となみ織物の五代目のブログです。『帯』や『織物』を作るメーカーですので、内容はモノづくりが中心になっていると思います。自分で読み返して結構納得することもあります。

五代目日記 > 「太子間道」と一致するもの

2015年10月19日

試験織について

 

今日上がってきたのは、紬を使った試験織です。時々、機によっては、織るモノが一杯で僅かに織る試験織さえ、挟むことができず、さらに経糸が取りたいモノとは違ったときなどは、一ヶ月近く試験が上がってこないこともあります。上がってきたら上がってきたらで『えっ。ここからどんな風にやればよかったけ?』となることもあります。が、(今回のように)それ以外は大概予定通り、上がってきます。もちろん、1週間だとしても待っている間は、おもちゃの発売日を待つ子供の心境と変わりません(笑)。

 

今回上がってきた試験は、紋丈(柄の長さ)はおそらく最短。こんなに短いです。

IMG_2612.jpg

 

図案と意匠図を元に、糸を出し配色していきます。頭の中にイメージするモノはお太鼓もしくは陳列の姿。そのため、写真のようにこれだけ短いと、ただ単にこの生地を見ても、可否の判断は至難ですので、頭の中で、この柄の先をこの配色でザーッと織っていきます。その後は、お太鼓を作る様に(頭の中で)折って、イメージ通りか?のチェック。ベテランになってしまうと、そんなことをせずとも自動的にイメージができますし、時間も短縮されたように気になりますが、それでも上記作業を(時間は短くても)毎回丁寧に行っていくと、最終の帯の仕上がり具合が変わって来る様な気がします。最初に試験織りが上がってきた際は、時間を取って、その前でじっとにらめっこをする、結構大切です。

 

一昨日、機織り職人さんに言われたのは、『大事な絹を使ってこれだけ試験を繰り返し取ってするのは、日本人くらいだ。と海外の方から言われたよ。』と。その時織っていた端切れを使って何か作らせて欲しいともお願いされたらしいです・・・。それは難しいお願いですが、そう言って頂ける、帯地の試験織と端切れ。もっと何か活かして作れそうです。利用方法も考えていきます。

 

ちなみに、今日の試験織は『太子間道』の一部。わかりました??

2015年09月16日

一つずつ見ると・・・

出張2日目です。バタバタ、ピタ、バタバタ、ピタ。そんな時間の流れなので、多少空き時間があります。その間に検討するのは、この配色。昨日も予告していたモノで、紹巴織を太子間道を地色三色、トータル4色使った試験織です。

『太子間道』
 

この写真の様に試験織は上がってきます。一度にこの三色の地色を見ると『。。。失敗したかも。』と一瞬思ってしまいますが、このまま織るわけではなく、地色の一色ずつ織っていきます。一番上の朱系のモノは今のところ使うのは難しいですが、後の2色については(ぜひ一色ずつ見る様にして下さい。)、帯として成立しそうです。紹巴織の利点でもあり、モノづくりの際には頭を悩ます所でもあるのが、地色の3色が混ざり合うこと。

絵の具の様なイメージで、今まで見たことの無い三色を混ぜることで、見たことの無い地色→見たことのない雰囲気の帯ができる。そこを目指しています。社内では『なんだこの色。』となっていると思います(笑)が、ここから会社としての新しい流れができるかもしれません。

このモノづくりは少し長い目で見ていただけると嬉しいです。

 

2015年09月15日

紬を足した生地作り。でも。

今日から出張で京都を離れています。戻るのは18日か19日になるので、そのままシルバーウィーク。次にモノづくりを具体的に進めることができるのは24日、随分と先です。そのため、会社から諸々資料を持ってきました(時間が空くと眺める様にしています)。その中の一つがこの裂。

Photo20150915233201714.jpg
『CelticCeltic』
 
この裂地は、全体に通る3つの杼(すべて通常の絹糸)の一つを紬糸に変更したものです。時々このブログやfacebookにも登場する『悠翔織』の構造をシンプルにしてモノ。もちろん、帯地ですが本当は帯にするつもりはないと、ちょっと分かりにくいモノです。ただ、思いの外、風合いや発色が良くて帯にしても面白いかも、と今は思っています。
 
