となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

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2016年12月20日

西陣織もイイけれど・・・。

西陣の名前は、京都を舞台とした応仁の乱で西軍の大将である山名宗全が陣敷いた場所が由来とされています。織物職人が集まる地域であって、特に業界にいると『西陣=織物』のイメージは強いです。昔、着物は2兆円産業でしたので、街の大きさ(約1km四方)から考えると、仕方がないかもしれません。


ただ、現在の着物産業は十分の一程度、段々と織物のイメージ減っています。そもそも、職人の数が減って、イメージだけで無く実際の生産者も減るにつれて、街の性格も随分変わってきています。

業界に一応いる自分も、西陣=織物。そのイメージは強かったのですが、今参加している、ある西陣の会では織物関係は、約30社中3,4社と割合的にも希薄です。食品関係、物販関係、作家等々と大変様々で、その会にいることで、織物じゃない発想での西陣の盛り上げ方、大変勉強になっています。

昨年の『デザインウィーク京都』もそうでしたが、なにか組み合わさることで、意外な面白いものが出来る(漠然ですね〜 笑)。また来年も実施されるようですので、その時は、もうちょい踏み込んだモノが出来ればと思っています。

どこまで書いて良いのかな?とまだ遠回りな表現ばかりではありますが、いろいろと見切り発車で制作もしていますし、会社としてか個人としての参加かも未定ですが、個人としては楽しみです。

来年は早々から盛り沢山。がんばります〜。

2016年11月17日

堀川通のイチョウ並木

今年も恒例、会社近所の堀川通のイチョウです。

いつもと様子が違うのは、
現在、水道工事中ということで赤いコーンとイチョウがずらーっと並んでいます。


DSCF2142.jpg

『なんでイチョウが黄色くなかというと、元々葉の中ある緑と黄色の物質のバランスが崩れて、
本来強いはずの緑が薄くなって、黄色が表に出てくるんやで。』と、
こないだ聞いた知識を確認しに(笑)イチョウの中を散歩していました。

そして、ちゃんと、じっと、よくイチョウを見みると、
黄色で地を染め、上から緑を置いた反物の様に下から黄色が滲み出てきたかの様に
表に来ようとしています。

DSCF2132.jpg

そんな時考えることは、紹巴織で織るんだったら・・・とか、

そう言えば、麹塵染めをした糸も、元々色はあるけれども光の波長で見える色が・・・。
等々書いてしまうと『帯関係の話で、何かを例えてばっかりやな。』とまた言われてしまうので、
止めておきます(苦笑)。

そういえば、唐長さんのはんなりとした色づくりの話も、
何色かを混ぜて、色通しのバランスで表現すると言われていました。

自然の色は配色時には、いつも意識して取り入れる様にしていますが、
新しい知識を入れて見てみると、新しい表現が作れそうな気がしてきますね。

また、頑張ります〜。

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2016年10月26日

伊調馨さんに国民栄誉賞受賞式典で結んで頂いた帯。

タイトルの話が少し落ち着きましたので、
この帯について説明をしたいと思います。


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二重織/雪輪に桜、竹

しばらく、こういう話題性のある話題が少なかったためか、
一気に『どこの帯?知ってる?』話が、バーっと広がり、結構な数の問い合わせも。
Facebookでも相当な多くの方がアクセスしてくださいました)

副賞となった本袋と勘違いされたり(確かに、うちでも本袋は織っていますが)もして、
話が噛み合わなかったり、
そんな急に、数を織れるものでは無いのに、『なんで無いんだ。』的な話を頂いたり、と。
数日は結構凄いもんでした。

本当に、ありがとうございます。

基本的に、となみ織物では帯には個々、名前を付けることが少ないので、
早速この帯には『伊調さんの帯』と社内では呼ばれています(笑)。

ちなみに、通常スタッフ間では『織組織名』と『大まかな意匠の名前』、それでも思いつかない場合には、
加えて『地色』を言えば、ある程度絞れます(この辺りが新入社員との分岐点かも)。

