

 

2012年03月03日

ひな祭りなので。

 

今日は3月3日『ひな祭り』です。

今まで製作した帯には季節や行事に応じた帯が

ありますが、意外に少ないのが、『ひな祭り』を題材にした帯。

 

製作した > 現在社内にあるもので、

パッと思いつくのは、2本くらいなものです。

 

以前に自分で図案家さんへ依頼したもので製作しているので、

よく覚えています。

この時は、本格的なモノづくりし始めて、まだ一年経っていなかった、

かどうか、という新米だったので余計鮮明に覚えています。

 

IMG_3495.jpg

神坂雪佳の世界/立雛図より』

 

雪佳の書いた立雛の衣装をモチーフに図案を書いてもらいました。

帯全体で、流れが切れないように行ったり来たり、工夫をし、

朱と金のバランスを結んだ際のバランスを見て、何度も作り替えました。

 

織は経糸に目立たない程度の金と、緯はシボがでてボリューム感が

地だけで作り出せるほど、筬を打ち込んでいます。

 

大人気という帯ではありませんが、今でも注文がある度に、

コツコツと織り続けている帯の一つです。

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