となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

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2015年05月10日

気がつけば本業化です。

 

昔は堂々と本業外と言えた(笑)のに、今は完全に自分の仕事の一つ『帯締めの色出し』。

=帯締めの配色です。

 

となみ織物=(ほぼイコール)仙福屋の色を出して行きます。
基本的に帯を配色する際の糸棚の色を使い色出しを行いますが、帯(や着物)の中に入っても
埋没しないモノ。それも色出しするときの視点として、重要です。

 

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これは秋用の『小田巻き』の色見本。
今までの色を見ながら廃盤色にするのか?新色を加えるのか?
今製作中の帯等をイメージしながら、色を置きます。

 

『時代の流行に合わせた』と言葉でいうと簡単ですし、実際に言う方もおられますが、
そんなモノはどこを探してもありませんので、今の帯に具体的に合わせ易い保守的なモノを作りつつ、
それと同じくらいの割合で、今後合わせて行ってもらいたい、少し冒険心を出したモノも一緒に
考えていきます(以前の国旗帯締めみたいなもの)。

 

一つ考えているのが、となみブルーの小田巻き。
となみブルーの入っていない帯地にも、となみブルーが足せる(笑)そんな帯締めです。

そんな単純な動機だったのですが、周りの着物を良く着るスタッフに言ってみると、
相当評判が良かったので、外郭はそういう感じで、あとはもう少し練って(そこが大事)、
進めていきたいと思います。

 

この帯締め作り、一旦発注を掛けると、忘れた頃にしか今は上がってこないです。
職人が少ないためですが、どんどん作れなく、無理したモノづくりもし難いので、
寂しいですが、出来る間は最大限やりたいです。

 

今後のことももちろん考えないとダメですが、いま現在出来ないわけではないので、
進めていきます。

 

おそらく発表は夏末かなぁ。。。

2015年05月09日

次はこの二つ。

 

帯の柄を着物にそこまで詳しくない、
ただデザイン関係の方に見て頂く機会が最近とても多いです。

 

そこでは、典型的な和柄に関しては『素敵』で終わりますが(『古臭い!』ではないので有り難いです)、
シンプルなモノ、例えば裏無地に近いシンプルなものなどは、『洋に持って行きたい。』
と、かなり真剣に言って頂けます。

常にそこには『帯だけでは勿体無い』とい気持ちが有るようです。
(帯屋としては微妙なところもありますが・・・、喜んでいいですよね?)

 

コラボ的な話も頂いていますので、どう進むか分かりませんが、
一生懸命モノづくりを続けてして行きたいと思います。

 

帯揚げへ

 

自分たちもその『帯だけでは勿体無い』部分も感じる所が、確かにありますので、
少し前から、和からは離れない程度で、帯揚げの意匠にもしています。

 

以前製作した『上品綟』の意匠を使った帯揚げです。

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帯揚げの常識に近づけるのではなく、敢えて修正せずに帯の意匠のまま作りました。
そのため、その道のプロ?からは常識外なところも多く、どの方面から見ても面白い帯揚げに
なっています。使う人にとって興味深いモノに仕上がればそれで充分ですが、作り手からの
評判も良い越したことはないですよね。

 

 

次は・・・

今、予定しているのはこの2つの柄。

元は両者とも紹巴織の裏地意匠です。
シンプルな上げ方にはなっていますが、その分配色のメリハリが活きやすく、
思い切った配色で行く予定です。

 

IMG_5286.jpg

 

ただ、問題が一つ。

夏物なので今から型を作って(写真はその元となる図です。←帯そのままです。)、
配色をして、染めに入るのでどの時期に上がってくるか?

 

寒い間はどれだけ頑張っても配色が多少抑え気味になるので、思い切ってするには、
暑い日がせめて一日は必要です。。。

 

救いは生地は用意済みなので、なんとかなるかな〜。

 

2015年05月08日

何度目かの『味とキズ』

 

『味とキズ』
モノづくりをしていると常に問題となり、毎日の様に話に出てきます。

 

天然繊維を使うと・・・、特にうちではほとんどが絹です。
 

『シルクの肌当たり、光沢、発色、風合い、高級というイメージ。』

大変素晴らしい素材です。ただ、お蚕さんが糸を吐き出来た繭を使い、
糸を紡いで作るものなので、化学繊維とは比べれない程、糸には太細が付いています。

 

それを使い生地として帯や着物、などの『生地』を織ると、味とキズの問題は
常に生じます。

 

どれだけ頑張っても、おそらく『全くなんの問題も無いというモノ』は、作れません。

では全てそれを理由にするのか?となると、粗悪品が増えますし、技術は良くなりません。

 

簡単に言ってしまえば、『味とキズ』の問題はその間となるわけですが、その点について
先日、ある方からご意見を頂きました(その方ご自身の作品への考え方です。)

