となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「彩」と一致するもの

2016年03月08日

進めたいことが一杯。

 

 

ずっと頭の片隅でくすぶっていた織物【彩綾】。

最大の特長は経に箔を使っている所、いわゆる佐賀錦です。

 

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いわゆると書いたのは、通常の佐賀錦が想定しているものよりも、細密な織物表現が可能で、実際に今織っているモノも経箔の織物と気づいてもらえないことも多いです。この織物の可能性としては(当たり前ですが)横に通さなくてイイ箔が経から持ってこれること。これだけで、華やか織物の素地がありますし、他の織物と違う表現ができます。経錦とちょっと似た感じです。

 

今は、となみらしい意匠が掛かっていて、それはそれで面白いので継続します。そのラインとは別に(今の)自分の考える帯を・・・と思い続けて、それが形になりそうでならいない、と頭の中でくすぶっていました。それがちょっとした拍子で何とかなりそうな感じも出てきて、今まで製作した目出しを大量に出してきて、織物の検討を進め出しました。

 

ここで行うのは、当初意図していなかったであろう表現や色目、経箔独特の面白さを頭の中に残す作業です。
これをした後、しばらくアイデア等を寝かしていると、突然ポンと帯ができる・・・。

 

しばらくモノづくりに集中できますので、詰めてがんばります。

2015年10月13日

昨日の続き。

 


『作楽 コスモス』袋帯を持って来て撮影しました。

 

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自然を織物にする際に、そのまま図案⇒織物として作るのではなくて、織物らしさを持たせつつ、どう表現するのか?はこういう帯を作る際はいつも悩む所です。写真と全く同じであれば、織物で織る意味があるのか?とか、イメージをどの様に消化・デフォルメ?すれば帯として成立するのか?年に何度もそういう検討をして、試行錯誤していますので、成長したのか、平行移動しているのか、判りませんが、少しずつ帯にする際の表現方法は変化していっています。

 

昨日撮れた写真ですが、このまま帯にするかは置いて、花びらの透けそうで透けず、空が映っている様な透明感は何かどこかで(できれば柄で)やってみたいです。写真の帯を作った時のメモ書きを見ていると、透明感は糸同士のミックスでどこまで透け感を作れるのか?そういうことをやっています。

 

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改めて見ると、もう一度違った方法で帯にしたくなりますね。

 

 

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『京都国立博物館』

 

夕方前まで少し時間がありましたので、京都国立博物館『琳派 京を彩る』へ。『連休中はエグかった・・・。』という話を周りから聞いていましたが、今日は招待状客のみ。光悦、宗達、光琳、抱一等々。足早ではありましたが、1時間ほど満喫してきました。。。

 

2015年08月04日

こっそりと振動を与える準備中

 

まだ柄が10柄も無かった頃の総紗縫は、地色⇒白、グレー、ウコン・紅花(2つとも今は廃盤)から
はじまりました。

 

その後に、鳩羽や金茶が加わり、横段で地色の色数が増え、『彩』になって、緯糸が数多く入って表現力も
上がり、Kilim等で、さらに鮮やかな地色が加わりました。また、色数が増えるのとは違った流れとして、黒
、佐雅楽では、単色ながらも一色を突き詰めていく配色へ。と最初は4色程度だった、一つの織組織シリー
ズが多くなっています。

 

常に『もうこれ以上ムリじゃないか?』と一瞬立ち止まった時に、誰か一人の発想でその壁が少し崩れて、
後は大勢のスタッフで、壁を壊し、新しいジャンルを作る。そんなモノづくりです。今は上に上げたように
沢山の選択肢があって、その中でモノを作っていてもある程度出来てしまうので、進化するキッカケは無い
ようにも見えます。が、やはり誰かの意見、それはお客さんの要望かもしれないし、スタッフの思いつき、
もしかして、織り手のところのミス、がキッカケになって新しいモノができる。かもしれません。

 

何かあったとき、それがキッチリと拾えるようにアンテナは高く広く張っておきたいです。

 

今、一つキッカケになりそうなのが、この総紗縫で製作した半巾。

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『半巾/鳩羽色』

 

