となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「南蛮七宝 大島」と一致するもの

2016年08月29日

『8月最後の男着物』

ただでさえ、男物の着物はハードルが高い。その上、夏物。


『だったら、浴衣着る。』


そんな声もたくさん聞きながら、それでも夏は特にカッコいいと思う、男物の夏着物。
おそらく、次に着るのは9月初めになり、その時は単衣物になるので(とは言っても今回の着物はそこでも登場できそうですが・・・)、今年最後の夏男物を登場させてみます。

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まず、
◎羽織:南蛮七宝文様の三重紗。
今月で生産が終了する反物。とにかく軽く、着ているのを忘れるくらいなので、この夏はフルで活躍した羽織です。これの代用品もしくは・・・と来年用はどうするか、頭の痛いところです。


◎着物:格子柄/大島紬の夏物。
シンプルで羽織が無地じゃない場合、結構登場する着物。
これも軽くて風を通すので、よく出てきます。

◎襦袢:南蛮七宝文様の洗える襦袢(絹)
今年、自分が関わったモノづくりの中では最大のヒットだと思います。
少々コスト的に高く付きましたが、機能性は抜群。
今のところ、在庫0なので、頑張って製織中です・・・。

◎羽織紐:純銀細工。
どんな羽織にもコーディネート可能なので、これも夏によく出てきます。

角帯:この日結んだ角帯は、ただいま貸出中で撮影できず。
淡いベージュ色の組紐を繋いだ角帯。年中結べるので、自社の総紗縫角帯と共に、
この夏は活躍しました。


着物のお洒落は、女は男物へ。男は女性物へ。
という言葉を意識しているわけではありませんが、全て女性用の反物で制作しています。

ちなみに、反物の巾は狭いので、そこは仕立て方法でカバーしています。

『男物を着たいけど、なに着たらイイのかわかない・・・。』そんな声もたくさん聞きましたので、今回のように時々紹介していきますね。

2016年05月24日

雀形七宝、初披露

先日FB上でとても評判が良かった名古屋帯『唐長文様/雀形七宝』。社内で着物に合わせて色々とイメージを膨らませていましたが、やはり実際に身体に帯を巻いてもらうのが、一番です。

合わせるモノは、『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬』。これもまた最近上がってきた、面白い曰くつきの着物(苦笑)。

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『南蛮七宝文様/夏・藍大島紬 ✕ 雀形七宝(名古屋帯)』(七宝の中に雀が・・・)

名古屋帯は袋帯と違い、裏地を必要としない分、コスト的には下げれますから、柄や色を思い切って遊ぶことが(袋でもやってましたが・・・ 笑)し易い形態です。となみの生産数量からすると、名古屋帯はほんの僅かしかなく、織る際は筬の巾が違う(八寸二分or九寸)ので、今ある全ての織組織ですぐに、袋帯→名古屋へと移行できるわけではありませんし、袋帯の裏地も含めた世界観もとっても楽しいモノづくりです。

ただ、こんな感じの名古屋帯の世界をもっと広げることで、ここから『となみ帯/織物』に触れて頂ける機会が大幅に増えるのかな?と、この帯の評判を見たり聞いたり、実際に目にすると、そう思いました。数柄待機していますので、少しずつ進めていきますね。

2016年05月07日

南蛮七宝文様/夏大島・藍の一反目織り上がり。

 

奄美の職人さんから『原料あるけど、織ってみる?』と話を頂いてから(返事は『もちろん、お願いします!』)、数ヶ月。完全に忘れきった頃に(苦笑)上がってきた南蛮七宝文様/夏大島紬、の正藍です。

 

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(どうも写真では上手く伝わりませんので、またこれに関してはチャレンジしますね。)

 

夏の場合、糸が通常のものと異なり、いつも通り織れないため、奄美大島では夏の織り手さんがほとんどおられない。今では『幻の大島』と言っても良い着物です。南蛮七宝文様では、以前『白』を織ったこともありますが、一経を織り切るのに、優に一年は超えていました。今回もそれと同じか、それ以上の手間を掛けてのモノづくりのスタートです。

