となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「総紗縫 黒」と一致するもの

2016年06月08日

御召作り『Kilim』 その1

仙福屋が作る着物で、夏単衣という季節を絞って制作しているモノがあります。柄的に色々と制約があって、なかなか新しいモノづくりが難航していました。『それよりも、もう一方の方を・・・。』と自分から避けていたこともあります(苦笑)が、今の時期やはり、人気が出て、毎年毎年、その人気も少しずつではありますが、右肩上がりです。

そうすると、もう一方を・・・とも言ってる訳にはいきません。案もあるし・・・。やるか・・・。
と決して嫌ではないのです(笑)が、とうとうスタートしました。

現状のシリーズにもある『Kilim(キリム)』の帯図案を活かしてのモノづくりです。

元々のKilimは織組織は『総紗縫』が中心。配色も非常に綺麗な色が多く、個性的な帯が揃っています。→PINTREST参照

それを元に作りますが、色にイメージが引っ張られないよう、頭の中はこんな風に白黒に。

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ここから着物としての柄のサイズ、意匠の方向、織りの見せ方等々を検討していきます。基本的に帯と着物の柄とは違いますので、この段階で良いと思っていたものの多くは弾かれ、再度織物として織れるのか?どこをデフォルメするか、そこを詰めて、進めます。

今日はまだ最初の段階。仕上がりはまだ先ですが、いいものができそうですよ。
一度、進めだすと、楽しくなりますが、それまでは非常にハードルの高いモノづくりです(苦笑)。

2016年03月18日

若手とのモノづくり

 

若手と一緒にモノづくりを。。。。。。。で今までも何度かお披露目しています。
今度はとなみ帯地の土台の上に刺繍を施す、その土台作りを行っています。

 

商品は【arabesque(アラベスク)】(リンクはPinterest)。
織物は総紗縫+紬の『紗楽』地で製作中です。

 

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『紗楽/arabesque(アラベスク)刺繍土台』

 

この意匠は(黒の共感で非常に分かりにくいですが)草花モチーフのアラベスク。総紗縫の仲間で、緯糸に通常の絹糸と紬を通し、綟り織りで製織したモノ。寝かすと透け感が消え、立てると透ける、総紗縫とほぼ同等。

 

この柄をベースに、くすんだ茶、極めて濃い藍、ひねたベージュを製織する予定です。綟り織の透けと紬の節とで面白いモノになるんじゃないかなぁと期待しています。ただ、若手衆は出張へ行ってしましましたので、最後の詰め部分は引き継ぎがあったつもりで(苦笑)、進めたいと思っています。

2015年08月04日

こっそりと振動を与える準備中

 

まだ柄が10柄も無かった頃の総紗縫は、地色⇒白、グレー、ウコン・紅花(2つとも今は廃盤)から
はじまりました。

 

その後に、鳩羽や金茶が加わり、横段で地色の色数が増え、『彩』になって、緯糸が数多く入って表現力も
上がり、Kilim等で、さらに鮮やかな地色が加わりました。また、色数が増えるのとは違った流れとして、黒
、佐雅楽では、単色ながらも一色を突き詰めていく配色へ。と最初は4色程度だった、一つの織組織シリー
ズが多くなっています。

 

常に『もうこれ以上ムリじゃないか?』と一瞬立ち止まった時に、誰か一人の発想でその壁が少し崩れて、
後は大勢のスタッフで、壁を壊し、新しいジャンルを作る。そんなモノづくりです。今は上に上げたように
沢山の選択肢があって、その中でモノを作っていてもある程度出来てしまうので、進化するキッカケは無い
ようにも見えます。が、やはり誰かの意見、それはお客さんの要望かもしれないし、スタッフの思いつき、
もしかして、織り手のところのミス、がキッカケになって新しいモノができる。かもしれません。

 

何かあったとき、それがキッチリと拾えるようにアンテナは高く広く張っておきたいです。

 

今、一つキッカケになりそうなのが、この総紗縫で製作した半巾。

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『半巾/鳩羽色』

 

京小袋とは違い、本当に袋帯を半分にしたサイズです。
普段着、お洒落着に簡単に結んで頂ける、のでまず一本目の総紗縫(袋帯)を持っている方から、徐々に人気
が出てきているモノです。
もちろん、袋帯の配色で充分足りているという意見がほとんで、ここからモノづく
り出来そうに無いように
おもいますが、一度だけ『半巾なので、色のパンチあっても面白いと思うよ。』と意
見を頂きました。
狭い巾の中のモノづくりですので、袋帯よりも強烈な色を使っても大丈夫、なところもあり
ます。