 

確固たる技術があり、そこに拘りと、自分の作品へのプライド。
そこに魂を込めたモノづくりした後のモノは、キズではなくて、それは『味』。

反対に全く味も何も無いモノは、面白みが欠ける。

 

いつもモヤモヤしていた所でしたので、なるほど。
と感じさせられました。

 

 

今日まず第一弾が上がってきた『南蛮七宝文様/帯揚げ(夏)』。
 

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『南蛮七宝文様/夏単衣帯揚げ』

 

 

以前はどうしても全く同じものに上がらない。
という意味の『難もの』が多く、困っていました。

 

ただ今回上がってきたものに関しては、そういう意味の難ものが大幅に減って、
一つ一つ生地へ向かわれる職人のプライドと気合いを感じました。

随分前から依頼していたので、やっとですが、
『納期は分からん。』と言われた意味がよく分かりました。

 

 

それでも数枚はどうしようも無いモノも上がってきます。
 

今までの過程を知っていて、ここまでしていたことを考えると、
この数枚のどうしようもない所が、味に見えてきます。

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2015年05月07日

帯地が負けないように。

 

モノづくりする際、新しい織組織ができ一番最初の試験織り。
または新しい考え方で作った地紋が非常に上手に行ったとき。

その際の帯地裂が無地だったとしても、触るのを躊躇ってしまうほど、
綺麗・美しいことがあります。

 

帯は建物を建てるように、地面の『地』から始まり上に積み上げる発想で作ります。

だから、その地面の地部分が上手く行った時は、その上に何でも建てれそうな気になり、
(ちょっと無理しても地盤は大丈夫。)テンションも上がります。

 

今回は帯地ではありませんが、このホースヘアーの白を見た時、
そんな上手く行った時の無地を思い出しました。

 

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『ホースヘアー/白』

 

何を作るかは、簡単に予想されそうですが・・・。
楽しみにしていて下さい。

 

当然、帯地を交えてのモノになります。
帯地が負けないように。

大きな変なプレッシャーを感じながら進めていきます〜。

 

 

2015年05月06日

GW4日目

 

明日から再始動です。
懸念だった資料整理も随分捗り、今年のGWはボケずに済んだ様です。

 

明けてから進めたいのは、唐長さんとの深化したモノづくり。

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今まで、実験、試作は山ほど製作しましたので、それの再検証だけしても、
相当な新商品が作れそうです。その一つがこの生地。

 

ベースは御召ですが加工、長さによってはストールにすることもできそうです。
まだ、しぼの付け具合やそれと連動する巾などには、検討の余地が沢山ありますが、
今の段階でも見せる方皆さんに『イイ、欲しい!』と言って頂けますので、
ここらから再スタートしても面白いかもしれません。

 

南蛮七宝文様の一つ意匠だけとっても、紹巴織、二重織り、経錦、経紬、しぼ等
あり、それぞれ得意とする色、配色があり、風合いがありと、これまた検討する
余地が沢山あります。

 

早いこと手を付ければ早いこと進む、明日から頑張ります〜。。

2015年05月04日

 

GW2日目。

持って帰ってきた資料の整理をしようと、ザーッと写真を開けると・・・。
(Macの『写真』です。)

 

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『南蛮七宝大島紬+漢錦(経錦)』

 

まずこれに目が行きました。

おそらく南蛮七宝、最後の大島紬『割り込み』バージョンです。

絣が特長になり、様々素晴らしいところがありますが、
この着物はトントンと織っているリズムもイイ(とても分かり難くて、すみません。。。)です。

 

全て織り終わるまで、まだ一年は掛かるので、それまでに奄美へ行って
製織を音とともに撮らせて頂きたいと考えています。

 

それは置いておいて、上の写真はこの反物が上がってきた際に
何色を合わせよう⇒この着物をイメージしてどんな色の帯を作ろう?と
撮ったモノです。

 

それで選んだのは、紹巴織でも二重織でも、総紗縫でも無くて、
経錦の緑。経て出しの織物ですので、色が緯で織ったものよりも生に近い、
新鮮な?緑色です。

 

もちろん、これ以外にいろんな色味にコーディネートできますが、
敢えて、ムリしてでも自分が合わせてみたかったモノです。

スッと馴染んでくれたので、色に関しては問題なく、この反物からキッカケもらった、
イメージを膨らませて、そんな柄を考えて行きたいです。

 

筬を打つ音を聞きに行けばイイ図案ができるかもしれませんね~。

 

そんなわけで、ほとんど入り口で止まった整理でした(笑)。

2015年05月03日

4月のNO,1

 

メルマガには毎月一回コーナーとして取っているFacebookランキング。
帯中心にコーディネート、草履や帯揚げ等の小物、などそれの総まとめです。

 