 

この南蛮七宝文様の大島紬シリーズは全て限定での製織(4もしくは8反)で、人気があるから再び製作をする。そういうことは全く無い(というよりも出来ない)ので全て売れてしまうと、手元には写真しか残りません(やはり写真頑張らないとダメですね 笑)。個人としては、一反ずつくらいは資料として残しておきたいですが、着物は、やはり手を通してもらってこその着物です。

 

この藍に関しては、もしかして一疋(2反)のみしか製織できないかもしれません。
今までのモノもそうですが、この藍は、どんな方が着られるのか?できれば、着姿の写真を撮らせてもらいたいなぁ・・・。と想像しながら、反物を巻いていました。

 

Facebookへは反物の上に帯をのせて、またUPしたいと思います。

2016年04月15日

今日の着物。衿にも入れてみました。

 

今日はほぼ一日、着物です。
昼間は、相当暑かったので(20度超え?)、この時期からはほとんど単衣で動きます。年中通しても、真冬、どうしてもと言われるお席以外はほとんど軽やかな単衣がここ数年多いです。夏は羽織を着たいので、ここ最近はどんどん織物を薄くしていく傾向です。

 

そんな今日の着物はこんな感じです。

 

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着物;御召(南蛮七宝)、襦袢:坪金(南蛮七宝、衿は染御召地)、羽織:大島紬の黒無地、角帯:組紐。

 

夜は100名を超える会合に参加します(年一回開催)。初めてお会いする方もおられます。お会いした印象を少しでも残して頂くために、また、今こんな着物があるんだ。着てもイイかな。と思って頂けるように、いつもよりも南蛮七宝文様の箇所を一つは多く増やしています。

 

最近は男物の注文、問い合わせを多く頂きますので、この流れを身近なところにも広げていきたいですね。
ただ、着物ってイイですよ、と着物を着ながら勧めていると、自分も欲しくなってしまう、それが問題です(笑)。

2016年04月14日

Candy Circus 3柄目、悩み中

銅版作家舟田さんとのコラボして製作している『CandyCircus』の帯。
今のところ、①水花と②舟(名前検討中です)の2柄が完成しています。

次は、3柄目の蝶々と4柄目の夏しぼの帯を現在進めています。
夏しぼに関しては、意匠図の製作が終わり、紋を彫りも終わりそうですし、近々3柄目を先に飛び越えて、帯の形になりそうです。

3柄目の蝶々に関しては、作品の色数と雰囲気を織物でどう作っていくのか、今現在悩みのど真ん中にいます。(多すぎて不可能ですが)もし作品の色を全て拾うとすると、色が濁りすぎる。反対に少なすぎると雰囲気を作り出せない。じゃ、そのバランスを織物の限界を踏まえて、どこで取るのか?そこが一番の悩みどころです。


メーカーが一番力を出せる部分でもありますし、その自負を持ってこの二ヶ月間、一歩進んで、また戻っての繰り返しを行っています(笑 ホントに大変です。)。悩みの元を解消するキッカケがもうちょっとで見るかりそうな感じもしますので、それを見つけることがでれば、何とか来月中には、目出しくらいは取れると思います。

昼間には、一柄目の水花を南蛮七宝の御召や大島に合わせたり、

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『水花✕南蛮七宝文様/御召』

外に持って出て、太陽光に当てて、黒緯と一緒に織り込んだラメ糸の具合を確認したり。
しながら、三柄目をどうするか、悩み中です。現実逃避ではなくて(苦笑)・・・。

このシリーズは、帯としては個性のある意匠と配色です。
最初は人を選ぶかもしれませんが、見ていると人を楽しくさせる何かありますので、ゆっくりとモノづくりしながら、帯や着物、小物?のファンがじわじわと増えるようになったらと思っています。自分の周りには少しずつですが、ジワーっと広がりを感じていますので、今後たのしみな、CandyCircusです。。ぜひ、一度見て、触って、当ててもらいたいです。