 

今は糸を出しながら配色をしていますが、ここから次のモノづくりのタネが見つかるかもしれません。
失敗する確率の方がウンと高いモノづくりですが、今順調な総紗のモノづくりに何か振動(激震ではなくて)
を与えてみたい気もします。ので、こっそり進行させていきます(笑)。

 

楽しみにしていて下さい。

 

 

 

 

明日、明後日と一日中、着物姿の方に囲まれてきます。
またカメラを持っていきますので、お太鼓撮影に協力ください〜。

よろしくお願い致します。

 

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2015年08月03日

渦、渦。

 

総紗縫・黒+』の中に渦柄を作っています。

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人間が作った原始的な柄の一つ(他には縞、横段、格子柄等々)で、シンプルなだけあってバリエーションも豊かです。
今までも帯の意匠として作ってきました。

 

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IMG_6381 (1).jpg IMGP6226 (1).jpg スクリーンショット 2015-08-03 16.43.37.png

 

シンプルでは無いものもありますが、作る方からすると綺麗に渦を巻いているか、強く意識して製作します。
お太鼓として綺麗なことももちろんのこと、柄が大きくなるので、、陳列の際の具合も意識します(苦笑)。

 

自分で製作のモノもまだありますし、会社的には山ほど意匠として残っていても、厭きることはありませんし、
意外にも『今自分は渦柄つくっているんだ』『渦』と意識されにくい、不思議な柄です。

他で言えば、立涌とか、七宝つなぎ、市松等も比較的シンプル柄なはずですが、渦とは同じようには行きません。

 

と何やかんや書きましたが、
一番上にある『総紗縫・黒+』の渦は(写真の様に)シンプルにモノトーンで上げる予定です。
帯留めを入れる余地も作っていますので、この帯を結びたい、そう思って頂ける方、おられると嬉しいです。

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2015年07月14日

やり残しの優先順位。

 

忘れていなくて、いつかやらなくてはイケない、そう思っているモノづくりが
数多くが残っています。後にしたから、優先順位が落ちるモノ、そうであれば、
まだ良かったと言えるのですが、そこまで上手く出来ていませんで、今すぐに
しなくては!そんなモノづくりも手元に眠っています。

そんな資料は定期的に決まったやり方で見直さないと、後から大きな後悔になるので、
自分の仕事の棚卸しとそれに基づく優先順位の組み替えは、とても大事な仕事です。

 

そのため、今回は紙資料とEvernoteにある大量の走り書き、これまた大量のクラウド上の写真を
当たっていきます(今回は7千枚程度です)。ほんのちょっと前から考えると、簡単に残せる分、
当たらなくてはいけない資料は何倍にも増えてしまいましたが、すり抜けてしまうアイデアも
補足できる様になってきましたので、ホント便利で助かっています。

 

そんな資料の山を今は掘り返しています。
出てきた案はパズルみたいに幾つかを引っ付け、新しい形に整えて、モノづくりできる様にします。
また、その時に端数として残ったものは、キッチリと何に使ったか、なぜ今回は使わなかった、
使えなかったのか?付記して、資料の山に再び沈めておくと、いずれ役に立つことが多いです。

とそんな仕事をしていきます。

 

資料の山を開けるまでは、どーんと気が重い。
そんな仕事ですが、一度手を付けると(だから無理にでも定期的にします)相当楽しい、
しばらく机の前から離れなくなるほど、の仕事です。

 

今日見つかったのは総紗縫群。
【黒】シリーズは、上の様に資料の山の中から出来たモノづくりですし、その時の端数を集めて
膨らませて、製作した五線譜柄のモノづくり(一本目製作はトト神)、それが止まっています。

汕頭や相良刺繍(こちらは刺繍で柄を際立たせるモノづくり)とは別に、
こちらは刺繍で意匠自体を作ってしまうモノづくりです。

 

 

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『黒シリーズの音符&五線譜柄』

 

今見てみると、製織した反物数以上に、この柄の上に刺繍やその他で載せるアイデアの方が多かったので、
まずどこから始めるか?が問題です。
(そこまで練っていたのに、止まっているのはなぜ??そんな状態です。)

 

