となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「御召」と一致するもの

2016年11月05日

この前の続き/南蛮七宝の上に(下に)来るもの。

唐長文様『南蛮七宝』のモノづくりとして、帯、着物、襦袢、小物があり、
帯・着物でも、どちらか一方を南蛮七宝にすると、もう一方をどうするか?


自分が着物を着るときも、(軽く悩んだり)考えるところです(笑)。
南蛮七宝が好きなので、着物も帯も襦袢も、羽織も草履もそれで行こう〜。
もちろん、そんなときもあります。

ちょっとそれは、やり過ぎ・・・。の声もあるし、じゃ次は一箇所くらいは遠慮して、
他の柄で。そんなときもあります。(もちろん、全くどこにも入らないことも。)

南蛮七宝を一箇所でもコーディネートに入れるのであれば(それが多くても少なくても)
できれば、着姿全体を唐長の文様の中で、解決させてしまうこと、できないかな?
と思っています。

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そんなことをして絶対に欲しい、ではなくて、これからのモノづくりのキッカケとしても、
面白いですし、同じ世界観の中で、完結させる。結構なチャレンジになります。

今まであれば、帯と同じモチーフの着物を帯着物のセットで、はありました。

そこを進化させてしまって、
同じ世界観で、できれば唐長さんの様な根っこがしっかりした意匠と考え方に基いて、
帯や着物、小物を制作していく。(大変でしょうが)かなり楽しそうです。

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つい先日上がってきた『光琳大波』帯バージョンを南蛮七宝文様の御召の上に
乗せたとき、少し感じた事が、昨日唐長さんのお話を聞いていて、より強く、
思ったところがあり、こんな風に書いて残しておきます。

さてさて、どうなるでしょうね(笑)。

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2016年10月17日

唐長さん尽くし。輪宝文の御召も

昨日一昨日とお客様が京都へ来られていました。
本社に来ていただくのが、メインイベントでしたが、その前は特別に、
工房見学等で色々と体験して頂きました。

その中の特別な一つに唐長さんの12代目の工房(修学院)へお邪魔させて
頂きました。さらに、今回は特別に唐紙の制作工程も目の前で見て頂き、
(しかも12代目自ら・・・)数名のお客さんにはミニ唐紙講習も・・・。


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事前にお客さんにはこの辺りのことはお伝えてしていませんでしたので、
大きなサプライズにもなり、良い感動を持って帰られたと思います。
(実際に、唐長さんの話はこの後ずっと話題にされていました。)


12代目、ありがとうございました。

一昨日昨日とそんなイベントがあり、さらに先ほど図ったかのようなタイミングで、
唐長文様『輪宝文』の御召の仕立も上がってきて、一日唐長気分に浸っています。

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『御召:仕立て上がり』

経糸はベージュの濃淡縞に、黄緑で文様を淡く織ったモノです。

また、この着尺を作る際にあった自分の中のイメージと見比べるために、
帯と合わせてみて・・・。

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また結ばれた所を紹介させてもらいますね。

そんな2日間でした。。

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2016年09月27日

となみ織物ショールーム「CandyCircus」展(舟田潤子氏も参加)。

土・日と2日間の短い期間でしたが、非常に盛況だった「CandyCircus」展。
作家の舟田潤子さんも、ずっと会場に居てくださり、ほぼ切れ目の無く来店くださった
お客様への作品説明等を行って頂きました。


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(ショールームも作品とともに展示)

帯・着物・小物・その他・試作品まで全て一箇所に集めて展示したのは初めてです。
着物を見に来られるワケではないお客様・帯着物の比率は少ない展示、その雰囲気の中、
参加した、となみスタッフも、この世界観に2日間べったり浸り倒していましたので、
おそらくこの世界に感化され、今後のモノづくり、配色面なんかは特に、
しばらく元に戻らないような気がしています(笑)。

まあ、それは新しいモノづくりができる、とポジティブに考えていますが(笑)。

となみ織物として「CandyCircus」の展開としては、しばらくは帯作り。
現在のところ、色数の少なめで個性的な意匠のモノ一つ。
もう一つは今まで以上に華やかなモノ、が進行中。