この裂地の少し詳細な話ですが、これは経糸が濃い色で製織しています。そのため、下の配色の『濃いグレー×青』に関しては、経色と緯糸、それと紬糸をとが上手く噛み合って発色しています。反対に上の白地に関しては、白地が経糸の影響を受けて少し濁っています。この辺り、経糸の調整で修正することは難しくないですが、敢えてこの濁りを使って何かできないか?と思います(でも帯にするかも分からないので後回しか?)。
 
実際は24日にならないと進みませんので、イメージを膨らませておくのと、他にも同じ様な裂地もあるので、折角遠くまで来たこともありますので、帯地のないところで、数日は試行錯誤したいと思います。
 
太子間道で不思議な配色も持ってきています。それはまた明日にでも紹介しますね〜。
 
 
 
 
 
 

2013年11月13日

秘色色

 

日本の色の名前は、木賊色、瓶覗き、空五倍子色等々、
字面から想像出来そうで、実際見ると、『こんな色なんだ。』という色など、
奥深く楽しげです。

 

 

先日から何度か紹介している名古屋帯の中で、『太子間道』柄を作ってみました。

IMG_0134.png

 


配色する際に、『秘色色(ひそくいろ)』という青磁を由来とする色目が目に入ってきたので、
その色を使っています。

一応、以前織っていたモノと似た雰囲気の配色ですが、緯糸にこの『秘色色』ともう3色を
使い、鹿毛引きのように僅かに変化させています。

 

Untitledkkk.jpg

 

よく見てもらうと、地が細い糸で構成され、
単色で作り上げるのと比較して、また奥行きが変わってきます。
(分かりにくいかもしれませんが、白い部分と比較すると違う)

 

遠くからパッと見ただけでは、なかなか分かりませんが、こういう所に
何かしておくと、長い間使っていても、飽きのこない『なぜか、この帯好き。』
と言ってもらえる帯になってくれるのではないかな?と思っています。

2012年01月31日

たてのせかい

 

太子間道好きとしては、太子間道の柄が織り上がってくると、

少しテンションが上がります。

 

IMGP6702.jpg

漢錦/作楽』

 

写真の柄は、織が『経の織物』(=経錦)です。

『西陣』は緯(横)の織物が中心ですので、大きな目で見ると、

この『経』中心の織物でモノづくりすることは、少しいつもと勝手が違います。

 

経の織物は、珍しいわけではなくて、何百年〜も昔から織られてはきました。

ただ、西陣では織物が複雑になるにつれて、生産量は少なくなっています。

 

現在、自分の興味がその『経』へ行っている所ですので、

今は文献等に当たって、進めているところです。

 

もちろん、緯の世界もやることは、いっぱいあるのですが、

少しプリミティブな世界にも足を運んでやっていきたいです。

 

今日は、そんなことをモノづくりの打ち合わせで話していました。

 

IMG_2721.jpg

 

少し前、となみ織物で『経』というと、

経糸を増やした風通組織で織り上げたものがあります。

 

この辺りからも、今すぐにでもモノづくりのイメージが

出てきそうなんですが・・・。

 

2010年12月06日

しまうま(大)帯

メルマガでも書いていた、しまうま(大)帯。
(小)はこちら

しまうまモチーフの柄は、
まずは、これで満足しました。

IMGP4128.jpg

出張に行った際に、
『いつも変わったものばかり、考えているのですね。』
と言われることが多いのですが、

『変わった帯を結んでもらおう』
とよりも、
『この帯結んだら、人に見せたくなる位、
楽しい帯を作ろう』と思っています。

どんな柄でも、
着物着て帯結んで、街を歩いているだけで、
楽しいとは思いますが、
『面白い帯してはるなぁ?』
『でも、安っぽくない』
『いいなぁ』
と見てもらえる帯も、いいと思います。