総紗縫だけで、数日掛かりそうですが、どのモノづくりのタネも
半年ほど寝かしてあっただけあって、その分良いモノが出来そうな気がしています。

2015年06月11日

色々出てくる名古屋帯。

 

名古屋帯の要望を頂いたので、(九寸と八寸帯)帯の山に囲まれながら、帯を探していました。
(となみ織物の名古屋帯というと)どこで聞いても、あまり印象のない様な返答が返って来ますが、
相当むかしから製作しています。

 

もちろん比べ物にならないほどメインは袋帯ではありますが、袋帯と比較して、
小回りが効くので、ある着物屋さんのオリジナル柄を作ってみたりと、結構面白いことを
している帯でもあります。

 

そんな帯たちに囲まれて、仕事をしていましたが、『そうそう、あったあった。』と
そんな昔ではないのに、作ったことを忘れていた帯も出てきます。

 

たとえば、このベースは総紗縫の機で織ったサイコロの帯。

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『さいころ/総紗縫名古屋』

 

 

実はこの帯が『総紗縫/黒』の元になっていたりします・・・。
たぶん、社内は誰も知らないかも。。。

 

図案・紋を作り、試験を取ってと、袋帯を作るのと、どこも変わることはないのですが、
それでも、少し遊びながら、生地に実験をしながら作ることができます。

 

自分のしなくては行けないモノづくりは沢山あるので、今はここには力が入れれない。。。
といった状態の時に、関わると、面白いものができることがあります。

 

他にも、かなりシンプル紬の名古屋帯があります。

経糸の関係で織ったモノで、数も揃っていませんが、一つ一つの帯はおしゃれです。
こういうモノは仙福屋に並べても良いかなぁ、と現在画策中です。

取り敢えず、秋単衣が欲しくなる、そんな時期には、仙福屋Labo
となみ丸に並べていこうと思っています。

 

さいころ帯は一年に一人、好きかも?と言っていただければ嬉しい帯です。

 

 

2015年06月01日

総紗縫のまとめみたいになりました。。

 

よく言われます。
帯ってこの柄、一本しか織らないのですか?

 

図案を描き、設計図(紋図)を作り、試織してとなると、一本のみでは採算が取れません。
時代を先走り過ぎてか、遅すぎたのか、そんな時代は来ないのか、わかりませんが、
頑張っても(苦笑)一本しか売れないモノもあります。

 

もちろんコスト面だけではなくて、一本目ではキズが多く織りなれる二本目に
安定する、という技術的なことも意匠によってはあります。

 

ずっと同じ柄同じ配色でそのまま織って、売り続けることもできますが、
となみ織物ではしたくない、新しいモノづくりして、多種の柄を世の中に発信したいと考えています。

 

そういった意味でも、総紗縫は非常に人気の織物で、売れ筋を追っかけていれば、
大変有り難いですが、同じ配色の同柄ばかりにならないように、新しいものを1柄作っては、
今までのモノを1柄廃盤としています。

 

遥か昔は、同じ帯が何百本も出た時代もあったそうなので、そんなの気にせず売れるものを
作って売ったらイイ、そう言われるメーカーもありますが、うちでは基本的にやりません。
(例外が出そうなのは、裏無地。同じ柄で被ってくることも、
 それでも意識的に避けるようにしています。)

 

そんな嬉しいような困ったような織物の代表、総紗縫。
当初のモノづくりは箔のみで織るシンプルなものでした。

そこから上記の様な新しいものを。という声に押され、モノづくりして、
大幅に可能性を広げてきました。

 

大きく流れを書くとこんな感じです。

 ☆初期紗⇒緯を入れる⇒切り替え横段⇒プラチナ箔、純金箔使用⇒蛍光糸⇒併用シリーズ『彩』

 ☆後加工としては、『汕頭刺繍』、『相良刺繍』、『竹屋町刺繍』、『スワロ』等々

 

となります。

改めて書くと、『ほーっ。よーやってきなぁ。』と感慨深いです。

 

最近はこの『黒』も定着してきて、今は『黒+』も一緒にモノづくりを行っています。

 

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『黒+』

 

はじめのはじめは、ほとんどが軽い思いつきです。

そこから作っても、ほぼ100%失敗してしまいますが、ほとんどが失敗してからの2回目で、
方向性や成功の確率が決まるので、この目出しもこれをどう持っていくか?探りたいです。

 

