となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「東郷」と一致するもの

2016年07月06日

南蛮七宝/綿薩摩を仕立ててみる

東郷織物の綿薩摩を使って制作した南蛮七宝文様の着物。
サラッと書くとそれまでですが、よくよく考えると、とても贅沢ですし、作った時も何反物かボツになったりと、結構大変でした(不思議と、それが今ではイイ思い出と話のネタになりつつありますよ(苦笑))。

綿薩摩を使った着物=いい物に違いない。
とイメージも出来ますが、実際にこの着物に関しては自分が着るイメージはありませんでした。(反物の幅が、自分には全く足りないこともありますが・・・。)

だからこそ(笑)、仕立ててみました。
(そのための工夫は色々として仕立ててあります。)

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『上:三重紗、下:綿薩摩/南蛮七宝』

着物が仕立て上がってくる度にすることですが、時期が袷モノであろうが夏物であろうが関係なく、まず羽織る。そして、しばらく重みを楽しみながら、季節にあっていない(この着物の場合は、単衣時期。だから、本当はちょっと遅い)着物の場合、そこまで。あとは、粛々と畳んで仕舞います。

ですが、この綿薩摩の場合、その季節も無視したくなります。無視して、(帯は結ばなくても)そのまま羽織って、座って、くつろいでいたくなります。

浴衣としては、かなり勿体無いにしても、サラサラした紗の夏襦袢を着て、羽織は羽織らず、建物に入ったら着ようか?そうだったら、着ていけそうだなぁ・・・。

と妄想が広がっていく綿薩摩の南蛮七宝着物です。

私物として、意外に早く登場しそうです。

商品としても、もう間もなく登場です。

2016年03月01日

継続するかは検討中です。

 

東郷織物のみじん格子の上に、型で南蛮七宝文様を置いた着物です。

 

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『実験』と書いてしまうと製品(着物にはあまりしたくない表現ですが)として大丈夫?と思われそうですが、何度も試験を繰り返し、繰り返し行って、完成までこぎ着けた着物です。では、この反物作ったけれども、続けていくのか?色を変えてやってみるのか?南蛮七宝以外のモノは?などの検討は、まだまだこれからです。

 

東郷さんと言えば『大島紬』、今までも南蛮七宝で大島紬はやってきました。泥、白、藍、夏、割り込み。
産地へ行って、試行錯誤して、今現在考えられるモノづくりを行いました。まだ少しはありますが、数量は全部限定のモノです。まだ、もうちょっとは大丈夫だけれども・・・、『じゃ、次は?』となった時に戸惑って、面白くない、あまり気のりのしないモノづくりをしないためにも、こういう実験はとても大切です

 

でも、完成品です(笑)。

 

 

 

2015年10月30日

ほぼお任せで注文を頂いた着物の納品です(男物)。

日頃から大変お世話になっている方の着物(男物)が仕立て上がってきました。『基本的に全部任せるし、色は黒、グレー系で。金額はだいたいで良いし、あとでざっと教えてね。』そんなザックリとした注文です(笑)。

ご自分で色を見て、生地を触って、顔に合わせて選ばれる訳ではないので、こちらで顔を思い浮かべて、その方の雰囲気を考え、着て行かはりそうな場所も想像し、最後にご要望の色に合わせて、生地選びとコーディネートを行いました。

 

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『左から襦袢、着物、羽織』

ちなみに、前回もお任せ頂きましたが、その時は全体西陣御召でしたので、今回は違った産地の生地にしようと、羽織には泥大島の無地(ほぼ黒です)、着物が綿薩摩(東郷大島)。を選びました。おそらく、この二つはイメージ通りだと思います。ただ、『ちょっと遊ぼ。』と思ったのが中の襦袢。綿襦袢(東郷)でカラフルな横段のモノです。シックな南蛮七宝文様襦袢(坪金)をお持ちなので、敢えて遠い感じのモノを選んでいます。

ある程度枚数が増えてからは、自分の着物を選ぶ場合、①面白そうな生地やし、とか②新しい織り組織できたし、とか③今まで着たことのない所の織り手さんのやし、と通常とは違った基準で選ぶようになっています(笑)。さすがに依頼されたものに関しては、そんなことはせず、自分のモノの時の何倍(何十倍?)も気を使います。
ですが、その人の雰囲気を見る勉強にもなりますし、もっとこんな感じのモノを作れば、次面白いかも?と色んな気付きをもらえますので、このコーディネート依頼され業も、楽しくなるまでやってみたいと思います。

次は、『超入門用をお任せします。』と女性の方のも言われていますので、一応信頼さている様ですのですね(笑)。
モノづくりしながら、こちらも頑張ります〜。

 

気に入られるかは判りませんが、気楽に着るための羽織紐はプレゼントしようかな?と思っています。

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2015年10月06日

一式着物がほしい(男物)。

 

仕事の様な趣味の様な風で『男物を着て集まる会(少人数)』を1ヶ月または2ヶ月に一回実施しています。全く着物に興味を持たれていない、お付き合いの方もおられましたので、『いつまで続くだろ?』と少し不安に思いながらも、今月も含め結構な回数を重ねています。最初は美味しい食べ物につられ、最近は着物を着て歩くこと自体にも楽しみを感じてもらえるようになったのかな?