 

2016年04月13日

注目されて嬉しい名古屋帯

 

Facebook上で、物凄く沢山の『いいね!』ほどではないのに、メールや電話、直接のご連絡を頂くことが多いのが、この組み合わせ。

 

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海路八寸名古屋✕南蛮七宝文様/白大島紬(割込み)

 

この帯は八寸名古屋の『神坂雪佳の世界/海路図』(となみ織物には珍しく八寸)、着物;南蛮七宝文様/割込み白大島(限定)。こちらの着物は8反のみの製作(この色は4反のみ)のレアな大島紬です。

 

個人的な好みはシンプルな着物に、柄の込んだ帯。

ただ、帯はシンプルなモノだけに、配色を変わるだけで、大きく雰囲気が変わります。これが非常に楽しく勉強になるので、ちょっとハマっています。特に、この海路シリーズは、これからも追っかけて行きたいものですので、今回Facebookから注目されたのは、とても嬉しいですね〜。

 

 

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八寸含めて名古屋帯も今後力を入れて製作してきます。

 

 

【海路】
現在三色で八寸名古屋帯を仙福屋で取り扱っています。

 

海路八寸名古屋
 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2148

 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2157

2016年03月01日

継続するかは検討中です。

 

東郷織物のみじん格子の上に、型で南蛮七宝文様を置いた着物です。

 

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『実験』と書いてしまうと製品(着物にはあまりしたくない表現ですが)として大丈夫?と思われそうですが、何度も試験を繰り返し、繰り返し行って、完成までこぎ着けた着物です。では、この反物作ったけれども、続けていくのか?色を変えてやってみるのか?南蛮七宝以外のモノは?などの検討は、まだまだこれからです。

 

東郷さんと言えば『大島紬』、今までも南蛮七宝で大島紬はやってきました。泥、白、藍、夏、割り込み。
産地へ行って、試行錯誤して、今現在考えられるモノづくりを行いました。まだ少しはありますが、数量は全部限定のモノです。まだ、もうちょっとは大丈夫だけれども・・・、『じゃ、次は?』となった時に戸惑って、面白くない、あまり気のりのしないモノづくりをしないためにも、こういう実験はとても大切です

 

でも、完成品です(笑)。

 

 

 

2016年02月22日

大島の羽織りに御召・南蛮七宝

一昨日昨日と、博多にいました(今は京都へ移動中です)。

100周年のイベントということで、大島紬とそれに合わせた自社帯に1日中囲まれていました。産地からもお手伝いにメーカーさんも来られていましたので、着物は南蛮七宝の御召でしたが、羽織には無地の大島紬羽織(ほぼ黒の泥染)でした。

 

 

今回のイベントでは1000反の商品を展示しています。現在、大島紬の生産量は最盛期の何十分の一にまで減っていますので、おそらくこれ以上考えられない品揃えと、『えっ』となる質も併せ持ったイベントになっています。

 

100周年というキッカケが無ければ、開催は難しかったと思いますし、このタイミングでできたことが本当に良かったと思います。今回は西陣でありながら、どちらかと言えば脇役だった、となみ織物も商品をコーディネートしながら、多くのことを学ばせていただきました。

 

自分たちの作る帯が産地を超えて、一番よく見えるための着物を探す。

簡単な様で今まで出来なかったことです。この機会を大事に次のモノづくりにつなげていきたいですね。

 

次は高松に行きます。高松自体が初めてですので、ここでもなにかものづくりのヒントを頂いて来れればと思っています。その前に今日は京都で先日から始まったデザインウィークの催しが・・・。となみブースらしからぬブースにどんな反応があるのか、楽しみです。

 

もしかして、となみと気付かれないかもしれません(笑)。

 

2016年02月09日

りんぐ大島を使って、白✕白。

 