あまり体調が良くないので、治してからがんばります。
多分、最近の京都の気温ですね。

 

 

 

2015年04月30日

退化させてみるのも、いいかもしれない。

 

今の自分のモノづくりは経錦を中心に、と考えています。
ただ、出張へ出てしまい、結ばれた帯を見てしまうと、そちらへも目が行ってしまいます。

 

FacebookにUPしていたこの『総紗縫』の帯もそうです。

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総紗縫

 

今では廃盤となっている柄です(レアです)。
まだこの織組織ができ始めた当初モノです。この柄が出来るまでも、というより総紗縫が形に
なるまで素材、打ち込み、柄を相当数、試行錯誤した空気が残っている頃の帯です。

 

この前にも数柄はありますが、ほぼこの辺りから始まり、今では色、緯使い、素材に工夫をして、
大幅にやれることが増え、それに連れて柄の表現力も増して、となみ織物の中でも総紗縫は、
大きなポジションを占めています。

 

織組織の進化としても良いのかもしれませんし、
一つの織組織がここまで認知されるのは何十のうちの一つです。

 

『黒』や『黒+』、『 Kilim』もまだまだ表現の余地は沢山あるので、
さらなる進化をさせていきたいです。

 

 

退化

それにプラスして。

写真の帯は、これだけ進化した『総紗縫』の中でも、印象に深く残る良い帯です。
また、結ばれた方からも周りの評判が良くて嬉しい。そんな話も聞きました。

 

そうなってくると、この帯の持っている何かを膨らませて、
この系統のモノづくりするのがメーカーしなくては。となります。

 

そういえば、この帯のベース部分『麻の葉』も未だに人気です。

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『総紗縫+染め』

 

皆さんからの評判は上々ですので、逆行までは行きませんが、
一部退化させるモノづくり。もしかして、進化した部分も加味して、進む分、
面白い方向に行くかもしれないモノづくり、そちらも手がけていきたいです。

 

当初難しかったモノづくりが進化して出来るようになりましたが、
今度は反対に、かつて出来たモノが大は小を兼ねる状態で簡単にできるか?

意外にすんなりは行かないかもしれませんね。

 

頑張ります〜。

 

 

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2015年04月13日

これからのとなみの強み。総紗縫で言えば・・・。

 

毎日毎日、となみ織物では何かしらの新しい帯が上がってきます。
最近は特に若手が出張へ行き、情報を仕入れたり、何かを感じ、それらを元にモノづくり
したものが随分増えました。(段々と現となみの特長になってきました。)

 

モノづくり、最初は大変です。
『モノづくり新人さん』を見ていると、
何から手を付けていいのか?本当にわかりません。というのが動きでわかります(笑)。

 

好きなモノを作りながら、それが結ぶ方に取っても好きなモノになる。
これは簡単には行きません。また、じっと考えていても、とことん嵌って、進みません。

 

そのため、最初は(怖くても)目出し(試験織り)の配色から行います。
もちろん、これも安くないコストが掛かりますので、真剣の真剣に一色ずつ、
その前にベースとなる柄を入念に選び、一色ずつ配色を行います。

 

スタートは大体みんなそうですが、慣れてくると配色することが、塗り絵状態になってしまいます。
(もちろん、そんな簡単な訳はなくて、慣れで錯覚してしまいます。)

ここでしばらく成長が止まる人が多いですが、コツコツと自分の得意な方向の柄や、
織の表現の使い方、陰影の作り方を見つけると、配色もいい意味で人と違うことが、
できるようになります。

 

それで初めて柄を作ろうとする、そんな気持ちにもなってきます
(最初はそんな気持ちすらなりません)。

 

ここが『モノづくりの』入り口です。

 

入門の入り口から少し入った所から、いきなり困難です。

ここまで来るまでもかなりの努力と忍耐力が必要ですが、
昔みたいに着物の一枚に帯3本と言われたほど、なかなか帯は買って頂けません。

一本が宝物になるようなモノづくりをしないとダメなので、一つの柄を作るのに、
こちらに思い入れや作り込みが無いと、なかなか伝わらないです。

 

作っても評価を得ることすらできないので、この辺りで自分の成長が感じられず、
止まる人も多いです。なんとなく、どこかで見たような帯。

そういう状態になっていると思います(塗り絵)。

 

今までそういうスタッフを沢山見ていましたので、
自分のモノづくりの一つには、これからのさきがけになる様なモノを作る。
それを心がけています。

 

