となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > モノづくり業

2010年07月22日

焼き直しじゃなくて、自分なりに。

以前も、良く素材として製作していた『藍染め』。
有名な素材なので、『あ~あれか。。』となると思います。

もちろん、糸としての素材は社内にもあります。
IMG_0605.jpg


利点として、防虫効果や生地(素材)が強くなるということも
あって、昔からあったものです。

今では・・・例に漏れず、
あ少なくなってきたものですが、効能以上に好きなのが、
この色目です。

堅牢性があまりないので、帯では使いにくい素材ですが、
この色目を上手く使える(活かした)、柄/素材を考えていました。

そればっかり、じっと考えていると、色々とアイディアが出てきて、
形にするために職人さんと打ち合わせをしようとしていたら、
もう帰ってはりました。。。。

楽しみは、明日へ持ち越しです。

2010年07月20日

色を蓄えていく。

祇園祭後半位から、梅雨が明けて
とにかく、暑い京都です。

スッキリ晴れると色的には、とても綺麗です。
IMG_0552.jpg

17日を過ぎると、
一応に京都(特に西陣は)はいつも通りに戻っていき、
次はお盆休みに向けて、街が静かになっていきます。


今年もそうだと思いますので、この時期はコツコツとモノづくりです。
完成させるよりも、土台づくりのような所に力を入れます。
(どちらかと言えば)


いくつものモノづくりが進んでいる中で、
位置づけが難しいのが、このモノづくりです。
IMG_0555.jpg
『周りは裂地だらけ。』

何をしているかというと(織物ごとでちがいますが)、
ある経糸(ここでは茶)の場合、横糸にどういう色を入れたら、
好みに近づくのか?見えるか?

そんな試験です。

同時に素材の試験もしていて、色目/発色/風合い等が確認できます。


この段階のモノづくりは、最終形に、
直接大きく影響するわけではないのですが、
このケースを一つずつ覚えておくと、配色の幅が大きく広がります。

かなり地味な試験ですが、これをきっちり積み重ねていくと、
次の飛躍した(トンデモナイ)ようなモノづくりをした時でも、
地に足のついたモノになっていきますので、結構重要なポイントです。

結構、周りでは軽く扱われているような気もしますが、
ここの所は、とても重要です。

他にも、人に見せたくないような配色に上がってきたものとか、
(センスを疑われますよ。。)
何とも言えない、地味なものとか(色が入っていないのではなく、
華がない配色のもの)も置いておくと、
いずれ役に立つことが多い気がします。

そんなことを言っているから、整頓できないのですが・・・
ボチボチ、進んでいますよ。

2010年07月02日

職人技。。


縞を頭の中に充満させて、製作していたものが少し上がってきました。
 →http://senpukuya5.seesaa.net/article/153232546.html

IMG_0125.jpg
『imon格子、八寸』

横の縞と縦の縞を合わせた、『格子柄』です。

通常『縞』を作る際に多いのは、経を最初から縞に染めて、
先に作っておくのですが、

この帯の『縞』はすべて横糸だけで『柄』を出しています。

よく写真を見てもらうと、
すべて細かく横の糸が通っている
様子を見ることが出来ると思います。

こんな『いつもと違うこと』をしたのは、
今回の『縞づくり』を最初から最後まで、
頭の中にあるのが、
南米を中心とした南方のものが多いからです。
(透け感のあるモノが多い)

そのために、横糸の使い方を工夫して、
縦に繋がっていないようにして、直線でも柔らかくしました。

さらに、横糸のみなので、結構色目のキツいものを入れたりと、
遊ぶこともできます。

シンプルだけに、触れますので、同じ柄でも変わった配色を
見てもらえるようにしますね(次は寒色系で)。

素材/生地的に、いらないものはすべて取り除きました。
とにかく薄く上がっていて、結びやすいと思います。


他にも、これは織り手の話ですが・・・
IMG_0124.jpg

端まで、縞を作る糸(赤い糸)が通ってます。

普通は、ここの端まで糸が来ている分、
幅は広くなるのですが、
それが最小限度に収まり、
綺麗に織り上がっています。

相当昔の八寸等を見ていると、ボコボコしているものも
あるので、この綺麗さは素晴らしい技術だと思います。

紋を作っていて、端の部分には相当の気を使っていますが、
それでもこんな上がりを見るととても嬉しくなりますよ。

2010年06月18日

ヒラメキを期待して。

京都へ帰ってきました。
大雨です。

ここ一ヶ月少々、いいアイディアを頂きましたので、
まずはこの数日で形にして行く準備をしようと思います。

アイディアをまとめている走り書きを見ていると、
新しいものもあれば、長年宿題になっているもの、
などがあって、今日はこれにかかりきりです。

帯を製作する際、見本で織りますが、
IMG_0157.jpg

その裂は必要の無いものも含めて、保管しています。
(普通の人が見て、ゴミ?と思うものも・・・)

織物別に保管している、のでこれをジーッと見ていると、
帯として立派に成長したものや、
実現可能そうだけれども、あと一歩足りないもの、
その当時の意図の分からないモノ、があります。

