となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「神坂雪佳」と一致するもの

2016年06月13日

こだわりを浴びてきました。

先日は電車に片道5時間少々揺られて、モノづくりの打ち合わせへ行ってきました。
次の午前早めに打ち合わせがあったので、(泊まりたかったけど)日帰り。

5時間✕2は少々堪えます。年?(苦笑)

今回お邪魔したお店とのお付き合いが始まって、まだ数年。と比較的短いのですが、ここのモノづくりへのコダワリと姿勢は半端無く、うちのモノづくりへの共感も含めて、今後も一緒にモノづくりしていきたい、と感じさせられる、数少ないメーカーです。今回のモノづくりも、となみ色が全面に入りますので、0から摺り合わせを繰り返し繰り返しして、進めていくことになります。

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ちなみに、今回は【伊藤若冲の世界】と【神坂雪佳の世界】の着物作り。
若冲の場合、今年の生誕300年には間に合わない可能性も高いのですが、こことのモノづくりの性質上仕方がない(苦笑)、と割り切っています。

本来、帯屋である、となみ織物が着物を作るようになったのは、自社帯が活きる着物を作るため、でした。それが最近は、着物でも、となみらしいコダワリを作り出す。そこに強く意識が無くようになってきましたので、おそらく今後もこことのモノづくりは強くなっていくと思います。

頻繁には来れなくても、出来る限り顔は出したいです。
次回は一泊かな(笑)

2016年04月13日

注目されて嬉しい名古屋帯

 

Facebook上で、物凄く沢山の『いいね!』ほどではないのに、メールや電話、直接のご連絡を頂くことが多いのが、この組み合わせ。

 

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海路八寸名古屋✕南蛮七宝文様/白大島紬(割込み)

 

この帯は八寸名古屋の『神坂雪佳の世界/海路図』(となみ織物には珍しく八寸)、着物;南蛮七宝文様/割込み白大島(限定)。こちらの着物は8反のみの製作(この色は4反のみ)のレアな大島紬です。

 

個人的な好みはシンプルな着物に、柄の込んだ帯。

ただ、帯はシンプルなモノだけに、配色を変わるだけで、大きく雰囲気が変わります。これが非常に楽しく勉強になるので、ちょっとハマっています。特に、この海路シリーズは、これからも追っかけて行きたいものですので、今回Facebookから注目されたのは、とても嬉しいですね〜。

 

 

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八寸含めて名古屋帯も今後力を入れて製作してきます。

 

 

【海路】
現在三色で八寸名古屋帯を仙福屋で取り扱っています。

 

海路八寸名古屋
 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2148

 ⇒https://www.senpukuya.jp/products/detail.php?product_id=2157

2016年02月08日

昨日の着物。海路/衿

 

昨日は本社にお客さんが来られていました。
一日の結構な割合で、階段を走り気味で1〜4階を駆け上がる。普段運動不足には結構こたえて、スタッフには怒られそうですが、少々足が筋肉痛気味です(苦笑)。洋服よりも足が上げにくい、着物の方が運動量は少なく見えますが、実際はどうなんでしょうね?階段を駆け上がることを想定するTPOは無いにしても、こういう時は御召か大島紬の裾捌きの良さに助けられました。

 

そんな昨日の着物は、こんな感じです。

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上から、羽織は南蛮七宝文様/御召←特別バージョンで紬糸を通しています。

着物は、大島紬。←女性物を男用に仕立てています。

帯は、写っていませんが、経紬で織った南蛮七宝。

衿には、御召で織った『神坂雪佳の世界/海路図』。御召で織った衿ではなく、御召を仕立てた後、余った生地で衿に持ってきています。南蛮七宝でももちろん出来ますが、ここに南蛮七宝を入れると、帯、羽織、襦袢、草履に南蛮七宝となってしまいますので、ここは譲って、海路図を。

 

全員が全員とも気付かれる、そんなポイントでは無いかもしれませんが、この海路図の市松意匠と色、経に見える経糸で作った縞が非常に良い感じにコーディネート出来たと思います。もし、仙福屋の御召を仕立てられて(特に単衣で)、余っている場合、衿として使ってみることもお勧めいたします。