もちろん失敗もありますし、自分が一人でどうのこうのではなくて、
この着物業界ではない方とのモノづくりの中で、そういったモノづくりに気付かされ
試行錯誤して、形にしていきます。

 

その中の一つがこの総紗縫。
 

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『総紗縫/黒+』。今までの総紗縫にできないことを入れています。

 

 

ちょこちょこ載せている、この帯シリーズ。
まだ、そんなに柄数が揃っていない『黒』に、その上から改良を加えました。
(『黒』自体まだまだ作り切っていないモノですし、新柄も待機しています。)

 

このモノづくりは、今すぐ帯としてどうのこうのすると言うよりも『黒+』の様なベース部分を作り、
社内全体に周知させておけば、、。今のスタッフは自分たちの中にある情報をタネにして、
なにか全く新しくて良いモノを作ってしまう様な気がします。そこへの土壌づくりです。

 

今は総紗縫が、となみ織物の持つ織組織の大きな一つです。

今後もその部分は継続して行きつつ、
若手が試行錯誤しながら作った、今は想像できないシリーズが大きくなっていく。

 

ちょうど両面選べる帯が総紗縫です。
片面は、今までの総紗縫の発想柄。もう一方は今はまだ想像できない柄。

そういうことも、これから長い目で見て、期待し楽しみにしています。

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2015年03月21日

次の総紗縫できるかも・・・。

 

少し前の『猫/総紗縫/黒』。

 

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猫/総紗縫/黒

 

この意匠は元々、紹巴織→それを紬→総紗縫→今回の総紗縫と4回目のリメイクです。
全て新しく設計図(紋図)を作ります。

 

新しいものが出来ると、前のモノは織らないか?というと、そういう時もありますが、
柄は同じでも作り始めのコンセプトが違うことが多いので、ほとんどの場合、並列して、
同じ柄の帯として存在、製作することが多いです。

(前のモノよりも少なくとも劣るわけには行かないので、
良くわからない自分の中のプレッシャーはありますが・・・。)

 

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前のモノは『猫』を一つの上げ方で猫を織ったので、縦に方向に流れる粋な柄になっていました。

反対に写真の2バージョン目は、総紗縫の経緯の関係でそれぞれ一匹ずつ変えて織っています。
 

 

今日は次の総紗縫を・・・と思って、じっと一匹ずつの猫を見ながら、
次の帯のもとになりそうな図案を探していました。

 

 

『総紗縫』という織物は緻密さ他には無い特別な紗です。

一番シンプルな作り方、箔を柄に使うだけで充分訴求力のある帯になりますが、
モノづくりをしていると、何か次に進みたくなります。

 

初めてこの帯を見る方には、一番シンプルなモノを見て頂くだけで、
驚いて頂けはずです。だから、①一番シンプルなモノ→②次に改善したモノ、
③最新のモノと順次、小出しにすれば、順次購入して頂ける可能性があるはず。

 

ですが、となみ的には、いきなり①〜③を見せてしまいます。

会社的な売上や利益を考えると、『どう、それって?』と
異業種の方(同業もそうかも・・・)からも言われることもあります。

 

『それがお客様のため、と強く考えています・・・。』と断言できるとカッコイイのですが、
そういう訳ではなく(そこまで考えていないのかも?)、常に新しいモノづくりを見せる。


そうすると、飽きられないためには、常に新しいモノづくりをしなくてはいけない。
そんな危機感にさらされる、頭はモノづくり、そしてアンテナもいつも立てておく。

おそらく、これがうちの良い所と、強みです。

 

なんて非効率な。。とこれもよく言われますが、メーカーが新しいものが作れなくなったり、
作らず同じものばかり売ることで満足してしまったら、もうメーカーでなくなりますからね。

 

スランプで詰まっても、少ししか進まなくてもモノづくりは続けて行ける会社でいたいです。

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2015年03月17日

新しいけど見た目ほとんど変わらないもの。

 

やっと上がってきました。『総紗縫/黒』の新しい技法。

総紗縫は・・・と始めると永遠と書いてしまいますので省略しますが、
この織物、当初想定していたから、色、織に工夫をすることで大きく表現方法が
発展しました。雑誌で紹介したものでも、ざっと変遷を追っかけて頂けます。
Pinterest『総紗縫』へ

 

もちろん、新しい表現方法が出来たからといって、今までの織り方をしないか?
というとそうではなく、電化製とは違って並列してモノづくりします。

 