今回であれば、『二重織で、雪輪と桜・竹。地色は淡いピンクの帯。』と言えば、
ほとんどのスタッフは絞ることができます。

さてさて、この帯の織組織である『二重織』。
今は織れる機自体もホントに少なくなりました。

すごい数の経糸(三重経・約8000本)を上下させて、
それらの色をベースに柄を織り成し、緯糸(横糸)で味付けをする、

基本的には、そんな織物です。
敢えて言うと似ている織物は、経錦。

大胆な柄やハッキリとした柄が得意な織物で、経糸を思いの通り染めることが
できていれば、絶妙な色を作りだすこともできます(←今回はコチラのパターン)

もちろん、良いことばかりではなくて、非常に本数の大きな経を使う織物ですので、
製織時、経の上下だけでも、家自体が振動することも・・・(機にも負担が掛かり長く織れない)。

意匠には奇をてらうことなく、ストレートな日本の文様である『桜・竹・雪輪・・・』。
過去、何万何十万柄に使用されてきたはずですが、長い年月、生き残ってきただけあって、
飽きのこない、柔らかさの中にも、力強い意匠になっています。

今回この帯に関しては、この様な説明をする間も無く(苦笑)、バタバタでしたので、
ここでこうやって書くことができ、機屋として嬉しいです。


こういう瞬間風速がビュンというようなことは、
そうそうありませんので、次はあまり期待せず(笑)、またコツコツ積み上げていきたいです。

それにしてもよくお似合いでしたね。

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2016年09月27日

となみ織物ショールーム「CandyCircus」展(舟田潤子氏も参加)。

土・日と2日間の短い期間でしたが、非常に盛況だった「CandyCircus」展。
作家の舟田潤子さんも、ずっと会場に居てくださり、ほぼ切れ目の無く来店くださった
お客様への作品説明等を行って頂きました。


DSCF0048.jpg
(ショールームも作品とともに展示)

帯・着物・小物・その他・試作品まで全て一箇所に集めて展示したのは初めてです。
着物を見に来られるワケではないお客様・帯着物の比率は少ない展示、その雰囲気の中、
参加した、となみスタッフも、この世界観に2日間べったり浸り倒していましたので、
おそらくこの世界に感化され、今後のモノづくり、配色面なんかは特に、
しばらく元に戻らないような気がしています(笑)。

まあ、それは新しいモノづくりができる、とポジティブに考えていますが(笑)。

となみ織物として「CandyCircus」の展開としては、しばらくは帯作り。
現在のところ、色数の少なめで個性的な意匠のモノ一つ。
もう一つは今まで以上に華やかなモノ、が進行中。

それに加えて今度はシンプルな御召。が待機中です。

「CandyCircus」の和の部分を担当する中で、今のところ、ごく一部しか作れていません。
コツコツと積み上げていって、いつか後ろを振り返ったら、
「ホント良くやってきたなぁ〜。」と自分でも思えるように、進めたいと思います。

もちろん、素敵な着姿の一部に入り込める様には、忘れずに・・・。
(たまに作り手にハマり込むと忘れてしまう・・・。笑)

2016年08月31日

洗える襦袢→洗う襦袢

昨年に続き今年も山ほど洗っては着て洗っては・・・
のお襦袢です。

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この襦袢、製作途中に色んな機能を搭載していきました(搭載って言葉がピッタリ 笑)。
『南蛮七宝の襦袢をずっと着ていたい。』お客様からの言葉でした。

そこからスタートして、
最初はオールシーズンの南蛮七宝を検討。
 ↓
折角なので、着ていて身体が楽なモノ=より軽い生地
 ↓
居敷当ても無しで⇒耐久性の検討
 ↓
樹脂とかの加工なく、絹そのまま風合いで、
洗える機能を➕!(ここが結構無茶・・・)


と、当然ながらコスト&手間が掛かりました。

そのお陰もあって、社内いても、複数の色数を見ない(いつも1色か2色があるだけ)
そんな人気のお襦袢になりました。

値段的にも通常品の3倍くらいなので、この人気は脅威的です。。。


ちなみに、上の写真は機能を詰め込みながら、あれやこれやと試作段階で仕立てたモノです。


実験として、例えば、着る度に洗濯→着る度に洗濯。本当は必要ないのに居敷当を付けてみては洗濯。


普通の衿つけては、そのまま洗濯。最後に乾燥機まで回してみる
(これは流石に途中で止めておきました・・・。苦笑)等々。


そんなことがあっても、今年の一番洗う時期を無事?乗り越えることができました。

普通に考えれば、『夏でも、簡単に洗えないの?』と言いたくなる襦袢。


それを洗える様にする。簡単そうで結構大変でした・・・。


見渡せば、他にも当たり前にあってほしいけど・・・、
そうで無いものが着物の世界には色々とありそうです。
妥協して安易な物にせず、良いモノづくりが発表できる様にしたいですね。