 

久々にスマートフォンの万歩計が8,000を超えました。大した自慢になりませんので、もう少し運動がんばります。

 

 

2016年01月22日

順番待ちの織物。

 

業界一般的に見て、帯を織れる職人さんがずっと減り続けています。
それにつれて、生産数自体が減り、織れない織物が出てきたりもしていますので、以前と同じことをするのが簡単ではありません。となみでも、織り手が少なく直ぐには織れない場合、技術的にその方しか織れない様な織組織、素材の問題等々、モノづくりの環境は良いとは言えません。それでも周りを見ると、相当良い方ではあります。

『(図案、意匠図が出来たものを)直ぐに織りたい。』おそらく誰がメーカーをやっても、その気持は間違いなく強く出ると思いますが、今は織組織によっては、機の空くのを待つ、そんな時間も必要になってきました。

 

その待ちが長い織物。社内には幾つかあり、時期によっても変わりますが、一年を通してそれが必要なのは、この本袋。
先日、唐長11代目の奥様に登場して頂いて、撮影を行った帯シリーズです。

本袋広告
 Pin⇒https://jp.pinterest.com/senpukuya5/本袋/

 

神坂雪佳の世界/海路】シリーズ/本袋
図案・意匠図を作り、目出しを織った段階で止まっていたモノ。となみ織物の中では一風変わった雰囲気です(目出し見ると特に)ので、早いこと帯一本で見たい。そう思っていた帯です。

L2050048.jpg(表)

IMG_4723.jpg(裏)

その順番が回ってきました。

 

写真の段階から配色を修正、その糸を準備して、本番を織るのを待ちわびていました。織る段になり改めて、その糸を見ると、やっぱりこっちの方が良いかな・・・とか、糸の太さはもう少し細くするか?、そんな迷いが出てくるのが目に見えています(今まで何度もありましたし・・・。)。その対処方法として、ここだけは拘らず、以前行った配色を信じて、そのまま行くことする。自分の多くないルールの中の一つを適用することにしています。

 

そうは言っても、仕上がりどうなるでしょう?
 

2015年12月02日

蝶千種/どんな帯締をあわせましょう?

 

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神坂雪佳の世界/蝶千種』

 

 

 

目出しを幾つも取って(少しUP済み)、試行錯誤しても製作していた帯です。配色の段階で『帯だけで一つの作品』から、『着物に合わせて、さらに小物まで入れて完成する帯』に方向転換しました。だから、本来は目立つ色糸が入る部分もグッと抑えて、もしかして要らない(大きくは影響しない)かもしれない濃淡が沢山ある帯になりました。

 

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(写真も白黒⇒配色悩み中です。)

 

 

蝶々の帯なのに『寂しい。』と言われるだろうな。と予想はしていましたが、そういう声も少しはあるものの、こちらの方がかえって結びたくなる、と言ってくださる方の方が多かったのが印象的です。しかも、蝶々キライだったのも・・・。

 

写真からは伝わりにくい部分もありますが、この帯は蝶々なのにどこか静かさを感じます。蝶々もヒラヒラ動的よりも、スーッ静かな振り子の様に飛んでいる意匠に見えます。これは技術的な話ですが、地色の部分に端から端まで(帯一本)『青』を入れました。具体的には白××青です。(試験織の段階で赤に近い茶系の色を入れると、同じ意匠なのに蝶々の飛び方まで変わって見えました。)帯は色柄組織の3つの要素で構成されているので、色が及ぼす大きな影響は分かっているつもりでも、地の紋作りで、思っていた以上に動静を付けれたのは、収穫でした。

 

 

好き好き、賛否のある帯ではありますが、自分の中では『この人に間違いなく似合う。』と言える顔のある良い帯になったと思います。ちなみに、裏には海路、とことん雪佳の世界です。

 

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『裏地は海路七宝』

 

 

 

Facebook上でも『私は好き好き派です。』等、好意的な意見を頂いています。
ありがとうございます!
 ⇒リンク

 

