2012年08月10日
そうしゃぬい。
総紗縫の素材実験でそのまま帯になりそうでしたので、
帯にしました。
→http://www.kyo-tonami.com/godaime/2012/07/post-1702.html
短い目出しの段階では、気が付かなかったことが、帯一本で見ると、
『あれ?』と感じる所が沢山みつかります。
今回、この柄を帯化するにあたり、僅かではありましたが、改善箇所を
修正していますが(ほっておくと糸が抜けたり・・・)、
柄の感じは、ほぼ素材実験のまま、となっています。
実験の際も、様々な太さの糸を入れてましたので、その準備として、紋柄の筋は、
単純な直線ではなく、凹凸を付けて、他種類の糸に対応できるようにしていました。
その真っ直ぐではない所が功を奏して、可愛い味になっています。
世間には、この柄に似た感じのものもありますが、平織りで
残糸を使って横段を織っていくので、偶然性を特徴にしたものがほとんどです。
それとは違い、この総紗縫柄は、色や糸の違いによって、経糸での綴じ方を『紋』で
一つずつ変えていますので、計算して偶然性を作り出しています。
『当たり』といえる偶然が出るまで、
試験を織っては修正、織っては修正の繰り返しをしますが、
その分、シンプルな柄なのに、奥行きと面白さを持っていると思います。
最初の一本は、全通で織りました。それはそれで良かったのですが、
さらに面白みを足したくて、お太鼓のタレ部分には、一本だけ筋を入れました。
『無地でも良いかな』と少し悩みましたが、比較すると、
こちらの方が自分の好みでしたので、これから織るバージョンも、一本筋です。
仕立て上がって、着物に合わせると、また良さが引き出されそうな柄なので、
今度は結ばれた所が見たい帯の一つです。