織り手が少ない、と書いてしまうと、まだありそう。
そんな雰囲気が漂ってきますが、ホントに織られていなくて、うちでも少し困っている『りんぐ大島紬』。

今までFacebookでもブログでも少し紹介していましたが、うちが独占しようとしているわけではなく、結果そんな形になってきました。たまたまでしたが、奄美で仲良くお付き合いをさせて頂いている機屋さんが、このリング大島を織られていて、その色が雰囲気がとなみの帯に合う。優しく、綺麗で、美味しそうな色目がなんとも言えない良さです。

 

今、製作中と考えているのは、ここにある草木染めで・・・。
ですが、上記の通り、帯づくりの様には(最近こちらもスピードの面では随分と落ちてきました。)行きません。

 

そんな貴重な『りんぐ大島』(社内でも見かけることも少ない)を白生地と見立て、間に割り込む様に(すみません)織ってもらいました。白無地のりんぐ(厳密には絣入)。そして、その生地の上に南蛮七宝文様の型を置いて(頭のなかでは、めちゃくちゃ勿体無い✕3と鳴っていました)、反物を作りました。

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当然、こんなことをする所はありませんし、リング糸が型を浮かせて色が入らないし・・・。等々問題は噴出していましたが、何とか染め上がったのが、この一反です。通常、表にリング糸が立っているのも、染料が入る部分では沈みますので、柄の濃淡+生地の濃淡も出て、陰影の付いた非常に奥行きのあるモノに仕上がっています。

 

今は白✕白です。
今度は色にすれば、また新たな壁も出てくると思います。お客さんに着て頂く着物作りがもちろん本業ですが、南蛮七宝文様を使って、異なる角度から、表現していく。それもまた今後のモノづくりに繋がっていきそうです。

 

とりあえず、時間は掛かりましたがホッとしています。

2016年02月08日

昨日の着物。海路/衿

 

昨日は本社にお客さんが来られていました。
一日の結構な割合で、階段を走り気味で1〜4階を駆け上がる。普段運動不足には結構こたえて、スタッフには怒られそうですが、少々足が筋肉痛気味です(苦笑)。洋服よりも足が上げにくい、着物の方が運動量は少なく見えますが、実際はどうなんでしょうね?階段を駆け上がることを想定するTPOは無いにしても、こういう時は御召か大島紬の裾捌きの良さに助けられました。

 

そんな昨日の着物は、こんな感じです。

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上から、羽織は南蛮七宝文様/御召←特別バージョンで紬糸を通しています。

着物は、大島紬。←女性物を男用に仕立てています。

帯は、写っていませんが、経紬で織った南蛮七宝。

衿には、御召で織った『神坂雪佳の世界/海路図』。御召で織った衿ではなく、御召を仕立てた後、余った生地で衿に持ってきています。南蛮七宝でももちろん出来ますが、ここに南蛮七宝を入れると、帯、羽織、襦袢、草履に南蛮七宝となってしまいますので、ここは譲って、海路図を。

 

全員が全員とも気付かれる、そんなポイントでは無いかもしれませんが、この海路図の市松意匠と色、経に見える経糸で作った縞が非常に良い感じにコーディネート出来たと思います。もし、仙福屋の御召を仕立てられて(特に単衣で)、余っている場合、衿として使ってみることもお勧めいたします。

 

久々にスマートフォンの万歩計が8,000を超えました。大した自慢になりませんので、もう少し運動がんばります。

 

 

2016年02月03日

本社3F、一瞬の模様替え

 

いつもはこんな様子の本社展示場。

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それが今日の昼間にはこんな状態に。

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常時3,000本くらいは陳列している袋帯がほとんど空になりました。

 

明日の昼に完成予定です。この帯が無くなったスペースに、大島紬おそらく800反(もしかして1000反位になるかも?)とそれに合わせる、となみ帯を入れていく、そんな大模様替えです。そのほとんどが逸品や珍品ばかりで、質量ともこの時は日本で一番の大島紬の会場になっていると思います。

 