 

 

 

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2015年11月21日

金魚といえば・・・。


二条城で開催されているアートアクアリウムへ行ってきました。

http://artaquarium.jp/exhibition/kyoto2015.php

 

知り合いの方の商品も陳列してありますので、それを見るのが目的でしたが、独創的な金魚の見せ方に結構引き込まれてしまいました。 この日は随分と気温が下がっていたにも関わらず、大勢のお客さんが夏の風物であるはずの金魚をじっと見て、スマホで写真を撮ったりされているのが、とても印象的でした。

そういえば今のiPhoneの初期壁紙も金魚の尻尾ですし、何か惹きつけられる意匠ができるかもしれません。

今まで、金魚では4柄ほど帯を作りました。お気に入りの総紗縫金魚や雪佳の金魚玉ができたので、もう作ることは無さそう、そんな気持ちが強くありました。でも、皆さんのスマホで金魚を真剣に撮る姿を見ると、金魚のみシリーズが作れそうな気になっています(苦笑)。

 

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(総紗縫/蛍光織、金魚)



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(神坂雪佳の世界/金魚玉)

 

なんでも帯にしたくなる性分なので、できるはずですね。

 

2015年10月20日

海の波を帯に織り込みたい『海路』図の帯。本袋です。

 

『毎回、変わったものを特に作ろう!』そんな風に常々思ってモノづくりに入るわけではありませんが(笑)、確率高く、今回も変わった目出し(試験織)が上がってきました。

柄は雪佳/海路図をモチーフに製作したモノです。

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『本袋/神坂雪佳の世界/海路』

 

元々、この『海路』図は神坂雪佳がヨーロッパに渡航した際の海を元に図案したもの。今までも二重織や紹巴織では同じシリーズを織っていますが、今回のモノはそれらの柄とは雰囲気がころっと変わっています。もちろん、図案がありますので、それに基づいて意匠を作り(今回は縦に柄を流すように)、色を表現する部分(メートル)やボリューム感に気を付けながらの製作です。今回は作っている最中に、織物に近づくにつれ『なにか面白くなってきた・・・。』と、当初イメージからは逸れつつも意匠図までは完成し、試験織を作ったものです。

 

海路図は船旅の中、行く先々の変化ある海を図案されたモノだけあって、活き活きとしています。また、なにか生き物の様な存在感を感じるモノが多いです。そんなことも踏まえて、上がってきた試験織を見ると、(配色は今ある経糸を使いました配色は変更します。)『緩やかにゆったりとした波。でもなんか潜んでいる。』、配色次第で、その潜み方や潜んでいるモノの性格が変わりそうです。

 

まだこの段階です。当初のイメージから逸れたこともあって、もう少し試験を行わないと、最終どうなるか分かりませんが、設計的には上手く行ったと思います。後は配色を繰り返して、織ってみて、皆さんの評判を聞かないと、この帯の判断は難しいかな?それを聞いて、普段はあまりすることのない、一喜一憂したいとおもいます(笑)。

 

ちなみに、織り組織は、『本袋糸糸(いといと)』。波のゆったり感を織物の手触りから出したかったので、引箔の凛とした風合いとはまた違った、絹の柔らかさが際立つ『絹糸のみ』と素材はしました。完成まで、もうしばらく掛かりますので、まずは第一報を。。

 

 

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神坂雪佳 蝶千種・海路―近代図案コレクション

2015年10月16日

見せ合うわけではありませんが・・・。

 

着物(男物)会をしました。男だけですが、着物を着て美味しいものを食べる。それだけの会ですが、妙に楽しく長く続いています。全く着物と関係の無い業種の方も、言葉に出来ない魅力を感じておられる様です。気づいておられるか判りませんが、極力同じもの着て行かないようして、もし興味を持って『何の生地?』となった時には、できるだけ織物についての話(産地や糸、歴史的な話)に触れるようにしています。

今回はこんな着物を着て行きました。

 

