今回は、今年の干支でもある龍についてご紹介します。
龍は中国の神話に登場する想像上の動物で、古くからシルクロード沿いの国で、鳳凰と共に霊獣や神獣として位置付けられてきました。
角は鹿、頭は駱駝、目は鬼、身体は蛇、お腹は蛤、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似ているといいます。
また口元には長い髯をたくわえ、喉の下には、合計81枚ある鱗の内、1枚だけが逆さを向いていう逆鱗と呼ばれる鱗があり、また顎下か掌には、幸
運や運気を引き寄せるという宝珠を持っていると言われます。
特に中国では皇帝の象徴として扱われ、その姿は、宮殿・玉座・衣服・器物などに描かれました。
また龍にも格があり、格の高さは爪の数で見分ける事が出来ます。
龍を描く場合、最高位である五本爪の龍は中国の皇帝しか使うことが許されなかったそうです。
昔の中国では五本爪は中国、四本爪は朝鮮、三本爪は日本でしか使ってはいけないという取り決めがあったようで、日本では三本爪の龍が多
く見られます。
日本では、龍は水を司る神として人々に広く伝わる事となりました。そのため、図案にも
雲文様や雷文様と共に描かれることが多く、
正倉院文様や名物裂にも意匠化されました。特に室町時代から江戸時代にかけての金襴・
緞子・能衣装や歌舞伎衣装にも龍の図案が使われていました。
●角龍金襴 (かくりゅうきんらん)
目をむき出し、魚風の尾を持った龍に特徴があります。
平安時代以降には武具の装飾や、寺院建築や仏具の装飾に使われるようになりました。
その特徴的なものをいくつか紹介します。
天竜寺の「雲龍図」は八方にらみの絵としても有名です。
天井に描かれた龍の目を見ながら床の円に沿って歩くと、龍が自分を目で追っているように見える不思議な現象です。
また、相国寺には「鳴竜」と呼ばれる仕掛けがあります。
天井に大きな龍の絵が描かれており、この真下で拍子木を打ったり拍手をすると、定常波という現象が起きて音がパァァーンと響き、それが龍
が鳴いているように聞こえるものです。
相国寺の他では、栃木の日光東照宮の薬師堂・長野県の妙見寺でしか見られない貴重なものです。
このように、龍は大昔から深く私たちの心に息づいているのです。
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