となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 報告

2015年09月07日

緑・緑・緑・・・。

 

京都へ戻ってきました。また再びモノづくりに戻ります。関東方面へは久々だったので、また違うヒントをもらいましたので、それをどういう形にしていくか?検討を重ねます。

今回、印象に残ったのは色。今までそんなことはなかったのか、もしかして気づかなかったのか、わかりませんが、緑・グリーンを好まれる方が多かったです。赤系ほどでは無いにしても、そこまで多様せず、どちらかというと避けてしまう色の一つです。だから、となみの帯がずらっと並ぶと、麹塵染のグリーン系が目立つのか、と書きながら納得してしまいます。

 

この辺り、モノづくりに活かそうと緑・緑・緑と考え頭の中で回してみると、先日紹介した【南蛮七宝×信夫】の袋帯。その流れで染めた(これは見本)ショール。等々が思い浮かびます。

DSC06454.jpg
【南蛮七宝文様×信夫×光悦蝶】

 

IMG_1348.jpg
【ショール色見本】上記南蛮七宝文様の地部分を参照に染めました。

 

モノづくりの大前提は、柄作り⇒配色です。それを反対にして配色ありきのモノづくり。緑っぽい柄?できるか、どうか判りませんが過去の柄帳、図案庫とを『緑・緑・緑』と唱えながら、見て行きたいと思います。今のイメージとしては、この色をそのまま使うのではなくて(これはこの帯の色にピッタリですし・・・)、どの方向に振るかは判りませんが、アレンジしながら、グリーン濃淡の帯。以前製作した『作楽/サマルカンド』の柄の様に、作れればとおもっています。

 

2015年08月31日

間に合った帯。

 

今は名古屋の古川美術館に展示されている袋帯です。

DSC06454.jpg
『南蛮七宝文様×信夫×光悦蝶』

 

11代目より作品を見せて頂いて、全てを置いて最優先で取り掛かった帯です。正直、8月29日初日に間に合うとは、とても思いませんでしたが(上がってきたのは28日夕方・・・)、帯巾におさめるための検討からはじまり、図案⇒紋作り⇒配色⇒試験織とほとんど無駄なく進みました。寄り道の多い普段のモノづくりも、その寄り道過程で新しいモノのキッカケになることも多いので、今後も止めるつもりはありませんが(笑)、最短のルートを真っ直ぐ突き進むモノづくりも悪くありませんね。

 

実際美術館へ運び入れて展示させて頂いたのは、お客様がおられる中でしたので厳密にいうと間に合ったか、と断言するのはとても微妙ですが(苦笑)・・・。

 

帯を織り上げた後、当然検品を行います。それから、写真にある通り光悦蝶の刺繍を施しました。元々の11代目作品にはプラチナの箔で光悦蝶がそっと置いてあります(これはぜひ作品を見て頂きたい。)。ので、同じ様にプラチナ糸(通常の糸よりも随分太い)を使い、京都の職人に刺繍を依頼しました。裏糸を避けながら、通常よりも太い刺繍糸を使っての苦労は・・・。そんな話もありますが、それは別の機会で・・・。

 

 

スクリーンショット 2015-08-31 16.29.34.png

何回も言ってしまいますが、妥協無く当日間に合って本当に良かった。今でも間に合わなかったら、と考えるとゾッとしますので、とにかく今はホッとしています。あと言えることは、ぜひ11代目の作品に囲まれた、この雰囲気の中でのこの帯を見て頂きたいです。

2015年08月21日

『蝶千種 その3』

 


お盆前に紹介していた『蝶千種』。 
この一本があがらないと、次柄の紋つくりへと進めないので、できるだけ急ぎで丁寧に、織ってもらったもの。上手く、完成すれば、これが『神坂雪佳 蝶千種』シリーズの基準になる一本です。 

 

DSC06316 (1).jpg
『神坂雪佳の世界 蝶千種』(色が出なくて、すみません。)

 



配色は織りではホント出しにくい、雪佳らしい中間色。染料のように、ほんの僅かな差で地色の印象が変わってしまうので、合わせる糸同士に最大限の気を使います。また、僅かな地色の差は上に乗る蝶々との相性も変わってきます。がらがシンプルな分、ここを大切に微妙なさじ加減をしています。