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羽織:紋紬南蛮七宝(緯糸にはターコイズ)、着物は神坂雪佳の世界(海路)/御召、角帯は南蛮七宝文様(600経紬)です。羽織紐は触れてもらえませんでしたが(笑)、モレッティ硝子を使った土星の羽織紐。物凄く重いです。

 

沢山のルールもありますが、まず着姿を見て面白いな、着てみたいなと思って頂ければ、ある程度OKで、それから織物の知識や細かなルールを自然に身に付けていく(自分もあまり自信が無いところもあったりしますが・・・。)。これからも会を続けていって、どんなモノが自分に似合うのか?似合う様になっていくのか?参加のメンバーで楽しんで着物を着て、美味しいものを食べたいと思います。最近は、着物を着て集まるのが自然になってきましたので、とても良い方向に進んでいます。また、自分の着姿とともに紹介していきますね。

2015年10月07日

目出し(試験織)

 

久々に帯の試験(新作)の紹介です。その前に・・・。最近五代目日記に帯が出てこないのは、帯づくりをサボっているわけではなく(笑)、upできるものが少なかったから。

ここ最近は、紹巴織でかなりマニアックな織りの工夫をしてみたり、配色の試験、素材の検討をしていました。織ってみても、実際にはほぼ見た目は変わらないものや、全然(帯の手前の)生地としてすら成立しないものもありましたが、次にモノづくりする際、何かを引っかけることができるフック的なものを作るモノづくりです。随分ややこしく書いていますが、今の時期こういうことをやっていかないと、モノづくりが単調になります。たとえば、ずっと同じ織り方(表現方法)で、柄だけが違う、そんな面白く無い自体になってしまいます。自分へのプレッシャーにもなりますが、そんなことをしていると、モノづくりが新鮮味、面白さに欠けていくことになってしまいます。

 

さてさて、今日上がってきたのは、『神坂雪佳/蝶千種』の新柄です。

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『神坂雪佳の世界/蝶千種』実際に配色する際は地色を『白』をメインに淡く柔らかな色を足す予定です。

 

『蝶』という意匠は、避ける方も多いので、極力蝶らしくない様に意匠を作る。今まではそんなことをして作った柄もありました。それはそれで面白いですし、幾何学柄だと思っていたのに、途中気付かれて、『面白いですね!』と言われることもありました。が、この柄の所属している図集『蝶千種』に関しては、誰からの誤解、見間違いの無いほどの蝶々だらけです。

 

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『一度、蝶々の帯を合わせて頂きたかった。』とお客様に言ってみたいので、その前にまず手に取ってもらうためにも印象深い魅力的な帯になるよう配色をしていきたいと思います。この試験織自体は、最初の原画から図案にする際にアレンジを加えています。それの検討も終わり、次に配色の詰め。

 

その前の第一弾の試験織でした。

 


 

2015年08月21日

『蝶千種 その3』

 


お盆前に紹介していた『蝶千種』。 
この一本があがらないと、次柄の紋つくりへと進めないので、できるだけ急ぎで丁寧に、織ってもらったもの。上手く、完成すれば、これが『神坂雪佳 蝶千種』シリーズの基準になる一本です。 

 

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『神坂雪佳の世界 蝶千種』(色が出なくて、すみません。)

 



配色は織りではホント出しにくい、雪佳らしい中間色。染料のように、ほんの僅かな差で地色の印象が変わってしまうので、合わせる糸同士に最大限の気を使います。また、僅かな地色の差は上に乗る蝶々との相性も変わってきます。がらがシンプルな分、ここを大切に微妙なさじ加減をしています。


以前、これに近い色を作っていた時も(それもやっぱり雪佳でした)、ずっと地色を決めきれず、そこで一週間以上中断。決まってからは、複雑な柄なのにトントン拍子で上手く行ったこともあります。

 

写真では色々と調整してみましたが出ず。そこにあまり時間を使い過ぎるのも微妙(苦笑)な感じがしました。そんな色には困った帯ですが、次は裏地を。そして仕立てた後はもう一度撮影に、がんばってみます。 
 

 

 

2015年06月30日

蝶々に手をかけてみました。

 