今の自分状態(情報が詰まった)で、これらを見ていると、
あまり高くはないですが、そこそこの確率で、
イイ閃きがあります(今回はまだです)。

午後からはそれを期待しながら、モノづくりです。

2010年06月15日

難関の配色。

いま製作中の帯で、
間違いなく思い通りに上がらないもの
『NO.1』はこのシリーズです。

IMG_0154.jpg

本当は、完成した時点で『完成です!』と
お見せしたかったのですが、ままならず。
まずは、第一段階で。

柄は『ケルティック』シリーズですが、
織り方は『秘錦』の新柄でもあります。
(この織りが難関です)

とても平たく言うと、本袋をさらに改良した、
特殊な織物です。

本袋も織りましたが、やはりそれでは普通に世間にあり、
面白くないので・・・、と思って製作したものです。

まあ、この織りは織る前の段階の紋作り、
紋彫りも大変ですし、出来た!と思っても
配色もさらに大変
です。

様々な色の組み合わせで、帯は織るものの、
この組織だけは、すべての色が影響し合うので、
一色変更するとすべてが変わり、再びふりだしです。
(頭の中が、混乱します。)

そんな柄が8柄ほど、待機中ですので、
うちのスタッフと話をしながら、進めて行ってます。

上のケルティック柄には、この織り方が上手くはまり、
元々のイメージである『(風化しそうな)石』というのが
上手く出ています。

ただ、『完成!』というまでには、
あとちょっとなんですがね・・・。

2010年06月14日

頭の中と素材の準備。


大勢の人に見てもらって、評判が良かった帯があります。

それを配色等を変更して、作っています。

あまり、経糸だけを取り上げたことがないので、
撮影しました。
IMG_0145.jpg

100m以上ずっとこの調子で染め上げています。

うちで扱う『経糸』の大部分は、
白やベージュ、グレーなどで染めた単色モノが多いのですが、
この経糸は、市松柄を少しずつ濃淡を付けています。

絣ですることもありますし、染めで作ることもあります。
イメージによって、使い分けます。

最近は外に出ることが多いので、
染めた経の打合せや、緯糸の本数を考えてみたり、
そういったところに時間を使っている時が、
一番、自分の居場所を感じられます。

他にも、この延長で縞柄に再度ハマってみようと、
今は資料から集めからスタートしています。

新しいものも買ってきたり(といっても数十年前のもの)、
古いものは倉庫から発掘したりというのも、
大事な作業の一つですが、
中には、表紙もなく、ボロボロで数ページ足らない文献も
あったりします。

そういったものの場合、今までは気を使いながら
(風化しそうなので)、扱いました。

今は可能なものは資料をスキャナで取り込んで、
いつでもiPadで見れるようにしてみたりと、手の開いた時間に
作業をしています(W杯見ながらでも。。)。

PDF資料にしておくと、色は全くダメですが、
気が向いたときに、どこでも開けるのは、
とてもとても
便利です。

とにかく、テーマに沿った資料を大量に見て触れて、
頭をそれだけにしておくと、
いつの間にか何かが形に
なっていきます。

そんなこともあって、
今まではスーツケースの半分は資料だったので、
荷物の重量的に、とても楽になりました。

また、明日から移動していきますので、その時ように、
縞の図案資料を蓄えています。。

居場所から離れたとしても、
新幹線の中が2番目に落ち着くような気がします。

今年は例年以上に、京都に留まれなさそうです。


2010年06月11日

人気とニッチの間で。

一気に暑くなったせいか、
涼し気なものがとても人気です。

うちの涼し気なものと言って、パッと思い浮かぶのが、
総紗縫、日傘、オールシーズンの小物。
IMG_0257.jpg

北海道でも、総紗縫、日傘はとてもとても人気でしたし、
まだ夏本番になってもいないのに、日傘だけの販売でみても、
今の時点で去年の倍近くなっています。
(追加で製作中)

嬉しい誤算で、オールシーズンの帯締めや帯揚げも
もう在庫がほんの少しという状態です。

0709.jpg
(今生地から織っています:夏本番ギリギリです)

本当にありがとうございます~。
夏にからんだ物は、とても人気です。

帯も小物もオールシーズンということは、春夏秋冬使えるので、
登場・出番回数も多いはずです。
当然、作り手からすると嬉しいものです。

ただ、矛盾するようですが、『この季節しかダメ』という
モノも一方で作りたい、という気持ちも沢山あります。

例えば、オールシーズン使える組織(織り方)なのに、
夏専用のモノを作りたい、というモノです。

『総紗縫の蛍』は、その典型ですし、
IMGP2837.jpg
そんなものをたまにですが『作りたい!!』という強い衝動に
かられる時もあります。。

今回発表しているヨット柄もそうですよ。。
となみ2010美しいキモノ夏号.jpg

こういう時は、柄が優しくても作っている内面は、
強い気持ちで作っています。
(オールシーズンで無くていいの?という声が響きます)