そんな気持ちを忘れないためにも、
この襦袢に関して、どこまで洗い続けれるのか、時々皆さんに見てもらいますね〜。

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2016年08月22日

溺愛の帯


これは、社内でしばらく使わ続けそうなので、合言葉みたいになり始めてます。
ただ、自分の中から出てきたわけではありません。

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『となみ帯×汕頭刺繍』

今回のきものSalonの帯シリーズ『となみ帯×汕頭刺繍』。この誌面を作ため『どんな雰囲気で撮ってもらうか?』を決める前に、帯を表すための、言葉探しからスタートしました(いつもは雰囲気から先に)。

スタートからして違うため、誌面に載せたモノは、いつもと違う様に感じてもらえるはずです(違って見えますよね? 笑)。

となみ帯+汕頭刺繍をお持ちのあるお客さんから言われた言葉。『この帯を結ぶ時だけは、手を入念に洗って、片手では持たず、両手で抱えるようにしています。』

そのことを聞いてから、『そう扱う帯に相応しい言葉って、なんだろう?』とずっと頭にありました。『大切な帯』や『大事な帯』『好きな帯』いずれも良いですが、文字だけを見て、思いを載せきれない、少し足りないかもしれない、と思いました。

そこで、社内で、汕頭シリーズが特に好きなスタッフの聞き取り調査を気づかれないよう、それとなく行って(あまり格式張ると言葉出てこないかもしれませんので)、それを打ち合わせを通して、最終こねこねして、出てきたのがこの『溺愛』です。

通常刺繍は、白生地等に施すことはありますが、敢えて図案・紋づくり、製織までしてきた織りの帯に対して行うことは、あまりありません(勿体無い、そこまでせんでも・・・となります)。

そういった業界の常識も少々超えつつ、こちらとしてはモノづくりに気持ちを込めました。それが結ぶ方にどう伝わるかは、分かりませんが、帯を気に入ってもらえれば、溺愛を受け入れて頂けるだけの器はあるような帯シリーズだと思っています

社内でも賛否両論あった、今回の誌面ですが、プラスもマイナスも振り幅が大きい分、ファンの方にはさらに濃く、なって頂ければ嬉しいです。

2016年05月16日

三条店のピアノ・・・

 

先日、唐長三条店で12代目と打ち合わせを行いました。

 

三条店の現状はというと、ド真ん中にあったピアノを移動されたので、そこに広大なスペースが空きました。普通、家やお店であればポカンと空いたスペースに違和感を感じるはずなのに、店全体の雰囲気+周囲唐紙だと、そのスペースが埋められ、最初からそうだったような気になります。気がついたとしても、これはこれで良いな。と、そんな気持ちになってしまいます。

実は、あれだけお邪魔した私も今回、ピアノの件は知っていたはずなのに、スルー。帰りにそういえば・・・と気付きました(苦笑)。自分に観察能力が無いのか、唐紙がすごいのか、未だに三条店の雰囲気に酔ったのか?わかりません(笑)。

 

そんなこともあって、今並べている帯や着物、小物の陳列をお店に合わせたものへ見直したいと思います。
あるもので十分対応できるもの、新しく作ったほうがいいモノ、等々の打ち合わせです。

 

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【三条店 新しいカメラの試撮 左後ろには南蛮七宝巾着】

 

 

また、新たなモノづくりも始まりますので、しばらくはドップリと唐紙の世界に入って行きたいです。

2016年05月06日

まだ帯になるか、わかりませんが。瓢箪柄

 

タイトルの通り、試行錯誤している帯見本です。
柄は唐長さんより、瓢箪。それをとなみ史上、経糸最多の二重織を使って織った織物です。

 

IMG_6115.jpg

 

基本は経糸の色で柄が作れますし、それで文様全体は(特にシンプルな柄ですので・・・)織る。そこに緯糸を通して色に深みと、地風を作る。帯としてのベース部分のモノづくりになっていますし、非常に地味(笑)。ですが、一番か二番めに大事なところです。時間は掛かるかもですが、まずは納得の行くものを、と思っています。