ある着姿を見ていて『帯にしたい。』モチーフを発見しました。
(とは言っても、帯としては全く珍しくないモノです。)

 

もし着姿の写真を見ていたら、こうは思わなかったかもしれませんが、
動きのある着姿は、今でも頭の中にくっきりと残っています。
(しかも着姿自体が楽しそうでした。)

 

今は、その残像を形にするために、この神坂雪佳の『蝶千種』を使い、
イメージを帯柄へ、具体化していく作業をしています。

自分の作る最終の帯からすると、輪郭程度のイメージしかありませんが、
頭から着姿の輪郭が無くならないうちに、やってしまいたいので、
ちょうど本袋も一柄は紋彫り中なので、集中してできそうです。

 

 

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⇒http://amzn.to/1eWQVUG

 

となみ織物でも、『蝶々』モチーフの帯意匠は相当たくさんあります。
過去の図案帳を見てると、振袖用から訪問着用等々、全図案の十数%は蝶々?かも。
と、それぐらいのめじゃーなモチーフです。

ただ、ここ数年は年に1,2柄あったらいい方で、パタと止まっています。

 

わたしも数年間で2柄ほど作りましたし、その意匠は蝶千種からですが、
蝶々をあまり好きで無い方を意識して、蝶々は控えめにしていました。

 

前述の素敵なお太鼓の着姿を見たため、今回は控えめの蝶々ではなくて、
全面にドンとした帯を作ろうとおもいます(反対は多そうですが・・・。)。

 

段々と並行して色んな仕事入ってきました。
毎年の傾向からすると、こういう時に限って風邪ひきそう(笑)ですので、
気をつけます〜。

2015年06月23日

顔は難しい。

 

織物はどれだけ細かいモノで経糸と横糸の交差点、ドットの世界です。
そのため、ドットで表現となると、どうしても限界がでてきます。

それがモノづくりの面白いところ。その限界を限界と見せないようにどう工夫するか?
モノづくりの大きな醍醐味です。

 

風景でも花柄でも何でも織物で表現するのは難しいモノですが、
特に難しいモノ、それは『顔』の表現。

 

例えば、紹巴織で織ったもの。
『狗児/雪佳』。

紹巴織の微細な織りで糸と糸を絵具のように、色を合わせ、中間色を作ったり、
水でぼかしたような柔らかい表現を織っています。

 

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『狗児/神坂雪佳の世界』

 

この風神雷神も同じく紹巴織。
陰影も糸の合わせ方で全て織っています。

 

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風神雷神/百楽

 

織物以外では、モレッティの帯留め。
これも織物と同じく、職人の技で一つ一つ砂糖鳥の表情を作ります。

 

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『砂糖鳥/モレッティ帯留め』

 

基本的『顔』のあるものはその帯の主題となるものですので、ここが崩れると、
いくら他の背景や生地の感じが良くても、残念な結果に終わっています。

 

自分の場合は、ここの顔の表情部分が一回で決まらないと・・・。
次のドットはもう少し上にして、表情に鋭さを、、あ、やり過ぎた・・。もう一度・・・。
今後は・・・。

と身動きの取れなくなる穴にハマってしまいガチです。

 

そのため、一番始めの紋で決めてしまうように、慎重に慎重に紋作りします。
今回のモノは、こんな表情。

 

一番最初に上がってきた時は、顔の中の目にしか、目が行かず。
他はあまり見ていませんでした(笑)。
 

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紹巴と比べると、一ドットが大きいため、細部を直すのではなくて、
失敗すると全体のサイズから見直す必要があったので、今回は上手く行って、
ホッとしています。

 

この地に通っている、新しい使い方をしている紬糸にも助けられました。
それはまた別の機会に紹介したいと思います。

 

顔は緊張します。。

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年06月15日

今日は自分と周りへのプレッシャーをかけます。

 

今日Facebookにも同じ組み合わせがUPされる予定ですが、
この商品を中心に、次の発表商品の打ち合わせを行っていました。

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『本袋引箔×南蛮七宝文様Premium』

 

この日記を読んで頂いている方のために、もう少し踏み込んで書きますね。

 