キッカケは昨年参加させていただいた、本場大島紬織物協同組合の創立100周年のパーティーです。そこから話が始まり産地の各機屋さんにご協力いただき、となみ織物の帯とのコーディーネート。考えれば考える程、貴重な時間です(まだ着物は1反も並んでいないのに、少し感動しています)。次あるのは100年後と言う話も真顔で聞かれます・・・。

 

スタッフ5人掛かりで、丁寧に桐箱を重ねては、片付けて、を繰り返しを丸一日掛かけてやります。日曜日の夕方には、再び元通りに戻しますので、本当に一瞬のことですが、自分たちも楽しみたいと思っています。

 

大島に絡めた南蛮七宝文様の新作と袋帯も新たに紹介していきたいと思いますので、見所沢山、来れられるお客さんにも楽しんで頂けそうです。陳列が完成したところもまた見てもらいますね。

2015年12月16日

しーぎの色にため息。

 

昨日、モノづくりの打ち合わせをしていました。となみ織物でも帯との相性を考えて、近頃益々力を入れている『大島紬』。もうこう書かなくてもご存知の方も多いと思います。西陣としての『御召』。それに加えて他産地のオシャレを中心とした大島紬。ここが今のとなみ帯を活かすために、モノづくりする着物です。

 

奄美から持ってこられた試作、試験を中心に打ち合わせで出てきたのは、染めの話。

最初の大島紬との関わりは、10年以上昔に遡って、まだその頃多くあった反物から、自分所の帯に合わせる着物を選ぶ、そんな普通の浅い関わりからでした。産地も奄美に限って言えば、1年間生産量が3万反近くから(10年前)から今は5千反。その中で合わせるものが減り、結果自社の帯に合う着物を作る、意匠や色のモノづくりに参加する、深いかかわりになってきました。

 

私は意匠から色までキッチリ関わったのは、南蛮七宝文様の大島。泥、藍、白等は各8反限定で、それ以上は再度作ることも無い、とても希少なモノづくりです。その中の一つが、昨日話題に上がっていた『しーぎ染め』。

 

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南蛮七宝文様/しーぎ大島紬(絣白)】

 

昔はあったそうですが、現在では聞かない、見ていない、昔もあったっけ?それぐらいモノとして世間に無いものです。このその染をして頂いている方も、非常に手間が掛かるから、そら続かないわ。と言われています。この南蛮七宝文様以外でも紋も作りましたし、無地物もあります。

 

この染め色は明るめのグレーをベースに僅かに時々グリーンがのぞいたり、光によっては少し薄いグレーが照ったりして複雑な表情を見せてくれます。その一つ一つがとにかく優しい色で、とくにこの優しさは羽織った時に顔を明るく見せる効果もあり、本当にいい色です。

 

南蛮七宝文様でのしーぎは、8本のみの製織です。そのことを知っている、みんなは『もっと織りたいなぁ。』ともどかしさを感じながら、良いため息みたいなモノをついていました。この前向きな空気を次のモノづくりへ活かしていきたいです。

 

2015年10月30日

ほぼお任せで注文を頂いた着物の納品です(男物)。

日頃から大変お世話になっている方の着物(男物)が仕立て上がってきました。『基本的に全部任せるし、色は黒、グレー系で。金額はだいたいで良いし、あとでざっと教えてね。』そんなザックリとした注文です(笑)。

ご自分で色を見て、生地を触って、顔に合わせて選ばれる訳ではないので、こちらで顔を思い浮かべて、その方の雰囲気を考え、着て行かはりそうな場所も想像し、最後にご要望の色に合わせて、生地選びとコーディネートを行いました。

 

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『左から襦袢、着物、羽織』

ちなみに、前回もお任せ頂きましたが、その時は全体西陣御召でしたので、今回は違った産地の生地にしようと、羽織には泥大島の無地(ほぼ黒です)、着物が綿薩摩(東郷大島)。を選びました。おそらく、この二つはイメージ通りだと思います。ただ、『ちょっと遊ぼ。』と思ったのが中の襦袢。綿襦袢(東郷)でカラフルな横段のモノです。シックな南蛮七宝文様襦袢(坪金)をお持ちなので、敢えて遠い感じのモノを選んでいます。