それに加えて今度はシンプルな御召。が待機中です。

「CandyCircus」の和の部分を担当する中で、今のところ、ごく一部しか作れていません。
コツコツと積み上げていって、いつか後ろを振り返ったら、
「ホント良くやってきたなぁ〜。」と自分でも思えるように、進めたいと思います。

もちろん、素敵な着姿の一部に入り込める様には、忘れずに・・・。
(たまに作り手にハマり込むと忘れてしまう・・・。笑)

2016年08月19日

色をメインに。

今までに無いイイ色を作りたい。と試験を繰り返しながら制作しています。

色というと、今では定着した『となみブルー』もそうでしたが言うのは簡単、
そこに至るまでの、作る・発見する・使う&使える。ようになるまでには、試行錯誤の連続。

この制作方法で着物は、今までもちょこちょこ登場していますが、試行錯誤を繰り返し、段々と形になりつつあります。


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『南蛮七宝文様/御召』


今までのモノをご存知では無い方のために、まず通常染めの着物は白生地を使います。
白(または生成り)の上に色を置くため、染めあがりの色は当然予想し易いです。

今、制作しているモノは、元々色の入っている先染めの着物(これだけで製品として成り立つ)の上に色を加えて、 元々ある色が底から照ってくることを想像しながら、深い色を作る。

そんなモノづくり。特に今回挑戦したのモノは、底にピンク色があり、その上からグリーンを足す。

料理だと隠し味に、りんご、チョコレートでコクを・・・。イメージとしては一緒ですが、なかなか思い通りに行かず、 最終のブレ幅も大きいので、苦戦中。

また、この着物の場合、同じものは作りたくありませんので、完成する度に異なる色を作る。

そのため、経験も蓄積されにくく、失敗も未だにあります。
それでも少しずつは欲しい色が作り出せてきました(現状5反のうち、失敗は1くらいです)。

帯が最大限にイキイキしてくれるイイ色作り、帯作りと同じくらい力を入れていきたいです。

2016年08月08日

要勇気の着物

織物は経糸と横糸(緯糸)で柄を織ります。通常その両者の色が入り混じり、織組織などの様々な関係性によって、目に入る色(配色)が決まります。また織物の性質上、緯糸は変更し易く(杼を変える)、経糸は変更し難いものです(一度機に掛けた経糸を替える場合、基本的に裁断することになる)。

帯も着物も基本的に同じ。そのため『経錦』などの経の配色でほとんど全ての色が決まる場合は、経糸と心中するつもりでやります。変わった色目のモノづくりの場合、配色を考えた後、それを実行する場合、要勇気!です(笑)。帯よりも要尺の長い着物の場合、さらにもっと勇気が必要です。今回は、その勇気を出して(苦笑)制作した『仙福屋の御召』が織り上がっていますので、紹介します。

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『仙福屋の御召/となみブルー』


こんなモノづくりの場合、勇気は要りますが、その反面、通常の着尺経糸にはある程度汎用性のある色を使います。例えば、薄い地色の着物であれば、淡い生成り色やオフホワイトの経糸。その色が製織時に、緯糸と一緒になることで、(ある程度は計算できますが)柔らかな奥行きのある中間色に仕上がりますし、ある意味それを狙っています。

写真の着物はそのモノづくりとは異なって、経糸に『となみブルー』を染めて使っています。もし失敗してしまうと、全部青みが強烈に入った、こちらの想像とは大きく違った反物・・・。になってしまうので、上記に要勇気と書きましたが、まさにそのモノづくりでした。まだ、ほんの一部の方の評判しか聞けていませんが・・・、物凄く良い評判です(笑)。

ただ、こういう時に限って、リスクを考え、出来る限り経糸を小さく、織れる本数が少ない経糸で織ったりしています。モノづくりって色んな意味で難しいですね(苦笑)。

2016年07月20日

久々の更新/夏しぼの新作途中。

一週間ぶり、久々の更新です。
その間、ちゃんとモノづくりも進めていましたが、8月と9月にあるイベントの段取りで、ここの所あまりメーカーらしくない動きばかりです。

このブログやとなみFBページもそうですが、帯メーカーが何をしているのか?どんなモノを作っているのか?等々をを伝えること。僕の中で優先順位の高い、ほとんど永遠のテーマのようなモノです。今回やることは、随分苦手な分野ですが、頑張ってやっていきたいと思います。