前回から、きものsalonに移り、その初回は琳派400年ということもあり、
神坂雪佳の世界』で少し様子を見ながら、それでいて少し雰囲気を変えたモノでした。
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『きものsalon掲載』

 

制作側としては花びらを上から落とすのを何時間も繰り返し行なったりと、
随分、今までとは違っていましたが(笑)。

 

前回の時から話が出ていた、今回は二つ目以降になりますので、さらに変化
させる予定です。少なくとも今回8月に発表するものに関しては、変えます。

失敗したら・・・、という気持ちも少しはありますので、
次回も、とは書けません(笑)。

楽しみにしていて下さい。

 

何も書かず、発表まで全て隠しておくのも一つの手だというのも判りますが、
こうやって公表しておけば、自分も含めた制作スタッフに多大なプレッシャーを
与えれますから。

頑張ります!

 

 

 

2015年06月02日

過去の難問 その3

 

『過去の難問 その3』

その前の『その1〜その2』とも、何年も前に図案⇒意匠図作成、目出し(試験織り)を織る所までは
手がけていたものの、最終製品の『帯』まで到達していない、『総紗縫/雪佳』です。

その1⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/05/post-2142.html
その2⇒http://www.kyo-tonami.com/godaime/2015/05/post-2144.html

 

それらを今回の機会、再度取り組み直して、おこなっています。

 

この『その3』が最後の難問(であったほしい)。

 

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『総紗縫/神坂雪佳の世界』

 

見るだけで総紗縫らしくない顔をしています。
(白鷺でなくて帯地の顔ですよ~。)

 

『織物の織り方=織組織』は図案に応じた、織組織を選択してそれを有効に活用して、
意匠を作り、帯を作るのが基本です。

 

総紗縫は今でこそ表現力がマシましたが、元々こういう織物は得意としない織物でしたので、
この意匠を作った時は、ほぼ工夫をせず正面から作ったモノでしたので、目出しは織れても、
これ以上は難しい。

 

織るのも難しいし、裏を見ると、糸がパンパンに通り過ぎていて、丸巻きから袋帯への仕立ても難しい、
そんな状態で止まっていました。

 

個人的には、メインの意匠では無いものの水草の発色が抜群に良く、これはお腹の柄単体でも
面白そう。そんな記憶がのこっていました(今回はそれを採用します。)。

 

正面からは行くと、技法が増えたと言っても、同じ様な問題に直面しそうなので、
今回に関しては、糸の処理が困るとき、最近良くする手法でそれを回避し、さらにもう少し、
柄に動きを付けて、完成させる予定をしています。

 

これが終われば、本袋。
そして、経錦。

帯のモノづくり、盛り沢山です。

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2015年05月27日

過去の難問 その2

 

今日も

前回に引き続き
雪佳の世界を総紗縫で織ろうとした目出しです。

 

カキツバタと同じ難問があります。
それは帯一本にずっと流れる『流水』部分です。

 

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『総紗縫/神坂雪佳の世界』

 

 

そこを見ると流水は3種類あります(同じ紋を素材を変えて織っています)。
(一番上の少しザラザラした箇所①、真ん中のグレー掛かった所②、下の白に近い部分③。)

 

『味の回』でも触れていましたが、帯で使うものは天然繊維です。
目で見たり手触ったりしても全くわかりませんが、均一性が完全にあるはなくて、
ほんの僅かな太細はもちろんあります。

 

この流水部分は、その僅かな太細で地に『味に極めて近い』微妙なキズが出来てしまいます。

それが出てこない、又は隠れる様な織り組織であれば解決できますが、
この総紗縫はその辺り全く容赦のない、こまった織物です。

 

上で①〜③で上げた部分は、特にそのむき出し部分ですので、
おそらくこのまま織り進めたら、5本織って5本とも正反ナシとなりそうです。

 

以前はここで止まっていました。それを再びやり直しをしていますが、やはり詰まるところは一緒。
過去の自分と同じところで詰まった瞬間、その時のことをハッキリと思い出しました(笑)。

 