以前、これに近い色を作っていた時も(それもやっぱり雪佳でした)、ずっと地色を決めきれず、そこで一週間以上中断。決まってからは、複雑な柄なのにトントン拍子で上手く行ったこともあります。

 

写真では色々と調整してみましたが出ず。そこにあまり時間を使い過ぎるのも微妙(苦笑)な感じがしました。そんな色には困った帯ですが、次は裏地を。そして仕立てた後はもう一度撮影に、がんばってみます。 
 

 

 

2015年08月20日

きものsalon掲載【本袋&南蛮七宝文様】

 

一日中唐長さんにお邪魔して(リンク)撮影を行ったものです。
 ⇒
http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/07/post-2178.html

 

 

本袋広告
【きものsalon掲載】 

 

ずっと前から、やりたかった事の一つ、南蛮七宝文様の持つイメージを高めるともに、歴史、本物が伝わる写真で広告を作る。えらく時間は掛かりましたが、今回上手く行ったんじゃないかな?と。



もちろん、主は本袋の帯です。今後となみ織物の中心の織物一つとして、成長して欲しいから、敢えてここで使いました。ただ、陰ではこのページが今後の南蛮七宝のイメージ写真になりそうなので、うれしく思っています。今月末からは、今までとは違うところで展示も行ったりと、少しずつ着実におもしろい方向に行っています。

 

2015年08月19日

中日の本社展示場。

 

本社展示場は、帯100%、約2500~3000本を常時陳列しています。着物好きその中でも、となみ帯ファンの方はこの展示場の真ん中にテントを持ってきて一泊したい(笑)と言われた方もおられます。またそんなに着物に対して興味を持たれていない方でも、職人の拘りで一本ずつ作った織物がここまで並ぶと、流石に、すごい!と感動して頂けます。

 
その展示場、年の内ほとんどはベーシックな陳列です。

 

DSC06217.jpg
(この調子で壁面ずらーっと帯です。)

 

ただ、この中から一本の自分帯を見つけて、『はい購入』というには、全くふさわしくない場で、この業界の流通とかの話を置いておいても、帯のプロで無いと選ぶのは難しいと思います。

帯見をするには最適です・・・(笑)。その本社展示場の大幅な入替えを行いました。しかもその期間は昨日からの3日間の限定。

 

DSC06214.jpg


年に何回か行う展示も通常なら少し並べ方を変え、新作のコーナーを作る程の変更です(プロ相手なので)が、ここまで着物を入れたり、小物や帯を並べていくと・・・。来られる問屋さんがいくら帯問屋(プロ)だとしても、やはり帯以外の商品にも見入っておられます。流石に帯以外の仕入れはありませんでしたが(笑)、なかなか見られない光景でした。

 

そんなことからも、今までの帯のモノづくり、商品づくり以外にも、場所作りや空間つくり、見せ方も工夫と改善が必要だな、アタリマエのことですが、つくづく実感します。メーカーなのでそういうの上手くない、そんな言い訳も通じたようなどうなのか判りませんが、今まではある程度通っていました。今後は改善します。ホントに今回でもつくづく感じました。

 

いきなり、この帯だけの大きなスペースを『こう!』というわけには行きませんので、まず一歩を踏み出す意味でも小さなスペースから始めようと考えています。作家ごとや織組織ごと、テーマごとなど。それでも、うちには山ほどネタがありますので、丁寧に一つ一つ掘り下げる感じで作ることになりますし、いい機会ですね。

 

この3日間が終わると・・・。

新しく違った形に展示場を作ろう、とするのは楽しい行為になりますが、この数日終わった後、楽しいスペースを元通りの形にする・・・。なかなかこちらは気持ちと骨が折れますね(苦笑)。そう遠くないうちに、毎月こういった形で場所作りできるようにしていきたいです。

 

 

 

2015年07月28日

扇子作り−1

 

扇子を作る工房を探していたました。
ほぼ来年用のモノづくりで、今年僅かに間に合えばイイ。そう思っています。

 

今までと異なった工房で製作を依頼する。
そのためには、和紙や布とは厚みも特徴も異なる帯地のため、
まず見本の製作をして頂きました。

 

できる限り薄い帯地、裏に糸が渡らない、それでいて扇の形にした際、
面白みのあるモノ。それを念頭に置いて、柄、生地探しを行っていきます。

 