京小袋とは違い、本当に袋帯を半分にしたサイズです。
普段着、お洒落着に簡単に結んで頂ける、のでまず一本目の総紗縫(袋帯)を持っている方から、徐々に人気
が出てきているモノです。
もちろん、袋帯の配色で充分足りているという意見がほとんで、ここからモノづく
り出来そうに無いように
おもいますが、一度だけ『半巾なので、色のパンチあっても面白いと思うよ。』と意
見を頂きました。
狭い巾の中のモノづくりですので、袋帯よりも強烈な色を使っても大丈夫、なところもあり
ます。

 

今は糸を出しながら配色をしていますが、ここから次のモノづくりのタネが見つかるかもしれません。
失敗する確率の方がウンと高いモノづくりですが、今順調な総紗のモノづくりに何か振動(激震ではなくて)
を与えてみたい気もします。ので、こっそり進行させていきます(笑)。

 

楽しみにしていて下さい。

 

 

 

 

明日、明後日と一日中、着物姿の方に囲まれてきます。
またカメラを持っていきますので、お太鼓撮影に協力ください〜。

よろしくお願い致します。

 

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2015年06月01日

総紗縫のまとめみたいになりました。。

 

よく言われます。
帯ってこの柄、一本しか織らないのですか?

 

図案を描き、設計図(紋図)を作り、試織してとなると、一本のみでは採算が取れません。
時代を先走り過ぎてか、遅すぎたのか、そんな時代は来ないのか、わかりませんが、
頑張っても(苦笑)一本しか売れないモノもあります。

 

もちろんコスト面だけではなくて、一本目ではキズが多く織りなれる二本目に
安定する、という技術的なことも意匠によってはあります。

 

ずっと同じ柄同じ配色でそのまま織って、売り続けることもできますが、
となみ織物ではしたくない、新しいモノづくりして、多種の柄を世の中に発信したいと考えています。

 

そういった意味でも、総紗縫は非常に人気の織物で、売れ筋を追っかけていれば、
大変有り難いですが、同じ配色の同柄ばかりにならないように、新しいものを1柄作っては、
今までのモノを1柄廃盤としています。

 

遥か昔は、同じ帯が何百本も出た時代もあったそうなので、そんなの気にせず売れるものを
作って売ったらイイ、そう言われるメーカーもありますが、うちでは基本的にやりません。
(例外が出そうなのは、裏無地。同じ柄で被ってくることも、
 それでも意識的に避けるようにしています。)

 

そんな嬉しいような困ったような織物の代表、総紗縫。
当初のモノづくりは箔のみで織るシンプルなものでした。

そこから上記の様な新しいものを。という声に押され、モノづくりして、
大幅に可能性を広げてきました。

 

大きく流れを書くとこんな感じです。

 ☆初期紗⇒緯を入れる⇒切り替え横段⇒プラチナ箔、純金箔使用⇒蛍光糸⇒併用シリーズ『彩』

 ☆後加工としては、『汕頭刺繍』、『相良刺繍』、『竹屋町刺繍』、『スワロ』等々

 

となります。

改めて書くと、『ほーっ。よーやってきなぁ。』と感慨深いです。

 

最近はこの『黒』も定着してきて、今は『黒+』も一緒にモノづくりを行っています。

 

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『黒+』

 

はじめのはじめは、ほとんどが軽い思いつきです。

そこから作っても、ほぼ100%失敗してしまいますが、ほとんどが失敗してからの2回目で、
方向性や成功の確率が決まるので、この目出しもこれをどう持っていくか?探りたいです。

 

あまり体調が良くないので、治してからがんばります。
多分、最近の京都の気温ですね。

 

 

 

2015年03月23日

南蛮七宝文様 上から色を引く。

 

南蛮七宝文様のモノづくり。

一つの柄を追っかけて、帯の織組織や着物、小物、織り産地まで変えて、
試行錯誤を続けています。帯のモノづくりの要素としては、色・柄・組織ですので、
そのうちの『柄』の部分は切り捨ててしまったモノづくり。

代わりに残りの2つ、色と織組織には徹底して拘ることができます。

 

その南蛮七宝文様の御召は、南蛮七宝文様の着物を作り始めた際の第一号となる
モノづくりでした。経糸に三眠蚕やブラタク糸を使って製作。

ハリがあって、薄く、単衣でも袷でも選択して頂くことができ、さらに風合いから、
着物でも羽織でもコートでも。また反物の巾も広く織っていますので、男物も可能という、
南蛮七宝文様に興味をお持ちの方には、抜群の広い用途をもった着尺です。