 

着物業界は、お客様へ着物を勧めるのに、なぜかスーツだったりと、ちょっと不思議な所もあります。実際、販売する方の着物に対する思いは『着物は着るものではなくて、売るもの。』(非常に残念ですが)そんな考えを持っている方も少なくありません。そんなこともあって、男物を着て集まる会が続くというのは、不思議な目で見られたりもします。

 

最初は、『今日は雨降りそうだし』とか『着る時間が・・・』だから、スーツ?最初の何回は毎回、そんな話も出てきました(気持ちは分かります(笑)。また実際に作られた着物も『一着で夏も含めて、ずっと行けるのが欲しい。』(未だに着物は難問です。。)と言われていました。ただ、会が回数を重ねるうちに、段々と目が肥えてきて、要望も出てきて『やっぱり、自分にはグレーが似合うから、次はグレーで。』『それに合わせて羽織は・・・、任せるわ。』そんな話になって、今では明らかにハマって来られました。

やっぱり、まず自分着てみて少しでも興味が出ると、日常もそれが目に入る、人の物を見て比較する。目が肥えて、自分に似合うものが判るようになる。そして欲しくなる。私も同じで、自然の流れです(笑)。着てイマイチと言われると、どうしょうもありませんが、値段がはるもので、しかも仕事の様な趣味の様な世界です。それでもハマって頂けると、これ以上嬉しいことはありません。

 

そんなこんなで、『新しい着物が一式欲しい。』と要望を頂きました。しかも、今回は前回のオールお任せと違い『色味の要望』(嬉しいです)を頂きました。それに沿って、お作りしようと思います。色味以外は基本的に全部任せる、と言って頂いています。

それを受け選んだものは『次自分が欲しい物リスト』の中から、その方の要望に応じ、かつ似合うモノを選びました。前回は、着物、羽織共に『御召』。それを踏まえて、選択したモノは・・・。

 

 

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【左:東郷織物、右:大島紬無地】
色目は要望を頂いた通り、黒×グレー。

 

とかなり落ち着いた感じに。両方の反物とも語りがありますので、納品の際にはどういう思いで作られたモノなのか、それをお伝えしてお納めしようと考えています。いまは要らないかな?とも思いましたが、いずれ必要になる、なって欲しいですので、まず(右から左に抜けても)言葉で伝えるのと同時に紙に書いてでも、伝えておきたいです(笑)。

知っているのと知らないのとでは、着る時の思いの入れようが変わってくると思いますし・・・。

 

さらに、長襦袢は任された強みで、ちょっと個性の感じる特別なものを入れる予定をしています。

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【希少な東郷織物の綿長襦袢】

 

リストに入れているモノではなくて、その上のリスト自分の取り置き分です(泣く泣く譲ります)。。。今回の着物と羽織は今お持ちモノとのコーディネートはし易く、どこにでも着て行き易いモノです。たくさん着て頂いて楽しんでもらいたいです。

 

世間一般には、なかなか普及しないと思われる着物、その中の男物。和気あいあいと一緒になって楽しみながら、じりじりと着物ファンが増えればと思います。この会の話をすると、異なる業界の方からは『ぜひ参加したい!』と言われる方も結構おられますので、長く続けていきたいですね。

 

 

2015年07月17日

南蛮七宝文様/東郷織物綿薩摩/光悦蝶刺繍

 

今日の京都は昨日の大雨で山鉾巡行が気になりながら、
刺繍職人さんの工房へ行ってきました。

 

『出来上がる寸前においで。』
と言われてて、急いで欲しい様な仕上がりまでに京都に帰って来れないかも・・・。
という心配もありましたが、どうやら最後の蝶々を残して置いて頂いた様で、
うちのスタッフも含め、南蛮七宝+光悦蝶の完成間際を見せて頂くことができました。

 

帯の場合とも似たことですが、着物(もしくは帯)の地色に干渉されて絵緯、刺繍糸の発色が
鈍ってしまうことありますが、それらも全て引っ括めてこちらのイメージ通りの出来でした。

 

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作業を行われている時の空気感は白黒が伝わる気がしますね。

 

 

 

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【南蛮七宝文様の夜に残像を残す光悦蝶】

 

 

『もし、何かダメな所があれば解くので仰ってくださいね。』
との声には、とてもとても。

美しく丁寧な刺繍を本当にありがとうございます。

 

出来上がり次第、これを絵羽にする予定です。

2013年09月08日

透けすぎない紗。

 

 

涼しいところに出張へ出てきていますが、

総紗縫に紬を足した『紗楽』。とても人気です。

 

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『紗楽+東郷大島』

 

昔からあった織物は織物なんですが、総紗縫くらいの紗目と紬が合わさると、
透けているのか、透けていないのか、良くわかないくらいの透け感が、イイです。

色目も織る前の段階の糸のままで見ると、『えっ』という程の色なのですが、
透け感で全て丸く収めてくれます。

 

以前、紗楽の前に、総紗縫+紬をさらに組織を変えた『燦々』というシリーズを
作っていましたので、再度復活させても面白いかな?と思います。

 

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『燦々/ペイズリー』

 

この時は、少し緯使いを変え、長さも長く織って名古屋帯にしていましたし、
今度は袋帯で。。。

 

まだ、紗楽自体も始まったばかりなので、ゆっくり考えながら進めていきたいと思います。

 

 

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