昔なかった地紋を地に入れることでほぼ解決できるはずですが、
今回、その地紋を知っていても過去通った道を完全再現してしまいました。
『作り手自体のモノづくりのクセ』は直らないなぁと感じました。。。
はぁ、、、です。

 

もう一柄、同じく雪佳があります。

つぎは過去の自分に負けないように頑張ります〜。

 

2015年05月25日

過去の難問 その1

 

まだ若かりし頃(笑)、途中まで製作した雪佳の総紗縫。

総紗縫の初期の方に製作したモノで、途中そのときの限界を感じ、しばらく寝かしておいた
モノづくりです。

 

スタッフから
『雪佳の総紗縫って作らないのですか?』と聞かれ掘り出してきました。
(先週掘り出して、目出しまでは織りました)

 

なにが問題か?というと、
単純に製品として織れない。そんな難問です。

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『八橋/神坂雪佳の世界/総紗縫』

 

ブルーで織ったカキツバタの花の部分、ここの上げ方も相当怪しいモノですが、まだ比較的マシです。
他の部分の白濃淡は、織ってみないと分からないものの、おそらくこのままではキズだらけになります。

 

最後まで完成せず、止まっているのが改めて納得する状態です。

 

完成までまだまだですが、この柄の総紗縫がお太鼓にきたら、間違いなく素敵な着姿になります。

それを頭に置きつつ、心が折れないように、紋を修正していきたいです。

 

 

タイトルに『その1』と付けたのは、まだ同じ時期に同じく雪佳の総紗縫で止まっているのが、
この柄を入れて3柄あります。

 

今後、まとめて全部上手く行くかもしれないし、2柄だけかもしれない。
そんなのも抱えています。

2015年05月23日

雪佳本袋。その一

神坂雪佳の世界より

雪佳が渡欧した際に見ていた海を図案化した『海路』。
今まで八寸名古屋帯で製作したり、紹巴織や雲龍錦で袋帯を製織していました。

 

今度は『本袋』で挑戦したいと思っています。
現在、手元にあるのは雪佳の図案のみですが、イメージは出来ていますので、
このモノづくりは停滞せず進めれることができるはずです。
(そうでないと、経錦に入れない・・・(苦笑))

 

今日の夜にFacebookにもUPされると思いますが、たとえばこの柄。

 

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『海路図/神坂雪佳の世界(雲龍錦)』

 

今のところ、4柄ほどピックアップしています。
できる限り、レトロさを残しつつ、結び易さ、軽さ、耐久性の進歩というか
今現代の織物の良さは取り入れて、製作したいと考えています。

 

この絶妙の空間と配色バランスは図案のまま、帯に濃縮できれば面白くなりそうです。

 

相変わらず法則通り、進みたい方向からは外れています。
良いモノができれば、いいかな(笑)。

2015年02月22日

今回はきものsalonで『琳派400年』。

 

今回から『きものsalon』に誌面を移りましたので、
何件かのお問い合わせを頂きました。

『やめました?』

『見つかりませんよ。』

『ネタ切れですか?』←これは笑いながら。。

 

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 『15’きものsalon春夏』

 

理由は様々ありますが、久々に戻って来て今までの環境から変わると、
打ち合わせから撮影、コピーまで新鮮でした。

 

雑誌社からも今後一緒になっての取り組み等も提案して頂いていますので、
なにか新しいことができるかもしれません。それを楽しみにしています。

 

年に4回から2回に露出する回数が減りますので、3つ目の問い合わせの様に、
ネタ切れや経費削減と言われますが(笑)、その場では『そうそう』と答えていますが、
おそらく例年以上に、モノづくりも露出も増える予定をしています。

 

もし、今年が終わる時に面白くなかったら、ぜひ酷評をお待ちしています。

そうならないよう頑張ります!