それと並行して、まず一本目に製作。生地には南蛮七宝文様を。


DSC05562.jpg

あくまでこれは見本なので、非売品です。

 

以前の工房でも職人さんに言われていましたが、
『着物地よりも(生地の厚い)帯地ではムリやろ?』。

 

今回も、その言葉を総紗縫は乗り越えた様です。
本当に有難い、織組織です。

 

2015年07月24日

輪宝文様・完成しました。

 

昨日は座る暇なく、一日京都の歴史の中にいました。
聞く話、全てが100年単位の話でしたので、いかに普段歴史の中で生活と仕事を
しているのか、こういう時に気付かされます。

昨日の唐長さんでもそんな話が出ていました。
中に入ってしまい、それが日常になってしまうと、それが自然になってしまうんだなぁ
とこちらでも感じさせられました。

 

さてさて、ここしばらくは唐長モノづくりを取り上げることが多く、
それ以外はどうなっているんだ?思われるかもしれません。

でも、今日もその唐長柄の袋帯です(苦笑)。
そこまでやって、やっと一柄・・・。以前、紹介していたモノですので、
見られた方もあると思います。

からかみの色を織りで再現するとともに、織での陰影を織組織で出そうと、
意匠図段階ではもちろん、配色での糸使い含めて、改良と工夫をしました。

 

写真では少しくらいの変化にとどまるかもしれませんが、実際に見た質感は
段違いに変わりました。色の透明感にしてもホンの0.数ミリですが、糸を合わせる
ことで、随分と変わります。

でも、これは実物を見て頂かないと、判りにくいところかもしれません。

 

そんな修正を加え、完成した輪宝柄です。
 

L1891043.jpg

 

 

L1891050.jpg

 

裏に関してもギリギリまで、白の白さと透明感を保つために、
この裏地に使う色糸同士のバランスを調整しました。

 

この二つが両面になった袋帯。

素敵なできだなぁとシミジミ、個人的に感じましたが、皆さんの反応も楽しみです。

2015年07月21日

サーカス  ver1

 

 

先月のモノづくり続き。

少々ふらつきながらの出社ですが、
遠くから見て気付く個性的な柄がありました。

記念すべき、一回目の目出しです。

funa.jpg

 

ただし、遠くから見ると非常にいい感じでしたが、
近くから見る完成度からすると、失敗です。

全体的には悪くないですが、細部を見るとう~んと思う箇所が多く、
配色の問題でもありませんので(配色にはもう少し薄く、緑を加えたいです)、
再度、意匠図から手を加えていく予定です。

つまり、やり直しです。

 

一番の失敗は、やはり急いでしまったこと。反省です。
元の作品と自分のイメージをギリギリのところを合わせて、ここで行けると
思っていましたが、暈す部分の詰めが甘く、織りの限界が見事に出てしまいました。
(ココが腕の見せどころなのに・・・。)

もう少し織と配色とで、工夫した紋を作らないとな。。。
と反省です。

 

ビシッと一回で決めるつもりだった柄でしたが、少し立ち止まって。
今回上がってきた試験織りを元に、もう少し異なる配色で織って、
そこで上がってきたモノを元に修正を少しずつ加えて、完成させていく予定に
変更します。

 

IMG_0978.jpg

 

希望的観測を沢山加えた予定には、間に合いそうにもないですが、
当初予定よりは早く完成できそうですので、今度はジックリと作りこみをしたいです。

 

周りからは、『いや悪くないとおもうけど・・・』。そんな声も入ってきますが、
元に戻すのは難しくないので、まずは良くなる様に修正したいです。

 

 

3日間全く外出せず、大人しく寝て過ごしました(iPhoneの歩数計で300歩くらい・・・)。

そのお陰か、今日は随分と扁桃腺の腫れはマシです。

今週はイベント事が盛り沢山なので、無理せず早寝を心がけます〜。


タグ:

2015年07月14日

やり残しの優先順位。

 

忘れていなくて、いつかやらなくてはイケない、そう思っているモノづくりが
数多くが残っています。後にしたから、優先順位が落ちるモノ、そうであれば、
まだ良かったと言えるのですが、そこまで上手く出来ていませんで、今すぐに
しなくては!そんなモノづくりも手元に眠っています。

そんな資料は定期的に決まったやり方で見直さないと、後から大きな後悔になるので、
自分の仕事の棚卸しとそれに基づく優先順位の組み替えは、とても大事な仕事です。

 