ある程度枚数が増えてからは、自分の着物を選ぶ場合、①面白そうな生地やし、とか②新しい織り組織できたし、とか③今まで着たことのない所の織り手さんのやし、と通常とは違った基準で選ぶようになっています(笑)。さすがに依頼されたものに関しては、そんなことはせず、自分のモノの時の何倍(何十倍?)も気を使います。
ですが、その人の雰囲気を見る勉強にもなりますし、もっとこんな感じのモノを作れば、次面白いかも?と色んな気付きをもらえますので、このコーディネート依頼され業も、楽しくなるまでやってみたいと思います。

次は、『超入門用をお任せします。』と女性の方のも言われていますので、一応信頼さている様ですのですね(笑)。
モノづくりしながら、こちらも頑張ります〜。

 

気に入られるかは判りませんが、気楽に着るための羽織紐はプレゼントしようかな?と思っています。

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2015年07月13日

一日、自分は南蛮七宝に囲まれました。

 

今日はお客様が来られていましたので、特別に皆さんを
修学院の唐長さん(水上殿)へお連れしました。

これまた特別に12代目当主から、直接『唐長』についてのお話を聞かせて頂きましたが、
(ある程度下準備、勉強されて来た方は特に)お話としつらえの美しさで、
ドップリと唐紙の世界にはまり込まれた方、多数でした。

なぜ私が南蛮七宝文様にここまで拘っているのか、分かって頂いたと思います(笑)。

 

本社では南蛮七宝文様(新作込)を陳列していましたので、勢いを付けたまま、
おそらく、いつもとは違う、ある意味とても生々しい贅沢な視点で、見て頂けたのでは
ないかな?と思います。

 

今日偶然できた、興味深いコーディネートあります。

それは南蛮七宝泥茶大島紬(割込)に引き箔のオレンジ。
この組み合わせが、意外にも意外。素晴らしく映えました。

 

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帯の力強さを南蛮七宝が受け皿になって、綺麗に受け止める。
そんなコンビネーションを感じました。

 

 

 

 

昨日今日と久々に一日半ほど喋っていましたので、今日はよく寝れそうです。。。
明日から少し、貯まり貯まった資料を持って京都を脱出、充電してきますm(__)m

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2015年06月14日

これで本当の最後。

 

まず一本目が上がってきました。

これが最後の南蛮七宝文様大島紬です。

 

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『割込大島紬/南蛮七宝紋様』

 

『白』と同じ絣のはずですが、全く異なる雰囲気を持っていて、
茶OR白?という選択肢もありましたが、両方織って良かったと思いました。

 

(『当面の間』と書きたいですが)
おそらくこれで南蛮七宝/大島紬のモノづくりは、最終です。

 

後は、この柄が好きで大事に着て頂ける方の元に行くように願うばかりです。

 

まだ今のところは写真のみの公開で、実際の反物は7月から見て頂ける様に考えています。

 

この茶を私用の単衣を作ろうか?
と真剣に悩んでいます。。。

2015年06月08日

次の一歩。『輪宝紋様』

 

唐長さんとのコラボで製作している南蛮七宝文様。

取り組み始めてから気がつけば随分と月日も経って、
そこには(少なくとも)十数年のノウハウが蓄積されています。

帯で、紹巴織、総紗縫、紬、しぼ、千寿錦、秘錦、紗楽、上品綟で8組織。
着物も御召や大島、紗、三重紗、ブラタク×2等。
さらに、小物もバッグ、草履、財布、帯揚、ショール等。

 

好きにモノづくり?試作作り?させて頂いていますので、
同じ期間で比較すると、通常のモノづくりよりも、遥かに多くの経験値がたまっています。

 