モノづくりする人間はほぼ例外なく(自分も含め)新しいもの好きが多いので、
新しいモノを使って作りたくなりますが・・・、
それだけを中心に据えてしまうと、かえってその技法に縛られてしまい、
出来上がりがショボくなることが多々あります。
(この『ショボくなる』という表現がピッタリです)

 

ですので、新しいモノでも大喜びはせずに、社内アナウンスも小さくして、
紹介します。といっても今はまだ目出し段階です。

 


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『総紗縫/黒+』

 

見た目はそんなに変わらず、透け感も総紗縫らしい透け感。
という風に見えますが、じつは画期的なことがいくつかあります(おいおい紹介しますね)。

 

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今までの総紗縫にはできなかったことです。

ただ前述のように、使わなくて良い意匠で使っても反対に野暮ったくショボくなってしまいます。
 

 

結ぶ方からすると、気付かれない可能性もある変化ですが、今後の表現が何倍にもなる、
(何度も言いますが、全く使わなくてよい柄も沢山あります)可能性を持った技法です。

 

素材が凄い!織り方が凄い!色が変わっている!等、派手なところは全くありません。
今の流れで言うと『消費者に届かないと意味が無い。』。そんな風潮からすると、
けしからんと言われそうなモノづくりですが、自分の中ではこういうモノづくりが
かなり好きですね。

 

この後は2柄。これを進めていて、じわじわ総紗縫を内部から染めていこうと
こっそり企んでいます(笑)。

 

まだ、一本織り上がるかも分かりませんので、ここにUPしながらも内緒です。。

 





 

 

 

2015年03月02日

なぜトト神かは、答えられませんが・・・。

 

帯でトト神って。。。
と、まず『トト(トート)神なに?』と言われそうですが、
簡単にいうと、古代エジプトの神様で、『知恵』を司ります。

 

その神が何故出てきたのかというと・・・。

 

初めはこの帯です。

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総紗縫/黒』で織ったモノで、白の緯を使って織っているのは五線譜。

その五線譜を飛び越えて、地と同じ色で織った音符が踊っています。

 

当初、軽く音符やト音記号、楽器の刺繍やスワロフスキーをとも考えていましたが、
それはちょっと保留にして、先に製作したのは、この帯。

 

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『シルクロードのらくだ』

 

隊列を組んでシルクロードを旅する、らくだ。
シルクロードには、音楽が付きモノというイメージが自分の中にありますので、
音符の代わりのらくだです。

 

話は戻りますが、『トト神』です。
この神様はいくつもの顔があり、そのひとつが『楽器の開発者』と言われています。

 

今までおそらく無いモチーフ、音楽、そう聞くと、勝手にイメージが膨らみ、
依頼してしまった帯です。

 

そして完成は、こうなりました。

 

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『総紗縫Premium3/トト神』

 

『駒縫い』と『相良刺繍』を併用しています。

 

 

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胴部分には神話に基づき、太陽・月・星を。
一番、手前には古代エジプトで使われていた文字ヒエログリフの中から、
『アンク=生命の鍵』と呼ばれる文字を入れました。

アンクは不幸な出来事から身を守るとか、生命のシンボル、
不死の象徴など。

 

トト神というモチーフだけで充分に不思議ですが、ずっと見ていると、
この愛嬌以外に、なにか良くわからない魅力に惹きこまれてしまいます。

 

今までこの刺繍作家さん製作した帯は、陳列すらほとんどしていませんので、
見て頂く機会は少ないですが、これで4作品目ですので、少しずつ機会を作っていきます。

 

今後もモノづくりを続けていきますので、お楽しみに。

 

※全て一本限りの製作になっています。

その他のこれまでの作品はコチラです。
 →https://www.pinterest.com/senpukuya5/コラボレーション/

 
 
 

2014年10月29日

黒。

 

となみ織物では以前、
引箔を使った黒共帯を製作していました。

 

幾何学模様に地は錦で(黒共帯を褒めるというのは感覚的に少し変かもしれませんが)
いま見ても本当に良い帯です。

 

着物を着た方を見ることが、おそらく普通の方よりも多い環境にいますが、
それでもその中で喪服はあまり見ません。だから余計に『良い』黒共帯を見ることが少なく、
その流れで少しどうかな?というモノでも(多少焼けていても)ある意味で仕方がないかな。
と思ってしまいました。