なにをするのか?、というのはまたお知らせしますね〜。はぁ~(苦笑)。

さてさて、モノづくりはというと・・・。

一つ新作の『しぼ織』が上がってきました。

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『Candy Circus(アネモネノクモ)/夏しぼ』

しぼ織という織物は、普通の帯よりも一つ手間を加えて完成させる帯です。まず御召緯を使い通常よりも広い巾で製織します。その後織った丸巻き上のモノをお湯に浸け、キュと糸が縮む力を使って、帯巾を縮めることで、帯地表面にしぼを作る。そんな織りの帯です。

ちなみに、この帯地表面のしぼを作るために、御召緯の代わりにナイロンの糸を使い、それに熱を加えることで縮ませ、類似のモノを作る。そんなのもありますが、風合いが固いですし、何か違う気がします・・・。折角だったら、似たものでなくて、全く違うモノを作ったほうが良いような・・・。

この帯も基本は御召緯を使って、お湯に浸け、しぼを作ることは同じ。違うのは、全体にしぼを付けるのではなくて、花弁部分にしぼを集中させ縮めることで、ボリューム感と面白みを作るようにしました。

また、しぼ織を作るベースの考え方として、縮む御召緯の特性を、いかにコントロールして『柄や文様』を作りだすのか?が基本です。

この帯では図案の面白みを活かしたいため、敢えてコントロール部分をほとんど考えず、思い切って開放してみることをコンセプトにしています。『一体、どうなるんだろう?』ちょっと無責任の様に(笑)始まり、当然のように最初失敗しながら、次はちょっとだけコントロール⇒チェック・・・、を繰り返してここまで来ています

結んで頂いても大丈夫ですし、縮み具合や紋の具合に関しては問題ありません。後は配色、お湯に浸ける際の細かな問題を一つずつ解決してければ、帯として皆さんに見て頂けると思います。

写真の帯から箔を変え織った二本目も上がってきましたので、また実験し、チェックし、修正を繰り返していきたいです。真夏に結んでもらうには少々遅い完成になりそうですが、夏にも結べるということで、できるだけ長い季節結べる配色のものも考えていきたいです。

CandyCircus
 ⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/candycircus/

2016年06月23日

6月の追い込み 着物制作。

日曜日から奄美へ三日間行きますので、6月最終週の来週京都にいる日は、2日間・・・。
あまり時間がありませんので、今月中に上げていきたいモノ、次の工程に渡しておきたいものの仕上げに掛かっています。

今週初めの段階では、今月中にやらなければいけないことは、ギリギリ間に合いそう。でしたが、大変押しています(例えば、昨日だけでも二時間ほどで終わる予定の仕事が午後全部使ったり(笑うしかないです。 笑)とっても厳しい事態です(苦笑)。

それもモノづくりが壁にぶつかり悩むのではなくて、盛り上がり過ぎているためで、まあ仕方がないかな(押しているのは、なんとかします 笑)。特に若手が中心のモノづくりなので、その空気を大事に、勢いまでその中に組み込んでいければ、面白い仕上がりになりそうです。

具体的に、一つのモノづくりは、新しいコラボの立ち上げ。

一年以上モノづくりの摺り合わせ、特にベースとなる方向性の打ち合わせに時間を掛けています。
それがやっと、三柄だけですが、図⇒型が完成、素材となる生地も決まりましたので、目に見えて進みました。

そして、もう一つは秋用の御召の打ち合わせ。特に新柄出し、です。
となみ織物で作る着物の中の柱です。今までは主に私がやっていた所に、ちょっと新しい空気を入れてみます。

以前も若手との帯つくりのところで書いていたと思いますが、とにかく口を出さない。目でもモノを言わない。後からも何も言わない(笑)、仕上がりとお客さんからの感想ぐらいは聞く。