次の一歩として現在は2柄目に取り組んでいて、今までの路線には、全く同じ様には
乗せられませんが、山ほどの失敗(苦笑)をしましたので、根気強く
それらを活用しながら、進めることができると思います。

 

2柄目は、この『輪宝紋』です。

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『輪宝紋』

 

この紋様は、11代目当主と奥さまとの打ち合わせの中で、
柄と色を幾つか選択して頂き、その中から、まずは・・・と選ばせて頂いた柄です。

 

この柄を選んだ理由はいくつかありますが、その一つは・・・。
南蛮七宝がありました。

となみ織物のモノづくり、スタートは当然帯からの製作です。
そうすると、関した帯に合わせたくなるものは、南蛮七宝の着物。

だったら、はじめに取り組むのは、南蛮七宝とは趣きが少し変わるもの。
候補となっていた数柄は、全て素敵でしたが、まずは2つの版木を使った
(その時点で趣きが異なります)この輪宝紋がいいのではないか?

そんなことから選びました。
おそらく何を選んでも間違いないから、余計に迷いました(笑)。

 

この輪宝紋は、七宝繋ぎと同じ様に、吉祥紋様の一つです。

意匠図を作る際に、この柄とずっと向き合っていると、柄の意味、配色関係なく、
柄に惹きつけれられるました。

なにか、あるな、この柄。
文章では説明できませんが、今はそんな感じを紋様から受けています。。

 

まずは頂いた唐紙の色に合わせた配色を行っていますが、
『糸』と『和紙』ですので、全く同じにはできません。

そのため、同じ空気を纏う位の雰囲気を近づけたいと思っています。
それを考えると、現状はまだ色を修正する余地があります。

今後、そのあたり詰めていきたいです。

 

 

この帯も、検品が終わり次第、となみ丸で他の着物との親和性を試したいと思います。
柄の大きさ、色味、やりたい要素は多くあります。

 

 

他の自分としてのモノづくりも、昨日の本袋も含め、山ほどあります。
一つずつ、確実に乗り越えていきたいです!

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2015年05月20日

名古屋帯のみせかた その1

 

今日のFacebookに上がる予定のコーディネートです。

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『南蛮七宝文様✕アリス名古屋帯』

 

南蛮七宝文様の大島紬、最新作の割込絣が(意外と)何でも合わせ易いです。
それを見てもらおうと、
アリス帯(名古屋帯バージョン)と合わせてみました。
写真の通り、問題なくコーディネートできます。

帯締めなどの小物は、ビタミンカラー等の色を入れてみても面白いかな?
と思っています。

 

続いては、
この帯の撮影時について。

名古屋帯は仕立てる前、『九寸巾』です(仕立後は袋帯と同じ様になります)。
通常の帯巾は、仕立て前も後も『八寸二分』。

ですので、仕立て前は3cmだけ九寸の方が、幅が広くなります。

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(仕立てする際にこの様に中へ織り込みます)

 

そのため、名古屋帯を着物に合わせ、正面から写真を撮ると
 3cmの違いで、どこか締まらない間延びした感じがしてしまいます。

 

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やっぱりお太鼓は一番上の写真八寸二分の巾がしっくりときます。

 

話がここで終わると締まりませね(笑)。

 

今まで(撮影を)避けていた名古屋帯。
面白い柄が沢山ありますので、今後は実際に結ばれた様子をイメージし易いように
撮り方を工夫したいです。

 

 

 

2015年05月04日

 

GW2日目。

持って帰ってきた資料の整理をしようと、ザーッと写真を開けると・・・。
(Macの『写真』です。)

 

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『南蛮七宝大島紬+漢錦(経錦)』

 

まずこれに目が行きました。

おそらく南蛮七宝、最後の大島紬『割り込み』バージョンです。

絣が特長になり、様々素晴らしいところがありますが、
この着物はトントンと織っているリズムもイイ(とても分かり難くて、すみません。。。)です。

 

全て織り終わるまで、まだ一年は掛かるので、それまでに奄美へ行って
製織を音とともに撮らせて頂きたいと考えています。

 

