2014年03月26日
復刻の総紗縫
総紗縫は年中使えて、袋帯の表と裏を選べてと、今では人気の帯シリーズですが、
このコンセプトが理解されるまで相当時間が掛かりました。
また織り自体が『綟り織』をかつて無いほど細く、横に通すのは、糸と箔を同時に
織っていきますので、織り手の根気が相当に必要なものでしたので、
当初は『もうやめようか・・・』というところまで、追い詰められていました。
その当時織っていた柄に関しては、ほとんどが廃版にしていて、新しいスタッフは
見たことがない柄も数多くあると思います。
そんな中から、一柄を復刻してみました。
今の総紗縫との違いは、(柄は横に置いておいて)箔と糸との反転のみで柄を作っている所。
裏に渡る糸は全く使っていないので、総紗縫の中で一番シンプルな上げ方です。
ここから、地に通る糸の使い方、箔のつぶし方、さらに糸を加えて複雑な配色を可能に。
等々、現在の総紗縫の形になるまで、様々な技術を考えて加えていきましたが、
それら何も使わない、原型を今改めて見ると、反対に新鮮にすら見えます。
この帯自体はこれで非常に面白いと思いますので、またここから違う方向にもモノづくりを
考えても面白いかもしれませんね。