それを強く強く意識して、同行しています。大変難しいですが・・・(笑)。

たまに違うなぁと思うときは、この感じが良いんじゃないか?
という反物を気づくように流してみたり・・・(笑)。

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『仙福屋の御召/輪宝文』
  ←こんな織物の上げ方が良いのになぁと無言で横に置くとか・・・笑

まだまだ、言いたくなるので、ダメですね〜(苦笑)。

2016年06月20日

秋に向けて仕込み中。となみブルー御召

まだまだホントの仕込みですが、新しい色を試しています。
と言っても、横に通す糸を通すだけで色が変わりますし、今まで使っていない色を使えば、新色の反物が上がってきます。横糸を変える自体は、そこまでの手間ではありません。となると、新しい色を試す、ということはそんなに大したことが無い。と思われそうです。

が、今回の『新しい色を試す』というのは、経糸を変更しての新色作りです。経糸というのは織物を一本織る度に変えるのではなくて、場合によっては何十本モノ織物を一つの経糸、一種類のモノで織り上げます。

そのため、失敗すると、何十本織れるはずの経糸が全て無駄になってしまい、最悪の場合は最後まで織り切らず、途中で切断となります。そのため、今まで安定的に織れていたモノから経糸変更することは、そこそこ大きなチャレンジです。(だから、少なからず『問題ないのに、なんで?』そんな声も聞かれます)

今回の目的は、単純に『新しい色を作る』ことにもありますが、その色は『となみブルー』を表現したいと考えています。となみブルーで織る御召つくりです。今のところは試織で柄も試験です。

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(となみブルーの御召)

まだ完成していませんが、もちろん経糸を変えず、緯糸(横糸)だけでも、これに近い色をつくることもしてみました。ただ、その時は経糸の色が邪魔をして、濁ってしまう。悪くない色でもあったのですが、まだ途中段階のこのブルーの方が遥かに透明感があり、となみブルーに近い色をしています。

この目出しサイズで見ていると、よく見えても、これが『反物になると、どうなのか?』。そこから修正が必要か・・・、などなど、まだ完成までは遠いですが、秋に向けてこのモノづくりは視界良好です。楽しみにしていていください。

2016年06月08日

御召作り『Kilim』 その1

仙福屋が作る着物で、夏単衣という季節を絞って制作しているモノがあります。柄的に色々と制約があって、なかなか新しいモノづくりが難航していました。『それよりも、もう一方の方を・・・。』と自分から避けていたこともあります(苦笑)が、今の時期やはり、人気が出て、毎年毎年、その人気も少しずつではありますが、右肩上がりです。

そうすると、もう一方を・・・とも言ってる訳にはいきません。案もあるし・・・。やるか・・・。
と決して嫌ではないのです(笑)が、とうとうスタートしました。

現状のシリーズにもある『Kilim(キリム)』の帯図案を活かしてのモノづくりです。

元々のKilimは織組織は『総紗縫』が中心。配色も非常に綺麗な色が多く、個性的な帯が揃っています。→PINTREST参照

それを元に作りますが、色にイメージが引っ張られないよう、頭の中はこんな風に白黒に。

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ここから着物としての柄のサイズ、意匠の方向、織りの見せ方等々を検討していきます。基本的に帯と着物の柄とは違いますので、この段階で良いと思っていたものの多くは弾かれ、再度織物として織れるのか?どこをデフォルメするか、そこを詰めて、進めます。

今日はまだ最初の段階。仕上がりはまだ先ですが、いいものができそうですよ。
一度、進めだすと、楽しくなりますが、それまでは非常にハードルの高いモノづくりです(苦笑)。

2016年05月09日

ざっくりとした注文を頂いたところから・・・。

 

『こんな感じの柄でこんな感じの色』と、相当ざっくりとした御召の注文(笑)を頂きましたので、まずそのための見本を織ってみました。夏に近づくにつれて、御召の場合限定ではありますが、圧倒的に薄い地色に人気が集まります(帯や他の着物はそうでもないのが、また面白いところ)。

 

その見本裂地です。

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写真の部分で6柄2配色あります。

 