 

その反物を今回は引き染めしてみました。

 

通常、あまり先染めの無地では行わないことです。

御召入れた極彩の縞や織物の凹凸に染料が入ることで、文様と合わさって一体どうなるのか?
(ちょうど羽織も欲しかったので、失敗したら、最悪自分で着よう。と)

 

製作したものがこれ。

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『南蛮七宝文様/先染め+引き染め』

 

元々ある縞に染料が入り込み、その縞が潰れ消えたり、表に出たりしながら、
奥行きができました。また、地に入っている元々の色が上から引いた色とで
干渉しながら、複雑な色になっています。

 

文様も写真のように浮いたり沈んだりします。

 

ただいつでも良い感じに上るとは思いませんので、偶然にも多少頼りながら、
着物を作る。そんなモノづくりです。

 

出来が良かったので、かえって自分の着物にしたくなってしまった、
そんな反物です。

 

 

2013年04月30日

帯地の小物。

 

総紗縫という織物は、『紗』という織り方ですが、

特殊な織物ですので、普通の織物の機では織れません。

 

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『彩/総紗縫』

 

特殊な装置に、職人の特殊な気の使い方が必要な織物です。

ほとんどの織物も特有のクセがあるので、この紗だけ難しいとは、

言えませんが、違うのはどれだけ慣れても、素材の箔と綟りとのバランスが

上手くいかないと、熟練の職人でもキズ物を出してしまう所です。

 

おそらく社内で一番難率が高いもので、ずっと綺麗に織れていて、

最後の最後で僅かにキズになったものなど、本当に勿体無いです。

 

そういう生地は、鼻緒やバッグを作っていますが、

丸巻きや反物の段階のものにハサミを入れるのは、今でも緊張と心が痛みます。

 

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生まれ変わったバッグを見て評判が良いと、

嬉しいので、その帯地にハサミを入れる感覚と、緊張感は持ちながら、

これからも作っていきたいと思っています。

 

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『総紗縫バッグ/ダテ』

 

キズ物がでなくなれば、

おそらくこういうバッグなども作る頻度が減ります。

 

その『良い物作らないと。』と思う緊張感も必要かな・・・。

 

 

2012年11月26日

彩。。

 

最近人気の総紗縫『彩』です。

その彩も最近はこんな色が織り上がって来ました。

 

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『彩/総紗縫』

 

ゴールデン千鳥と同じ箔を使っていてますが、

やはり箔を上から糸で抑えていますので、渋く中から滲み出てくるような

色目が特長です。

 

最近は、この柄をはじめ大柄が総紗縫に増えてきましたので、

こちらはこちらで、負けずに小柄を中心に製作して行きたいと思います。

 

明日からは柄作りに力を入れていきます〜。

2012年11月20日

雪の札幌

 

雪の札幌に来ています。

これから紅葉が始まる!という京都からだったので、

寒い寒い。。風邪を引かないように防寒しています。

 

昨日は一日準備でしたので、帯と着物を並べていて、

これいいな〜、と思ったのがこんな組み合わせ。

 

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『花織御召×木花+純銀帯留め(石付き)』

 

帯の中にブルーを入れて配色していて、もともと石のブルーとの相性も

良いのですが、さらにポツンと利き色になっています。

 

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『縞御召×総紗縫/彩+純銀帯留め』

 

こちらは上とは反対に、シンプルな帯留めをアクセントに。

洒落感の中に、小さなシルバーが入るだけで、全体のイメージの格がUPしています。

 

という風に準備をしながら、楽しんでいます。

今日も予報は雪らしいので、室内で色々組み合わせてやって行きたいと思います。

 

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2012年10月11日

泡いれてみました。

 

総紗縫のモノづくり、メインは『』シリーズで進んでいて、

色糸を上手く入れて華やか且つ上品な方向に進んでいます。

 

もう一つ、それとは違う方向で進めたいのが、

総紗縫・黒

 

以前も出てきましたが箔を黒に染めて、糸使いもベースの部分で変えた、

シリーズです。

 →http://www.kyo-tonami.com/godaime/2012/09/post-1754.html

 

今回は経糸の上げ下げで少し調子を変えて、泡がプワプワと生地の中に

入ったように紋をつくりました。

 