 

今回は『神坂雪佳の世界』。

琳派400年の記念もあって載せましたが、となみ織物的には今年が記念だから、
というよりも、今後も続けてやっていきます。そんな意思表明の意味合いの方が、
大きいです。

 

誌面移動で大きな反響がありましたので、載せました。
今後もよろしくお願い致します。

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2015年02月19日

今日のこと、美術館へ。

 

今日の朝から夕方までは少し遠出をして、美術館へ行ってきました。

モノづくりその他諸々の打ち合わせですが、まだ形になるかも分からない話なので、
どこまで書こうか?難しい所です。今日は全てぼかした曖昧な話になりそうです。

 

モノづくりを刷る際は、①自分(もしくは会社)で図案を考える、②図案家に依頼する、③図案展での入札、
④(うちの特色の)着物業界とは全く関係無いスペシャリストとのコラボレーション。
例えば、神坂雪佳、伊藤若冲、人間国宝の方々。

 

今回の話は④のモノづくりです。

スペシャリストの方々が作られる作品は、帯の図案とは違って、当然『帯』を意識されていないものです。
そのため、これらの方々の作品を直ぐ様帯にすることは出来ませんが、
逆に全く異なる発想で、今まで誰も考え無かった帯図案の元となる可能性があります。

 

ここがそういった方々の作品とのコラボレーションの面白いところで、
今まで何度も『新しい形の帯』が生まれてきました。
『大場松魚の世界』等。

 

もちろん、そのためには作品を使わせて頂くために、様々な契約と許可を頂いています。
(周到な準備をしても、最終モノづくりの結果としては、失敗となることも多いです。)

 

今回はまだ、初期の初期ですので、どうしたいのか?から自分の中で固めなければいけません。
今のところ、今日の美術館も含め様々なモノが並列して走っていて、結構大変ですが、
頭の中で関係ないモノ同士がミックスされて、寝かしているうちに、面白く調理されたものが
形を変えて出てくることがありますので、今のところそれにも期待しています。

 

なにか無いかな?と常にアンテナを張り続けて、拾えるものは拾っていきたいです。

やりたいことは沢山ありますので、できあがり楽しみにしていて下さい。

2015年02月09日

雪佳のきもの/仙福屋の御召

 

『雪佳のきもの』のベースにもなっている『仙福屋の御召』は、帯と絡ませながら製作をしています。

 

たまに、『柄決まっているから楽やな〜。』と同業の方から言われます。
『そうですね〜。』その時は答えますが、実際はそんなことないです(笑)。

 

帯柄から御召に、特に仙福屋の御召は独自に『新しい無地を作ろう』と意識してしていますので、
柄はシンプル、色数は極限まで減らしています。

そのため、時々帯としては抜群に良いが、色数を減らしてみると
『この柄はじつは色で持っていたのかも・・・。』ということも。

帯でも時々は感じる色数の制限が、ここではさらに窮屈になり過ぎて、
『あ〜!』となることもあります(最近は慣れてきたので、やっと大丈夫です。)。

 

さてさて、タイトルにあるように、上記仙福屋の御召で『雪佳のきもの』を作っています。

今年は琳派400年になるので、琳派最後の巨匠といわれる雪佳も注目を浴びています。

その流行に乗るのも会社として大事だと思いますが、モノづくりの場合、波が来たから簡単に乗る、
というのも何なので、この着物に関しては今年の400年が終わった、来年401年に揃いそうな、
ちょっとへそ曲がりなモノづくりをしようか?と思っています。

 

L1780651.jpg
『仙福屋の御召』

 

神坂雪佳をモチーフにしたモノづくりは、十数年以上は行っています(琳派300数十年?)。

今年に入ってからの琳派の(この業界での)盛り上がりはワールドカップみたいですので、
そこからは少し距離を取りながら、と思っています。

できれば、琳派を知らなかったけれど、今年を契機に琳派が好きになり、興味を深く持ち、
入り込んでくれる方、そんな人向けのモノづくりになれば、と思っています。

 

 

個人的には、来年401年になった時に、こちら側の業界はどれだけ琳派を続けているのか、
今から楽しみにしています。一年で終わるには奥が深過ぎるテーマなので、ずっと続けて、
盛り上げていきたいです。

 

それでも今回の広告は、会社的に『神坂雪佳の世界』をと思っています。
うちでもやっていますよ、という小さなアピールもしておきますね。

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