この御召は総紗縫や上品綟のように綟って透け感を作っているのではなくて、緯糸と地紋の工夫と改良で風を通す夏単衣モノに仕上げています。反物を下に置くと、透け感が少なく色の重さを感じますが、着ることをイメージして、写真の様に反物を立てると、濃い緯を通して織ったにも関わらず、透け感を感じることができますし、『これだったら夏に濃い色の着物を着てみようかな?』と思って頂けると思います。

まだ、今のところ出来上がってから日の浅い織物でもありますので、薄地が一通り人気が出た後は、この濃い地色の方で・・・。と画策しています(笑)。

 

薄地色のも含めて、この織物が反物になるまで、試作の繰り返しでした。自分でもプロトタイプのモノを着ていて、完成版は良いなぁ・・・(笑)と、思い入れも沢山(柄によってはこの織物に全く向かず、織れなかったとか)のあるモノですので、大事に紹介していければと嬉しいです。

 

今年はいよいよ自分用に濃い地で作ろうかな〜。

2016年04月15日

今日の着物。衿にも入れてみました。

 

今日はほぼ一日、着物です。
昼間は、相当暑かったので(20度超え?)、この時期からはほとんど単衣で動きます。年中通しても、真冬、どうしてもと言われるお席以外はほとんど軽やかな単衣がここ数年多いです。夏は羽織を着たいので、ここ最近はどんどん織物を薄くしていく傾向です。

 

そんな今日の着物はこんな感じです。

 

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着物;御召(南蛮七宝)、襦袢:坪金(南蛮七宝、衿は染御召地)、羽織:大島紬の黒無地、角帯:組紐。

 

夜は100名を超える会合に参加します(年一回開催)。初めてお会いする方もおられます。お会いした印象を少しでも残して頂くために、また、今こんな着物があるんだ。着てもイイかな。と思って頂けるように、いつもよりも南蛮七宝文様の箇所を一つは多く増やしています。

 

最近は男物の注文、問い合わせを多く頂きますので、この流れを身近なところにも広げていきたいですね。
ただ、着物ってイイですよ、と着物を着ながら勧めていると、自分も欲しくなってしまう、それが問題です(笑)。

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

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『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年04月11日

『アンティークと唐長の世界』展

 

9日(土曜日)には、京都の『ギャルリー田澤』さんへ。
唐長11代目のギャラリートークへお邪魔してきました。

 

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『アンティークと唐長の世界 4月7日〜22日』

 

ギャラリートークでは11代目から、
ケルト・アイルランドから始まる文様が時間を掛けてユーラシア大陸を渡り、日本へ。
日本とアイルランドには1万キロ以上の距離が離れているが、ほぼ同様の文様がある。
アンティークと唐紙との相性の良さ。
唐紙を感じるのに、必要な光の話、等々。

今まで何回か聞かせて頂いたことのある話もありましたが、実際に唐紙とアンティークがコラボとして形になった姿を見ながら、唐長や唐紙に対して多大な興味を持たれている方々が30名集まり、一緒に聞く、その空気感は格別に良かったです。これはついでですが、自分も南蛮七宝の御召(薄ベージュ)を着ていたせいもあって、作品にはなれないまでも(笑)、他の方よりも作品に近づくことができた、ちょっと特別な時間を体験してきました。

 

今回の11代目の話にも出てきたこと。また自分の唐長さんでのモノづくりで意識していることがあります。

それは、季節や光、調度品などを含めたその場の空気感を唐紙に映すこと、です。

 

例えば、今の時期であれば、襖に入っている唐紙が、その季節の空気や射してくる光、周りの調度品を映して、4月らしい色目になる。5月だったら5月、秋であれば秋・・・。そういう色使いを常に意識すること。

きものに置き換えると、帯だったら帯の色目がその時の季節や着る人の雰囲気、着物の色に応じて、雰囲気を映してくれる。
もちろん、コーディネートは必要にしても、その帯を結んだときには、それらを越えて何かいい感じを与えてくれる。そんな帯作り、を意識しています。

 

最近、上がってきたのはこの『角花文様』の帯。
意匠的には、日本が文明開化期に入って、洋が流入、急に変化するその時代の空気感も受け入れて、消化できる、そんな雰囲気を持っている文様です。