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『総紗縫・黒/対の月』

 

特殊なもじり織なので、下に置くとこの泡は沈んで、このように立てる

(お太鼓の状態になると)、動きによって泡が浮かび上がります。

 

このような感じで総紗縫の支流は、織りの面白さで、

こつこつコアなモノづくりをしていきます。

 

 

 

 

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2012年06月28日

総紗縫『彩』と白大島

 

これもまた結ぶと何倍も素敵になる帯です。

 

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『総紗縫/彩 × 白大島』

 

糸菊の大部分は『箔』で織り、全体像を作っています(静かな影部分)。

反対に中心部分には糸を入れ、ボリュームを出して、広がりを付けています。

(動きの部分)

 

丸巻きの状態では感じられなかった、ホワ〜っとした動きが、

横段と相まって、動静のある面白い柄になっています。

 

 

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このコーディネートの場合、お腹部分には静かな部分がメインに出ていますので、

色の付いたモレッティの帯留めで、アクセントを付けています。

 

自分で製作したものではありませんが、シンプルかつ練った糸使いは、

とても学ぶところの多い帯になっています。

2012年01月25日

着物姿を三つばかり・・・。

 

昨日は名古屋に一日行って、着物に囲まれていました。

沢山、となみの帯を結ばれている方がおられたので、

一瞬立ち止まってもらい、パチリと撮らせもらっています。

 

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『紹巴織/作楽;投網』

 

 

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総紗縫/光彩』

 

 

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『経錦/漢錦

 

皆さん、着物と近い色目のコーディネートをされていましたが、

帯や帯締めのどこかに利き色を入れて、上手くまとめてられていました。

 

コーディネートで合う合わないという声を良く聞きますが、

それよりも、その時一瞬の帯・着物、帯締め、帯揚げなどの

組み合わせを楽しみたいですね〜。

 

 

2008年07月09日

経の織物、作り。

『今は、経の織物を製作しています。』

と書いても、『経の織物』というのが
分かりにくいかもしれません。
(大きく分けた織物の中では、経錦といいます)

まず、基本的に織物は、経の糸と横の糸(緯糸)
とを使って織ったものです。


そして、織物の『表面』には
経糸・緯糸が交互に出てくるので、

もし、経糸⇒、横糸⇒の場合、
織り上がりの見た目はグレーになります。
(黒色+白色=グレーのような感じ)

これが原則。
(厳密には、糸質等々により大きく変わることも・・・)。


そして、
となみ織物内で主力となっている紹巴織は、

緯糸で経糸を包み隠す織方なので、
上の黒白の例で
いうと、白色になります。

そして、今製作しているモノの場合。
ちょうどその反対の、『黒』になります。
(ただし、経糸に数色使えるので、ただの一色ではない。)

言って見れば、経糸が
帯全体の色目を決める織り方(組織)です。


横糸(緯糸)で色を出す最大の特徴は、
色が調整し易く、
様々な配色をし易いところ。

その代り、何も考えずに設計図(紋図)を書くと、
帯が、重くなり結びにくくなる。

経糸の織物だと、とにかく余分な糸は通さないので、
軽く薄くなる。その代り、多彩な色使いをするには、
頭を捻ってひねって、作る必要あり。

と、全く正反対の織物です。


もちろん、
モノづくりする時もその織方に合わせて、
頭の切り替えをしながら、
製作していきます。


そして、まず一柄目は
『太子間道:たいしかんどう』という柄です。


聖徳太子に由来を持つ、
柄と言われていて、、

千年以上歴史を持つ、定番中の定番のモノです。

ただ、配色をグレーベースに配色をすると、
千年経った今でも新しい感じを受けます。

経錦 太子間道

もちろん、経の織物なので、

『とにかく手に持っただけで軽く感じ、
結び心地も素晴らしい~!』

と評判を頂いてますので、

今後大きな期待を持てる織物です。

経糸が擦れ合って、
絹ずれの音が鳴る、ということから、
名前は、『鳴錦(なるにしき)』といいます。

ぜひ、音を聞いてもらいたい帯です。

それと・・・

昨日アップする予定だったのですが、
京都の七夕の空は・・・

夜空
分かりにくいですが、雲しかありません。。

記憶の中で、
七夕の夜が晴れた記憶が、
ないなぁ?



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