 

そんなこともあって、どれだけ需要があるかは分かりませんが、そこばかりを考え過ぎて、
折角作れるモノづくりをしないのも、釈然としません。昔織っていた時は、その当時
一番得意な引箔を使ったもので織りましたし、今回もそれと同じく、いま一番得意な
ところの織りを使い、製織をしています。

 

多種多様な黒共(これも変な感じがしますね)・・・とは行きませんが、数柄おこして、
モノづくりをしようと思っています。

 

織りのベースは総紗縫。
それを少し素材等変えて、風合い発色面を工夫したモノです。

 

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写真では(黒ということもあり)何とも無い様に見えてしまいますが、
総紗縫の特色を活かし特化しましたので、とても良い黒共の帯になっている
と思います。

 

黒、濃いグレーしか色を使わないこともあって、ある意味難しいモノづくりです。

 

2014年10月25日

『総紗縫・黒』続き

 

総紗縫の黒を作り始めてから、少したちました。

最初は真っ黒が難しいということで、濃い濃いグレーの辺りで止まっていたものが、
今では雑誌でも紹介出来るように、真っ黒ができてしまいます。

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何も無いところに作るのは非常に難しいですが、ある程度土台ができてしまえば、
その上に積み上げるのは、0を1にするよりは難しくありません。

 

それがメーカーの特性で、一つ完成したら、また0から何か新しいモノを作ろう!
(満足感も高いので)となってしまいがちですが、積み上げて行くのも、ここでいうと、
柄を組織の上に乗せていくということも、簡単なことではありません。

 

また、土台の上に乗せる方法も、ただ単に今まで積み上げてきた事の延長では面白く
ありませんので、やはりその時の自分の色や考えをモノづくりの中に入れていきます。

 

以前、美しいキモノで発表したものが、
写真のような3種類、テーマを変えて製作しましたが、この時は『総紗縫・黒』の
可能性を探るために、色々とやりました。

今回作ったものは、上手いこと行ったモノは踏み台に、失敗した所は再挑戦の意味も
込めて、再度モノづくりしてみました。

 

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このようにシンプルに見えるモノの中に、今考えられる工夫をいっぱい詰めて作った
『総紗縫・黒』です。

 

透け感の関係で、持ち上げると輪唱の様に柄が付いてきます。

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着物、小物と合わせて結ばれたところを早く見たい帯です。

 

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2014年07月25日

総紗縫の黒。線香花火。

 

帯として、いつかは作りたかった線香花火の帯。

イメージ的にピッタリな織組織、総紗縫/黒を使い、製作してみました。

IMG_0892.jpg

 
頭にあったままにシンプルな図案を作りましたが、少々困ったのは、持ち手の長さ。
途中で切れているにしても、手を入れるわけには行かず、フェードアウトも難しいので、
一層のこと、切らずにお腹部分も通り、そのまま最後まで緯糸を通して、織り上げました。
 
 

DSC02609.jpg
総紗縫/黒

 

今まで、こんな紋は作らなかったので、
かえってこの帯の特長となったのかな?と思い、この帯が好きな方に結んでいただくのを
楽しみにしていたいです。

 

花火だと夏という感じですが、見方によっては唐松に見えなくもないので、その辺りは
結ぶ方にお任せしたいと思います。

 

2014年06月23日

ブラック続き

 

総紗縫・黒の続きです。

当初、このシリーズは5〜6柄を予定していました。

真っ黒を出すために、配色の制限があり、地と対照になるような『白』の使い方、
太鼓柄、消えて無くなりそうな地紋。

5〜6柄が、それら一通り、まずは作ろう、と思った柄数です。

 

で、出来た柄が思った以上に評判も良く、美しいキモノにも掲載することができました。

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そして、二回り目。

今回も5柄ほど、見た目は似ていても、違ったモノづくりコンセプトの元、図案を製作しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『総紗縫・ブラック(2期目)』

 

次は、シンプルな糸の綴じを複数使って、色の制限越えたモノ作りをしようと
思っています。同じ色を使いながら、経てと緯の関係で違った色に見せる。
そんな方法です。

 

まだ始まったばかりなので、コツコツ積み上げていきたいと思います。

2014年06月09日

来年かなぁというモノづくり。

 

 