 

それに加え今回は、出来る限り織りやすいモノ=皆さんに気軽に結んで頂けるモノを心がけていますので、特にこのベース部分をしっかりして、織りはシンプルに。もし、このシリーズからとなみ帯に入門者(?)された方には『帯って、こんなに結びやすいんだ!』そんな気持ちになってもらえる様にする、それが目標です。

 

そのために、経の配色、緯糸の配色、それらのバランスで、今後製作していく配色の基本色を作っていきたいです。

 

やりたいことは、一杯ありますので、一つずつ漏れて後戻りが無いように(これが怖い・・・。)、進めていきます〜。
また、詳細はここでご紹介できると思いますので〜。

2016年02月02日

容れ物としての帯/南蛮七宝文様P

 

先日、本決算前にFacebook上にUpした『仙福屋の懐紙入れ』。

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仙福屋の懐紙入れ

 

特別な意識をして上げたわけではないのに、爆発的に注目していただいています(いいね!1600人以上、リーチ4万人超え)。

 

最近は、広い意味の『容れ物』、帯地を使ったバッグも雑誌に取り上げて頂けたり、取材をしたという話も頂いたり、3,4年前のちょっと昔から考えると、素材としての帯地へ関心が随分と好意的に変わった感じがします。

 

南蛮七宝を意匠にモノづくりした商品は、今のところ本社&自分のみの取り扱いとなっています。それは商品の制作する量・把握、モノづくりのスピードからと、一人で勝手に走って、暴走しないためです。ただ、去年は古川美術館の唐長世界でバッグや懐紙入れ、今年も唐長さんのサロンでも展示、と少しずつ実際に触れていただける環境が整う、そんな流れができてきました。

 

生地としての帯地は、まだまだマイナーな話ではありますが、帯で使われる意匠、絹を使った風合いには、他の物と違った魅力、大きな可能性を感じますので、もっと認知されるように伝えていけるように頑張りたいです。

 

ちなみに、最近上がってきた南蛮七宝文様/P型(見本)。

IMG_1722.jpg
『南蛮七宝文様/バッグP型(プティ)』

 

洋だけでも和だけでも勿体無い、そんなバッグになれればと思います。

2015年09月10日

目標。

 

昨日は久々に唐長さんの両替町ギャラリーにお邪魔してきました。あっという間の2時間でしたが、少しずつ新しいコラボの話が進んでいます。最近は唐長モノづくりがここでは話題として多いですが、実際に今一番多くの時間を割き、優先順位も一番と考えています。そこから得られる感覚、具体的には配色や柄の組み合わせ、(ですが言葉にしてしまうと何かちがう?)をいつも得させて頂いています。

 

今、モノづくりとして自分のブランドの作楽もあり、銅板作家の舟田さん、(言葉にしにくいですが)新しい配色を模索、新しい織組織を検討してみたりと書き出すと、『あっこれだけ?』と自分でも思ってしまう(苦笑)のですが、どれ一つ取ってみてもある程度でも形にできたと言う為には、何年も掘り下げないとダメなモノばかりです。一つ一つを大切に、それに関わっている時は最大限絞って集中して、モノづくりを進めていきたいと思います。

 

作楽、一つ取ってもその中に小休止中のモノがあったりと、忘れてはいませんので(資料も山ほどデジタル、アナログとも溜まっていますし・・・。)あー今日は無駄な時間を過ごしてしまった。とならないようにしたいと思います。気が付くと、他の仕事も増やしてしまいがちですので・・・。

 

さてさて、唐長さんに関しては、11代目の奥さんとのコラボ(唐長-Ikuko)での新柄製作のため、今度は修学院の工房へお邪魔させて頂きます。自分の中では、今まで製作してきた南蛮七宝文様の御召と、これから製作する南蛮七宝以外の唐長文様帯とのコーディネート。さらに、そのコーディネートにはこれ。といえる帯締め、を製作する。そして、そんなコーディネートを幾つものパターンが出来た時、本当にモノづくりやっていて良かったな、と思える瞬間を味わえそうです。当面の目標です。

 

自分も楽しみですし、皆さんも楽しみにしていて下さい。
ひとつずつ進めて行きたいと思います。

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