それは置いておいて、上の写真はこの反物が上がってきた際に
何色を合わせよう⇒この着物をイメージしてどんな色の帯を作ろう?と
撮ったモノです。

 

それで選んだのは、紹巴織でも二重織でも、総紗縫でも無くて、
経錦の緑。経て出しの織物ですので、色が緯で織ったものよりも生に近い、
新鮮な?緑色です。

 

もちろん、これ以外にいろんな色味にコーディネートできますが、
敢えて、ムリしてでも自分が合わせてみたかったモノです。

スッと馴染んでくれたので、色に関しては問題なく、この反物からキッカケもらった、
イメージを膨らませて、そんな柄を考えて行きたいです。

 

筬を打つ音を聞きに行けばイイ図案ができるかもしれませんね~。

 

そんなわけで、ほとんど入り口で止まった整理でした(笑)。

2015年05月01日

サイクルを反対にする必要のあるモノづくりかも。

 

今日は午後だけでも書けそうなことが山ほどあります(唐長さんとのモノづくり)。
整理するだけでも膨大な時間がかかりそうなので、それは整理しながら、
モノづくりの形で紹介していきたいです。

割り込みの南蛮七宝/大島紬も上がってきましたし、今年は後半に掛けて、
違う展開もお見せ出来ると思います。

 

 

御召

その話は置いておいて。

夏単衣御召の製作が進行しています。

 

いつまでも着てられそうな(多分真冬以外の10ヶ月?)組織を作り、対温暖化に真向きな
着物になります。

仕立て上がると大変便利な着物です。ただ、その前段階(反物)では織組織を組むのに、
柄によっては『できる、できない』があり、今のところ、10柄足らずです。

いずれやっては行きたいですが、去年から取り組んで、この柄数ですので、今はまず
合わせやすく帯シリーズと絡ませれる所。そんな部分からはじめています。

 

それで、出来たこの柄。

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『Kilim/夏単衣
』(未発表)

 

 

元々この柄は袋帯から来たものです。
大きさを半分近くにして、色数を減らす。透け過ぎない透け感を作るために、
地紋に工夫して、写真の中では白場を減らし過ぎないように、ただしグレーから
離し過ぎないように(オセロのスタート時のように)、構成しています。
まあ、時間がかかる織物です。

 

去年も暑くなり始めた頃から上がり始め、夏真っ盛りに全て仕上がり、寒くなり始めると
同時に柄作りに入る。ちょうど必要な時に無い(笑)ので、スピードを上げるか、
モノづくりサイクルを変えるか、今年こそは、そろそろ、考えなおそうかな?

 

2015年02月28日

想像する、青と藍。

南蛮七宝文様/大島紬、泥藍。

語るところ満載の着物の上に、バームクーヘン名古屋帯を置いてみました。

 

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『南蛮七宝文様/大島紬・泥藍×バームクーヘン(となみブルー)/作楽名古屋帯』

両方とも好きで、思い入れのある柄なので、このコーディネートがどうだ、
とか、どちらが青いか?そんなことは
横においておき、しばらく見ていました。

 

はじめ、このバームクーヘンでは負けそう?そんな感じもしました。
ただ今回は、本仕立てした名古屋帯です。
(キズ
物が最近になって一本出たので、手元用に仕立てました。

 

袋も名古屋も、その帯に合った芯(それが綿であれ、カラーであっても)入れば、
まるで木彫の置物に魂が入ったかのように、風合いや変わるはずの無い色目までも、
かわります(もちろん良い方向に)。

その魂がプラスされた帯を置いたので、当初の心配と違って、
イイ感じに収まってくれたと思います。

 

 

柄を見ると両方これ以上、引き算のしようが無いです。


帯締め入れてみようとも試みましたが、『何色のどんな組を入れて写真を撮ろう?』
と考えてみると、相当悩みそうだったので、このまま、想像する余地を沢山残すことにして、
UPしてみました。

とっても好きな組み合わせです。

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