そんな風にして、出番の多い帯作りと、
そうでないモノづくりの両方に立ちながら、
毎日のモノづくりをしています。


今製作しているのは、3シーズン用と組織は幅広いのですが、
柄はそうでは無いものです。

織は、とてもシンプルなのに、
載せる柄は、全くそうではないものです。

完成したときに、
物凄くシンプルに見えて、『簡単そう』
見えるます。

ただ、そこまでに行くために、あるはずの柄や糸の使い方を
絞ったものなので、手間はとても掛かっています。

ちょうど今進めている途中なので、今からどこに
進むかはわかりませんが、完成形のイメージは出来ていて、
そこまで、一歩ずつ進めていくことにしています。


そんな帯を思いついたのは、
この柄を見ながらです。
IMGP2833.jpg
『若冲の世界より』(出来立てです。)

キッカケはもらっても
完成はこの帯とは全く違うんですが。。。

今から
モノづくりの一番苦しいところに突入していきます。。。

がんばろっと

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2010年06月04日

こんな裏地はどうですか? パズルのピース

 

ちょっと最近を風邪引いて、それが長引いています。

2日間、久々に長い時間、しゃべっていたので、

今日は特に喉がイガイガになっています。

 

話すことより、何やかんや言ってもモノを作ることの方が

好きだなぁと、改めて思います。

 

そんなことで日記の更新も、最近はぐっと減りましたので、

モノづくり頑張ります!

 

さてさて、最近製作したものの中で、作ってて自分的に面白い!

と思ったモノです。

 

こう近寄って見ると、何が何か分かりにくいですが・・・、

『パズルのピース』をモチーフに帯柄にしました。

 

IMGP2803.jpg

『紹巴織/作楽:パズルのピース』

 

まだ、見本裂段階なので、配色等は変更するかもですが、

柄や雰囲気は、ほぼ完成です。

 

まずこの柄の製作の時には、違う図案をイメージしていたのですが、

何気なしに作った丸から、この柄が始まりました。

 

こんな丸がお太鼓にぽんと一つあったら、面白いやろなぁ、

存在感ありつつ、 可愛らしさもあって・・・と思ったので、

周囲に柄を付けて、繰り返しの柄にして、 変化が付くように配色を付けて・・・

というのをしているうちに、ピースっぽくなりました。

 

それで、周囲の面取りして、『パズルのピース』に昇格!となった柄です。

 

今までとは、趣のことなったものですが、

様々な着物とのコーディネートを楽しんで結べる帯にしたいです。

 

この柄を裏地にした場合、裏を返すと『おっ、パズルのピース。』と

意外性と驚きを持ってもらえるので、とても素敵かなと思います。

 

柄の意味も、 バラバラなモノを一つに繋げる。

なかなか意味有り気で出番が多そうな面白さを持っていますね〜。

 

 

2010年05月10日

半日、紋図とケルティック。

今日は、一日静かにモノづくりです。
一つは紋図製作。

これは、『ケルティック』の紋図です。
IMG_0141.jpg

残念ながら、西陣でもあまり見られなくなった、
手書きの紋図で製作したものです。

全く何のアイディアも無い状態でも、
こういうものを目の前にして、座って眺めていると、
何か作りたくなってきます。

実はこの帯、最初の段階は、配色予定は全くのグレー色でした。
(頭の中のイメージがずっとグレーだったのもありますが・・・)

それを最後の最後で、少し銀地の掛かった
ベージュで配色しました。
R0011843_2.jpg


そうすると、紋図を見ていた思いついたのに、
出来上がりは、実際の目で見るものと違って、
フォーマル色もある上品な帯に仕上がりました。

この辺りが、モノづくりの面白い所です。


今日は、この紋図を目の前に広げて、
これを縦柄にして?斜めにするか?
大きくするか?

縦にすると、イメージ的にはこんなのかな?
等など、帯も周りから集めて・・・
IMG_0139.jpg

等々、色々と頭の中で、伸ばしたり、縮めたり、
色変えたり、色んなモノと合体させたり、としていました。

これをPCの画面上でやると、簡単そうで、
頂上まで早く到着しそうなんですが
自分の中では、面白くない帯になってしまいます。

画面上と頭の中のイメージが、最終似ていても
そこまでの道のりで、その柄へのこだわりも変わってきます。

実際は、出来までも大きく変わってきます。


今日の半日は、そんなことを含めて、
モノづくりで過ぎています。


2010年05月07日

ロゴって?

今日の日記は、あまり柄が無く・・・

今、打ち合わせ&製作中で上がってきたのは、
『ロゴ』です。

何度書いていると思いますが、
うちの帯はタレ部分に『となみ帯』と織り込んでいます。

R0010164.jpg

これは、どこが作ったのか?というのを表すのと、
製造責任として、という意味でもあります。


下のロゴは『唐長』さんの瓢箪。
織り込むことによって、他との差別化をしていきます。
IMG_8010.jpg

『本物』です、ということと、
『本物を作ります』という強い意思表示です。

となみ帯は入れずに、
『仙福屋』を入れようと思い、
IMG_8009.jpg
こういう形にしました。

南蛮七宝をはじめ、
シンプルだけにとても興味深いシリーズに
なっていきそうです。

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