梅雨の雨のお陰で少し涼しくなった京都です。

暑い時にそのままの感情で夏物を作ってしまうと、あまり練られたモノができず
(ならず)、単純なモノづくりになってしまうような気がしてしまいます。

ちょっと涼しくなったこの梅雨の時期に夏物を作るのは、
もしくは考えるのは意外に重要です(もちろん個人的には、です。)。

 

どっちにしても、来年用なのでじっくり作り込んでいきたいと思います。

 

夏物というと、となみ織物では、大きく分けて、上品綟と総紗縫があります。
今年は総紗縫の『黒』を作りました。

 

この黒も普通の総紗縫よりも面倒くさいといえば、
面倒くさいことを紋の段階で行っていて、それが他の総紗縫との違いになっています。
だれでも考えつきそうだけれども、わざわざやらないモノづくり。

 

同じような考え方を導入して、上品綟で出来ないかな。と思っています。

まだ、漠然としたアイデアが漂っているような状態ですが、上手くいきそうな。
そんな気も今からしています。

 

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現状の上品綟。総紗縫よりも紋口は少ないですが、その代わりにボリューム感を
持たせた表現ができるので、総紗縫は総紗縫。上品綟は上品綟。そんな住み分けです。

 

まずは写真に写っている地紋から当たっていく、ところから初めて、
時間は掛かりますが、『おっ作楽っぽい』みたいなものが出来ればと思います。

 

また、報告します!

2014年06月04日

 

1,近況

2,Facebook

 

 

 

3位『南蛮七宝イチョウ染め×作楽/帯』

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最高の白生地で南蛮七宝を織り、イチョウをベースにした草木染めの着物と
作楽シリーズの『アザミ』。

 

乳白色の入った黄緑(オパールグリーン)の反物と浅葱色の様なブルーが残像で、印象に残ります

 

 

2位『糸菊総紗縫』

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1位『緞子帯地/懐紙入れ』

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過去最高

 

3,雑誌掲載

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kilim御召

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2014年03月10日

総紗縫、青の経

 

久々に総紗縫に青の経糸が掛かったので、
今まで織っていない柄を織ってみようと思い、試験を取りました。

 

結果は。。

IMG_1080.png

 

見事に失敗。

元々、この織物でこの柄を作った時は、紬糸を通して織る用にしていましたので、
今回は経糸が表にあまり出ず、柄が埋没してしまいました。

紋自体が違いますので、やってみて面白く上がればと思っていたら、思いっ切り、
面白くない失敗です。もっと青が全面に出る、とかではなく、色も柄も出ない、
非常に地味な感じです。

次はキッチリと紋を修正して出直します。

 

もう一つは。。通称アリス帯。

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こちらも予想とは違った上りになりましたが、銀の箔の上から黒い箔を重ねてみて、
どんな上りになるか、というのを試験しながら製作した帯でしたので、青の経だと、
色が濁ってしまい、惜しかったですが、こちらも出直しです。

今変えようと思っているのは、銀と黒の箔の通す位置を逆転すること。

おそらく、それで上手く行きそうなのですが。。。

 

といつもはこんな感じで、完成に向けながら試行錯誤を繰り返す毎日です。

 

2013年11月20日

取捨選択してみました。

 

少し前に作っていた『総紗縫・黒』の新しい紋。

予想とはちょっと違った配色になりましたが、もう少し上の色を白くして、
微修正すれば、ほぼ完成です。

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他の織物から総紗縫へ移行した柄なので、図案を作らなくて良いといえば
そうなんですが、元々あった柄から、大幅に取捨選択を行う工程はかなり
大変です。

 

楽に織れるようにと、簡単に柄や色を省いてしまえば、その柄にとって要素の
部分が無くなって、全く気の抜けた様な柄になってしまうこともありますし、
手を入れず、元の柄を残してしまえば、その柄を作る意味は薄くなるし。。

 

元柄の要素をじっくりと考え、それを活かせるようにしながらも
自分のモノづくりの色も出す、そんなバランスの上でのモノづくりです。

 

配色が完全には終わっていないので、偉そうなことは言えませんが、
今のところ、順調に上手く行っていると思う、帯柄です。

 

最近個人的にはこの『黒』箔を使ったものばかり使ったモノづくりが多いですが、
通常の総紗縫よりも一色少ない色。黒の箔に潰されてしまうので、使える色も
少ない。等々制限は結構ありますが、その中でできる事を考えていると、反対に
様々なアイデアも出てきますので、これはこれで楽しいもんですね。

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