となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 唐長

2015年12月18日

輪宝七宝つなぎの塵よけ。白生地上がる。

 

唐長11代目の奥様好み、【輪宝紋】。帯で製作したモノは以前紹介しました。

 

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これの元となった、からかみの作品は二つの版木を使って製作されたモノです。その雰囲気を帯に活かそうと、白に近い薄い地色の上にのる2色に関しては、敢えて同じ高さに緯をいれず、ホンの僅かに立体感がつくように設計しました。

 

そして、この帯の裏地には輪宝紋の版木の一つ、『輪宝七宝つなぎ』が控えていて、袋帯として両面を結んで頂けます。

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南蛮七宝文様と同じくシンプルで力強く、文様には普遍性も感じられます。紋を作る時には、一瞬悩む所がなさそうなシンプルな意匠ではあるのですが、織った後、帯に違和感を感じない様にするためには、(二つを横に並べて比較しても全く分からない位の)僅かな修正を加えます。この作業のときは、文様とじっと対峙します。そこで何も感じない柄もありながらも、この意匠に関しては惹かれるものを感じました。おそらく、大きく開いた間の微妙な加減だとおもいます。

 

その間をさらに活かしたいと思って製織したのが、輪宝七宝つなぎの『塵よけ専用の生地』。

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意匠はこの『輪宝七宝つなぎ』。そこにタッサーシルクを使い、シャリ感のある風合いを作りました。通常の絹と違って染料の吸収具合とか変わってきますので、今のイメージでもって進めたいのと、年を跨ぐと強烈に記憶が薄れますので、今日、早速染め出ししまた。年の瀬のバタバタなこの時期に、『年内に染めた雰囲気が見れたら、うれしいな・・・。』と遠回りながら職人さんに無茶をお願いすると、何とかするわ。の返事を頂きました。感謝です。

 

今夏終了の南蛮七宝文様の塵よけ。織りも素材も違いますが、雰囲気が似ている様な気がします。とても使い勝手に優れた生地でもあり、人気も頂いていましたので、その代わりとしても、期待しています。

 

 

2015年12月16日

しーぎの色にため息。

 

昨日、モノづくりの打ち合わせをしていました。となみ織物でも帯との相性を考えて、近頃益々力を入れている『大島紬』。もうこう書かなくてもご存知の方も多いと思います。西陣としての『御召』。それに加えて他産地のオシャレを中心とした大島紬。ここが今のとなみ帯を活かすために、モノづくりする着物です。

 

奄美から持ってこられた試作、試験を中心に打ち合わせで出てきたのは、染めの話。

最初の大島紬との関わりは、10年以上昔に遡って、まだその頃多くあった反物から、自分所の帯に合わせる着物を選ぶ、そんな普通の浅い関わりからでした。産地も奄美に限って言えば、1年間生産量が3万反近くから(10年前)から今は5千反。その中で合わせるものが減り、結果自社の帯に合う着物を作る、意匠や色のモノづくりに参加する、深いかかわりになってきました。

 

私は意匠から色までキッチリ関わったのは、南蛮七宝文様の大島。泥、藍、白等は各8反限定で、それ以上は再度作ることも無い、とても希少なモノづくりです。その中の一つが、昨日話題に上がっていた『しーぎ染め』。

 

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南蛮七宝文様/しーぎ大島紬(絣白)】

 

昔はあったそうですが、現在では聞かない、見ていない、昔もあったっけ?それぐらいモノとして世間に無いものです。このその染をして頂いている方も、非常に手間が掛かるから、そら続かないわ。と言われています。この南蛮七宝文様以外でも紋も作りましたし、無地物もあります。

 

この染め色は明るめのグレーをベースに僅かに時々グリーンがのぞいたり、光によっては少し薄いグレーが照ったりして複雑な表情を見せてくれます。その一つ一つがとにかく優しい色で、とくにこの優しさは羽織った時に顔を明るく見せる効果もあり、本当にいい色です。

 

南蛮七宝文様でのしーぎは、8本のみの製織です。そのことを知っている、みんなは『もっと織りたいなぁ。』ともどかしさを感じながら、良いため息みたいなモノをついていました。この前向きな空気を次のモノづくりへ活かしていきたいです。

 

2015年12月15日

龍紋;試しの初反。

 

11月27日に途中経過を上げていた『唐長文様/龍紋』。全体の流れを見るためにもまず一本を製織しました。この段階で南蛮七宝文様の着物と合わせるのが楽しみですが、その気持をグッと抑えつつ、配色や糸使いを中心に細部の修正をしていきたいです。

 

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【龍紋(初反)】

 

織物は紹巴織。となみ織物の得意とする織組織です。筬での打ち込みが多く細密な表現が可能です。通常は糸もしくは箔を通し、フォーマル、セミフォーマルに結ぶ帯が主体ですが、今回に関しては、緻密な隙間を縫って紬糸を通しています。それとお太鼓の真ん中に来る龍に関しては、糸の綴じ方を綾目が出て、僅かに隆起する様にしました。中心の龍と端にいる龍とはその点で色とボリュームが変わって見えます(中心の方が少し白く見える。)。

 

なぜ、こんなことをしているのか?というと全ては陰影のためです。シンプルな意匠の分、何も触らないというのは有りだと思います。ただ、できれば拘るだけこだわって、パッと見てもその拘りはわかりにくい。使っているうちに何となく味わいが出てくる。好きになる、そんな風にできれば。そう思ってこの紹巴織をこの意匠に使い、素材、糸の綴じをその方向に向けるようにしています。

 

まだ修正の余地はあるとは思います。ただ、裏も付けていない丸巻きの段階の帯を巻いているだけで、なんかいい感じ、いい雰囲気が伝わってきます。そんな空気が写真から伝わればイイなぁと思っています。

 

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