かなり人を選ぶ、
好きな人は好きな帯になっていますが、
この帯の裏地が出来て、袋帯になったら、
皆さんにお披露目しに行くのが
私も楽しみです。。

裏は、対照的に
『太子間道』です。。
IMG_3253.jpg


2010年11月22日

個人的にブームの太子間道。。

ただいま、配色をしてハマっている柄が
この太子間道です。

IMG_3253.jpg

見せれるだけでこれだけあって、
『あらあら・・・』というのも含めると、
ここには収まりきらないです。

ある程度のイメージは決まっているので、
そこに到るまでの微調整だけなのですが、
それでも、これだけあります。

実は、以前もこの太子間道に拘った時期があります。
 http://senpukuya5.seesaa.net/article/102491025.html

この時は、同じような柄でも経糸を活かす『経錦』
という織り方でした。

この織りは上のリンクを参照にしてもらえれば、
いいのですが、経糸で柄を織り成すものです。
(例えば、経糸を三色使って作る。)

上の写真のモノは、それとは違って、緯糸(横糸)で
織っていくもので、織り方としては、真反対です。

ただ、織る方から考えると、それだけ違っても、
実際に結ぶ方からすると、柄も似ていて、両方共
薄手の織物なので、あまり変わらない所の話です。

同じ柄を経糸で出そうが、横糸で出そうが、
そう気にする人もいないかもしれません。。。

また、元々は、南のアジアやインドの方から伝わったと
される『絣』の柄ですので、経糸を使って織る方が
素直だと思います。

ただ、西陣の特徴の横で柄を作り出す、ことで、
しかも、経バージョンも織った後ですので、
ここから、何か新しいものができそうな予感がします。

いつもは結ぶ人を中心に考えたモノづくりですが、
今日のところは、結んでもらう大部分の方に、
関係がないかも?ですが、やってみたかったことの
一つです。

ちなみに、いい色で上がった後は、
しまうまの裏に付けようかな?と思っています。

IMG_2628.jpg

2008年07月09日

経の織物、作り。

『今は、経の織物を製作しています。』

と書いても、『経の織物』というのが
分かりにくいかもしれません。
(大きく分けた織物の中では、経錦といいます)

まず、基本的に織物は、経の糸と横の糸(緯糸)
とを使って織ったものです。


そして、織物の『表面』には
経糸・緯糸が交互に出てくるので、

もし、経糸⇒、横糸⇒の場合、
織り上がりの見た目はグレーになります。
(黒色+白色=グレーのような感じ)

これが原則。
(厳密には、糸質等々により大きく変わることも・・・)。


そして、
となみ織物内で主力となっている紹巴織は、

緯糸で経糸を包み隠す織方なので、
上の黒白の例で
いうと、白色になります。

そして、今製作しているモノの場合。
ちょうどその反対の、『黒』になります。
(ただし、経糸に数色使えるので、ただの一色ではない。)

言って見れば、経糸が
帯全体の色目を決める織り方(組織)です。


横糸(緯糸)で色を出す最大の特徴は、
色が調整し易く、
様々な配色をし易いところ。

その代り、何も考えずに設計図(紋図)を書くと、
帯が、重くなり結びにくくなる。

経糸の織物だと、とにかく余分な糸は通さないので、
軽く薄くなる。その代り、多彩な色使いをするには、
頭を捻ってひねって、作る必要あり。

と、全く正反対の織物です。


もちろん、
モノづくりする時もその織方に合わせて、
頭の切り替えをしながら、
製作していきます。


そして、まず一柄目は
『太子間道:たいしかんどう』という柄です。


聖徳太子に由来を持つ、
柄と言われていて、、

千年以上歴史を持つ、定番中の定番のモノです。

ただ、配色をグレーベースに配色をすると、
千年経った今でも新しい感じを受けます。

経錦 太子間道

もちろん、経の織物なので、

『とにかく手に持っただけで軽く感じ、
結び心地も素晴らしい~!』

と評判を頂いてますので、

今後大きな期待を持てる織物です。

経糸が擦れ合って、
絹ずれの音が鳴る、ということから、
名前は、『鳴錦(なるにしき)』といいます。

ぜひ、音を聞いてもらいたい帯です。

それと・・・

昨日アップする予定だったのですが、
京都の七夕の空は・・・

夜空
分かりにくいですが、雲しかありません。。

記憶の中で、
七夕の夜が晴れた記憶が、
ないなぁ?



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