こちらは伊藤若冲の絵をモチーフにした帯です。
作品名は「サトウチョウ」。
佐藤さんの鳥????
──ではなく、漢字で書くと「砂糖鳥」。
東南アジアにすむ小型のインコの仲間で、大きさ14センチほど。
ハトよりずっと小さい鳥です。
とても鮮やかな鳥で緑をベースに青や赤、黄色の斑紋が入っています。
特に頭のてっぺんの青はこの鳥の英語名「Blue-crowned Hanging Parrot」にも現れています。
なぜ、「砂糖」鳥なのかというと、この鳥が非常に甘党だからだそうです。
虫や種なども食べるらしいのですが、なにより果物が大好き、とのこと。
さらに面白いのは、この鳥、コウモリのように枝から逆さまにぶら下がるのが大好きなのだとか。
昼間休むときはもちろん、夜寝るときにも逆さになっているそうです。
これが英語名の残り半分「Hanging Parrot」の部分。
実物は、Googleで画像検索した結果をどうぞ。
若冲はこのサトウチョウをはじめ、多くの外来産の鳥の絵を残しています。
左はオウム、右はインコ
若冲はなぜこんなにも多くの動物画を描いたのでしょうか?
それは、若冲の生きた江戸中期~後期にかけて日本で一大ペットブームが起きたからだそうです。
安定した世相を背景に、金魚や鯉などの魚類を筆頭に、さまざまな生き物がペットとして飼われるようになりました。
もちろん、サトウチョウをはじめとしたエキゾチックな鳥たちも大人気。
「南総里見八犬伝」を記した滝沢馬琴も、自分の飼っている鳥の話を日記に書いていたそうです。
そんなブームにあって、鶏をはじめ花鳥を描くのが得意であった若冲が借り出されないわけがありません。おそらく、豪商を中心としたこれらの鳥の飼い主たちが、自分の鳥を描かせたのではないかと思われます。
飼い主の愛情の伝わる作品ですね。
お江戸のペットブームについてはこんな本もありますので、興味がある方はどうぞ!