 

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【角花/紹巴織】

 

いくつかの配色替えも意識して意匠図を製作していますので、もう数色は織りたいと思っています。ただ、どうしても一番目に作りたかったのが、この配色。地色は柔らかなベージュに胡粉をくすませた白、また柄部分の緯糸は絹と箔を使い、素材感の差、異素材のメリハリを利用して柄を浮き上がらせました。裏地はまだですので、袋帯として完成するのはもう少し先ですが、おそらく周りの空気感を拾いながら、着物や小物とコーディネートしていくと、上手く馴染んでくれる帯になったと思います。

 

この文様でも、沢山試作は取りましたが、まだまだ素材部分やってみたいことはあります。また、文様が変わるとそれに応じて、したいことも変わります。それに応じて、倍々と試験織も考えて、試し織りもやっていかなくてはいけませんが、一番シンプルな文様で、色んな話やモノを見て、色や文様の表現にプラスすることができる環境、なかなかありません。最大限、活かしたいと思います。

 

 

ギャルリー田澤さんでの唐長の世界展は、22日まで。もう少し会期があります。
もし、お時間と興味のある方は是非、訪れてみてください。

桜が終わった京都は少し空いてくるかもしれませんので・・・、ぜひ。

 

 

 

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2016年04月05日

木花御召誕生。

 

試験織から始まって、えらく時間が掛かりましたが、『木花御召(このはなおめし)』完成です。

 

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『木花御召(まずは薄地4色)』

 

縞に整経した経糸に、単色の緯使いで織ると、いつもの御召。それとは全く異なる緯使いで、柔らかな手書きクレヨンの様な雰囲気を持つ御召を今回新たに製作しました。見るからに緯糸の色数が増えた分、お互いの糸同士の関係が複雑になります。帯と同じ様な発想が必要で、一つずつやっていくしか、ありませんが、もし一つの配色を間違えると色が濁ってしまいます。

 

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シンプルな様に見えも、染めとは違う織りの奥行きを感じることのできる、良い反物になりました。裏を付けて袷時期に着て頂くこともできますし、これからメインになってくる単衣として、さっと生地感を感じて着て頂くのも素敵です。

 

今のところ、濃い地の予定はありませんが、(かなり効いた)効き色をピッと入れれば、面白いかもしれません。頭のなかのイメージだけですが、色々とやってみます。

2016年04月01日

仙台⇒京都へ戻ってきました。

 

仙台出張2泊。半年ぶりに行ってきました。
実質2日間だったので、あっという間に終わってしまい、今日は京都にいます。その2日間をお客さんと目一杯、雑談を交えた着物中心話をさせて頂きました。モノづくりのヒントを沢山。気付かされることも沢山。刺さることも沢山と、とても実り多い出張でした。本当にありがとうございます。今日は、その頂いたものを一日中、整理⇒紙に書き出し、また整理(ときどき電話)ということをしています。今からそれを種にして、次の大きなモノづくりへ育てていきたいです。

 

今回は南蛮七宝文様の他に少し大きく『輪宝文』の帯を持って行きました。まだ帯だけの紹介でしたが、とても評判が良く、当初想定していた南蛮七宝とのコーディネート以外でも多くの着物と合わせて頂いていました。これから御召や小物でも製作していきたい文様ですので、大事にモノづくりしていきますね。

 

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他にも、伝えたいことが多くあり、モノづくりのメモと混在してダーッと文章を書いていました。この日記に書くにはあまりに整理がつきませんでしので、まずは輪宝文だけを・・・。京都から出すぎるとモノづくりが止まり、頭も切り替わってしまって、元に戻すのが大変になりますが、月一、二回くらいは出て色んな話を聞かせて頂くほうがイイですね。モノづくりで、その時考えていたことや悩んでいたこと、帰ってきても解決はしませんが、なんとかなりそうな気がしてきました(笑)。

 

後は帯づくりでお返ししたいと思います。

 

2016年03月24日

少し遠出。輪宝文/御召

 