沢山、いいね!を頂いたからどう。そんなことはありませんが、
数多くの人から見て頂き、興味を持ってもらえるのは、嬉しい事です。

 

先月はこのコーディネートが一番人気でした。

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『4月のNO ,1』

 

しばらく図案⇒紋図にした段階で、すぐに織ることなく倉庫に寝ていました。
多分、良くない柄だからではなくて(それだったらそもそも作りませんし)、
今織らなくても良いだろう。そう思った柄でした。

 

それが今回はこんな良い評判を頂いています。
こうなると、不思議と柄も輝いて見えてきます(笑)。

 

自分たちが『良い帯できた。』と考えるモノと、結んだ際や実際手にとられる方との
違いは、常々感じますが、こうやってある程度数字として出てくるのは、面白いことです。

 

今日頂いたコメントに、『着物は着ませんが、となみ織物さんを見て、柄がとても好きです。
〜その国の良いものは、必ず伝えていかなければいけませんね。』とありました。

その通りだと思います。

去年は年末以外、基本的に毎日一つ、となみ織物情報をUPしていましたので、
今年も続けて発信して行きたいと思っています。

 

2015年04月28日

今から京都へ帰ります。新潟→京都

 

無事新潟の仕事も終わり、今は京都へ帰る車の中です。

 

印象の残った帯としては、最近社内でも見かけることの少ない引箔の帯。
(またUPしますね。)

 

しばらくは出張の予定もありませんので、
京都でモノ作りに専念できそうです。

それでは残り5時間の旅、がんばりますー。

2015年04月26日

電話も鳴らず貴重な新幹線の時間。

 

久々の新潟にやってきました。

おそらく一年以上ぶりです。

 

京都から東京、そして新潟までの約5時間(新幹線)、もろもろ入れて6時間。
一人でほとんど電話も鳴らず、静かな時間を過ごしました。
最近では貴重な時間です。

 

今回、お伴に持ってきたのが『ウィリアム・モリス』。

 

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図案展で(特にここ数年)何かしらの影響を受けた図案を多く見受けられました。
一応経錦の参照になるか?と思って持ってきたモノです。

 

この本一冊とメモするノートで半分以上の時間は、楽しめましたし、後の半分は
3回目の『インターステラー』。軽く2時間は超える映画ですが、時間の描き方が
自分に合って好きなので、車内の時間も充実して過ごさせて頂きました。

 

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明日は、となみの帯を結ばれた方とお会いできるのが、楽しみです!

2015年04月25日

これから数ヶ月は経錦にハマります。

 

しばらくは『しぼ織』で御召緯の縮む具合と対峙していました。
次の『しぼ』に掛かるのは、少し時間を開けた方がイイので、今度は『経錦』へ。

今までのものは、ある程度は自分たちでコントロールしながら、
やるだけやって後は自然に任せていたモノづくり。

今度はかっちりとした紋の中でのモノづくり。
性質は反対くらい異なる織組織です。

 

この『経錦』=『漢錦(あやにしき)』、目立つのはこの様な大柄。
UPするととても評判の良いシリーズですが・・・、

 

10944830_824767170893403_7768276997260317473_n.jpg
 ⇒Facebook
 ⇒https://www.pinterest.com/senpukuya5/漢錦/

 

 

本当はこういった帯ばかりでなく、結構質素な(笑)柄も得意です。
少し前に『鳴錦』シリーズで製作していたモノは、モリスの静かな壁紙みたいな柄が
多く、目立つとは言いづらい。でも根強い人気のある帯群でした。

 

ここで書く自分もそうですが、この織組織はできれば柄だけでなく、結び心地に注目
して頂きたいです。触った感じは、(打ち込みも違うので)紹巴織よりも少し固く、
表面に凹凸がすくないため、紹巴織と似ている様に思われることが多いです。

 

ただ、結ぶと紹巴織の緯で柄を作るのとは違って、経てで柄を作る織物です。
どちらが結びやすい?ではなくて、結び心地の感覚自体が異なります。
(だから紹巴に慣れきってしまうと、切り替えが必要かな?)

 

文章にするのは難しいのですが、この漢錦の結び心地にハマってしまうと、
紹巴に比べて柄はグッと少ない、経錦の柄探し、もしくは新柄待ちとなってしまいます。

 

機が一台、職人も一人と、となみ織物の中ではマイナーな織物ですが、
是非、試して頂きたいです。

 

そんな風に心からお勧めしたい、織物にしばらくは自分もハマって行きたいです。
楽しみにしていて下さい。

 

明日からは、久々の新潟へ行ってきます!

そう遠くならないうちに、久々の北海道も行きたいな〜。
と企画中しています。。。

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