そのため、今回は紙資料とEvernoteにある大量の走り書き、これまた大量のクラウド上の写真を
当たっていきます(今回は7千枚程度です)。ほんのちょっと前から考えると、簡単に残せる分、
当たらなくてはいけない資料は何倍にも増えてしまいましたが、すり抜けてしまうアイデアも
補足できる様になってきましたので、ホント便利で助かっています。

 

そんな資料の山を今は掘り返しています。
出てきた案はパズルみたいに幾つかを引っ付け、新しい形に整えて、モノづくりできる様にします。
また、その時に端数として残ったものは、キッチリと何に使ったか、なぜ今回は使わなかった、
使えなかったのか?付記して、資料の山に再び沈めておくと、いずれ役に立つことが多いです。

とそんな仕事をしていきます。

 

資料の山を開けるまでは、どーんと気が重い。
そんな仕事ですが、一度手を付けると(だから無理にでも定期的にします)相当楽しい、
しばらく机の前から離れなくなるほど、の仕事です。

 

今日見つかったのは総紗縫群。
【黒】シリーズは、上の様に資料の山の中から出来たモノづくりですし、その時の端数を集めて
膨らませて、製作した五線譜柄のモノづくり(一本目製作はトト神)、それが止まっています。

汕頭や相良刺繍(こちらは刺繍で柄を際立たせるモノづくり)とは別に、
こちらは刺繍で意匠自体を作ってしまうモノづくりです。

 

 

L1890697.jpg
『黒シリーズの音符&五線譜柄』

 

今見てみると、製織した反物数以上に、この柄の上に刺繍やその他で載せるアイデアの方が多かったので、
まずどこから始めるか?が問題です。
(そこまで練っていたのに、止まっているのはなぜ??そんな状態です。)

 

総紗縫だけで、数日掛かりそうですが、どのモノづくりのタネも
半年ほど寝かしてあっただけあって、その分良いモノが出来そうな気がしています。

2015年07月11日

8月20日頃発売です。

 

京都は祇園祭の鉾立も始まり、この辺り(四条室町通りを上がった所)はざわざわ
してきました。この期間は車は通れないし、ガレージからも出せないし、しかも
後祭りも出来たので、さらに期間が伸びて・・・。と不便はありますが、それでも
祇園祭は祇園祭。良いもんです。

 

京都の中心街、業界でいう室町問屋はこの祇園祭に合わせて、展示会もしくは、
お休みとなりますので、その川上である、西陣のメーカーの祇園祭期間は相当に
静かになります。

 

この時は秋に向けて、または来年用のモノづくりを集中してできる時でもあります。

 

先日、まだラフですが、次回のきものsalon案が上がってきました。
どこかでも、案内しましたが、次回はこれからとなみ織物の製作する帯の核に
していきたい、『本袋』をメインに据えたモノです。

 

しかも、予想を遥かに超え、おそらく皆さんの予想も超え、今までとは方向性も全く
ことなる仕上がりになりそうです。

 

こちらからの案、デザイナーとの摺り合わせ、撮影当日のカメラマンの構図、
全てが予想外だったかもしれない『本袋』稿。今日もそのラフを見ながら、
周りに見せながら、考えていました。

最終の入稿まで打ち合わせをしていきたいと思います。
 

火曜日から少しお休みを頂くので、グッと詰めて頑張ります〜。

前の10件 1  2  3  4  5  6

カテゴリ

バックナンバー

  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介
  • 仙福屋宗介

となみ帯

Facebook

LINE@はじめました
友だち追加

新着記事

五代目日記2冊目は、こちらです。 ⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime2/…

今日が2016年の最終営業日でした。この一年、本当にあっという間でした。 年末のモノづくりは抑え気味と言いながら、今年も最後…

来年に力を入れていきたい、襦袢があります。さざ波の様な細かなシボが、生地全面に入った、手触り風合いの優しい白生地を使います。(生…

2ヶ月に1度位の割合で着物姿を撮影しています(前回は月心寺)。今回も本社向かい、徒歩3分圏内での撮影でした。 天候は曇り、たまに…

今年中には間に合いませんでしたが、間もなく完成の帯揚げです。 帯の意匠を使い、帯揚げらしく修正を掛けた図案の段階です。 ここから…

携帯サイトのご案内

QRコード

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...