新作御召の打ち合わせを現場で行ってきました。
市内から少々離れていますので、営業時間内に日帰り出来る距離ですので、旅行と行かないまでも、車内でも十二分打ち合わせができます。新幹線では自分の仕事にグッと入りがちですが、車では(寝ないので)途切れずお互い話しし続けて、案が出れば、それをメモをする。図案や新しい織組織の前の前の前の・・・段階ではありますが、共通認識を作るためにも役に立ちます。これも、一つのモノづくりです。

 

さてさて、着物を作るのは、帯のモノづくりと似ている部分と、そうでないところ。もちろんあります。

みなさんの目からすると、帯と着物(織り物の場合)のモノづくりはどのように映っておられるのでしょうね?帯つくりにどっぷりと入ってる立場から見ると、さすがに客観的には見れませんので、もう分からなくなっています(苦笑)。似ている様な感覚で進めていると、さっぱり分からない所もあったり、反対に帯で当たり前に行っていることが、新鮮だったり・・・。帯あっての着物、着物あっての帯、そのあたりがモノづくりにも反映しているようです。

 

今回ここへ来るにあたって、一つの目的はこの輪宝文の御召をみること。紆余曲折がありましたので、少し心配していましたが、無事最終試験の目出しも上がっていて、いい仕上がりです。また、機に掛ける前の輪宝文の紋紙を見ることが出来たは、とても良い収穫でした(西陣では紋紙を見る機会は少ないので・・・)。

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今のところ、濃い地色よりも薄地の方が面白そうなので、これからの季節(仕立てしたら間に合うかな??)、楽しみです。自分としても、一枚羽織作りたいと思っています。また、上がり次第、紹介しますね。

 

他にも、今までのモノを風通組織に改良を加えられそうなモノ、以前11月末に紹介した木花御召の完成品直前等、充実していたと思います。今までの帯でもコーディネートできますが、新しいカタチの着物を見ると、また帯を作ろう!そんな気持ちも盛り上がりますので、また明日から頑張ります。

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2016年03月14日

唐長さん、フルコース

 

今日はほぼ一日唐長さん尽くしとなりました。なかなか味わえない、贅沢な一日です。
朝は11代目夫妻との打ち合わせ、昼からは12代目と水上殿で。モノづくりの話、次への前向きな話、8年後の400年に向けての話と、多岐に渡ってやりたいこと、進めなければいけないこと、解決すべきことが山程あります。

今は問題だとしても、それを1つずつクリアできれば・・・、8年後と言わず、2,3年もすればワクワクする事態になりそうです。そんな話も含め、今日の今日の話です。まずは自分の中でまとめて、形にしてから、また皆さんに見て頂けるようにしたいと思います。

 

そして、夕方帰った来た時に上がってきたのが、輪宝文様の御召目出し、その2。

 

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『輪宝文様/御召目出し その2』

 

モノづくりに関しては、いつもこういうピッタリのタイミングで何事も進みます(笑)。普段気づかないことも見つかり、意匠図(柄の設計)を触れるかどうかで悩む部分も明確に。唐長さんの話を聞いた流れで集中してモノづくりに掛かれることは、本当に有難いです。

 

右がその1,左がその2。結局、配色は置いておいて、その2でも再修正を掛けていきます。来週にはその修正も終わり、再度試験を取った後、本番へ向かっていきます。

 

濃い一日でした。。。

 

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2016年03月10日

夏ひとえ、新色。

 

まだまだ肌寒い京都です。ただ、モノづくりは、商品の準備は季節を一つ、二つ超えて想像してしていく必要があります。(以前年四回掲載していた時は、撮影時に、真冬の気温なのに夏号の構想を練る必要があったり・・・。)。毎年、『今年は去年より暑いな〜。』とか反対に『過去最高に、寒いな。』と大層に感じてしまう方なので、先取りは得意かもしれません(笑 全然関係ないかな?)。

 

昨年、大好評だった『夏ひとえ御召』が新色も含めて、上がってきました。

 

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去年は冒頭で書いた様には上手く行かず(得意と書いた割には)、暖かくなってから、新柄や新色を加えようとしましたので、間に合わず試験で止まっていたモノもあります。この『Kilim(キリム)2』は、今年ようやく当初考えていた色が揃いました。

 

私もこの織組織のモノは着物として南蛮七宝文様を持っています。今年で3シーズン目、回数・頻度とも、かなり着倒していますので、タンスと相談しながら、もう一つ柄違いで作ろうかな、と考えています。

 

ちなみに、この織組織は柄付によっては透け感を作れないので、まだ5柄ほどしか制作できていません。この着物が必要な季節が来ると焦るし、遠ざかるとまた来年に(苦笑)となってしまうので、今年こそは途中で止まっているモノづくりを始動させていきます。さぼっているわけではないのですが、反省です。。。

 

2016年02月29日

ゆっくりながら再始動。輪宝文様の御召/試験織1

高松から京都へ帰ってきました。花粉症と風邪で本調子ではないのですが、溜まったモノづくりを見ると、結構元気がでてきます。いくつか並行したモノづくりはどれも一斉に手を付けていきたい気持ちもありますが、それをやってしまうと、混ざってしまいます。そうならない様に、一つずつ進めていくのが安全です。

 

今、比較的に完成/ゴールに近いものは作楽の新柄。それに今まであった紋の配色を変更するモノ。織り組織に変えてリメイクするモノ等々。量で見ると、ぞっとします(笑 出張中にはそれを整理していました。)。他には図案段階のCandyCircus3柄目、メルマガに掲載していた『しぼ織』、唐長文様の帯等も優先順位を変えながら進めています。この辺り全て引っ括めて、たのしみの宝庫です。

 

今日は、その中でも一番ゴールに近そうなモノ作りの検討を行っていました。ざっくりとした部分は、出張中でもメールのやり取りで進めていたものの、やはり織りの実物を見ると、修正点はもっと見えてきます(それでもやっていたくなります)。

 

SDIM0072.jpg
『唐長輪宝文/御召の試験』

 

細かな修正点は色々とあるにしても、大きなのは2つ。
1,全体を構成する輪宝部分(◯のところ)が楕円具合がきつい←筬での打ち込みが入りすぎています。
2,文の真ん中の上げ方が異なる。

とはっきりしています。←写真ではそれも見逃しそうになることも・・・。

 

後は、実際にお手本にした唐紙と試験織との間を何度も目を行ったり来たりさせて、最後の詰めを行います。

DSC06874.jpg
『お手本にした唐紙/輪宝文様』

 

大きな修正点はだれでも見つけることが出来ることができますので、、それ以外の修正点に気がつくことと、仕上がった紋に対しての配色がここからの自分の仕事です。

 

来月中旬に、唐長さんの三条店で初反の発表ができれば・・・上出来です!

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2016年02月22日

大島の羽織りに御召・南蛮七宝

一昨日昨日と、博多にいました(今は京都へ移動中です)。

100周年のイベントということで、大島紬とそれに合わせた自社帯に1日中囲まれていました。産地からもお手伝いにメーカーさんも来られていましたので、着物は南蛮七宝の御召でしたが、羽織には無地の大島紬羽織(ほぼ黒の泥染)でした。

 

 

今回のイベントでは1000反の商品を展示しています。現在、大島紬の生産量は最盛期の何十分の一にまで減っていますので、おそらくこれ以上考えられない品揃えと、『えっ』となる質も併せ持ったイベントになっています。

 

100周年というキッカケが無ければ、開催は難しかったと思いますし、このタイミングでできたことが本当に良かったと思います。今回は西陣でありながら、どちらかと言えば脇役だった、となみ織物も商品をコーディネートしながら、多くのことを学ばせていただきました。

 

自分たちの作る帯が産地を超えて、一番よく見えるための着物を探す。

簡単な様で今まで出来なかったことです。この機会を大事に次のモノづくりにつなげていきたいですね。

 

次は高松に行きます。高松自体が初めてですので、ここでもなにかものづくりのヒントを頂いて来れればと思っています。その前に今日は京都で先日から始まったデザインウィークの催しが・・・。となみブースらしからぬブースにどんな反応があるのか、楽しみです。

 

もしかして、となみと気付かれないかもしれません(笑)。

 

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